War Commander’s 異世界傭兵戦記   作:ウルヴァリン

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46:遺跡探索

シャムさんにコロッケなどの作り方を教えたが、まさかあそこまで上手く作れるとは思わなかった。レシピを見ただけで本当に完璧なコロッケを作り上げ、その他にジャーマンコロッケやメンチカツ、爆弾コロッケなど揚げ物だらけの試食会を称した豪華な夕食を大満喫した。

 

コロッケを満喫した次の日は今まで行ったことがない郊外にある遺跡へ行ってみることにした。

 

 

 

「ルシャナ!!そっちに1匹いった!!」

 

「承知!!」

 

「まとめて薙ぎ払う!!」

 

 

遺跡に潜って少ししてから魔物の群れに遭遇して、今はそれの対処に追われていた。出現しているのはホーンラビットという群れで動く小型犬サイズで鋭い一本角が生えたような魔物である。1羽なら大した強さではないが群れでなると一斉に脚力を活かした刺突を仕掛けてくる。

 

それで難易度は一気に跳ね上がり、しかも出現しているホーンラビットの群れは冬を越すためにここを寝床にしていたようで、20羽くらいの群れで一斉にこちらに仕掛けてきている。

 

シーラが盾役として最大限に力を発揮して複数を引きつけてからジャイアントメイスで薙ぎ払い、ルシャナも閉鎖空間なので背中のロングソードは使わないで予備武器として短剣を両手に持って刺突を仕掛けてきたホーンラビットに回避しながら攻撃する。

 

俺も2人を援護しつつこちらに向かってきた個体に対して今回装備して来た日本ツリーの豊和20式小銃にエイムポイントM5とMAWL-X1とフォアグリップを取り付けた状態で冷静に射撃を加えていく。

 

数分後には20羽ほどいたホーンラビットを壊滅させ、討伐証明である角を採取し、バックパックに格納していく。

 

 

 

「けど遺跡に入ってすぐにホーンラビットの群れに出くわすとは・・・幸先が良いのか悪いのか・・・」

 

「いい方だと思いますよ?冬を越したばかりのホーンラビットはあまり食べていませんから動きが鈍くなるんです」

 

「冬眠だね・・・けどそれって同時に空腹だから凶暴化してるってこと?」

 

「そうなります我が主よ。あんな風に空腹を満たそうと凶暴化するので、冬眠から起きた個体は数日程周辺の農作物や生物を食い荒らすから害獣扱いになるのです」

 

 

 

まるで冬眠中のヒグマだな・・・。

 

そんな話をしながら角を収集し終えると肉と皮に分けていく。ホーンラビットの肉は淡泊で脂身が少ない兎肉そのもので、毛皮は貴族に人気があるからコートなどに加工される。まぁ時期的に遅いような気がするが北方の雪国では年中使われるから問題はないだろう。

 

 

 

「よし、加工は終わったね?」

 

「はい。毛皮は私が背嚢に納めています」

 

「私は肉を入れておきます」

 

「助かるよ。じゃあ前衛はシーラで俺は中衛、ルシャナは後衛をお願い」

 

「分かりました」

 

「承知」

 

 

 

加工し終えるとシーラ、俺、ルシャナの順番で遺跡の中を突き進む。この遺跡はレバーシェリー遺跡という名前で、規模こそは小さいが地下にカタコンベが存在する。考古学者であるラウラに事前に話を聞いてみたが、この遺跡は実に1,000年前ほどに使われていたようで、調査自体はかなり昔に終了しているようだ。

 

だがラウラによると隠し通路や隠し部屋の存在が囁かれているので、もし見つけたら呼んでほしいとのことだ。

それから遺跡を進んでいくが、結論から言えばあまり珍しいものは見当たらない。

 

魔物はそこそこ出現するが先ほどのホーンラビットやクレイスアイ、同じく冬を越していたゴルアドシープという肉食の羊がいたが対処は何度もしているので簡単だった。

 

ある程度進み、魔物除けが設置されている広場に到着すると小休止を兼ねて戦果を確認していく。

 

 

 

「かなり討伐しましたね」

 

「しかし物珍しいものはあまりいませんね」

 

「冬眠明けということもあって少しは期待していたのですが、少し拍子抜けです。欲を言えばベヒモスとかデッドイーターが出てくれたらありがたいのだが・・・」

 

「流石は戦闘民族オーク・・・けどそんなのが出てくる大きさじゃないから今回はないだろうね」

 

「むぅ・・・」

 

 

 

コーヒーを飲みながら戦利品を確認。ホーンラビットの角が23本にクレイスアイの針が7本、ゴルアドシープの右角が4本の他に道中で発見された死亡した冒険者の装備品がいくつか見つかった。

遺跡内で死亡した冒険者の装備品は所有者が分かるものがあれば遺族に返還されるが、所有者不明の場合は発見した者が好きにしてもいいというルールがある。

 

今回見つけたのは鉄製のショートソードが2本と短剣が1本で短剣には名前が彫られていたのでハーヴィットに帰ったら提出する必要があるが、ショートソードは至って普通のものだ。名前も特徴的な箇所もないので、恐らくは新人冒険者が死んで遺ったものだろう。

 

こういった装備品は個人で保有することも許されるし、武器屋で換金するのも再度熔解させて新しい武器の材料にするのも認められる。

 

これらに関しては確認は必要はないけど、俺の場合は念のために組合に報告して第3者からも確認してもらって報告書に残せる状態にしている。

 

 

 

「今日はどこまで進まれますか?」

 

「そうだな・・・確か地下墓地まであと少しだったね?今日はそこまで行ってみてみようか?」

 

「承知しました。我が主」

 

「ち・・・地下墓地・・・までです・・・か?」

 

「ん?どうかしたの?」

 

「い・・・いえ!?だ・・・大丈夫でしゅ!?」

 

 

 

地下墓地と聞いてなんだかルシャナの様子がおかしくなった。語尾も噛んでしまっていつもの凛々しい雰囲気ではなくなっていた。するとシーラが何かを悟って、ルシャナに話し始めた。

 

 

 

「ルシャナ、お前はもしかして墓地とかゴースト系が苦手ではないのか?」

 

「なっ!?ななななな何を言っているシーラ!?私が幽霊ごときに怖がるわけがないであろう!?」

 

 

 

・・・これは確定だ。この反応を見てルシャナは間違いなく幽霊の類が苦手で、本音を言えば地下墓地に近付きたくないのだろう。

 

 

 

「シーラはそういうのは平気なの?」

 

「はい。霊山には精霊の他に霊気に誘われた邪霊もいますので、我がオークは霊媒師や死霊術師も多くいます。私も関わる機会もありましたので簡単な死霊術であれば扱えます」

 

「初耳なんだが・・・」

 

「死霊術はあまり良い印象がないということもありましたので黙っていました。お許しを・・・」

 

「それはいいよ。誰にだって秘密にしていることはあるんだからね。それでルシャナ、どうする?」

 

「ど・・・どうするというのは?」

 

「今回はルシャナに合わせるよ。君が苦手だっていうんだったら今日はここまでにしておくけど・・・」

 

「い・・・いえ!?ご・・・ご主人様が向かわれるのなら私も行きます!!ゴーストごとき私の剣の錆にして「お~い~て~け~♪」きゃぁあああああああああああああっ!?」

 

 

 

若干悪戯心が芽生えたのだろう。シーラがゆっくりと気が付かれないようにルシャナの背後に回り込み、耳元で置いてけという。その瞬間、ルシャナから聞いたこともない悲鳴が出てきて、猫ジャンプの如く飛び上がって俺に抱き着いて来た。

 

まだ成長途中であろう程よい年相応の大きさの胸が俺に押し付けられ、花のようにいい香りが鼻を刺激するが、予想以上に力がこもって俺にヘッドロックをかけるような姿勢になっている。

 

 

 

「いたたたたたたっ!?る・・・ルシャナ!?落ち着いて!?幽霊なんていないから!?」

 

「ほ・・・本当・・・に?」

 

「ほ・・・本当だ!!本当だから放してくれ!?」

 

 

 

幽霊がいないことをゆっくりと確認したルシャナは徐々に俺への力を解いていき、やがて少し離れる。

 

 

「し・・・シーラ・・・悪戯したくなる気持ちもわかるけど・・・」

 

「はははははっ!!すまんなルシャナ♪あまりにも震えるものだから悪戯したくなったんだ♪」

 

 

 

うつむいたままのルシャナに種明かしするシーラ。すると彼女はプルプルと体を震わせ、やがて両手でロングソード2本の柄を握った。

 

 

 

「・・・・・・」

 

「ル・・・ルシャナ・・・さん?」

 

「・・・・・・・・・うがあぁああああああ!!」

 

「ちょ!?ルシャナ!?」

 

「・・・・・・やりすぎましたな」

 

「全員記憶を消してやるー!!」

 

「こ・・・これはいかん!?」

 

「なんで俺まで!?」

 

「待てえええええええええええっ!!」

 

「ちょっ!?お・・・おおおおお落ち着けルシャナ!?駄目だ怒りで我を忘れてる!?」

 

「主!!今は逃げますぞ!!」

 

「シーラ!!後で君もお仕置きだからな!!「逃すかあぁあああ!!」い・・・今は逃げるしかないか!?」

 

 

 

怒りで我を忘れたルシャナに追い掛け回され、そのまま地下墓地があるエリアまで逃げ込んだ。そこにはゴースト系やゾンビなどの魔物が出現したが怒りで我を忘れているルシャナが無双状態で薙ぎ払い。落ち着いた頃には自分が地下墓地にいて無意識に幽霊を相手にしていたと悟って、ルシャナは気絶した。

 

それからかなりの討伐証明を獲得し、倒したゴースト系の中に上位種のサクリファイスという種類もいて、討伐証明の仮面が手に入ってその日の稼ぎは金貨20枚にも及んだ。

 

因みに・・・。

 

 

 

「ルシャナァアア!?もうしないから許してくれ~!?」

 

「知らん!!暫くそのままでいろ!!」

 

 

悪戯の主犯であるシーラはルシャナに全身簀巻きにして木に逆さ吊りというお仕置きを食らっていた。そしてルシャナに悪戯は絶対にしてはいけないと心の底から決めた瞬間だった・・・・・・・・・・・・。

 

 

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