ドルマゲスに転生してしまったので悲しくない人生を送りたい   作:えにぃ

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さんぞくのオノって見た目は明らかに鉄のオノと大差ないのにバトルアックスとかより攻撃力高いってどうなってるんですかね?それはもうただ使っている山賊が強いだけの鉄のオノでは…?










Chapter2 トラペッタ地方 ①

山賊ヤンガスを仲間に加えてトラペッタの町に到着した一行。トロデと別行動をする中エイトとヤンガスは酒場で、この町ではドルマゲスの話をしない方がいいと忠告を受ける。想像していたものとは異なる町民らの態度に困惑するエイトとヤンガスであったが、とりあえず夜を明かすために宿屋へ向かおう、と別行動中のトロデを探しに行くのだった。

 

 

 

 

「ったく…どこをほっつき歩いてるんでげすかね、あのおっさんは」

 

「うーん…流石にこの町からは出ていないだろうし…先に宿屋に行っておこうか?王様もそのうち帰ってくると思うし。」

 

「おお!そうしやしょう!アッシ、今日は疲れたんで早く横になりたいんでげすよ。」

 

「じゃあ、そうしようか。」

 

トロデを探してあっちへこっちへと歩きまわっていた二人は、ついに彼の捜索を諦め、踵を返して宿屋の方向へ向かった。

 

「…それより兄貴、さっきの酒場のことでげすけど…」

 

「…うん」

 

「あの後もおっさんを探しながらそれとなく何人かに話を聞いてみたわけなんでげすが、どうもアッシたちと町の人間との間でドルマゲスのイメージに違いがあるようでがす。この町の人間はどうもドルマゲスを良き隣人と捉えているみたいでげすね。」

 

「ん…そうだね、しかもみんな本心からドルマゲスの事を信用しているみたいだ。」

 

「兄貴が嘘をつくわけがないとしたって、町の人間が総がかりで嘘をついているってのも変な話でげす…ここから分かることは…」

 

「ん?ちょっと待ってヤンガス、何だか騒がしいな…」

 

見ると、すっかり夜も更けているにも関わらず、人だかりができている。なんとなく嫌な予感がしたエイトは近くにいた婦人に事情を尋ねた。

 

「失礼、近くで何かあったのですか?」

 

「いえね、ドルマゲスさんの『せきゅりてぃさーびす』が反応し始めたものだから、悪い魔物が入ってきたのかと思ってみんなで見に来たわけなのよ。でも、あの魔物はそんなに怖くはなさそうね。」

 

「(せきゅりてぃさーびす…?)そうですか、ありがとうございます。」

 

そのままエイトが人ごみをかき分けながら進んでいくと、だんだん視界が開けてきた。そこでエイトが目にしたものは──

 

──「いっかくウサギ」…らしきものに追い回されるトロデの姿だった。

 

「ひぃ~~~!た、助けてくれぇ~~~!」

 

「お、王様!?今行きます!」

 

エイトは剣を抜き、角を持つウサギの魔物を斬りつけ、吹き飛ばす。しかしその感触は魔獣のそれというより…

 

「(鉄…!?しかもかなり純度の高い…!)」

 

痺れる手を抑えてトロデを守るような形で立ちはだかったエイトだが、いっかくウサギはエイトの姿を認識すると、その場で宙返りをした後ドヤ顔をし、また町の巡回に戻っていった。

 

「?な、なんだったんだ…?」

 

「お、おおエイトか!助かったぞ…!」

 

「ご無事で何よりです。それより、何があったんです?」

 

「そ、そうじゃ!わしはこの男にドルマゲスの話を聞いたのじゃが、この男、なんと自分はドルマゲスの仲間だと言いおった!わしはそれを聞いてこの男につかみかかったところでさっきの魔物に見つかり…それであやつにしばらく追い回されていた、というわけなのじゃ…」

 

トロデが指をさした方を見ると、道具屋の店主が困った顔でこちらを見ていた。

 

「別に私だけじゃなく、この町のみんながドルマゲスの仲間で、友人だよ。それなのにいきなり飛び掛かって来るなんて…」

 

「な、なにを!?奴はこの町の大魔法使い、マスター・ライラスを殺したのじゃぞ!!」

 

「はぁ?あんた…!何言ってんだよ!ドルマゲスがそんなことするわけないだろ!いくら魔物だからって、言っていいことと悪いことがあるぞ!!!」

 

「お、王様落ち着いて…」

 

「落ち着いていられるか!奴は我が国を滅ぼし、わしとミーティアと国民に呪いをかけたのじゃ!!そんな外道を何故庇うか!!」

 

「外道!?誰が外道だって!!俺たちの友人を…これ以上バカにしやがったらただじゃおかねぇ!お前みたいな魔物はこの町から出ていけ!!」

 

周りの民衆もそうだそうだ、と囃し立てる。これ以上押し問答を続けると暴動に発展しかねない。エイトはヤンガスと共に、未だいきり立つトロデを連れて一旦町の外へ出た。

 

「王様…」

 

「くそぅ…トラペッタの住民め…わしが王の姿に戻った暁には増税してくれるわ…」

 

「王様…?」

 

「お、オホン!よい、エイトよ。わしは大丈夫じゃ。ミーティアよ、随分と見苦しい姿を見せてしまったの…」

 

「おっさん、さっきのは仕方ねぇでげす。アッシもさっき同じような言い方をして酒場で掴みかかられたんでげすよ。」

 

「一体…どうなっておるのじゃ。この町でのドルマゲスの評判は…」

 

「…!そういえばヤンガス、さっきの話は途中だったよね。聞かせてくれるかな?」

 

「そういやそうでやしたね。おっさんにも分かるようにもう一回整理するでげす。ドルマゲスの野郎はトロデーン城を滅ぼした。これは兄貴とおっさんを信用するなら間違いないでげす。しかしそのドルマゲスが住んでいたこの町ではドルマゲスは誰もが認める善人という扱いを受けている…。ここから何通りかのパターンが予測できるでがす。

一つ、『ドルマゲスは善人であり、秘宝を奪って国を亡ぼさねばならないやむを得ない理由があった。』二つ、『この町そのものがドルマゲスによって洗脳され、奴の都合のいいことしか話さないように仕向けられている。』三つ、『ドルマゲスは善人の仮面を被って町民に愛想を振りまき、凶悪な本性を隠していた。』アッシに考えられるのはこのあたりですかね。」

 

「…」

 

「…」

 

「ん?二人ともどうしたでがすか?」

 

ヤンガスが自分の見解を述べたところで二人の顔を見ると、エイトもトロデもぽかんと口を開けていた。

 

「お、お主…見かけによらずものを考えられるのじゃな…」

 

「そうだね…(盗賊の勘ってやつかな…)すごいよヤンガス。」

 

「お、おお?それは嬉しいでげす。兄貴はどう思いますか?」

 

「こら!わしにも見解を聞かんかい!」

 

「うーん…ドルマゲスの素性や実力が全く分からない以上、どれもありえそうに思えるけど…一つ目はなさそうに見えるかな。国ひとつを滅ぼしてまで杖を奪う理由が僕にはどうしても考えつかない。トロデーンはアスカンタやサザンビークとも友好条約を結んでいるから他国の回し者でもないと思う…王様はどう思いますか?」

 

「うむ、流石はエイトじゃ。わしとしては二つ目もなさそうに見える…というより三つ目が有力に思えるの。奴は道化師を生業としている。道化師はいくつもの顔を持ち自分の言動や行動で人の喜怒哀楽を引き出して飯を食っていく職業じゃ。おそらく奴はこの町で長く暮らす中で表向きは良き隣人、裏の顔で大悪党を演じ分けていたのじゃろう。」

 

「ふむ、おっさんの言うことも一理あるでがすね。仮に三つ目だとして、アッシたちみたいな自分の追手が来た時のために、今みてぇな町人に妨害をさせることまで野郎の目論見の内だったとすると、ドルマゲスってのは相当狡猾な奴でげす。」

 

「うぅむ、今ここで考えても答えは出なさそうじゃな。とりあえず物資の補給も済んだことだし、ポルトリンクに向かいたいところじゃが、もう夜中じゃ。明日の朝になったらここを発つことにしようぞ。エイトとヤンガスは戻って宿に泊まるとよい。」

 

「おっさんは泊まらないんでげすか?」

 

「お主はアホか!追い出されたわしがあの町に入れるわけなかろう!!わしはミーティアと共に馬車で寝るわ!ふん!馬車を一人で独占できるのに比べればこんな町の安い宿屋なんか屁でもないわい!」

 

「ヤンガス、ここは王様の厚意に甘えて…」

 

「そうでげすね。じゃっ!兄貴行きますかい!」

 

エイトとヤンガスが町に戻るとさっきまで集まっていた町民は既に解散しており、広場は静まり返っていた。おそらく皆家に帰って寝たのだろう。二人が宿屋に向かっていると、エイトは住宅地エリアの端にある一軒の家を見つけた。特に珍しい作りの家ではなかったが、妙に心が惹かれたので少し中を覗くことにした。

 

中はリビングと個室が二つだけの簡素な作りで、一つの部屋は大量の本や良く分からない薬が並んでいたが、もう一つの部屋はだだっ広い部屋にベッドが一つだけの伽藍堂だった。エイトは一度中に入ったものの、家に誰もいないことを認めて外に出ようとしたところでリビングのテーブルの上に置いてあるメモが目についた。

 

「ん…『困ったら占いの力を信じろ。この町の占い師は世界一だ。』だって…?」

 

「兄貴~!空き巣なんてみっともないでがすよ~」

 

「ああごめん、すぐ行くよ!」

 

エイトはメモを元あった場所に直し、宿屋へ向かうヤンガスについていった。

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

「…うーん、よく寝たな…」

 

「ぐがー、ぐがー。」

 

「…」

 

翌日の昼前ほどにエイトは目覚めた。昨日は色々なことがありすぎて疲労していたせいか、布団に入るとすぐ泥の様に眠ってしまったようだ。大きないびきをかきながらまだ眠るヤンガスを起こして、エイトはテキパキと旅立ちの準備をまとめて宿を後にした。

もう昼前だというのに散歩をしている人が何人かいるくらいで、広場は閑散としている。

 

「ふわぁ…まだ眠いでがす…それにしてもここは辛気臭い町でげしたね。家の外にいるのは魔物の方が多いんじゃないでげすか?」

 

ヤンガスは住宅地をるんるんとスキップする「くしざしツインズ」を遠い目で見ながら零した。

 

「結局よくわからない町だったけど、準備は整ったし次の町へ行こう。ちょっと寝坊したから王様もお怒りかもしれないし。」

 

「そうでがすね。おっさんにいくら怒られても怖かねぇでげすが、ぐちぐち文句を言われるのも面倒でげす。さっさと行きますかぃ。」

 

エイトたちが宿を出ると、昨日と変わらぬところに馬車は佇んでいた。ミーティアはすでに起き上がって草を食んでいたが、トロデの姿は無い。幌を覗き込むとトロデは大の字で寝転がり、いびきをかいていた。

 

「…こういうところはアッシのイメージする王様っぽくて安心するでがすね。」

 

「…うん、お疲れのようだし起こさないであげようか。王様が起きるまで僕が手綱を取るよ。ヤンガスは魔物退治をお願いしてもいいかな。」

 

「了解しやした!」

 

風そよぐ平原の中、エイトたちはポルトリンクを目指す。ミーティアはトロデを起こさないようゆっくりと歩を進め、エイトはそんな健気な王女を微笑ましく眺めるのだった。

 

 

 

 

 

 




原作との相違点

・トラペッタの町民が想像以上にドルマゲスを信頼している。(もちろんドルマゲスが意図したことではない)

刺激の少ないトラペッタにとってドルマゲスという道化師は相当鮮烈に映ったのであろうことが分かる。加えてドルマゲス本人も人懐っこく、努力家で敵を作るような性格ではなかったのでトラペッタの町からは概ね好印象だった。

・道具屋の店主につかみかかったトロデを、セキュリティサービスが「町に害をなす魔物」と判断して排除しにかかった。

害意のある魔物とそうでないものをセキュリティサービスは判断して適切な対処を行うことができるので、町民は毎日安心して生活できている。

・トロデが町から追い出された理由が「魔物だから」ではなく「友人を酷く侮辱した魔物だから」に変わった。

魔物が町に侵入してくること自体はさほど珍しい事でもないので、原作よりも安全が保障されている今ではそこまで魔物を危険視していない。

・ドルマゲスについて考察した。結局よく分からなかった。

残念!

・滝の洞窟に挑まなかった。

初ダンジョンをスキップ。とはいってもチュートリアル的立ち位置のダンジョンなので行っても行かなくてもそう変わりはない。


エイト(勇者)
レベル:6

ヤンガス(戦士)
レベル:7






セキュリティサービスは人間を見るとそれが魔物を庇った人間であろうと問答無用で愛想を振りまくようにプログラムされているので、人間によって町が攻め込まれた際は全くの無力のポンコツです。もっともドルマゲスはセキュリティサービスが兵器転用されないためにこの仕様にしたわけですが…






せっかくなので、第十章でドルマゲスが使った技について簡単な説明を置いておきます。

・「ぎゃくふう」 相手がブレス系の技を使ってきた際にその効果を反射する技。ドルマゲス(ラプソーン)の「はげしいほのお」や「おたけび」を警戒した。

・「やみのはもん」 相手のちから、かしこさ、みのまもり、すばやさを下げる技。

・「早滅の刻」 敵味方全員のすばやさを激減させる技。これが結果的にライラスの回避耐久に役立った。

・「ジバリア」 地系の初級呪文。ドルマゲスは相手の足場を崩すために使用した。

・「体技よそく」 相手の体技を跳ね返す技であるが、捌くだけで限界だった。

・「ベタン」 重力系の初級呪文。本来は相手の現在HPの16分の1を削る呪文だが、ドルマゲスはこれを回避に転用した。

・「黒い霧」 敵味方全体の攻撃呪文が使えなくなる技。効果はしばらくの間持続する。

・「ぶきみな光」 相手の状態異常に対する耐性を下げる技。

・「呪いのきり」 ドルマゲスが最初に覚えた技。怨念の籠った霧をまきあげ、相手を動けなくする。
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