ドルマゲスに転生してしまったので悲しくない人生を送りたい   作:えにぃ

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メリークリスマス!(一日遅れ)

ACT5:~第三十九章までの話を推敲しました。よろしければご覧ください。








新・第二十五章 I've returned, Light World!

ハロー、光の世界に帰ってきて感極まって泣いちゃった道化師のドルマゲスです。自分の身体も帰ってきて、呪術も再度使えるようになって!…魔力がないのでまだ貧血の時のようなしんどさは残っていますが…。それでも生き返ったような気分です!本当にレティス達やサーベルト達にはいくら感謝しても足りませんね。

 

 

 

 

長旅の末、ついに光の世界への帰還が成った俺は、ひとまずU.S.A.に戻って自室のふかふかベッドで睡眠をとった。ユリマが添い寝を申し出てくれたが、彼女は俺が寝ていると耳元で囁いて暗示をかけようとしてくるので丁重にお断りした。

 

そして翌朝。

 

「あっ、ドルマゲス様!?お、おはようございます!まだ半日も経っていないのに…お身体の方はよろしいのですか…?」

 

軽くストレッチをしてから部屋を出ると、ちょうどキラちゃんと鉢合わせた。

 

「おはようございます、キラさん。ええ、問題ないですよ。気遣って頂いてありがとうございます。」

 

身体の方は本当に問題ない。確かに慣れない経験ばかりで疲れはしていたが、闇の世界では一睡もできなかったとか、別にそんなことはなかったし。普通よりちょっと長めかな?という程度の睡眠で十分。しかしまあ、気遣いはありがたく受け取っておこう。聞くと、キラちゃんも朝食はまだだということだったので食堂で一緒にゴキゲンなモーニングを食べることにした…のだが。

 

「あれ、キラさんは食べないのですか」

 

「わ、私はその…おかねが…無くて…へへ、恥ずかしながら…」

 

キラちゃんは朝から持っていた人形のようなものを後ろ手に隠す。なんだろう、大事なものっぽかったからあんまりまじまじとは見てなかったけど凄い怖気を感じた。新しい人造モンスター?

 

ともかく、朝食を食べないのはいただけない。そもそもキラちゃんは管理職なんだから食堂担当の魔物に言えば特権で食事くらい自由に食べられるだろうに、真面目なことだ。俺は受付をやっている「ダンビラムーチョ」にトーストを三枚注文すると厨房の一部を借り、解体してストックしておいた「エビラ」の身を「やわらかチーズ」とマヨネーズ、潰したゆで卵、アボカドで和えて椀に盛り、焼きあがったトーストと共にテーブルでお行儀よく待っていたキラちゃんに持っていった。腕が片方無くても念力が使えるならこれくらい造作もない。

 

「え!その、私は…」

 

「別にこれは厚意の押し付けというわけではありません。…私がいなかった間の報告書は昨日寝る前に全て読みました。正直言って、非常に驚きましたよ。私の期待を何倍も上回ってくれましたね。」

 

「ふぇっ!?!?な、そ、わ、そんなっ!そんなことは!!」

 

ホントだよ。俺がいなかった期間も短くなかったとは言え、なにも半年や一年いなかったわけではない。なのにその間にU.S.A.はめちゃくちゃ影響拡大してるし、セキュサもまだ構想段階だったはずの型がもう完成してるし。しまいにはゲモンとの戦いで消滅してしまったリブルアーチに代わる新しい街の建造がとっくに始まってるとか。なんだ「ニューリブルアーチ」って。仮に俺が無事だったとしても新しい町の建造に魔物を起用して影響範囲広げようとまでは思わんし。マジで優秀なんすよこの子。

 

()()()()()なんですよ。キラさん。改めてになりますが…私がいない間、この場所を守ってくださってありがとうございました。」

 

「そんな…私は………ただ、ドルマゲス様のいらしたこの場所を失いたくなかっただけで…右も左も分からないままがむしゃらに走ってきただけで…勝手なことばかりしてドルマゲス様を失望させてしまっていないか、それだけが心配で…」

 

もちろん、サーベルトや師匠、ユリマも色々頑張ってくれていたのは知っている。だが、彼らがしてくれたのは主に一部の荒っぽい魔物たちの反乱を抑えること……当然それも非常に重要なことだ。だが、現状維持ではなくその先の未来を見てこの組織を指揮してくれていたのはキラちゃんだけだった。そういう意味でも彼女の功績は大きい。

 

「すべてが終わったらキラさんをアスカンタ王国に帰してしまうのが本当に惜しいですね」

 

「…え?」「え?」

 

いや、帰るでしょ?だって貴方、王室小間使い休職中ってだけでしょうに…。あ、そんなにここが気に入った?いたいならずっといてくれてもいいのよ?キラちゃんのご主人様にあたるパヴァンとシセル次第だけど。

 

「話を戻しますが、これは厚意の押し付けじゃあないんです。優秀なキラさんにはこれからもキビキビ働いてもらいますから、そのためのエネルギー補給は権利でなく義務。食べないなら食べさせるまでですよ。」

 

当然詭弁だがね。キラちゃんは意図しない返礼や見返りのない施しを受けると感謝より困惑が勝ってしまうタイプだ。逆に適当にでも理由を考えて与えてあげれば彼女は素直に受け取ってくれる。俺は「ジョロの実」の果汁をエビラアボカドに数滴垂らして混ぜ、いい具合に粗熱の取れたパンに塗りたくってキラちゃんの半分空いた口に放り込んだ。

 

「も」

 

「ま、残りの二枚は私のです。朝はしっかり食べたい派でしてね。」

 

キラちゃんは小さな口に突っ込まれたトーストに目を白黒させていたが、しばらくするとお礼を言って元気にぱくぱくと食べ始めた。

 

…しかしキラちゃんは何を買って金欠になったのか…?

 

 

思った以上に美味しかったトーストを一瞬で平らげた俺が、俺を待たせまいと急いで食べきろうとするキラちゃんを窘めていると、食堂の戸を勢いよく開けてユリマが入ってきた。

 

「ドルマゲスさん!おはようございます!!こんなところにいたんですね!!」

 

「おはようございます、ユリマ。何かあったんですか?」

 

「いえ、何も。ドルマゲスさんの部屋を覗いたら誰もいなかったので探しに…もしかしてごはんですか?一人で?奇遇ですねえ!わたしもなんですよ!」

 

「え?きゃあっ」

 

ユリマは俺の向かいに座っていたキラちゃんを無理矢理押しのけて座ろうとしたので、俺はコーヒーを啜りながら念力で襟を抓み上げて止める。

 

「まったく…なんでそんなことするんですか」

 

「むー、ドルマゲスさーん」

 

「貴方たちがとっくに朝食を食べ終わっていることはキラさんから聞いてますよ。」

 

ユリマがキラちゃんを睨みつけ、キラちゃんはサッと顔を逸らす。二人とも仲は悪くないはずなんだけどなあ。…あ、そうだ、せっかく元気溢れるユリマにも来てもらったことだし、師匠とサーベルトを会議室に呼んできてもらおうかな?元々は今日の午後に設けてもらっていた会議なのだが、議題は暗黒神対策の今後について。早く開催するに越したことはない。

 

そう説明してユリマを地面に下ろしてやると、彼女は二つ返事で引き受けてくれた。

 

「りょーかいです!ドルマゲスさんの指示ならなんでも!」

 

ユリマは任せてください!と胸を叩いて食堂を出て行った。彼女が通ると魔物たちが全員壁にへばりつくようにして道を譲るのが面白い。どんだけ恐れられてるんだよ。

 

ちょうどキラちゃんもパンを食べ終わったようなので食器を片付け、彼女から昨日読んだ報告書についての補足説明などを受けながら俺たちも会議室へと向かった。

 

 

「おはようございます、師匠、サーベルト」

 

「おはようドリィ!」「うむ」

 

俺たちが会議室に到着した時には既に師匠とサーベルトとユリマは集合していた。サーベルト曰く、ユリマに重力魔法で強引に引きずられるのが嫌だったので、俺が部屋からいなくなったとユリマが騒ぎ始めたのを耳にした時からこうなることを見越してこの部屋に向かっていたらしい。師匠もうんざりした表情で深く頷いている。

 

「招集がかかるたびに毎回ああだとやってられぬわ」「俺たちがいくら壁や床にぶつかろうとおかまいなしだからな…」

 

俺がいない間ずっとそんなことされてたの…?なんかごめんね…。

 

「?」

 

ユリマはそんな師匠たちの諦念に近い視線をガン無視して「どるまげすさん、わたしがんばりましたよ?」とでも言いたげな顔で俺の目を見てくる。なんとなくバツが悪くなって何かないかとふくろをまさぐると闇の世界のメダル王国で買ったりんごあめがあったので、一応お礼を言ってユリマに渡すと大喜びで懐にしまった。食べんのかい。

 

「お二人ともお忙しいところ、突然申し訳ありません。今日の午後に予定していた会議を――」

 

「前置きはいい。元よりお前が起き次第開く予定だった会合だ。さっさと始めろ。」

 

さいですか。相変わらず師匠はツンケンしてるんだから。

 

「はい。暗黒神ラプソーンとの対決に向けた対策ですが…まずは現状確認、情報のすり合わせを行いましょう。昨日私が使用した『暗黒大樹の葉』ですが、ラプソーン…もといゲモンは一箇所に留まることなく世界中を飛び回っていることを示しており、それは現在も同じです。また、残る賢者は全員無事ということも分かっています。」

 

 

 

これが昨日―――俺が闇の世界から帰ってきたあと最優先で行ったことだ。『暗黒大樹の葉』に祈りを込めるとキラちゃんの持っていた世界地図が輝き始め、邪悪な存在の居場所を()()()という形で地図に示してくれた。靄…ラプソーンは西の大陸をうろついたり、北の大陸を巡行したり南の大陸を縦断したりと、特定の一箇所で動きを止めることが無かった。奴が何を企んでいるのか分からないのが不気味だが、大胆に動いてこちらの動きを誘おうとしている可能性もある。なので現時点ではこちらも大きく動けない。奴が自身の肉体が封印されている聖地ゴルドに向かった時は一瞬焦ったが、ラプソーンはゴルドを通過した。おそらく魂の封印を完全に解かないと肉体の封印を解いても意味が無いのだろう。

 

ではその残る魂の楔たる三人の賢者はというと、ギャリングはベルガラックに、オディロ院長はなんと最後の賢者である法皇と共にサヴェッラ大聖堂の「法皇の館」にいることがわかった。師匠たちの報告では彼はマイエラ修道院にいなかったということだったので、俺がすぐに『携帯念話(フォン)』で通信を試みたところオディロ院長本人と繋がり、院長の居場所が判明したのである。

 

修道院へ巡礼に来る商人によって流れてくる世界各地の情報からリブルアーチの崩壊とチェルスの死を結び付けていち早く自らの危険を察知し、今は信頼のおける友人である法皇と共に厳重な警護の下で過ごしているという。自らの身に危険が差し迫っている中でも『ドルマゲス君が無事でいてくれて本当に良かった』とオディロ院長は優しい声で言ってくれた。本当に慈愛に満ちた人だ。

 

マルチェロのこともそれとなく尋ねてみると、自身よりも厳しい指導者である法皇の下で働き始めたことで以前と比べて切れ味の鋭い物言いをするようになったが、その代わりより本心に近い言葉を引き出せていて良い傾向になっているのだという。原作の法皇はあまり印象に残っていないが、あまり厳しい人物ではなかったような…。当時、思い付きで提案してみただけのマルチェロのゴルド留学だが、現在本心に近い言葉を引き出せているというのなら一定の効果はあったのかもしれない。

 

さて、そういうわけで差し迫った危機は今のところない、という結論だけ出して昨日はそのままお開きになったのだ。皆も疲れてそうだったしね。

 

 

 

「そうだ。では、これからどうするかということについてが議題だな。まず、ラプソーンをどの時点で倒すかだ。今の時点で勝負を挑むのか、それとも奴が完全復活するまで待つのか。」

 

「それについてですがライラスさん、今の時点で勝負を挑むというのはわかります。しかしラプソーンが完全復活するまで待つというのはどういうことです?」

 

「もっともな質問だな。…合理的に考えて不完全な状態で戦う方が相手も弱いし、無駄な死人も出ない。だが、()()()だ。」

 

不確実というのは、現時点でのラプソーンを倒したとしても、それはただラプソーンの端末を倒したことにしかならないという意味だ。原作で端末であるドルマゲスやレオパルドが死んでもラプソーン本体には何の影響も無かったように、今ゲモンを倒したところで根本的な解決にはならないということ。師匠とサーベルト二人分の封印しか解けていなかったあの頃の杖なら俺の魔力でも制御できていたのだが、チェルスとメディの分の封印も解けてしまった今となっては……。本気で制御しようとするならばそれこそ原作マルチェロ級の人並外れた野心と精神力が必要になるだろう。最悪の場合誰にも制御できない「神鳥の杖」が野放しになってしまう状況もあり得る。もう一度杖をトロデーン城に封印しようにも、例の封印を編み出した賢者マスター・コゾは既にこの世におらず、封印を施せるレティスはこちら側には来られない。

 

まあ…だが完全復活を待つということは賢者を見殺しにするということであって、それは正義感の強いサーベルトにとっては看過し難い事だろう。俺も同感である。

 

「師匠は分かりやすく例えてくださっただけで、無理に二択に絞る必要はないのですよ、サーベルト。できるだけ被害を抑えつつ、ラプソーンを完全に倒す。きっとそんな道もあるはずです。」

 

「…俺だって理想主義者というわけじゃない。誰も死なせずに…というのがもはや不可能な領域まで来てしまっているということは理解しているさ。…だが、ああ。ドリィ。最善の道を探していこう。」

 

「暗黒神が完全復活してしまった場合に考えられるのは、二つの世界を繋ぐ門が開かれること…ですよね。ドルマゲス様」

 

「はい。まず間違いなくラプソーンは闇の世界の魔物を率いてこちらの世界を侵略しようとするでしょう。」

 

ラプソーンは破滅主義者ではない。光と闇、両方の世界の絶対神として君臨するため、世界中の生物の悉くを滅亡させるようなことはないだろう。だが人類の反乱の意思を削ぐために徹底的な破壊と虐殺は行うはずだ。

 

「ドルマゲス様が持ち帰ってきてくださった闇の魔物の検体は調べさせていただきました。他の国はいざ知らず、我がU.S.A.とアスカンタ王国、そしてもうじき完成する『ニューリブルアーチ』はあの程度の魔物に易々と攻め落とされるようなことはございません。…暗黒神が復活する万が一に備え、世界の人々をドルマゲス様の庇護下に置くのはいかがでしょうか?」

 

「キラちゃんにしては良いこと言いますね。悪くない案なんじゃないですか?流石にトラペッタみたいな大きな街丸ごと…は無理でしょうけど、わたしたちの知り合いで、大きな街や国で過ごしていない人なら……ドルマゲスさん、どうですか?」

 

ふむ。案としてはアリだ。ラプソーンがもし復活してしまった場合、フィールドには闇の魔物だけでなく、闇の魔物に共鳴して「アークデーモン」や「ボボンガー」、「グリゴンダンス」などの光の世界を代表する凶悪な魔物が姿を現し始める。…『竜神の道』や『天の祭壇』に生息しているような本当のバケモノ共が人里に降りてこないのはせめてもの救いだが…。降りてきた魔物らもわざわざ堅牢な町や国は襲わないだろうが、小さな国や、人里から離れて暮らしている人間がいるなら別だ。原作でもラプソーン復活による生態系の変化を知らず、突如現れた凶悪な魔物たちによって命を落としてしまっている人がいた。全員はカバーできないかもしれないが、救える人だけでも救いたい。

 

「それは良い案です。前向きに検討するとしましょう。」

 

「話は逸れたが、ラプソーンの撃破よりも賢者の保護を優先する…という結論で良いな?…よし。では次だ。『勇者』と名乗る者たちについて…ドルマゲスよ、お前に問いたい。奴らは本当に信頼に値するのか?」

 

師匠が勇者というワードを出した途端、ユリマは面白くなさそうに髪を弄り始めた。見ると、サーベルトはそわそわしているしキラちゃんは曇った顔をしている。まあ、それは置いといて、勇者ね…。

 

「もちろんです。彼らも志は我々と同じ。必ずや心強い戦力になってくれると思いますよ。」

 

このDQⅧという物語の主人公は彼らである。エイト、ヤンガス、ゼシカ、ククール。俺がめちゃくちゃに掻き回したせいで原作はもはや乱れ放題だが、元来彼ら四人だけでもラプソーンは倒せるようにこの世界はできているはずなのだ。しっかり装備を整えてレベルを上げてくれば、という条件は付くが……ま、そっちは俺が心配しなくても大丈夫だろう。もういい感じのレベルになってんじゃないかな。多分。

 

「そうともドリィ!」「どうだかな…。」「あんな人たち、いてもいなくても変わんないですよ」「あの方たちとはどうも馬が合わず…悪い人たちではないのでしょうけど…」

 

なに、なんでこんな勇者たち信頼無いの?ユリマはともかく、師匠とキラちゃんはなんで??妹が勇者として旅をしているサーベルトが嬉しそうなのに対して、彼らはふくれっ面を隠しもしない。

 

「お兄さんは妹を信頼しすぎなんですってば」

 

「そうは言ってもだ、ユリマ!ドリィが俺の妹を『心強い』と言ってくれるなんて!こんなに誇らしいことはない!ああ、早く立派になったゼシカに会いたいなあ!」

 

「ああ、それなんですが…今から会いに行きませんか?勇者たちに。」

 

「…え!?」

 

皆一様に目を丸くする。滅多に驚きが顔に出ない師匠までも。

 

「おそらく勇者は今、レティシアにいます。」

 

報告書の中に、『海の上に光の道が見えた』というものがあった。俺の全く知らないゲームイベントでなければ、十中八九それは「ひかりの海図」のことだろう。だとすれば勇者は既にレティシア…あるいは闇のレティシアにいる可能性が高い。勇者が大空を飛び回りはじめるようになるといよいよ会う機会が無くなってくるので、この機に勇者との和解イベントをこなしてしまおう、という算段だ。

 

というより会うなら今しかない。ラプソーンが賢者を襲撃している途中の土壇場で勇者たちに会うと話がややこしくなりかねないし。

 

「私とサーベルトは確定として…他に行きたい人はいますか?」

 

「わたしはパスで。あの人たち嫌いなんですもん」「あ、ユリマも確定で」「なんでっ!?」

 

そりゃあだってユリマは闇の遺跡で彼らにいっぱい迷惑かけたでしょう。元を辿れば俺に責任があるが…とはいえ勇者たちとの遺恨が残るユリマが謝りもせずしれっと俺の仲間にいたら和解どころではない。

 

「ケジメはケジメですよ。私も一緒に謝りますから。」

 

「…」

 

「…返事は?」「はぁい…」

 

ユリマは叱られた犬のようにしょんぼりと項垂れた。垂れ下がった尻尾が目に見えるかのようだ。

 

「さて、お二人はどうです?」

 

「私は遠慮させていただきます。ドルマゲス様に承認を頂いた諸々の稟議を早速実行に移さねばなりませんので…。」

 

「わしも行かん。…そもそもお前は全ての元凶であるトロデ王について何も思うところはないのか?」

 

トロデが?まあ、考えようによってはそうかもしれないが…だからといって俺に彼を責める資格は無いしなあ。

 

「…まさか、あれほどのことをされておいてまったく気にしていないのか?お前のお人好しもそこまで行くと病的だな…。…まあいい。行くならさっさと行くんだな。幸い、優先的にお前の意思を聞きたかった議題はそれくらいだ。残りのこまごましたものはわしとキラで詰めて、後でお前に報告させる。それが一番早いだろう」

 

「承知しました。ではその方向で。…じゃあサーベルト、ユリマ。行きましょうか」

 

「ドルマゲスさぁん…やっぱり…」

「私の指示なら、なんでしたっけ?ユリマ」

「ドルマゲスさんのいじわるぅ…」

 

「ああ!まさかこんな突然ゼシカに会える機会が巡ってくるなんて!ありがとうドリィ!早速行こう!キラ、セキュリティサービスを頼む!」

「はい。すぐにご準備させていただきます。」

「キラ、その準備が終わったら第三階層の共同研究室に来い。わしは先に作業に戻っておく。」

 

 

 

俺が会議を切り上げると各々がそれぞれの作業に戻っていく。あー、なんか懐かしいなこの感じ。なんというか…すごくいいな。…「仲間」!「パーティ」!って感じ…?なんとも形容しがたいが、闇の世界では湧かなかった感情だ。俺はなおも渋るユリマの手を引きながら一人でうんうんと頷いた。

 

さてさて、勇者に直接会うのは…えーっと、闇の遺跡以来か。彼らもあれからこれまでにいくつもの死線を乗り越えてきたことだろう。一体どう成長しているのか、今から会うのが楽しみだ。

 

 

 

 

 

 




ドルマゲス
レベル:70
もう魔性でもなんでもない魔性の道化師。パンは菓子パンより惣菜パンの方が好き。勇者のことを信頼している。

サーベルト
レベル:75
ややシスコン気味の剣士。基本的に鍛錬以外特にやりたいことがないのでレベルが異様に高い。勇者のことは知らないが、ゼシカのことは信頼している。妹に勝るとも劣らないくらいドルマゲスのことも信頼しているので将来的には二人にくっついてほしいと密かに思っている。

キラ
レベル:20
U.S.A.の参謀としての自覚が芽生えてきた金欠の魔物(セキュサ)使い。小間使い時代に時々おこぼれを貰っていた牛肉のステーキが長らく一番の好物だったが、今日一番が更新された。てっきりこのままずっとドルマゲスの隣で働けるものだと思っていたら、アスカンタ王国に返されるつもりだと知ってちょっとショックを受けている。どうも勇者を好きになれない。

ライラス
レベル:65
やれやれ系主人公みたいなドルマゲスの師匠。顔にも言葉にも出さないが、仲間たちのことはちゃんと好ましく思っている。が、トロデのことは好ましく思っていない。

ユリマ
レベル:66
今日も元気なドルマゲス至上主義者。基本的にドルマゲスに近づく女と自分に近づいてくる男は全員敵だと考えているが、彼の利のために毎時毎分身を粉にして働いているキラに対しては例外で(比較的)甘い。ドルマゲスをいじめる勇者のことは大っ嫌い。
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