ドルマゲスに転生してしまったので悲しくない人生を送りたい   作:えにぃ

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お久しぶりです…いやはや、最近超忙しい…つらい…全部やめたい…小説だけ書いときたい…

UA400000ありがとうございます!ハッピーハロウィン!メリークリスマス!良いお年を!あけましておめでとうございます!DQⅧ20周年、おめでとうございます!ドラゴンクエストタクトDQⅧコラボおめでとうございます!ほんとにめでたい!

前話からの繋がりのお話ですが、かなり長い間空けてしまったのであらすじは少し長めに書きます、どうぞお付き合いください。







新・第十七章 禍黒は糾える縄の如し‐ドニ‐ 後

不慮の事故で命を落とした男は、ドラゴンクエストⅧの世界に転生を果たす。しかし彼が憑依転生したのは全ての元凶である『魔性の道化師』ドルマゲスの肉体だった。ドラゴンクエストⅧの世界で起こる数々の悲劇を阻止し「悲しくない人生」を送るべく、ドルマゲスは暗躍を始める。「魔物の使う不思議の術」を「呪術」と称し身に付け、彼が師事する大魔法使いマスター・ライラスの導きにより強大な魔法の数々を修得し、正史ではドルマゲスに惨殺されてしまう剣士サーベルトと絆を結ぶ。さらに本来なら深く関わることのなかったキャラクターとも仲を深め、彼ら彼女らと協力しながら原作の知識を行使しつつ、起こりうる悲劇を次々と食い止めていった。

 

……しかしそれでも、暗黒神ラプソーンの力は強大であった。魂だけの存在でありながらドルマゲスの肉体を操り、一度目はライラスを殺害、サーベルトを瀕死に追い込み、二度目はドルマゲスを慕う町娘ユリマの肉体を乗っ取ってドルマゲスたちに小さくない傷跡を残す。さらに三度目は魔法使いゼシカの肉体を乗っ取り勇者エイト一行&ドルマゲスたちと激突。町全体を人質に取られ不意を突かれたドルマゲスはついに完全なる敗北を喫した。だがこれまで幾度も辛酸を舐めさせられたラプソーンもまた、ドルマゲスの底知れなさに脅威を感じ、敢えてドルマゲスを殺すことはせずに『闇の世界』にドルマゲスを拉致、さらに強力な封印を施して二度と干渉されないようにした。

 

そんな今際の際、ギリギリで利かせた機転と数々の偶然の重なりにより奇跡的に力の一部を取り戻したドルマゲスは、ラプソーンにより自身に施された封印を解いて完全に力を取り戻すことと、『光の世界』への帰還することを目的に、過酷な闇の世界で命がけの旅を続けているのであった。

 

ドルマゲスは闇の世界で「別世界の自分」である少年ディムと出会い、彼の故郷である「ドニの町」へ向かう。程なくしてラプソーンの手先に町が襲撃されるも、ディムと力を合わせて辛くもこれを防衛。力を使い果たした二人だが、その表情は町を滅亡から防ぐことができた達成感からか、晴れやかであった。

 

 

 

 

俺たちは町の広場に大の字になって寝ころび、連戦で火照った体を冷ましていた。普段は無風でどんよりしている闇の世界にしては珍しい、心地の良い涼風がありがたい。そのまま二人でぼーっとしてしばらく経った頃、先ほどドニの屋敷で見かけた使用人が息を切らしながら俺たちの下へやってきた。魔物を使役する男と魔法使いが闇ドニの町の防衛に一役買ったという情報と、そして魔物を使役する男と魔法使いがドニを襲撃した犯人であるとの情報が同時に黒ククールの耳に入ったらしく、どうもその噂の中心にいるらしいディムに事情を聴きたいのだとか。

 

「では屋敷へ参りましょう」

 

「おじさんは…?」

 

「いや、私はククールさんと面識ないですし、行ったところで…」

 

「そんなぁ…」

 

ついさっき冷遇されたことが尾を引いているのだろう、ディムは一人で屋敷へ向かうことに尻込みしている。気持ちは分かる。しかしこれは彼が義兄弟ククールと再度向き合えるチャンスかもしれないのだ。茶々を入れるわけにはいかない。

 

「ディム君。私はついて行くことができませんが、あなたは……」

 

「いえ、そちらの御仁にも来ていただきます」

 

「え?なんで?」

 

わ、しまった、つい素が。

 

「『もしドルマゲスを見つけた時に関係者らしい人物が近くにいた場合はそいつも連れてきてくれ』と、領主ククール様のお申しつけです。」

 

俺とディムの名前が同じ(別世界とはいえ同一人物なので、ディムの本名はドルマゲスである)だからややこしいなあ…。…それはそれとして。ふむ。さては俺がセキュサを使役するところか、それか「ダークジャミラ」を征伐するところを誰かに目撃されてたな?まあ…。仮に身バレを気にして姿を消して戦っていた場合は、俺を認識できないセキュサとの連携が取れなくなって戦闘は長期化していただろうし、ここは仕方ないと割り切ろう。

 

「…領主さまのお呼びとあらば。行きましょうか、ディム君」

 

「あ、はい。…おじさんと一緒なら大丈夫です。」

 

まほうのスポドリ(キラちゃん考案・設計)の効果も表れ、だいぶ楽になってきた俺たちは重い腰を上げるとドニの使者について屋敷へと向かった。

 

 

「(ところでおじさん、名前を聞かれたらどうするんですか?おじさんの名前も僕と同じドルマゲスだって知れたら面倒なことになるかもしれませんよ)」

 

「(そこはご安心を。私が昔使っていた仮名でやり過ごします)」

 

「どうかなさいましたか?」「いいえ?お気になさらず」

 

俺たちが必死になって戦った甲斐もあったのか、闇ドニの町も屋敷のある中心部の被害は比較的軽微だった。とはいえ、ダークジャミラが指示した投石によって損壊した家屋や、助からなかった人の前ですすり泣いている人なども見られる。俺もディムもできることは全部やって奮戦したつもりだが…「辛勝」という文字がちらつく。

 

「こちらへ。中でククール様がお待ちです。ククール様たってのご希望により私はここで下がらせていただきますが、くれぐれも粗相はなさいませんよう。」

 

「存じています。案内ご苦労様でした」

 

俺は案内してくれた使用人に礼を言う。使用人は俺に薄っぺらいスマイルを送ってきたが、ディムには視線も合わせず階段を降りて行った。やれやれ。俺はため息を一つつくと、軽く佇まいを正して黒ククールの部屋をノックする。

 

「入りな」

 

「失礼します」「しっ、失礼します…」

 

部屋に入ると、黒ククールはくるりと椅子を回転させてこちらを向いた。机の上には被害の程度が乱雑にメモされた紙が何枚か見える。今はまだ十数枚だが、被害の全貌が明らかになるにつれて机を埋め尽くさんとする勢いで増えていくであろうことは想像に難くない。

 

「よお、さっきぶりだなドルマゲス。」

 

「…」

 

「あの…」

 

「……いや、かける言葉を間違った。ドルマゲス、この町を守ってくれて感謝する。それと…さっきは悪かった」

 

「…僕は…。……」

 

「(今は黙っておくほうがよさそうだな)」

 

そう思い俺が一歩下がったことで、自然と後ろにいたディムと黒ククールが向き合う形になる。

 

「…お前のことを嫌っては無いし蔑んでもない、さっきも言ったこれはオレの本心だ。……だが、屋敷を追われた身でありながら親父の寵愛を受けるお前のことを少し疎ましく思っていた、これもまた…オレの本心なんだ。」

 

「…」

 

黒ククールは少し申し訳なさそうに俺に視線を送ってきた。少し待っていてくれるか、ということだろうか?俺はどうぞ続けてください、と肩を竦めて応え、さらにもう一歩下がった。

 

「…お前は知らなかったかもしれないが…本当の所、親父はお前のことをかなり気に入ってたんだ。お前の、そしてオレのもう一人の兄、マルチェロは親父のお眼鏡にはかなわなかったようだがな」

 

「マルチェロ…僕のもう一人の…」

 

「(マルチェロはマイエラ修道院に送られたんだったか。そしてそのマイエラ修道院はダークジャミラに襲撃されて……)」

 

「いや、マルチェロのことは…この際いい」

 

黒ククールは今は亡きマルチェロにも少し思うところがあるのか、少し目を閉じると、またディムに向き直った。

 

「オレには及ばないまでも、顔立ちの良いお前のことを親父は気に入っていた。お前の顔は母親に似てキレイな顔をしてるってな。こうやって相見えている今も、お前の母親の面影は感じるよ」

 

「は、母のことを知って…?」

 

「悪い、オレもガキの頃に一目見たことがあるだけだ。…だが、高嶺に咲く一輪の花とでも例えようか、儚げで美しいひとだったことはよく覚えている」

 

「…」

 

数刻前にこの場で感じた圧迫感がウソのように黒ククールは柔和な表情でディムに語りかけている。対するディムの表情は俺からは見えないが、先ほどとは違い握りこまれていない拳から、いくらかリラックスした状態ではあるようだ。

 

「まあとにかく、美しい母親に似た美しいお前を親父は贔屓していた。オレはそれが気に入らなかった。…なに、深い理由があるわけじゃないさ。同じ息子であり跡取りであるオレの前で、ずっとお前の話をされて…要するにガキの嫉妬さ。つまらないヤツだよな、オレは。だが問題はそれだけじゃなかった。親父の贔屓は何より家を盲愛する使用人たちの怒りを買い、親父が死んでいよいよ収拾がつかなくなった。その結果がさっきのアレだ。」

 

「そう、なんですか…」

 

うーむ。外野である俺からすれば酷くしょうもない理由でディムは迫害されていたことになる。が、ただでさえ攻撃的で疑り深い闇の世界の人間たちだ。逆に言えばこんなことでも人は人に攻撃的になれるということなのだろう。少し前まで自分自身も闇トラペッタで散々な扱いをされていたのを思い出し、俺は内心でげんなりとする。やはり俺はこの闇の世界と馬が合わないようだ。

 

「代々選ばれた血統の人間とだけ子を成してきたドニ領家で、下民であるお前の母親と親父の間に生まれたお前は、この家に誇りを持つ数々の人間からすれば…まさに『汚点』。本質を見ようとしない老人たちにはオレも辟易してるが…。しかしそのせいでこれまでお前は辛い思いをしてきたことだろう。だのにお前はこの町に戻ってきて、守ってくれた……この場を借りて改めて言わせてくれ。すまなかった。そしてありがとう」

 

「…。」

 

「…」

 

正直、今更謝られたところで…という感じはするが、少なくとも黒ククールはこの家の中ではやはり常識的な人間である。一応の「けじめ」として謝罪の有無は俺にとっては重要だと思っているが、果たしてディムにとってはどうなのかは俺の知るところではない。

 

「…僕は別に、この家の人や、ククール…兄さんを憎んではないです。ですが、これまでされた仕打ちを忘れるつもりもありません」

 

「!」

 

「どんな嫌な思い出があっても、ここは僕の生まれた町です。だから守った。それだけ。兄さんからの感謝はありがたく受け取りますが、謝罪は別にいらないです。罪を憎んで人を憎まずってやつですか」

 

「(ディム…)」

 

相変わらずの憎まれ口ではあるが、それでもこれはディムなりの歩み寄りと言えよう。これまでの仕打ちは水に流して感謝だけを受け取るというのである。これ以上なく寛大な対応だ。大人だなあディムは。俺ならお兄さんを一発殴った後、使用人を全員ボコボコにするね。

 

「…そう、か。お前がそう言ってくれるならもう謝るのはよそう。本当はさっき謝れたらよかったんだが…悪い、これ以上引き摺るのはお前に失礼だな。…さて、待たせて悪かった、次はそっちの御仁だ」

 

「あ、はい。なんでしょう」

 

俺は二歩進み出て、ディムの頭によく頑張りました、とそっと手を乗せる。即座に払われてしまったが、なんとなく嫌悪というより照れくささを感じる払い方だったような気がしたので、まあいいとしよう。

 

黒ククールはそんな俺たちのやりとりを見て少し驚いていた。

 

「なんだ、アンタ(俺)とドルマゲス(ディム)はそんな仲だったのか?報告から関係者だとは聞いていたが…」

 

「ええ、まあ。彼が護衛していた連絡船に同席していましてね。…申し遅れました、私は旅の道化師マスター・ドリィと申します。本日はお招きありがとうございます。」

 

「招いたというより呼びつけただけだがな。…まあだが…そうか…ふむ…」

 

「何ニヤニヤしてるんですか?気色悪いですよ兄さん」

 

「ああ、はは、悪いな」

 

黒ククールも光の世界の彼と同じで、こういう場面では素直になれないらしい。正直に「お前にも仲の良い友人がいるようで安心した」とでも言えばいいものを。いやこれでディムが俺を友人判定してくれてなかったら泣くけど。

 

「それで、本日はどのようなご用件でしょうか?」

 

俺がやんわりと催促すると、黒ククールは真面目な顔つきに戻った。

 

「ああ。……単刀直入に聞くが、今日このドニの町で起こった魔物の襲撃、手引きしたのはアンタか?」

 

「いいえ?違います」

 

「ま、そうだろうな。アンタもオレの弟と一緒に町を守ってくれたんだろう?」

 

黒ククールは特に意外そうな表情を見せない。町人から疑いがかけられているから形式上問うただけで、黒ククール本人は微塵も疑ってないのだろう。でなければ容疑者を部屋に招いておいてディムを優先するわけがないしな。

 

「ええそうです。」

 

「だよな。……ありがとう。町の恩人のアンタを弟の後回しにしたような形にして悪い。だが感謝する気持ちは薄いわけじゃない…この通りだ」

 

「…頭を上げてください領主様。防衛に大きく貢献したのは貴方の弟さんで、私は敵の頭領を叩いただけですから」

 

「ほう、そうか。…しかし今、『敵の頭領』と言ったな?今回襲撃してきた魔物の軍勢には、それを指揮する何者かがいたということか?」

 

「そうですね。人語を話す珍しい個体、魔物としてはかなり高度な知能を持った怪鳥が魔物を指揮していました。とはいえ戦略も原始的で言葉も拙かったので、奴も下っ端ではあると思いますが…」

 

「…知ってる風な物言いだな。他に何か知っていることがあれば教えてくれ。」

 

そう話す黒ククールの顔は、光の世界の彼のようなこちらを探るような掴みどころのない笑みではなく、真剣に町を案じる領主の顔だった。俺は二つの世界やら何やらの話は隠しつつ、ラプソーンという名のずる賢く邪悪な魔物の親玉がいて、それが世界を征服しようと企んでおり、ドニはそのラプソーンの手先によって襲撃されたのだと説明した。ディムは俺の意図を酌んでくれたのか、時折補足を入れつつ、俺が隠そうとしている情報については黙っていてくれたので非常にありがたい。

 

「実は私の『旅の道化師』という肩書は世を忍ぶ仮の姿でして、正体はとある組織に派遣されし兵士なのです(U.S.A.の代表だし戦闘もするので嘘はついてない)。今はこうして人類に仇為すラプソーンを征伐するため身分を隠して旅を続けている次第です。」

 

「下手に存在を公にすれば何が起こるか分からないから…か。確かに最近サザンビークとトロデーンの動きが不穏だからな…この機に乗じて大戦争が起これば、本当に世界の滅亡だってあり得る。アンタが本当のことを言っているかどうかはオレには分からないが、話に一応の筋は通ってそうだ。……しっかし、親父が死んでオレの番になった途端こんなことになるとは…これから先が思いやられるぜ」

 

黒ククールはどかっと椅子に座り込んで首を鳴らした。あぶねー。俺が魔物を使役して戦っていたという情報はあまり気にならなかったようだ。ここでマッチポンプを疑われてたらかなり面倒なことになっていただろうし。

 

「あの、ククール兄さん」

 

「なんだ?ドルマゲス」

 

「僕はこのおじさんと世界を救う旅に出ようと思います。連絡船の護衛も船が無くなってクビになっちゃいましたし」

 

「まあ、いいんじゃないか?お前の人生はお前が決めるべきさ。」

 

「ありがとうございます。もしまた僕が困った時は、今度は……兄さんに助けを求めてもいいですか?」

 

「…ああ、当然だろ。それにお前は恩人、オレに出来ることならどんな協力だって惜しまないぜ。」

 

初めて義弟に頼られた黒ククールがそう得意気に言い放った瞬間、それまである種小動物的な、庇護欲をそそる雰囲気を醸し出していたディムの口角が目に見えて吊り上がり、俺はその豹変ぶりに思わず身を震わせる。

 

「おじさん今聞きましたよね?言質、取りましたよ」

 

「え?」「ん?」

 

「じゃあさっそく救援です。兄さん、船を一隻ください。一番頑強で快適なもので大丈夫です。」

 

「…は?」「(うわ…強か…)」

 

「どんな協力だって惜しまないんですよね?貴方の弟の、恩人の頼みなんですけど。」

 

「な…ちょ、はあぁ!?」

 

「(どこの世界でも敵には回したくないよなあ、こういうニコニコしながら突然刺してくるタイプは)」

 

結局ディムが渋る黒ククールを押し切り、その後、船一隻分の損害が記載された書類が机の上に一枚増えたのだった。

 

 

「サーベルトさん、ユリマさん」

 

「ドルマゲスか!探したぞ、無事で良かった!」

 

「お二人も無事で何よりです」

 

「何があってもサッちゃんが守ってくれるもん!ね!」「ああ!当然だ!」

 

俺たちが屋敷を出たところで黒サーと黒ユリマに再会した。二人ともついさっきまで町人の避難誘導に奔走していたようでかなり服や髪が乱れているが、特にケガなどはないようだ。今日初めて訪れた町なのに、命の危険もある中二人ともよくやっていると思う。黒サーのこういうところは素直に評価するべきなんだろうな。黒ユリマにしたって動機は黒サーにいいとこ見せたいだけだろうが、功績は立派なものなのだ。

 

「アンタたちか、北区の住民に避難を呼びかけてくれた人は」

 

「ドルマゲス、この人は?」

 

「あっあああ、えと!この町の領主の方で、僕の義兄です!!」

 

「?なんでディムが答えるんだ?…まあいいか。ドニの領主様、俺たちはトラペッタから来ました。突然の出来事ではありましたが、こうして俺たちが住民の避難に寄与できたことは嬉しく思います。」

 

「本当に助かった。アンタたちの呼びかけがなかったら被害者の数はもっと増えていたかもしれない。ドニを代表して、感謝を。そちらの麗しいお嬢さんにも。」

 

「はっ、口説いてるんですか?生憎わたし、予約済みなので。感謝の気持ちだけ受け取ってあげ…きゃっ、何ですか!」

 

はいはい、行きますよ。俺は突っかかろうとする黒サーと小悪魔的笑みを浮かべる黒ユリマをグイグイ押して黒ククールから引き離す。俺の名前がドルマゲスだと知っているこの人らが口を滑らせたらまた説明する時間が長くなる。…いやまあ最悪「え~!?同じ名前なんだ~!?ぐうぜ~ん!」でゴリ押す手もあるにはあるが。

急いじゃいないが暇ではないのだ。さっさと船を貰いに行こう。

 

「じゃあ、兄さん」

 

「…船着き場の3番ドックの船を使いな。アレがドニ家の所有する中で一番小回りが利いて頑丈な船だ、もってけドロボー」

 

「そうじゃなくて」

 

「?」

 

「その…行ってきます」

 

「!…ああ、頑張ってこいよ」

 

黒ククールとおよそ数十秒もの固い握手を交わすと、ディムは小走りで俺たちに追いついてきた。…よかったな。ディムにそう言うとへそを曲げるので直接言いはしないが。ディムが俺の服の裾を掴んだことを確認すると、ディムに『ルーラ』を唱えてもらった。

 

 

 

 

 




サーベルト「…避難誘導も誰かの命を救うための立派な活動なのは当然間違いないが、俺なら住民を脅かす存在を食い止める方を選ぶな。力を持つ者はそれにふさわしい責務があるんじゃないかと俺は思う。」

ユリマ「何かを遠ざけるために逃げてるんだから、それを手伝うより元凶叩いた方が早くないですか?」

ライラス「自分の身は自分で守れ。それができぬなら死ぬだけだ。」

キラ「(皆様、言いたいことはわかるんですけど、並ばれるとこう……あの、なんというか…うーん…)」



・「まほうのスポドリ」
ドルマゲスが考案し、キラが開発した清涼飲料アイテム。温めた「まほうのせいすい」に蜂蜜と「ジョロの実」の果汁、「岩塩」を加えて攪拌し、飲みやすい温度まで冷やしたもの。岩塩以外の素材(まほうのせいすい含む)はU.S.A.によって大量栽培・大量生産の方法が確立されており、また岩塩もU.S.A.周辺から豊富に採取できるため、安価に生産・携行が可能。アイテムとして使用すると一口飲むごとにMPが20~25回復する。さらに、通常の「まほうのせいすい」に比べて格段に飲みやすくなっているため、使用後はもう一度自分のターンが回ってくる。連続で3回使用すると無くなる。
錬金釜を持たない者でも簡単に作ることができるのが利点だが、ユリマがドルマゲスのスポドリに睡眠薬を入れようとしているとしているのがバレてからは、ドルマゲスのスポドリは必ずキラが作ることになった。
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