ドルマゲスに転生してしまったので悲しくない人生を送りたい   作:えにぃ

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新年あけましておめでとうございます、今年もよろしくお願いします!
祝・ドラクエ40thアニバーサリーイヤー!

この小説も、今年中に完結させたいと思っておりますので、どうか皆様最後までお付き合いくださると嬉しいです。
感想・評価・お気に入りについてもよろしくお願いいたします。どれも大変励みになっております!


ACT5:残りの話を推敲しました。よろしければご覧ください。








Chapter44 レティシア地方 ④

隔絶された台地、レティシア地方から謎の異世界に迷い込んだ一行。そこで伝説の神鳥レティスと遭遇する――だけでなく、なんとレティスの子ラミアと異世界のドルマゲスであるディムまでもが彼らを出迎えた。暗黒神ラプソーンを倒すために協力してほしいという一行の主張に理解を示すレティスであったが、一行が神鳥の力を貸すに足る存在かどうか見極めるため、レティスはディムと共に戦いを仕掛けてくる。苦戦を強いられたエイトたちであったが、土壇場で新たな技を修得したヤンガスの活躍を目に焼き付けたレティスはその力を認め、ようやく翼を畳むのだった。

 

 

 

 

「ひとまずオレたちはアンタのお眼鏡にかなったってことでいいのか?レティス」

 

『ええ。あなた方にならば我々神鳥の力を貸し与えても問題ないでしょう。』

 

神鳥の力試しが終わり、全員を回復したレティスは大きく羽ばたいて最初に降り立った彼女の止まり木へと留まる。それを見たラミアも飛び上がり、上空を二度三度旋回してからレティスの隣に留まった。エイトはトロデとミーティアに試練の合格を伝えに走り、ようやくククールたちは安堵のため息を吐く。

 

「フン、やったじゃないかヤンガス。見直したよ」

 

「ケッ、また思ってもないこと言いやがって」

 

「……なんだい?人がせっかく褒めてやったってのにさ」

 

「なんだ?なんか怒ってんのか?」「うるさいよ!」

 

 

 

「いつまで僕の上に座ってるんですか?早くどいてください」

 

「だーめ。私がどいたらまた暴れるでしょ?」

 

「神鳥様の御前でそんな悪あがきしませんよ!いいからその重い尻をどけてください」

 

「あっ、ひどーい!こっちのディムなら絶対そんな失礼なこと言わないのに!」

 

ククールとゼシカとゲルダによって簀巻きにされたディムの縄は、彼があまりにも暴れるためレティスが戦闘の終了を告げた後も解かれることはなく、今は暴れる芋虫のように体をくねらせるディムの背中にゼシカが腰かけている。

 

『ゼシカ、それくらいにしてあげてください。彼は何も、がむしゃらに暴れたくてあなた方に挑戦したわけではないのです。』

 

「…。ま、そうね。そこらへんも含めて戦いが終わったら色々教えてくれるって約束したしね。」

 

「『教えるかどうか考えるだけ』って僕言いませんでした?羨ましくなるくらいお気楽な脳みそしてますね。…あー重かった。縄も早く解いてください。」

 

「…」

 

「ゼシカ、抑えろよ。相手は子どもだぞ?おいゼシカ、拳を握り込むなって」

 

笑顔のまま額に青筋を浮かべるゼシカをククールが制止していると、エイトがトロデとミーティアを連れて戻ってきた。それを確認したレティスは儚げなフルートを思わせる美しい声で鳴き、全員の注目を集める。

 

『これで、全員が揃いましたね。…ゼシカ、ディムの縄を解いてあげてください。私が見張っていますのでもう暴れることはないでしょう』

 

「わかったわ。…はい、これでいいかしら」「…。」

 

『さて、まずは…呪われし王、トロデ。』

 

「な、なんじゃ?」

 

『貴方は良い家臣を、そして仲間を持っていますね。そしてこれほどまでに強力な力を持つ人の子らを束ねる、貴方の度量にも敬意を表します。』

 

「おうっ!?な、な…それは光栄…じゃな?」

 

まさか自分の名が呼ばれるとは露ほども思っておらず動揺していたトロデだったが、レティスに褒められるとやはり悪い気はしないのか、しばらくすると狼狽えていたことも忘れて照れていた。

 

「おっさん、褒められ慣れてなくてどう反応していいか分からなくなってるでがすね」「ねー」

 

『次に呪われし姫君、ミーティア。貴方は馬の姿に変えられてしまってもなお絶望しないどころか、いつも他人のことを慮ることのできる真の慈愛を持つ者です。エイトたちが折れることなくこれまで旅を続けてこられたのには、間違いなくひたむきに頑張る貴方の存在が大きく寄与しているのでしょう。呪いが解けた暁には、ぜひ貴方と言葉を交わしたいものです。』

 

ミーティアは嬉しそうに小さく鼻を鳴らす。隣にいるエイトも姫が神鳥に褒められたことで自分のことのように嬉しそうにしている。

 

『そしてエイト、ヤンガス、ゼシカ、ククール、ゲルダ。あなた方は見事私に力を示してみせました。これならば私も安心して力を貸すことができます。』

 

「レティス…!ありがとうございます。」

 

頭を深く下げるエイトをレティスはそっと翼で制した。

 

『礼には及びませんよ。…ですが、その前に』

 

「?」

 

『…エイト。貴方にひとつ、お尋ねしたいことがあります。気負うことはありません、ただの私の興味からの質問ですよ。』

 

「はい、なんでしょうか?」

 

『貴方にとって「ドルマゲス」とは…どのような人物ですか?』

 

「!」

 

思いもよらなかった質問にエイトは息を呑み、仲間たちも突然のことに思わず顔を強張らせる。どうして急にそんなことを、そもそもレティスはどうしてドルマゲスのことを。エイトの中で一瞬のうちに様々な疑問が渦巻くが……レティスはきっと意味のない質問はしてこないだろう。これまでの問答からそう判断したエイトは下手な繕いはせず正直に答えることにした。

 

「…よく分からない男…です。彼はトロデーンを亡国にした張本人ですが、同時にラプソーンの被害者でもあります。全てがラプソーンの仕業と分かった今、彼を憎む気持ちはほとんどありませんが、とはいえ僕個人には彼の善悪を図ることができません。」

 

ディムはエイトの答えを聞くと不機嫌そうにため息をつき、ラミアは悲しそうに俯いた。

 

『…わかりました。…あえて多くは語りませんが、あなた方の心配はおそらく杞憂だということだけはこの場でお伝えしておきます。』

 

「…というと?」

 

『あなた方も十分な勇気と力を持っていますが、私にとっては彼こそが本当の「勇気ある者」……彼は復讐や義憤を動機としていません。ただ世界の今後を案じる気持ちだけを原動力に、幾度も己が命を危険に晒しながら暗黒神に立ち向かっているのです。』

 

「…!?」

 

レティスの口から発せられたドルマゲスの評価に驚きを隠せない一行。国を滅ぼされたエイト、トロデ、ミーティア。そんなエイトに同調しお供についたヤンガス。最愛の兄を殺害されて復讐に燃えていたゼシカ。敬愛する育ての親の命を受けてパーティーに加わったククール。財宝を収集するためという一行の中では最も俗な理由で同行しているゲルダ。彼らがドルマゲス…もといラプソーンを追う理由は様々だが、レティスの言い分によれば…なるほど確かに、一行の中に純粋に「世界の今後を想う」ことだけを動機にしている者はいなかった。

 

仮にトロデーンでなくアスカンタやサザンビークが代わりに滅びたとして、自分はラプソーンを倒す旅に出ようと考えただろうか?もしもサーベルト兄さんが殺されていなかったら?オディロ院長が自分を推薦していなかったら?エイトたちはそれぞれの思いを巡らせ、次第に自分たちのドルマゲスという人物に対する重大な認識の誤りに薄々感付き始める。

 

そしてそれにダメ押しをするかのように、レティスに続いてディムが口を開く。

 

「……僕は『ドルマゲス』に会いました。」

 

「ディム…!?」

 

「彼はラプソーンとの激闘の末、この闇の世界に放逐されてたんです。ラプソーンは彼を完全に封印していたつもりだったようですが、彼は奇跡的に封印から逃れていて―――。」

 

本当は話すつもりはなかったが最早黙っていられないと前置きし、彼はドルマゲスと自分の道中を語り始めた。船着き場での出会い、ドニでの戦い、メダルでの夜。

 

「あの人にとって、世界を救うことはむしろ過程に過ぎなかったんです。『自分が幸せに暮らしたいだけという酷く独善的な理由』とあの人は言ってましたけど。…それがどれほど困難なことか、あなた方に想像できますか?」

 

「…それはもちろん、僕らだって」

 

「あの人は、死んだらそこで終わりなのに?『僕らだって』…?…聞きましたよ、あなた方は死んでも生き返ることができるんですよね。」

 

「…!」

 

ディムに対して共感を示そうとしたエイトだったが、すぐに切り返されて何も言えなくなってしまう。

 

「どうして貴方があの人の善悪を測る側でいられると思っているんですか??それならあなた方の実力を無批判に信頼していたあの人の方が余程マシですよ」

 

『…ディム、そのあたりに。』

 

「…申し訳ございません神鳥様、お見苦しいところを…」

 

そう言ってディムは口を噤む。

 

「…」

 

ディムの言い方は刺々しいものであったが、それでもその棘は良心を持つものであればあるほど心の奥深くに刺さり、エイトたちの間に重い空気が流れる。

 

 

 

 

 

…が、ただ一人、空気を読んで口に出さないながらも密かに安堵している者がいた。

 

 

 

「(よかったぁ……っ!)」

 

かねてよりドルマゲスに対し複雑な感情を抱いていたゼシカである。

 

「(これで私、もう…ドルマゲスさんを疑わなくていいんだ…!)」

 

 

 

 

 

──幼少期より自分の住むリーザスの村に同年代の友人のいなかったゼシカは、どこへ行くにもいつも兄であるサーベルトにくっついて回っていた。しかしサーベルトが成長して村の警護を自ら買って出るようになると、ゼシカは一人になった。人間関係において兄に大きく依存していたゼシカは、村を守ると奮起する兄を尊敬しながらも、屋敷で一人過ごす日中に小さくない寂しさを感じていた。

 

…その心の穴を埋めたものこそがドルマゲスの存在であった。隣町であるトラペッタから時折やってくるあの陽気な道化師は、手品を披露したり、リーザスではまずお目にかかれない雪を降らせたり、珍しい料理を作って配給したり…瞬く間にリーザスの子供たちの心を掴んでみせた。初めこそ胡散臭いドルマゲスを警戒していたゼシカであったが、次第にその手品や料理に惹かれるようになり、いつしかゼシカは彼が来る日を心待ちにするようになっていた。

 

だからこそ、そんなドルマゲスが大好きな兄を殺したと知った時、ゼシカは湧きあがる怒りとそれを上回る悲しみに押しつぶされそうになりながらも……心のどこかで彼を信じたい気持ちに縋っていたのだ。相反する二つの感情を、ゼシカは仲間の前ではできるだけ悟られないように努力していたが、それでもそれが確実に彼女の精神を摺り減らす悩みの種であったことは間違いなかった。

 

 

 

 

 

…だが、もうそんな葛藤に悩む必要は無くなった。

 

「(兄さんが生きているかまだ分からない…けど!)」

 

「(ドルマゲスさんは兄さんを殺すような人じゃなかった…!)」

 

証拠などない。レティスとディムがドルマゲスを評しただけである。……だが、ゼシカにとってはそれで十分だった。彼女はただ「彼は本当は悪い人ではない」と誰かに言ってほしかっただけなのだから。

 

「ゼシカ?どうかした?」

 

「ううん、なんでも。…ねえディム、貴方はドルマゲスさんに救われたのよね?」

 

「…だったらなんですか?」

 

「私もよ。私もドルマゲスさんには救われた。……もちろんこれで貴方の気持ちをわかったなんて思わないわ。でも…私にドルマゲスさんを信じさせてくれてありがとう。私、次にドルマゲスさんに会った時、ちゃんと笑えると思う。」

 

「…」

 

「ワシも、今の話を聞いてますますドルマゲスに会わねばならぬという決心が強まった。元はと言えばワシの浅慮が招いたあの悲劇…ドルマゲスがその尻拭いをしてくれているというならば、ワシはなんとしても奴に会って感謝と謝意を伝えねばならん。」

 

そう言うトロデの顔はいつもの短気で騒がしい老人ではなく、確かに一国の主を思わせる精悍な男性であった。トロデが時折見せる「王」の顔。エイトはそんな主君の覚悟を受けて襟を正す。そんなエイトたちの姿を見て他のメンバーもようやく落ち着きと自信を取り戻した。

 

『みんな元気になった!やっぱり父さまって、スゴイ!』

 

「ありがとう、ディム。…きっと君からすれば不本意だろうけど…おかげで僕らはドルマゲスさんに会う覚悟が固まったよ」

 

ディムはものすごく嫌そうな表情を浮かべ、こちらに何かを言おうとしていたようだが…結局その言葉を飲み込み、またため息をついた。

 

「…僕はこれから闇の世界であてのない旅に出ます。あなた達とは二度と会うこともないでしょう。…ドルマゲスに…『おじさん』に会うことがあればお伝えください。『センスないですね』と。」

 

「…わかった。」

 

エイトは小さく笑みを浮かべてディムの言葉を預かる――きっと彼は彼なりにこちらに歩み寄ってくれたのだろうと信じて。ディムがまたそっぽを向くと、それを合図と見てレティスが自然に話を受け継いだ。

 

『…時間も無限ではありません、次に進みましょうか。…神鳥の力を貸す…とは言いましたが、「破れ目」の性質上、私はあなた方と一緒に光の世界に向かうことはできません。そこで我が子であるラミアをあなた方に同行させましょう。』

 

「レティスの子…あのちっこい鳥のことでがすね」

 

「おいおい、『ちっこい』っつったってレティスに比べての話だろ?翼を広げりゃ普通に馬車くらいはあるぜ、ありゃ」

 

『ラミアです!皆様これからよろしくお願いします!』

 

「あら、でも元気で良いコそうじゃない?」

 

「背に乗るには…少し心許ないねえ。どう力を貸してくれるのかね」

 

どうやらラミアという名の神鳥の雛が仲間になるらしいということが分かり、一行はにわかに活気づく。ドライに振舞っているゲルダですら、腕を組んだその指の先はそわそわと動いている。

 

『ラミアはまだ生まれたての雛鳥ですが、それでも神鳥の子です。無尽蔵の体力を以てあなた方をその背に乗せ、馬車を掴んで世界のどこへでも連れて行くくらいはわけもないでしょう。』

 

「ちょ、ちょっと待ってくれんか!水を差すようで悪いが…姫を鷲掴みにしたまま大空を飛ぶというのはなんとも…姫があまりにも可哀想ではないか!」

 

ミーティアはそんなこと気にしないという風に鼻を鳴らしたが、親バカのトロデにとっては譲れない問題だ。確かに、毎回姫君を獲物か何かのように掴んで飛び回るというのは背に乗っている側からしても気を遣う話である。

 

『…失礼しました。確かに配慮が欠けていましたね。それではラミアには念力で馬車を運んでもらうことにしましょう。』

 

『念力が使えると言っても、戦闘力はぜーんぜん無いのでそっちの期待はしないでくださいね!』

 

「ま、まあそれならば…大丈夫かい?ミーティア…」

 

ミーティアは今度こそ問題ないと短く嘶いた。トロデもそれに納得し、姫の安全が保障されるなら自分からはもう言うことは無いと引き下がった。

 

『とはいえ、四六時中ラミアと共にいるのはお互いに色々と気を遣う場面が出てくるでしょう。…エイト、これを貴方に差し上げます。』

 

レティスが眩い光を解き放つと、エイトの手の中に輝きと共に小さな白い横笛が出現した。突然のことにエイトは横笛を取り落としそうになるが、なんとか手の中に納めなおしてまじまじと見つめた。

 

『それは「天空のフルート」です。ラミアの力を必要とした時、そう念じてそのフルートを奏でればラミアを召喚することができます。ぜひ、世界の為にお役立てください。』

 

「…承知いたしました。ありがたく頂戴します。」

 

我が子を他人に預ける。もう見ず知らずの関係ではなくなったとはいえ、それでもおいそれとできることではない。しかも自分たちはレティスが最も信頼を置く人間(ドルマゲス)ですらないのだ。

 

…ラプソーンを倒すためにレティスが懸ける思いもまた並々ならぬものなのだろう。

 

エイトはかつてトロデから姫の近衛の証である「兵士の剣」を受け取った時のことを思い出しながら、最上の敬意を持ってフルートを拝領した。

 

 

『では、早速皆さんを元の世界へ帰します。私が開く「破れ目」を通ればまた光の世界のレティシア地方に出るでしょう。まずはラミアの力を使い、妖魔ゲモンを追うのです。』

 

「わかりました。色々と…本当にありがとうございました。」

 

「レティス…遅くなりやしたが、ありがとうごぜえやす。アッシ、これからも兄貴の為に頑張れそうでがすよ」

 

『頼りにしていますよ。』

 

レティスは両腕で自慢げに力こぶを作ってみせたヤンガスに微笑みかけた。

 

「おじさんの役には立たないかもですが…まあせいぜい足は引っ張らないでくださいよ。」

 

「へっ、最後まで口の減らないガキだぜ」

 

「偽物の兄さん、あなたはもうちょっとご自身の性格を見直した方がいいですよ。聖職者とは何なのか、辞書でも引いてみることをお勧めしますね」

 

「うへぇ、お前と喋ってるとマルチェロのあのイヤミったらしい顔が思い浮かぶようだぜ。あー、やだやだ」

 

「ほーら、ククール行くわよ!」

 

「ではな!神鳥レティスよ!いつかまた会おうぞ!」

 

『母さま、行って参ります!』

 

レティスは微笑んだまま黙って頷き、一行の目の前に「破れ目」を作り出した。エイトたちはレティスに手を振って破れ目を通っていく。

 

そして破れ目が閉じる間際、レティスはラミアにだけ届く念波で短いテレパシーを送った。

 

お父さんによろしくお願いします、と。

 

 

「…行きましたね。まったく、おじさんはなんであんな人たちを懇意にしてるんでしょうかね?僕には甚だ理解し難いですが。」

 

『まあまあ、ドルマゲスにはドルマゲスの思惑があるのですから。それに彼らが「神の加護」を受けた不死身の戦士たちであることは疑いようもありません。彼らは必ずあの人の役に立ってくれることでしょう。』

 

「神鳥様がそう仰られるのであれば…そうですよね、僕だけいつまでも意地を張っているわけにもいきませんか。うん。」

 

付き合いこそ短いが、ディムはラミアに初めてできた友人である。レティスは我が子に向けるような優しい眼差しで自分の気持ちに整理をつけるディムを見守った。

 

『さて、では貴方を送り届ければ私のひとまずのやるべきことは終わりですね。行きましょうか、ディム』

 

「はい。よろしくお願いします。…そうですね、僕自身行き先に特に希望はありませんが…とりあえずトラペッタにお願いします。」

 

ディムは失礼します、とことわってからレティスの背に乗ると、彼女は再び大空に舞い上がり、闇の彼方へすぐに見えなくなった。

 

 

─光の世界・レティシア地方─

 

「か~っ!お天道様がまぶしいでがすなあ!兄貴!」

 

「うん、そうだね。」

 

「やっぱりこっちの世界の方がオレは居心地がいいな。アッチの世界はなんというか、どこを見ても同じような色彩で気が滅入るぜ」

 

闇の世界での一幕を終え、光の世界に帰って来た一行。先程のあれこれが集団催眠や夢幻の類でないことは、馬車の上でキョロキョロと物珍しそうに辺りを見回しているラミアの存在が証明している。

 

「さて、この大陸に用はもう無いし、そろそろ行くかい?…といっても、どこに行けばいいのかは見当もつかないけどね。」

 

「そうだね。妖魔ゲモンを追うにしても、まずは手掛かりを……っ!?」

 

「ん、どうしたでがすか、あに…き…!?」

 

背後に感じた微かな気配を察知したエイトが後ろを振り返り、それにつられてヤンガスたちも振り返る。そしてその目線の先…レティスの止まり木の下で佇んでいたのは三つの影。

 

「…こうも都合が良すぎると参るぜ。勘ぐらなくていいことまで勘ぐっちまう」

 

「…あ……え…?」

 

「おい、おいおいおい…!」

 

ある者は決意を固め、ある者は怒りを滾らせ、ある者は滂沱の涙を湛える。つい先程一行の仲間に加わった神鳥は人影を見て歓喜の声を上げた。

 

 

 

 

「ごきげんよう、勇者の皆様」

 

「ゼシカ…!」

 

「…」

 

ゼシカを見て涙を流しながら立ち尽くすサーベルト、慇懃な態度を崩さないドルマゲス、そしてドルマゲスにくっついて明後日の方向を見ているユリマ。

 

彼らと勇者の邂逅により、物語は最終局面へと向かう。

 

 

 

 

 

 




原作との相違点

・ドルマゲスの正体が(ほぼ)明かされた。
ドルマゲスは自分でネタバラシするつもりだったが、恩人であるドルマゲスが勇者たちに誤解されたままであることに耐えかねたレティスとディムによって彼が善人であることが語られた。神鳥の杖との接続を通してラプソーンの思惑を知ったゼシカからの情報により、元からエイトたちは彼が黒幕でないことを知ってはいたが、ただの被害者の一人としてしか認識していなかった。今回、自分たちを遥かに凌駕する度量と実力の持ち主だということがわかり、エイトたちは戦慄している。U.S.A.や彼の仲間、光の世界でのこれまでの功績、今後の目的などはまだ明かされていない。

・神鳥の子が仲間になった。
原作では既に死亡しているため魂だけの存在としてアイテムになっていたが、今回はドルマゲスの奮闘により回りまわって神鳥の子の命は救われ、勇者パーティに同行することになった。まだ生まれたての為に戦闘力は皆無で、生身のキラちゃんと死闘を繰り広げられる程度の強さしかない。大好きな母さまと父さまからの言いつけは「彼らに力を貸しつつ、大きな世界を見て回って神鳥として成長なさい」。勇者たちに対しては特に思うところはない。

・「神鳥のたましい」の代わりに「天空のフルート」を手に入れた。
元はDQⅪで登場するアイテム。Ⅺの伝説が残るⅢ…の世界から来たレティスならもしかしたら知っていてもおかしくはない…かもしれない。この世界では使用することで世界のどこからでもラミアを召喚し、大空に繰り出すことができる。勇者たちがラミアから降りると自動的にラミアを元居た場所に送り返す機能までついている。



レベル:変化なし



ラミアはレティスとドルマゲスの言いつけにより、勇者たちに呼び出された時には無条件で力を貸すことになっており、普段は単身で世界中を飛び回るつもりでいます(当然ラプソーンに目を付けられないようドルマゲスから厳重に忠告を受けている)。



ゲルダ「えっ、あんたら死んでも生き返れるのかい」
ゼシカ「うん、勘だけど多分ゲルダさんも生き返れると思うわ、勘だけど」
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