War Commander’s 異世界傭兵戦記   作:ウルヴァリン

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43:傭兵組合の試験

シーラを傭兵組合に登録させるため、彼女に傭兵組合の登録試験として模擬戦をすることになった。

 

案内された組合事務所の裏手にある訓練場では一通りの訓練道具が整理された状態で置かれており、その訓練場の中央には1人の傭兵がいた。

 

 

「よう、あんたが今回の受験者か?」

 

「あぁ」

 

「ほう、犯罪奴隷か・・・だがなかなか面白そうなやつが希望してきたな」

 

 

シーラの顔に彫られている2本の刺繡を見てすぐに彼女が犯罪奴隷だと分かったが、同時に彼女の戦士としての雰囲気を感じ取ったようだ。

傭兵は雪が積もっているにも関わらず上半身裸で、体の何か所かに切り傷、腹部に火傷の痕が見えていた。

 

 

 

「俺がお前の実力を測る試験官役のオッフェンだ、お前の名前だ?」

 

「私はシーラ。ここにいる我が主の桜崎 照史に仕える奴隷だ」

 

「シーラか、よろしくな。一応は説明しておくぞ。とはいっても決まり事は相手に有効打を当てるか降参を宣言させたら勝負ありだ。俺を倒しても大丈夫だが、別に倒す必要はない。お前さんの実力が判ればそれでいいからな。何か聞いておきたいことは?」

 

「いや、特にない。始めてくれ」

 

 

 

そういうとシーラは訓練用の木製大剣を手に取り、対してオッフェンも木剣を手にして構える。構えを見る限りオッフェンもかなりの実力を有しているようで、それを見た脇で見守るルシャナは俺に話しかけた。

 

 

 

「あのオッフェンという人、かなり強いですね」

 

「そう感じるか?」

 

「はい。つま先の向きが常にシーラの方向を向いていて、柄の持ち方も両手と片手を瞬時に切り替えられるように持たれています」

 

「力も無駄に力み過ぎず、だが脱力し過ぎず柔らかい動きをしてるって感じだな」

 

「あの傭兵の人は間違いなく高等級の傭兵・・・シーラは勝てるでしょうか?」

 

「勝てるよ」

 

「その根拠は?今回はあくまで試験ですから実力を示せたら問題ないですが?」

 

「彼女は俺の従者でもう仲間だ。仲間の勝利を信じるのは当然だよ」

 

 

 

そんな話をしているとシーラが仕掛けた。彼女は懐に飛び込むと横に飛んで死角になるような位置に木剣を振り下ろす。だがそんなことは予想済みという余裕を見せながら体を回転させながら回避し、つま先を軸にして一回転して木剣を横に薙ぎ払う。それを見たシーラはすぐに木剣を引き上げて攻撃を受け止め、弾き返す。そのまま同じように身体を回転させて勢いをつけてシーラも再び振り下ろす。

 

 

「ふっ!!」

 

「ははっ!!面白いじゃねぇか!!」

 

 

オッフェンはその攻撃を後方に飛んで回避し、着地と同時に素早く懐に飛び込んで連撃をシーラに食らわせる。そこから暫くシーラは攻撃を受け止めて、オッフェンが横に薙ぎ払ったらすぐに姿勢を屈んで回避し、そのまま体当たりをする。

 

続いてオッフェンを担いですぐ吹き飛ばし、姿勢を崩す。オッフェンはすぐ体制を整えるが、その時間を与えないように蹴りを見舞って吹き飛ばす。

 

だがオッフェンは木剣で蹴りを防御し、更に後ろに飛ぶことで衝撃を緩和。それからしばらく睨み合いとなる。

 

 

「ははっ、力を見るだけで構わなかったんだがなぁ・・・お前さん、かなり強いじゃねぇか」

 

「・・・・・・・・・」

 

「だが、まだ本気を出してねぇよな?」

 

「・・・・・・・・・」

 

「だんまりか・・・まぁいい。ここまでやれるんだったら合格なんだがせっかくだ。最後になんか大技を見せてくれねぇか?」

 

「・・・・・・・・・だったら受け止めて見せろ」

 

 

 

そういうとシーラは肩で担ぐような構えをし、両手に力を籠めると地面を巻き込むように振り上げた。

 

 

「うおっ!?」

 

 

流石にそれは予想外だったようで、巻き上げられた小石が散弾のようにオッフェンを襲い掛かる。彼女は大振りから一気にオッフェンの懐に飛び込んで渾身の一撃を見舞う。予想外の攻撃からの力技というコンボにオッフェンは木剣をかざすが、シーラは俺も予想していない行動をする。

木剣が交わる寸前に彼女は柄を手放してからその場でしゃがみ、そのままオッフェンの腹にめがけて蹴り上げを食らわせた。

 

 

「ぐはっ!?」

 

 

腹に強烈な一撃を食らったオッフェンは空を舞いあがり、少ししてから地面に落ちてきた。そこに手放されたオッフェンの木剣を手に取り、その切先をオッフェンに向けた。

 

 

「いててて・・・んな手なんてありかよ・・・」

 

 

自分の負けを悟ったのか、蹴られた腹を抑えながら片手を上にあげた。それを見たシーラは剣を地面に突き刺し、手を差し伸べて立ち上がらせる。試合が終わったので俺とルシャナはシーラに歩み寄り、勝利を称賛した。

 

 

「やったなシーラ」

 

「我が主、勝利をお届けできたでしょうか?」

 

「あぁ。俺の予想以上の強さで安心したよ」

 

「ありがとうございます」

 

 

 

一見すると無表情のように見えるが、口元が僅かに吊り上がっていた。心底では嬉しいのだろう。

 

それからシーラの戦闘能力は問題なく傭兵として通用するものだと実証され、本来なら白磁等級傭兵からなのだが、オッフェンは組合でそこそこ地位があったようで彼の推奨を受けて黒鉄等級からのスタートとなった。

必要な書類に全て記入し、せっかくということで俺とルシャナもオッフェンの計らいで傭兵組合の試験を受ける運びとなった。

 

流石にオッフェンが連戦できる状態ではなかったので別の傭兵が審査員を務めるが、ルシャナは一瞬で勝負を決め、俺もソードオフ状態にしたM870でビーンズ弾をお見舞いして試験官を気絶させた。

 

それで俺達も面白い勝負を期待していたがあまりにもあっけない勝負でなんだか不満なオッフェンだが、勝利は勝利なので俺達も合格。副職傭兵として登録し、身分証を手に山越の風に戻ることにした・・・・・・・・・・・・。

 

 

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