War Commander’s 異世界傭兵戦記   作:ウルヴァリン

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27:冬の緊急依頼

ルシャナを仲間にして暫く、無事に白磁等級冒険者の資格と身分証を取得させて俺と一緒に冬に備えて依頼をこなしていく。彼女は本当に優秀な前衛で、今まで単騎だったので依頼がスムーズに終わっていくことは本当に助かる。だから冬に入る前に可能な限り依頼を引き受け、時々だが二手に分かれて個々で依頼をこなす。

 

そしてルシャナが仲間になって1ヶ月後、ハーヴィットは冬に突入した。

 

街の風景は瞬く間に雪で覆われ、景色は幻想的であるが冬の間は休業となる商店や組合もあるので、どこか寂しさも感じられてしまう。

だが宿などは冬でも営業しているので、冬の間は活動休止としている冒険者の利用者が増える傾向があり、シャムさんのところも冬は満室でかなり忙しくなっている。

 

 

「照史、ちょっといいかしら?」

 

 

組合に到着して数が少なくなった依頼を見ているとフレイアが話しかけてきた。組合は冬の間は職員が少なくなっていて、ミィのように冬の間は忙しくなる宿の手伝いがある職員は休暇となって帰郷したり実家の手伝いをしたりしている。

だから冬の間の職員はフレイアのような専属冒険者が受付や事務を担当しているのでフレイアは青と白を基調とした制服を着ていた。

 

 

「どうしたの?」

 

「うん、ちょっとお願いがあるんだけど・・・」

 

「珍しいね。何かあったの?」

 

「うん、実は依頼が舞い込んできたんだけどね、ちょっと急ぎなのよ」

 

「急ぎ?」

 

「これなんだけどね」

 

 

フレイアはそういいながら引き出しから1通の手紙と依頼書を取り出す。手紙はかなり立派な装飾がされていて、何か大事そうな手紙だろう。

 

 

「ハーヴィットの領主から急の依頼でね、この手紙を王都に届けてほしいのよ」

 

「また急に・・・」

 

「来た領主の執事によるとね、いつも利用してる配達人が他の街に行ってて帰ってきてないらしいのよ。それで総合組合に最初に行ったんだけど、向こうも冒険者が出払っててこっちに来たのよ」

 

 

つまり緊急依頼ということだ。緊急依頼の場合は通常の依頼とは違って掲示板には張り出されず、担当者が該当等級保持者に依頼を紹介して受諾の有無を確認する。

 

 

「手紙を届けるだけなんだけど王都へ5日までに届けなきゃいけないのよ」

 

「王都って確か7日は掛かるんじゃなかったっけ?」

 

「そうなのよ。執事の人が帰ってくるまで引き延ばしてたようなんだけど、早く言ってくれなかったから期限が迫っちゃったらしくて困ってたわ」

 

「領主から処分されるのを嫌がったんだろうね。早く依頼を出してくれたら余裕を持たせられたのにね」

 

「本当にそうよ。それで依頼料も奮発してくれたんだけど、領主の顔も立てなきゃいけないからってことで他に行けそうな冒険者は全部断られたのよ」

 

「そりゃそうだよ。いくらなんでも期間が短すぎる」

 

「ねぇ照史、無茶行ってるのはわかってるんだけど依頼を引き受けてくれない?失敗しても経歴には残さないし私たちが責任を取るから」

 

 

両手を合わせて頭を下げるフレイア。確かに彼女には日ごろからかなり世話になっているし、引き受けたとしても失敗扱いにはしてくれないと言ってくれている。それに俺一人では決めてはいけないのでルシャナに意見を聞いてみることにした。

 

 

「ルシャナ、どう思う?」

 

「はい、ご主人様が引き受けると決められるのでしたら、私は従うのみです」

 

「そうじゃないよルシャナ。君と俺は確かに主と奴隷の関係なんだけど、冒険者としては対等な関係なんだ。だから遠慮しないで考えを聞かせてくれないか?」

 

「対等・・・ですか?」

 

「ルシャナ、照史はこうなると納得してくれるまで引いてくれないわよ。それに意見があるなら私としても仕事で助かるから話したら?」

 

「・・・・・・そうですね・・・確かに今から出発しても普通の街道では間に合わないですね」

 

「やっぱりか・・・」

 

「フレイアさん、王都へ向かう道はここだけですか?」

 

「他にもあるといえばあるんだけど・・・・・・

 

 

そういってフレイアは棚から地図を取り出して広げた。王都は山を2つほど通過した先にあり、今の時期では確かに1週間は掛かるだろう。他の道もあることにあるがどれも遠回りになっていて、明らかに7日以上は掛かってしまう。

 

 

「ハーヴィットからまずは同じ道を使って1つ目の山を越えて、2つ目の山に入る手前の集落に廃坑があるのよ。この廃坑は山を貫いて王都手前まで続いてて、ここを通過すれば1日で山を越えることができるわ」

 

「けど使われないってことは通れないんじゃないのか?」

 

「廃坑そのものは使えるわ。今も王都へ向かう冒険者が通るんだけど・・・」

 

 

フレイアがそういうと言葉を曇らせる。どうやら何か問題があるようで、暫くしてから説明を再開させた。

 

 

「・・・・・・魔物が住み着いてて、それで吸血鬼がいるって話なのよ」

 

 

 

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