War Commander’s 異世界傭兵戦記 作:ウルヴァリン
冒険者の試験だが、流石は騎士出身としか言いようがなかった。基本的な戦い方をマスターしているルシャナは手頃な依頼を2つ同時に引き受け、それを僅か1日で達成させるという荒業を成し遂げた。
だが確かに俺とペアで動くようにするには彼女には早く正規の冒険者になってもらう必要があるので、これはむしろ助かる。だが彼女の戦い方にこっちが合わせられるかが問題だ。
だから今回は魔物の討伐にしてもらい、平原に出ると俺は少し離れた場所で今回の装備として選択したボルトアクション式スナイパーライフルのM40A6を構え、スコープを覗き込んで射撃体勢を整えていた。
「やっぱり素早いな・・・」
400mほど離れた場所でルシャナはクレイスアイという空中に浮かぶエイのような魔物の群れと交戦中だ。クレイスアイは1mほどの大きさをした飛行型の魔物で、細くて長い尻尾の先にある毒針で相手を動けなくして、その間に捕食するという習性がある。
だが動きは比較的遅いので攻撃を回避さえすればそれほど苦戦する心配はない。だが今回はそこそこ大きな群れに当たったようで、彼女はすでに7匹を討伐。指定討伐数は5匹なので目的は達成しているが、あの群れは全滅させる必要があるみたいだ。
ルシャナの戦い方は素早い動きを軸にした機動戦のようで、そこに周辺の状況を瞬時に理解して必要であるなら武器を切り替える機転を活かす。
ルシャナが剣でクレイスアイを仕留めると、反対側から別の個体が彼女に毒針を突き刺そうとするがそうはさせない。
500ヤードにセッティングしているので、3ノッチずらしてトリガーを弾いた。撃ちだされたM61通常弾はクレイスアイの胴体と尻尾のつなぎ目を貫通し、真っ二つにして仕留めることができた。ルフィアは仕留めたクレイスアイの死骸から剣を抜き取り、こちらに視線を向けて何をどうしてほしいのか目と手の動作で伝えてきた。
「・・・・・・翻弄するから狙撃していけ・・・・・・了解だ」
彼女の意図を理解し、ボルトを引いて廃夾して新しい弾薬をチャンバーに送り込む。彼女が群れの中を突っ切って、それで動きを止めた個体の頭に一撃を見舞って仕留める。そこから次に彼女を狙っていた個体を仕留め、体の一部を失ってもがいている個体を彼女がとどめを刺す。
それを繰り返し、20匹近くいたクレイスアイは全て駆逐された。
制圧を確認し、俺はスコープキャップを閉じてバイポットを折りたたんでから立ち上がって、彼女を迎えに行った。
「すごくいい戦い方だったよルシャナ」
「ありがとうございます。ご主人様、お話には聞かされていましたが、やはり私が知っている銃とは根本的に違うようですね」
「あぁ。前衛がいてくれるからこっちも攻撃が捗る。相性はいいみたいだ」
「はい。私もこれほどのクレイスアイの群れは不慣れでしたが、厄介な場所にいる個体はご主人様が排除してくださって助かりました」
前衛で彼女が敵をかき乱し、俺が彼女の脅威になる個体を排除していく。これを基本的な動きにして距離にとらわれずにしておいたほうがいいだろう。
「しかしご主人様、クレイスアイの死骸はどうしましょう?」
「討伐証明は尻尾の毒針だったね。とりあえず毒針だけ回収して組合から回収用の荷馬車を借りてこよう」
「それがよろしいかと・・・」
「そういえばクレイスアイの素材って何に使われるか知ってる?」
「クレイスアイは農業の虫よけになります。死骸は切り分けて乾燥さえて、粉にしてから畑にまくと害虫が寄り付かなくなって、肥料にもなります」
「なるほど・・・・・・」
本当にいろんな使い方があるんだと感心する。日が暮れる前にここに戻ってきて死骸を回収する必要があるので俺とルフィアはナイフを取り出して次々と毒針を切り分けていき、数分後にはすべての個体から毒針の回収に成功。街に戻って報告を済ませ、僅か2日でルフィアは白磁等級冒険者の仲間になった。
それからすぐに少し大きめのに荷馬車を借りて、手伝いとして職員を数人借りてクレイスアイの回収に向かった・・・・・・・・・・・・。