ドルマゲスに転生してしまったので悲しくない人生を送りたい   作:えにぃ

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今回の推敲はお休みです。
あと、今回は昨日投稿した話に入りきらなかった分なので激短いです。前回のおまけだと思って楽しんでくだされば幸いです。







Chapter42 レティシア地方 ②

「…暗い……。なに、この場所…」

 

「暗いというより『黒い』な。空も大地も」

 

「それに…今が昼なのか夜なのかもわからない。日は沈んでいるのか…あるいは太陽が存在していない…?」

 

隔絶された台地、もといレティシア地方の小高い丘に突如現れた空間の裂け目。その裂け目を通って一行が辿り着いた世界は、一面が全て真っ黒に染まった、全く見知らぬ場所だった。

 

「なんだか不気味な場所でがすね…でも、見える景色自体はさっきと全く同じ…ほら、後ろにはさっきまでいた村が見えるでがすよ」

 

「黒い…いや、()()()()のかね…?ともかく、毒とか、そういった類のものは心配無さそうさ。」

 

流石に環境への適応が早いヤンガスとゲルダ。ヤンガスは瞬時にこの異世界における現在地を、ゲルダは今踏みしめている地面の安全性を証明してみせた。そんな二人を見て他の面々も次第に落ち着きを取り戻し始める。

 

「そうじゃエイトよ。おぬしらは以前我がトロデーン城の図書室から『月の世界』なる場所に行っていたじゃろう。この場所はその月の世界とやらとは違うのか?」

 

「…はい。同じ異世界でも、あちらとは風景が全く異なっています。別の存在と考えるのが妥当かと」

 

「ふむ…」

 

もうかなり前のことになるが、エイトたちは船の手掛かりを探すためにトロデーン城の図書館を探索していたところ、月光の神秘によって『月の世界』という場所にいざなわれたことがある。イシュマウリと名乗る不思議な男が佇んでいたあの場所も確かに静謐な空間ではあったが、ここはそれとはまた異なる静けさだった。

 

「王様。僕が思うに…この異世界はきっと()()()()なんじゃないでしょうか。レティシアの村の方々の話が本当なら、この破れ目を作り出した本体が…レティスがいるはず」

 

「なるほど…レティスの本体がこの世界にいるというならば、この世界のレティシアの民に訊いてみるのが早かろう。早速レティシアに―――」

 

 

 

『その必要はありませんよ』

 

 

 

「!!!」

 

一行の周りに突如落とされた声。それは頭の中に直接伝わってくるような、それでいて不快感は無い不思議な落ち着きを感じさせる声だった。

 

「誰だっ!」

 

ヤンガスがオノを構えたのを合図に、全員が馬車を中心に背中合わせになる形で武器を構える。しかし周辺に声の主の姿はなく、異変を感じたククールが反射的に上を見た。

 

「お前ら!上だっ!」

 

その言葉につられるように黒い空を仰ぐ一行。その目に映るのは、この黒い世界に似つかわしくない色彩を持つ美しい巨鳥の姿。

 

 

 

…本当に来ていたとは……。初めまして、光の世界の旅人たちよ。私は神鳥……人々は私をレティスと呼びます。』

 

 

 

「神鳥…レティス…!」

 

「あれが…!」

 

レティスは『止まり木』に悠然と降り立つと、エイトたちを値踏みするような、どこか冷ややかとも取れる視線を向けて彼らの出方を窺っている。その視線にいち早く気がついたエイトは慌てて言葉を紡ごうとするが――。

 

 

 

『母さま!流石に母さまは速いですね…!ボクももっと速く飛べるようになって、父さまに褒めてもらいたいです!』

 

 

 

「!?」

 

直後、一行の後方…レティシアの方角から、金色に輝く鳥が凪いだ世界に風を呼ぶ。

 

黄金の鳥はその体躯こそレティスと比べると小さいものだが、それでもその煌めく羽を広げた姿はミーティア含む馬車全体をすっぽりと包んでしまえそうな大きさで、一行を圧倒するには十分な迫力があった。

 

「な、なんだいあの鳥は…?」

 

「知らねぇ…!レティシアの爺さんの話にも出てねぇ…!」

 

「…!」

 

黄金の鳥はレティスの隣にちょこんと留まる。その頭で揺れる花のコサージュを見て、ゼシカは何故か胸の奥がちくりと痛んだ…気がした。

 

 

 

 

 

そして。

 

 

 

 

 

「この人たちがおじさんの言ってた『勇者』ですか?…見たところ、おじさんの仲間たちどころかおじさん一人にも敵いそうにないですけど」

 

 

 

レティスの背中から顔を出し、ぴょんと地面に飛び降りた一人の人間。彼は服に付いた砂埃を軽く払うと、何の興味も無さそうにエイトたちを一瞥した。

 

「…!?」

 

「な…なんで、ねえ、なんで…?」

 

「お前…っ」

 

…だが、彼がいくらエイトたちに興味が無かろうと、こちらはそうもいかない。行くはずがない。

 

「なあ、まさかアイツがアンタらの言ってた…」

 

「どうして、こんなところに…」

 

 

 

「ディム!!!!!」

 

 

 

「はあ。いかにも僕はディムですが。ちなみにあなた方のことは全く存じ上げないですよ。」

 

ようやく邂逅の成った神鳥レティス。しかしそれに付随するイレギュラーが二人…黄金の鳥と黒に身を包んだ少年。全く見知らぬ異世界、その真ん中でエイトたちは更なる混乱の渦に叩き落とされた。

 

 

 

 

 




ゲルダ「『ふしぎなサプリ』?ああ確かディムって冒険者から貰った、どんな強い呪いも一時的に解呪するっていう…」

エイト「はい。まだ残ってましたので、使ってみました。せっかくの機会、ゲルダさんも姫に挨拶しておきませんか?」

ミーティア「まあ……。有難う、エイト!そして皆様、お久しぶりですわ!といっても、ミーティアはお話できないだけで、いつも皆様とは共に在るのですけども!うふふ」

ゲルダ「あー、姫サマ。…そんなご尊顔だったのかい。随分とその…可憐だね」

ミーティア「ゲルダ様!こうしてお話しできることをミーティアはとても嬉しく思っています!我々やトロデーンにかけられた呪いを解くための旅に同行してくださること、本当に感謝していますわ!」

ゲルダ「…ああ…。その…悪かったね、あの時は。姫サマをエイトや王サマから無理に引き離して。」

ミーティア「パルミドでの一件でしたら、ミーティアは気にしていませんわ!ゲルダ様はミーティアを闇商人から購入しただけ…盗まれたわけではありませんもの!…それに、覚えていらっしゃいますか?ゲルダ様はミーティアを連れ帰った後、とても丁寧にブラッシングしてくださいましたでしょう。」

ゲルダ「モチロンさ。アタシは気に入ったお宝は自分の身よりも大事にしているからね。」

ミーティア「正直に申し上げますと…お父様やエイトたちと離れて不安だった時、丁寧な施しを受けてわたくし、すごく安心したのです。ミーティアが馬の姿に戻ってしまったら…また、ブラッシングしてくださいませんか?」

ゲルダ「…姫サマがそう言うなら…アタシの気が向けばいくらでも。」

ミーティア「ありがとうございます!…あっ、ヤンガス様、ゼシカ様、ククール様!お話したい事がたくさん…――」



ゲルダ「……エイト、ミーティア姫は優しいコだね。優しくて、強い。」

エイト「…そうでしょう。僕もそう思います。」



原作との相違点

・闇のレティシアスキップ。
本来は闇のレティシアの惨状を目の当たりにし、長老からレティスに会うよう頼まれることで初めてレティスは姿を現すようになるが、今回闇のレティシアはレティスとすでに和解しており、レティスも最初からエイトたちに会うつもりで来たので闇のレティシアに寄る必要が無くなった。

・知らない鳥がいる。
黄金に輝く鳥。レティスの隣にいることからおそらく神鳥に関係する何かだと思われるが…。少なくとも光のレティシアの人々はその存在を知らない。闇のレティシアの人々もまだ知らない。

・知らない(知ってる)人がいる。
パルミド地方で出会い、サザンビークでは共にチャゴス王子の尻拭いを手伝った仲…しかしその正体は魔性の道化師ドルマゲスの変身した姿。それがエイトたちから見た冒険者ディム。しかし彼は姿形こそそっくりだが、全身がこの世界のように真っ黒で、さらにエイトたちのことは何も知らないという。



レベル:変化なし



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