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君は流浪の剣士ジロだ。
突きを主体とするアーゴン流という剣術を修めている。
かつて君はレイランド王国に仕える騎士であったが、国は隣国の侵略に遭い滅び去った。
自身にもっと力があれば、とは言うまい。
君は騎士団でも下から数える方が早いほどのへっぽこ騎士だったからだ。ただ一つ、突きだけは異常な冴えを見せたが、剣術とは突きだけで成り立つものではない。
君がいてもいなくても、奮戦しようがするまいがレイランドは滅びた。
君は命は永らえたものの、立派な騎士となるという人生の目的というものを失い、流れに流れてついには迷宮都市リベルタへやってきた。
何か目的があったわけではない。
運命の偶然、いたずらだ。
そこで君は女神に出逢った。
女神、それは春をひさぐ娼婦である。
身体も心も疲弊した君は商売女につかまり、気持ち良い事を沢山して元気になったのだ。癒しの法術ならぬ、いやらしの法悦に、君の心身は漲り、滾る。
そんなこんなで再び気力を取り戻した君だが、問題があった。
それは再び"元気"になりたいが、しかし娼館は金がかかるという事だ。
君も路銀はあるが、流石にこれをすべて使い込むというわけにもいくまい。
君は一度は捨てるつもりであった剣を再び握り、迷宮へ挑む事を決意する。目的は金だ。
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かしこまりました、と探索者ギルドの受付嬢は些か無関心気味に答える。君の"探索者になりたい、さっそく迷宮に潜りたい""という雑に過ぎる頼みを一言で了承した。
探索者が迷宮都市リベルタにとって人財であることは間違いないが、しかし毎日数多の探索者志望者がやってくるのだから多少扱いがぞんざいになるのも致し方ない事だった。
しかし君も馬鹿ではない。
受付嬢に探索に必ず必要となる道具や、これだけは覚えておけというような事はないかと尋ねる。
受付嬢は少し意外そうな表情を浮かべた。
同時に君を見る目つきも変わる。
具体的には、"即くたばるだろう二足歩行の間抜けな人獣"を見る目から、自分と同じ人間であると認めるかのような目つきへと変わったのだ。
「私はアリッサと言います。新米探索者の少なくない数が最初の探索で命を落とすという事を忘れないでくださいね」
君は頷き、受付嬢アリッサから情報を得て、早速迷宮に挑む事にする。なにせ亡国から持ち出してきた金目のものは全部現金へと変え、最低限の生活費を残して娼婦につっこんでしまったのだ。
早急に収入を得ないと話にならない。
君は逸る気持ちを抑え、迷宮の入口がある街外れへと向かった…