War Commander’s 異世界傭兵戦記   作:ウルヴァリン

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31:剛脚には策を

イズの予想以上の強さに俺達は第1区画に撤退することになった。地図を参考に曲がり角を利用して少しでも距離を稼ぎ、怒り心頭のイズの視界から外すことに成功した。

416に新しいP-MAGを挿入し、いつでも反撃できるようにしつつ一息つくことにした。

 

 

「どうやら奴は俺達を見失ったようだな」

 

「はい・・・ですがいつまでこの状態を保てるか・・・」

 

 

キャンティーンの水を飲むと、すぐにルシャナに手渡す。水を飲んだことにより落ち着きを取り戻したルシャナは斧の状態を確認するが、木製の柄は根元から完全に曲げられていて、イズの握力に負けてしまったようだ。

 

斧をその場で破棄し、盾の裏側に取り付けていた剣を取り出して再武装する。

 

 

「だがイズってのは何か弱点はないのか?」

 

「私が故郷にいた頃、田舎町に逸れのイズが現れた時があったんですが、その時は騎士団に多数の死者が出てようやく倒されたんです」

 

「そんなにか・・・どうやって倒したんだ?」

 

「父から聞いた話ですが、その時は断腸の思いで志願者を囮にしたとのことです。それでイズがそっちに注意を向けている隙に矢の嵐に続いて大火力魔法を使ってようやく仕留めたと聞いてます」

 

 

そんなことをしなければならないほどに強力な魔物ということだ。確かにしっかりした準備と策がなければ犠牲は覚悟しなければならないというのは納得できるし、苦渋の決断だったと思う。そしてそれを俺たちが体験してしまっているという最悪なケースとなっている。

 

 

「弱点はいくつかはありますね。たとえ亜種になったといっても吸血鬼であるということには変わらないので銀と太陽が弱点です。それとイズは予想外なことに対しては少しの時間ですが動きを膠着させてしまうというらしいです」

 

「不意の事態には弱いということか・・・・・・」

 

 

彼女に弱点を聞いていると、俺は考え始める。俺たちがいるのは迷路に似た掘削場の入り組んだ通路。そして奴の攻撃主体は広い場所で脚力を活かして一気に距離を詰めて格闘に持ち込む。そして不意の状況には弱いという。

 

それを踏まえて策を思いついた。

 

 

「ご主人様?」

 

「・・・・・・どうにかなるかもしれない」

 

「ほ・・・本当ですか?」

 

「あぁ。だが賭けの要素が大きい。下手をすれば俺達は奴に惨殺されてしまうかもしれないが、俺を信じてくれるか?」

 

「私はご主人様の奴隷です。主を信じるのは当然のことです」

 

「・・・ありがとう。じゃあ説明するからしっかり聞いてね」

 

 

彼女の献身的な対応に感謝しつつ、俺は思いついた策を話す。これには彼女の行動が重要なカギになっていて、俺も僅かなタイミングも見逃してはならない。もしどちらかだけでも失敗してしまえば待ち構えているのは死だ。

 

そんな無茶な作戦だが彼女は二つ返事で了承してくれて、俺は準備に取り掛かる。狭い通路に仕掛けを設置し、準備を終えたらすぐに作戦開始。まずはイズをこっちに誘き寄せる必要があるが、それはルシャナの役割だ。

 

グールと共に行動するイズにわざと見えるようにルシャナがグールに攻撃を仕掛け、数体を排除すると彼女はイズを挑発する。

 

 

 

「こっちだ‼︎追いかけてみせろ‼︎」

 

 

ルシャナは剣を盾にあてて音を出して挑発し、それを見たイズは頭に来たのか雄叫びをあげてルシャナを追いかける。入り組んだ曲がり角では奴の脚力は力を発揮できていない。

小回りを利かしてルシャナは指定した場所に辿り着き、瓦礫に身を隠している俺のところにたどり着いた。

 

イズがそれをみて襲いかかるが、奴が地面に足を付けた瞬間に仕掛けたが起動した。

 

 

「来い・・・来い・・・掛かった‼︎」

 

 

奴が踏んだのはエレクトロマイン。電撃で奴の動きを短時間だけ封じ込み、続けて俺は本命の罠を起動させた。その瞬間、天井、床、左右の壁が爆発してイズを包み込んだ。

 

起爆したのは指向性対人地雷のM18クレイモアだ。まずルシャナが瓦礫が多いこの通路にイズを誘き寄せ、走り難い場所での追撃で奴を苛立たせる。

そして予定地点に仕掛けておいたエレクトロマインで奴の動きを封じ込め、続けて左右上下からのクレイモア同時起爆。合計で2,800個ものスチールボールという文字通り鉄のシャワーを全身に浴びせるというのが作戦だ。

 

それが功を奏したのか、煙が晴れて奴の体はズタボロになっていた。両手は完全に消失し、全身の皮がボロボロになって骨や内臓が露出している。だが奴はまだ息をしていた。

 

 

「失敗⁉︎」

 

「いや、想定済みだ」

 

 

そういいながら俺は最後の一手を使う。チャージングレバーを引いて初弾を装填し、照準を合わせてトリガーを弾いた。外見はバレットM82A1だが銃身は短縮化しているがマガジンはより大型化している。俺が最後に選んだのはXM109 ペイロードライフルだ。

弾薬が12.7×99mmから25×59mmというグレネードランチャーで使用する弾薬を撃ちだすペイロードという名前のグレネードスナイパーライフルだ。前の世界では予算削減と命中精度の低さから日の目を見ることなく闇に消えたライフルだが、命中精度が低くても20m程度なら問題にならない。

 

 

「・・・Hasta la vista」

 

50mmの装甲板を貫通させられるXM1049徹甲高性能炸薬弾は動きを著しく低下させたイズの顎に命中し、頭部を文字通り木っ端みじんに吹き飛ばした。頭を失ったイズの身体は暫く前に進むが、数歩進んだ先で地面に音を立てて倒れ、二度と動くことはなかった・・・・・・・・・・・・。

 

 

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