War Commander’s 異世界傭兵戦記   作:ウルヴァリン

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35:手紙の意味

手紙の届け先である酒場にいたのは大物という言葉では足りない大物の中の大物だった。

 

まさか届けた先の傭兵団の団長がこの国の第2王女だとは誰も思わなかった。少しの間だけあっけに取られてしまったが、ようやく言葉の意味を理解して大慌てで不動の姿勢になって敬礼をした。

 

 

 

「し・・・失礼いたしました!!」

 

 

 

あまりの出来事だったので若干声が裏返ってしまったが、殿下はすぐ目の前に歩み寄って、人差し指で俺の口を当ててきた。

 

 

 

「ふふふっ、殿方が女性の前で狼狽えてしまってはメッですよ?」

 

「あ・・・」

 

 

 

陛下の行動に慌てていた俺は落ち着かされた。殿下は大人の女性という言葉が非常に似合っており、シルヴィやラウラのような違うタイプの雰囲気にどこか引き込まれてしまいそうな雰囲気だ。

 

 

 

「ふふっ、それで桜崎様は私に手紙を届けに来てくださったのですね?」

 

「は・・・はい。こちらになります」

 

 

 

そういわれて俺は殿下に手紙とエドガーから預かった依頼完遂証明書を渡す。蝋封印の家紋をしっかり確認し、ゆっくり開けて中の手紙を取り出して読み始める。その手紙を読む姿も神秘的で、俺だけではなくルシャナも思わず見とれてしまう。一通り読み終わると殿下は俺に話しかける。

 

 

 

「桜崎様、この手紙の中身はご存知ですか?」

 

「いえ・・・流石に届け先の方の許可をもらわずに中を確認するのは問題行為になりますので・・・」

 

「真面目なお方なのですね。ではこれをご覧ください」

 

 

そういって陛下は中身の手紙を俺に渡す。恐る恐るで手紙を受け取ると、その中身に言葉を失った。

 

 

「・・・・・・白紙?」

 

 

 

手紙の中を見るとそこには何も書かれていない白紙だった。最初は何か仕掛けがあるのかと思ったが、どうやら本当に何も仕掛けもない白紙の紙のようだ。どういう意味なのか気になるが、先に殿下がこれを説明し始めた。

 

 

 

「ハーヴィットの領主は私の古い知人でしてね。時々こういったやり取りをしているのです」

 

「やり取り・・・ですか?」

 

「はい。こうやって互いに優秀な冒険者や傭兵を互いに引き合わさせて、依頼交渉をする際に円滑に進められる足場づくりをやりあってるんです」

 

「そうなのですか・・・」

 

「それで今回の優秀な冒険者があなたということです」

 

 

 

そういわれてなんだか考えが追い付いていない。しかし殿下が先に説明を始めた。

 

 

 

「依頼を引き受ける際に執事とか5日間とか仰っていませんでしたか?」

 

「そういえば・・・・・・執事がぎりぎりまで本来の配達人を待っていたといっていましたが・・・まさか・・・・・・」

 

「そうです。どういう経路で移動してどんな行動をして街に辿り着くかと依頼した相手に考えさせて、封筒の書かれた日付から5日以内で依頼を成功させるか否か。それで成功すれば指名依頼を出すこともあります」

 

「成功すれば成功報酬の他に今後相手側の指名依頼を受けられる機会に恵まれ、失敗すれば依頼完遂のみで終了ということでしょうか?」

 

「その通りですわ。それを桜崎様は1日早く完遂させて優秀なことを実証されたのです」

 

 

 

殿下にそう言われてなんだかこっ恥ずかしくなる。すると殿下は依頼完遂証明書を取り出して、署名に自身のサインをすると封筒に入れてから蝋封印で封をし、それを俺に渡す。

 

 

 

「では桜崎様、こちらが今回の依頼完遂証明になります。それと統合組合からイズの討伐をされたとありますが・・・」

 

「はい、とはいっても偶然のようなことですが・・・」

 

「でしたらこれをハーヴィットの所属組合に提出してください。恐らく今後のあなたの活躍の手助けになるでしょうから・・・」

 

「分かりました」

 

「それとよろしかったら飲んでいかれますか?彼の作るカクテルはどれも絶品ですよ?」

 

「そうですね・・・・・・ルシャナはどうする?」

 

「・・・・・・」

 

「うん・・・飲みたいんだね」

 

 

 

となりでルシャナが目を輝かせながらこちらに視線を送ってきている。

 

間違いなく飲みたいんだろう。それに偶には昼間から飲みたいとは思う。それから殿下も交えた無礼講となり、外が暗くなるまで殿下と部下の傭兵達と共に酒を飲んで楽しんだ・・・・・・・・・・・・。

 

 

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