ドルマゲスに転生してしまったので悲しくない人生を送りたい   作:えにぃ

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文章のカンも大分取り戻してきましたし、ACT7も気張っていきますよ~!









ACT7:メディの家(2回目)~海賊の洞窟
新・第十章 朱に交われど黒は黒‐トラペッタ‐


ハロー、クソザコ道化師のドルマゲスですぅ。闇のトラペッタで目覚めてからもう、身体が重くて重くて。ずぶ濡れのシャツを何重にも重ね着しているような感覚です。精神力の根源たる魔力が全く無いから一日中眠いし、腕は片方動かないし、結構、いやかなり辛い…。はあ。

 

 

 

「サーベルトさんのご家族はどちらに?」

 

「ああ、俺の生まれはリーザスの村…というところらしいが、物心付くころにはこの町に居たんだ。なのでよく覚えていない。両親の顔はもちろん、兄妹がいたのかどうかさえ知らないな。」

 

「…。な、るほど…」

 

闇の世界のトラペッタにて、黒い師匠、サーベルト、ユリマから一応の歓迎を受けた俺は、現在闇トラペッタ周辺のパトロールに出かけている。世知辛い話ではあるが、生きていく上では何せ(ゴールド)が必要なわけで。町の人々から全く信用を得ていない俺にとって、信頼と報酬を同時に得られるパトロールはなかなか割のいい仕事なのだ。紹介してくれた黒サーベルトには感謝感謝。彼からは未だ俺に対する警戒が見え隠れしているが、お人好しなところは光の世界のサーベルトとそう変わりないようだ。

 

「堀と外壁で護られたトラペッタとて、絶対に安全だとは言い切れない。」

 

「それゆえのパトロールなんですね」「ああ、その通りだ」

 

…どうやら、闇の世界のリーザスの村は少し昔に滅ぼされてしまったらしい。闇の世界の魔物の方が光の世界よりよほど強力で凶悪なことを考えると、リーザスの村の簡素な柵では多数の魔物に襲撃を受けてしまうとひとたまりもないだろう。同じく防衛力に乏しい闇のレティシアが村として機能できていたのは……きっとあそこが長い間レティスのナワバリになっていたからに違いない。

 

「ところでドルマゲス、君が望むからパトロールに同行する許可を出してやったわけだが……本当に君は魔物と戦えるのか?見たところレベルも低い、魔法も使えないとなると、出来ることは限られる気がするが。」

 

「…。」

 

身体能力の低下が著しい。この感覚は過剰に分身して分身一体当たりのステータスが大幅に減少している時に似ている。現在自分の意志で分身を展開してはいないはずなのだが…。今俺が死んでいないのはきっと奥の手である『逃避行(ベイルアウト)』がうまく発動してくれたのだろう。『悪魔の見る夢(アストラル)』と『妖精の見る夢(コティングリー)』を同時に使用することによる緊急脱出の技として作り出したのだが……虫になって逃げるというのは緊急脱出というにはあまりにもお粗末。…だから今生きているのは本当に奇跡と言える。が、この疲労感。きっと…

 

「サーベルトさん、私の戦闘力…どれくらいに見えますか?」

 

「ん?……。ふむ、『スライムダーク』に勝てるか勝てないか…というところか?」

 

レベル4…よくて5か6というところだろうか。『ベイルアウト』の設定とだいたい一致する。

 

「私は…かつて『あんこくちょう』や『クロコダイモス』を片手で蹴散らせる程度の力は有していました。しかし今は貴方の言う通り、スライムダークにすら劣る…つまるところ、私の力は何者かに奪われてしまっている可能性がある…ということです。」

 

「…」

 

『ベイルアウト』に付与した設定は「魂の5%(五分の魂)」。安定した生存が可能な()()()の、かつ虫に意識を移してもギリギリ正気を保っていられる()()()の割合である。もちろん残された95%の本体が消えればそのチカラはこちらにフィードバックされるはずであり、そうでないということは本体は死んでいないことが分かる。しかしラプソーンとゲモンが何もせずに気を失った俺を放置するとは思えないので…。

 

「(一番可能性が高いのは『封印』か?魔力が無いのも呪術が使えないのも、封印されたことが原因だと考えるなら腑に落ちるな…)…サーベルトさん、私が突飛でもない話をしていることはわかりますが────」

 

「…悪い。その『あんこくちょう』やら『クロコダイモス』やらと相対したことがないものでな。……つまり君は本当は強いのだが、今はわけあって弱くなっていると?」

 

「(…おっと)」

 

あー。そうなのか。ここの地方には流石にそのレベルの魔物はいないらしい。黒サーベルトは情けないものを見るような目でこちらを見ている。どうやら彼には俺が自分の弱さを訳の分からん理由をつけて言い訳しているように見えるらしい。そしてそれは別に間違っちゃいないのが悔しいところだ。

 

「お恥ずかしい限りで…」

 

「はぁ…まあいいさ、君のことも守れそうなら守ってやるから」

 

黒サーベルトはため息をついた。職欲しさのあまりに出来もしないパトロールの仕事に飛びついてきた卑しいヤツ、と思われたのかもしれない。だとしたら心外である。

 

「!ドルマゲス、下がっていろ」

 

丁度いいところに、「スライムダーク」と…知らない魔物だ。黒い「プークプック」が二体ずつ現れた。

 

「いいえ。確かに今の私が雑魚なのは間違いありませんが…別に戦えないとは言ってませんよ?…まあ見ていてください。」

 

俺は『賢人の見る夢(イデア)』から「きせきのつるぎ・レプリカ」を取り出して構えた。四体の魔物はこちらを視認すると、勢いよく突進してきた。光の世界と比べてもやはり獰猛で好戦的だな。

 

「あっ!おいドルマゲス!!」

 

「心配無用!」

 

身体能力が低かったって、熟練度(スキルポイント)は据え置きなのだ。俺はタールと思しき鼻につく匂いのするスライムAの突撃を剣で受け流し、返す刃で両断。…できなかったので剣を投擲して止めを刺す。二体目のスライムBは勢いそのまま目の前に展開した『イデア』に誘い込み、黒羊Aの前に空間を繋げる。いきなり異次元から現れたスライムに黒羊は勢いを殺せず衝突。動きが止まる。

 

「な……?」

 

「『イデア』、こういう使い方もできるのかな~とは思ってたんですよ」

 

目の前で起きる現象が理解できず、思わず立ち止まる黒羊B。俺はそんな彼の()()()()()に『イデア』をすっぽり被せ………閉じる。ぞぶん、という形容しがたい斬裂音と共に黒羊Bは真っ二つになった。ひ~怖。我ながら。

 

「……!?」

 

「あとは二体ですね…『妖精の見る夢(コティングリー)』」

 

「えーと…ああ、これで。…ほい」

 

俺は動きの止まっていたスライムBと黒羊Aを『コティングリー』で小さなカタツムリに変え、そこら辺にあった手頃な石で叩き潰した。ひ~~怖!我ながら!!

 

「よっと。おしまいです。どうでしょう?私にも少しは用心棒(パトロール)の才能があるとは思いませんか?」

 

「お…ど、ろいた…これは本当に驚いた…!君は…本当に何者なんだ?」

 

「いやいや、光の世界では割とメジャーな戦い方なんですよ(大嘘)」

 

「そ、そうなのか……?」

 

また黒サーベルトの警戒度が上がってもめんどくさいので、俺はすかさず合理的虚偽(ごーりてききょぎ)を使う。……しかし、今まで『ヴェーダ』以外の魔術を戦闘に使うことはほとんどなかったが、なかなかどうして、結構使えるじゃん。異空間に繋がる穴『イデア』を閉じることによる空間の切断、そして『コティングリー』の変身による相手の強制的な弱体化。もちろん一定以上の相手には通用しないのは間違いないが、魔法も呪術も使えないこの状況では戦う方法があるだけで十分だ。武器の技術(スキル)が失われていないのも嬉しい。

 

ともかく、俺は足手まといではないということを黒サーベルトに示し、晴れて無事にパトロールの職にありつくことができた。食事は…こちらで調達してもいいのだが、『イデア』の異空間に放り込んでいたモノがまだ残っているのでそっちから消費していけばあとひと月は保つだろう。現在冷やす手段がないため保存食に限られてしまうが。あとは寝泊まりするところだが…

 

「泊まるところが無いなら、俺の家に泊まっていけばいいさ」

 

「いやいやいやいや!遠慮しますよ!」

 

「そうか?」

 

「いやしますって。だってサーベルトさん、ユリマさんと二人で住んでるじゃないですか。」

 

「そうだが?」

 

そうだが?じゃねーんよ。なにが悲しくて男女ひとつ屋根の下で暮らしてる中に放り込まれないといけないのか。色々気疲れするに決まってる。その二人が良く知った顔なら尚更気まずい。

 

 

…ということで。

 

「やっぱりここが落ち着くんですよねぇ」

 

「人の家に上がり込んできたかと思えば、即座に寛ぎ始めるその図太さだけは尊敬してやる」

 

「ありがとうございます」「褒めておらんわ馬鹿者」

 

俺は黒ライラスさんの家に厄介になることにした。黒サーベルトも一緒になって頭を下げてくれたおかげで渋々、本当にイヤそうに了承してくれた黒ライラスさんだが、俺が早速寝室で寛ぎ始めたのでその額に青筋…ここだと黒筋になるのか?をいっぱいに浮かべている。色が黒くなったとて家の構造は向こうの世界と同じ。俺にとってはかなり久しぶりの帰郷となる。仕方ない、仕方ないのだ。だからその刺すような視線をヤメテ。

 

「じょうだん、冗談ですよ。部屋をお借りするのは私がある程度のお金を貯めるまでの間ですし、それまでは炊事洗濯掃除ゴミ出し、なんでもやります、やらせてください。」

 

「……。フン、わしの邪魔だけはするなよ」

 

「ありがとうございます。」

 

ああ、チョロい。こっちのマスター・ライラスも俺の師匠と同じく私生活がズボラなようだったので、こういった提言は効くのでは…と思ったが案の定弱かった。こうして俺は力を奪われた上に一文無しという目も当てられない状態から衣食住の全てをなんとか確保した。…「衣」?…まあ、タンス漁ったらちょうどいいのが出てきて…その…拝借しました。お金貯まったら新しいのを買ってこっそり戻しておきます…。さあ、しばらくは小遣い稼ぎ&周辺調査と行きましょうかね。

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

「よお、色付きの派手男じゃねえか!元気かい?」「ええ、おかげさまで」

 

「おい、ライラスさんとこの色付き坊主。これをライラスさんに渡しておいてくれ」「はいはい承りました」

 

「あっ!派手マゲスだ!いつもの手品見せてよ!」「また今度お見せしますよ」

 

闇の世界に落ちてからはや二週間。俺はなんとかやれている。光の世界よりいくらか荒廃している闇の世界ではやはり娯楽が少ないらしく。俺の手品は一瞬で闇トラペッタ住民の心を掴んだ。片腕でできるマジックなどたかが知れているが、魔術と組み合わせることで一定の神秘性は保たれている。未だ住民の大半からは『イロモノ』と呼ばれ避けられているようだが、それでも気さくに話しかけてくれる住民が何人か現れてくれたのは僥倖である。

 

光の世界よりやや鬱屈としている闇トラペッタは、昼間でも人通りがまばらだ。それはやはり外の危険度が高いからであり、仕入れに出た商人が二度と帰ってこない…ということもザラにあるらしい。もしこれで俺が来てからというもの魔物が活性化し……などと言うことがあれば不吉の象徴として俺はさっさとこの町から追い出されていただろうが、俺が来てから町に侵入してくる魔物が激減したため、俺を快く思わない連中も俺を追放すべき理由を探しあぐねているようである。

 

「アンタが来てからというもの空に魔物の影を見なくなったねえ。アンタ、実は神の使いかなんかじゃないかい?」「褒めすぎですよマダム。私はただ迷い込んできただけなんですから。」

 

まあね。俺が町の外に何十体セキュサを展開してると思ってんだ。魔物が町に近づこうものなら一瞬で焼いて斬って研究用に細胞を採取して、残りはバイオエネルギーとして骨の髄まで磨り潰して利用している。町の人間は基本的に外に出ないので今のところ黒サーベルトにしかセキュサの存在は知られていない。その黒サーベルトだが…

 

「ドルマゲス!パトロールの時間だぞ!早く行こう!」

 

「サーベルトさん、まだ早くないですか?前のパトロールから半日も経っていないんですが…」

 

「そんなことはいいだろう!さあ行こう!」

 

熱心にパトロールへ勧誘してくるようになった。…それもかなり強引に。

 

『うるせぇ!行こう!(ドン!)』を彷彿とさせる横暴さ…どうやら俺のする光の世界の話を彼はひどく気に入ったらしい。

 

俺の親友のサーベルトも正義マン的な多少偏った勧善懲悪観を持っていたが、それでも柔軟な思考法もまた持ちあわせていた。しかしこっちの黒サーベルトはその正義感がより顕著だった。弱者は救済すべきであり、それを脅かすものには人妖問わず死による天誅を、というちょっと危険な考え方をしている。なので俺がセキュサを取り出した際には危うく────というか実際薄皮一枚斬られたのだが────殺されかけた。しかしその後懇切丁寧に説明すれば一変して俺を褒め称えてくるようになる始末である。行動理念自体は褒められるべきことだが、どうにも調子のいいヤツという印象は拭えない。

 

「うぅーん…」

 

とはいえこちらもやることは無いのでパトロールのお誘い()()()歓迎である。かつては空き時間は魔法の鍛錬を積んだり呪術の研究をしていたものだが…今はどっちもできないし、身体は貧弱なのにレベルだけは70近いので戦闘訓練による伸び率も非常に悪い。故に掃除か料理くらいしかすることがない今、頻繁にパトロールに行くことは別に悪い選択肢ではない。ただ一つ、懸念点があるとすれば……

 

「サッちゃん…またパトロールに行くの…?」

 

「うわでた」「ユリ!ああ、今日は旧リーザス地方まで行くつもりだ。」

 

「そう…なんだ……。」

 

この女である。見て分かる通り、黒ユリマは黒サーベルトにぞっこんであり、半ば依存状態にある(一方の黒サーベルトも黒ユリマのことを愛しているのは変わりないが、こちらは別に黒ユリマに依存していないのが非常にめんどくさい)。その結果、何が起こるかというと────

 

「………………………。」

 

「あー、ほら、サーベルトさん?私のことはいいですから、今日はユリマさんとゆっくり過ごされてはどうですか?」

 

「いいや!俺は君の話が聴きたいんだ!今日も光の世界の話、君の世界の話を聞かせてくれ!」

 

「……………………………………。」

 

黒ユリマの俺に対する心象が暴落していくのである。まさに今も燃え上がる嫉妬の熱視線で俺を焼いている。ハンカチを渡したら噛んで引っ張るどころかガツガツ食べ始めそうだ。…厄介なことにサーベルトが俺との時間を作れば作るほど「俺が二人の時間を奪っている」という認識になるらしく…。…俺が女性だったら間違いなく暗殺されていただろう。クロユリの花言葉が何を意味しているかくらいは俺だって知っている。俺から黒サーベルトを誘うことなどほとんどないので逆恨みもいいとこであり、ほんとに迷惑極まりない。

 

しかも黒ユリマはウチのユリマと違って戦闘能力が皆無なので流石に一緒にパトロールに行くこともできない、というか黒サーベルトの許可が下りないだろうから…ままならない…胃が痛い…。

 

「イタタタタ!あーお腹が痛い(嘘はついてない)!パトロールは無理そーですぅ。…ああ!ちょうどいいところに二人分のサンドイッチが入ったランチボックスが!!ね、サーベルトさん、私は今からはパトロールに出られなさそうなので…そこのランチボックスを持ってユリマさんと二人でピクニックにでも出かけてはいかがでしょう?」

 

「な、いやしかし外は…」

 

「ああ!なんたる偶然か、ランチボックスの横に『せいすい』もありますよ!それもぜひ持って行ってください!!あー腹痛が痛いなー」

 

「そんなに腹が痛いなら看病しないと…」

 

コイツ…あまりにも鈍感(クソボケ)、そして無粋(KY)過ぎる。度を越えたお人好しはいつか身を滅ぼすよ??……今は先に俺が滅ぼされそうだけども。

 

「……。こっ、このわからず屋!」

 

「な、うおっ!?」「きゃっ!?」

 

俺はさっさと黒サーベルトと黒ユリマを『イデア』に包んで町の外の比較的安全なエリアに送り、ランチボックスと「せいすい」も放り込んだ。ついでに「ばくだんいわのカケラ(リア充爆発しろ)」も入れたかったが、それは寸前で思いとどまった。相方がアレでは黒ユリマもずいぶん苦労してきたことだろう。共感はしてやれないが同情くらいはするよ。

 

「…さて」

 

邪魔者…と言うには少し可哀想だが、黒サーベルトと黒ユリマがいなくなったところで、俺はついさっき道具屋で買った世界地図を広げた。闇の世界も地形自体は光の世界とほぼ変わらない。自然災害か何か知らんが、多少大陸の輪郭が変わっている程度だ。だが、街や国単位で見ると割と違う。黒サーベルトが言った通り、リーザスの村は魔物の襲撃で既に滅び、残った村民たちはみなこのトラペッタに逃げ延びてきたとされている。あとはアスカンタ城の場所が南下していたり、ラパンハウスが存在していなかったり、パルミドがトロデーン城レベルの規模を有していたり、雪山地方に街が存在していなかったり…など。主に魔物の凶悪さに由来して変化が現れている。…こうして眺めているだけでも楽しくはあるが…。今もラプソーンが復活に向け奔走しているであろう光の世界のことを考えるとうかうかしてはいられない。俺は南の大陸に「ある町」が存在しているのを確認すると地図を閉じた。

 

「…お金もちょっとは貯まってきたし、これだけあれば足りるんじゃないかな、…まあ足りなくても泣きつけばいいか」

 

未だ戻らない魔力・霊力、そして身体能力。俺の本体が封印されているのは確実だろう。そしてこんな弱っちいまま光の世界に戻ったとて何もできることは無い。まずは封印を解かねばなるまい。

 

本体がどこに封印されてるのかわからないって?そりゃそうよ、だからパトロールをしてゴールドを貯めてたのさ。

 

この町に居る、彼女の『義父(ちちおや)』の職業が何だったか忘れたわけじゃあるまいし。

 

 

 

 

 

 




『賢人の見る夢(イデア)』…ドルマゲスが最初に開発した三つの魔術の内の一つ。空間に穴を空け、別の空間に繋げることができる。四次元ポケットの如く異空間に無限に物を収容できる他、空間を二次元的に解釈・三次元的に再構成することで疑似的な「量子特異点」ワームホールを作り出し、遠く離れた空間同士をポータルを介して繋げることもできる。この『イデア』のワープ装置的解釈はこの世界が「元は二次元的存在である」と知っているドルマゲスだからこそ成せたものであり、見よう見まねだけでワープまで使えるようになったユリマはマジでイカれている。最近は空けた穴をある程度移動させることができるようになった(実際は穴の座標を一秒間に200回以上変換し続けることことで動いているように見せているだけである)。
純粋にして完全なる世界というのは理想論である…が、想起(アナムネーシス)すること自体は自由だ。現実の世界と理想の世界、その二つをつなぐ通り道こそが『イデア論』であり、数多の賢人たちが描いた夢物語である。

『逃避行(ベイルアウト)』…ドルマゲスが『アストラル』『コティングリー』を組み合わせて作ったやっつけ緊急脱出技。ドルマゲス本人の生命機能が著しく低下し、かつ意識を失っている際にオートで発動し、ギリギリ生きていられる、かつ意思を剥奪しても後遺症の残らない5%の魂を本体から分離させ、意識が無くとも移動できる昆虫に変身させることで生存を図る。「奥の手」というよりは「悪あがき」である。ベイルアウト(bail out)の語源からして悪あがきなので相応と言えるだろうか?
「一寸の虫にも五分の魂」という諺がある。もしもラプソーンがこの諺を知っていたならば…きっとドルマゲスは既にこの世にはいなかったことだろう。





ドルマゲス「Zzz…」

黒ユリマ「ぜ、全部…あの人が悪いんだ…わたしのサッちゃんを奪ったあの人を…」

黒ユリマ「あの人を殺して、サッちゃんを救わなきゃ…」

黒ユリマ「ふーっ…ふーっ…わ、悪く思わな────」ガッ「!?」

ユリマ「ね、何してるのかな♪」「えっ」

ユリマ「その包丁で何しようとしてたのかって聞いてんですよ、ねぇ」「えっ、誰、いやっ、えっ」

ユリマ「誰が喋っていいって言いました?」「!?(り、理不尽…!)」

ユリマ「そこからその人に一歩でも近づいたらあなたを床のシミにしますから、お気をつけて」

黒ユリマ「…!!!」コクコク

ユリマ「では!ドルマゲスさん♪また会いましょうね♪ちゅ♡(投げキッス)」スゥゥ…

黒ユリマ「き、消えた…!?」



黒ユリマ「って夢を見て……凄く…怖かったの……」

黒サーベルト「おお、よしよし…怖かったね……でももう大丈夫だ」



ドルマゲス「(…なんかユリマの生霊に助けられたような気がするな…)」
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