War Commander’s 異世界傭兵戦記   作:ウルヴァリン

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03:組合の街ハーヴィット

街へ目指す道中、揺れる馬車の中でシルヴィアとラウラから情報を得られた。

 

いま俺がいる国はヴェルダ王国。

 

バスティアという大陸の南西部に位置する小さな王国で、様々な種族が生活している多民族国家らしい。

資源が豊富でその恩恵で様々な組合が支部を設けて特に冒険者や傭兵の組合が多い。名産品はワインらしく、特に有名なワイナリーが造ったワインは王宮の晩餐会にも出されるほど。

 

だが政治体制は芳しくないようで、貴族の不正が横行していてつい先日にも奴隷の違法売買でお家潰しにあった貴族が発生したらしい。

 

そんなことを話していると目的の街が見えてきた。

 

 

「あれがハーヴィットか……」

 

 

シルヴィアとラウラの目的地であるハーヴィット。

 

3つに分かれた河の分岐点を囲むように城壁が張り巡らされ、ドイツの古い街並みそっくりな建物が敷き詰められている。

ハーヴィットは組合の街と云われているらしく、冒険者や傭兵の他に鍛治、水運、農業、商人、魔術師など大小様々な組合が拠点を置いているとシルヴィアが教えてくれた。

 

城門でシルヴィア達が身分証がない俺の通行料銅貨2枚を出してくれて、そのまま街に入ることが出来た。

 

 

「賑やかな街ですね」

 

「はい♪この通りには色んな露店があって美味しいものもたくさんあるんですよ♪」

 

「シルヴィ、まずは組合への報告が先だ。食事はその後にしなさい」

 

「もぅ‼︎ラウラったら私が食いしん坊みたいに言わないで‼︎」

 

「そんな食べたそうな顔をして言っても説得力はないぞ?」

 

「むぅ〜……」

 

 

ラウラとのやり取りでシルヴィアは頬を膨らませる。小さい頃からずっと一緒にいて幼馴染というよりかはしっかり者の姉と甘えん坊の妹みたいだ。

そうこうしていると馬車は目的の場所である冒険者組合に到着。街全体がマールブルクのような街並みをしていて、冒険者組合の建物もレンガと木造を組み合わせた風情溢れる外観をしている。

 

先に入るシルヴィアとラウラに続くと中の光景に心が踊った。

 

様々な装備や服装をしている色んな種族の冒険者がいて依頼の打ち合わせをしたり、達成を祝ってジョッキを掲げて乾杯したり、腕相撲で力を競い合うのを横目に賭けをしたりと活気に満ち溢れている。

 

受付には依頼受諾の手続きをしていたり、壁のボードに貼られた依頼書を吟味していたりと本当に異世界だということを実感させられるな。

 

その後にシルヴィアは依頼達成と盗賊に関しての報告を行い、俺も事情を説明して20分後には解放された。

 

 

 

「今日はありがとうございました♪」

 

「いえ、しかし良かったんですか?報酬の半分を俺が貰っちゃって……」

 

「構わない。それだけの活躍をしたのだから当然の権利だ」

 

 

冒険者組合の前で報酬が入った袋を2人から受け取る。

 

この世界での通貨は基本系として金貨や銀貨や銅貨などが採用されていて、大半は銅貨とたまに銀貨が使われていて金貨やさらに上の白金貨は貯蓄、国からの報酬である白王金貨は国家間での取引や国家に多大な貢献をした英雄に対する報酬で排出されるらしい。

 

袋の中には銅貨50枚と銀貨10枚が入っていて、推測だが銅貨が100円や1,000円、銀貨が1万円の役割なのだろう。

 

 

 

「それで桜崎様、これからどうなされるのですか?」

 

「ひとまずは身分証ですね。何をするにも身分証が無かったら話にもならないし、宿も探さなきゃ……」

 

 

 

仮の身分証は冒険者組合にてシルヴィア達の紹介もあって無料で発行は出来たが、規定によって効力は3日間。それまでに正式な身分証を何処かの組合に入って発行してもらうか、会得が長引きそうなら高額だが3ヶ月間の長期滞在証を発行して貰わないと不法滞在として罰金、悪質なら投獄にもなると説明された。

 

だからまず宿を探して活動拠点を設けてから冒険者組合なり傭兵組合なり何処かの組合に入ることが目標となる。

 

 

 

「宿なら西城壁近くの"猫の寄道亭"がオススメですよ」

 

「猫の寄道亭?」

 

「ここから大通りを中央広場まで進んでから西道の先にある小さな宿だ。仮身分証でも泊めてくれるし駆け出し冒険者向けでもあるから料金も格安だ」

 

「もちろん美味しい朝ごはんと晩ごはんも付いて来ますよ♪」

 

 

 

最後の説明に何だか欲望が見えたような気がするが、食事付きというのは確かにありがたい。

 

 

 

「本当だったら私達の事務所の部屋を貸してあげたいんですけど、規則で組員以外の宿泊は出来ないんです」

 

「気にしないで。寧ろ何から何までお世話になって感謝するのはこっちです」

 

「私達はお前に助けられたから当然の行動だ。それよりも宿に着いたら私達の紹介だと言え。色々便宜を図ってくれるから利用してみるといい」

 

「本当にありがとうございます」

 

「では私達は行く。ほらシルヴィ、帰って仕事に戻るわよ」

 

「えぇ〜…もっと桜崎様とお話がしたいわ……」

 

「そうは行かないわよ。早く来なさい」

 

「ちょっ⁉︎ちょっと待ってラウラ⁉︎せめて屋台でお菓子食べさせて〜⁉︎」

 

 

 

食欲が勝りそうなシルヴィアの首根っこを掴んでズルズルと引っ張っていくラウラ。かなり手慣れた感じはしていたが、恐らく日常的な光景なんだろう。

こういう街なら拠点として申し分はないだろうがひとまずは当面の宿泊先だ。

 

彼女達が勧めた宿屋へ足を運ぶことにした……………。

 

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