War Commander’s 異世界傭兵戦記   作:ウルヴァリン

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33:王都の統合組合

王都ヴェルダリアに到着し、中に入る前にいざこざがあった。それで衛兵隊の事情聴取を受けることになったが、人助けと射殺した暴漢にはそこそこな額の懸賞金が掛けられていて、聴取を受けた際の説明では荷馬車の二重底で隠れて入ろうとしていたらしい。

そこに違法物も見つかって騒ぎになったとのことだ。

 

聴取を受けた後に男の懸賞金である金貨10枚を受け取り、俺とルシャナは王都に入った。

 

 

「立派な街だな」

 

「はい。子供の頃に来たことがありますが、本当に活気に満ち溢れた街並みです」

 

 

ハーヴィットがドイツの街並みであったことに対してヴェルダリアはイギリスのレドンホールマーケットのような古風な街並みをしている。門をくぐると商店街のようで、様々な店が軒並み、興味が惹かれるお土産や鼻をくすぐる美味しそうな香りが漂って活気に満ち溢れている。

 

目を輝かせながら周囲を見渡すルシャナと一緒に街を巡ってみたいが、今は依頼の最中だ。だからまずは依頼を完遂させることが先だ。けど届け先の詳しい住所はさすがに分からないのでまずは王都の統合組合で入手した討伐証明の引き取りをお願いしたいので向かうことにした。

 

 

「こんにちは。統合組合ヴェルダリア支部へようこそ」

 

 

統合組合に入るとハーヴィットの統合組合よりも広く天井も高い。ロビーは吹き抜けになっていて等級毎にフロアが分かれているようだ。ハーヴィットでは掲示板はかなり少なくなっているが、流石は王都のお膝元だ。空白はあるが張り出されている依頼は多かった。

 

 

「本日は依頼受諾でしょうか?」

 

「いえ、ハーヴィットから依頼で王都に来たのですが、道中で魔物を討伐したので討伐証明の買い取りをお願いします」

 

「分かりました。では身分証の提示と討伐証明の提出をお願いします」

 

 

受付嬢に言われて俺とルシャナは身分証を提示し、次に討伐証明が入った袋を取り出した。

 

 

「結構な量ですね。ハーヴィットからお越しいただいたとのことですが、どこを通過されたんですか?」

 

「トートベリー廃坑です。そこで複数の魔物に襲われて倒しながら取り抜けました」

 

「この時期はあの廃坑の魔物は活発化するのに、かなり無茶をしますね」

 

「相棒が優秀ですからね。苦戦はしましたが彼女のおかげでもあります」

 

「ふふっ。素晴らしいご主人様と出会えてよかったですね」

 

 

そういうとルシャナは顔を少し俯かせて視線を逸らせる。彼女は照れ隠しをする際に今のような動作をしてしまう癖がある。そこは素直に可愛らしいと思っている。受付嬢はトレイを取り出して討伐した魔物の討伐証明を並べて確認していく。

 

 

「えっと・・・・・・グールの小指が18本にリザードの牙が6本、バッツの右翼が21枚、ラージコックの触角が12本・・・かなり倒したんですね。それにどれも状態が素晴らしいです。これなら結構な額で買取ができますね」

 

「ありがとうございます」

 

「それで最後は・・・・・・」

 

 

最後に丁寧に布で包まれたイズの角を見て受付嬢は硬直する。暫くして受付嬢は暫く待つように言って奥の部屋に入っていき、少ししてから戻ってきた受付嬢に案内されて奥に連れられた。

 

案内されたのは組合長の執務室で、中には組合長が先程のイズの角をまじまじと眺めていた。

 

 

 

「失礼します。支部長、お連れしました」

 

「応っ。お前さんがこの角を持ってきたっていうハーヴィットの冒険者か?」

 

「はい。ハーヴィットの冒険者組合“山越の風”所属の桜崎 照史です。こっちは従者のルシャナ」

 

「そうか。まぁ話は座ってからだ。まずは遠慮なく腰かけてくれ」

 

 

そう促されたのでソファーに座るが、ルシャナは俺の背後で立ったままだ。従者なので主の許可なしで座るということに抵抗があるんだろう。本当だったら座らせたいが相手は組合長なので彼女の印象を大事にしておきたい。だから彼女を尊重してそのままのほうがいいだろう。

 

 

「改めてここによく来たな。儂は統合組合ヴェルダリア支部の支部長をしているエドガーだ」

 

 

エドガーと名乗る支部長。60代中盤くらいの貫禄溢れるヒュムで、高齢を感じさせない屈強な筋肉にヴァイキングを連想させる編まれた長い髭。皮膚には古傷が見え隠れしているので恐らく何度も修羅場を潜り抜けて来たんだろう。

 

 

「さて、お前さんたちは依頼の途中だって聞いてるから要件だけ質問するぞ。持ってきたイズの角なんだが、これはお前さん達が倒したのか?」

 

「はい。トートベリー廃坑で出くわして、かなり苦戦しましたが罠を駆使して討伐しました」

 

「一応聞いておくが、お前さんらの他に仲間はいないよな?もしくは高等級冒険者を雇って倒してもらったとかじゃないよな?」

 

「それはどういう意味でしょうか?」

 

「気を悪くしないでくれ。今日の朝にそのトートベリー廃坑に棲みついたイズの討伐依頼が王宮から出ていてな。それで張り出そうとした矢先にお前さん達が来たって訳だ」

 

 

やっぱりあのイズには討伐依頼が出されていたようだ。それでエドガーは張り出す予定の依頼書を俺に見せてくれ、確かにトートベリー廃坑のイズとなっている。

それもこれは等級指定案件となっていて、依頼受諾は金等級冒険者以上となっている。

 

 

「まさか黒鉄等級と白磁等級の新米が倒しちまうなんて、流石に儂も予想しておらんかったがのぅ。それが知らずとあるならなおさらじゃい」

 

「は・・・はぁ・・・」

 

「まぁ良い。じゃが今回は依頼張り出し前の討伐じゃからお前さん等の記録には残せんが、依頼主には非公式じゃがお主らの活躍は伝えておこう」

 

「ありがとうございます」

 

「おい、すまんが報酬金を持ってきてくれ」

 

 

先程の受付嬢にそう指示を出すと受付嬢は部屋を出る。そして少ししてから報酬金を乗せたトレイを持ってきた。

 

 

「イズの討伐報酬金の金貨120枚と組合からの特別報酬20枚の合計金貨140枚だ。納めてくれ」

 

「・・・・・・依頼額より多くないですか?」

 

「今回のイズはドラクラベラ病に罹って変異した亜種だからな。それで通常個体のイズの討伐より難易度が一気に跳ね上がるから、組合から報酬金額を増やさせてもらった。まぁ後から依頼主から倍の額を吹っかけてやるがな」

 

 

腕を組んで高々と笑いながら宣言するエドガー。組合長をしているだけあって商魂が逞しい。報酬額をしっかり確認してからバックパックの一番奥に仕舞うと、俺は本来の依頼に関することを聞いてみることにした。

 

 

「そういえば、ここの場所って分かりますか?」

 

「どうした?」

 

「本来の依頼で手紙を届けるんです」

 

「あぁ、確かに言ってたな。どこだ?」

 

 

それで手紙を見せて住所を確認してもらう。するとエドガーは笑いながら手紙を返してくれた。

 

 

「はははははっ!!これも偶然か神の気まぐれか?」

 

「どうかしたんですか?」

 

「この場所ならよく知ってるぞ。なにせイズの討伐依頼を出したのがこの家の住人なんだからな」

 

 

 

そういいながら手紙を返してくれる。そしてまさか届け先の人間とイズの討伐依頼者が同一人物だったという事実に唖然となりながら届け先への行き方を教えてもらい、統合組合を後にした・・・・・・・・・・・・。

 

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