ドルマゲスに転生してしまったので悲しくない人生を送りたい   作:えにぃ

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Chapter45 サヴェッラ地方 ①

闇の世界からの帰還するやいなや待ち伏せしていたドルマゲスとのご対面となった一行。これまでの軋轢を清算して協力体制を組むべくドルマゲス達と会話を重ねることで和解を果たし、長かった旅の最初の目的を達成する。しかし肩の荷が下りたのも束の間、ドルマゲスは仲間からの連絡により血相を変えた。内容は「邪悪の力を持つものが二か所同時に出現し、賢者を狙っている」という衝撃的なものだった。一行を危険度の低いと思われるベルガラックに寄越そうとするドルマゲスに待ったをかけたのは…より危険なもう一箇所、サヴェッラ大聖堂に育ての親がいるククールだった。

 

 

 

 

 

待ってくれ、とドルマゲスの話を遮ったククール。意外なことに、待ったをかけた彼自身が一番そのことに驚いていた。考える前に口が動いていた、と表現する方が正しいだろうか。

 

「オレたちに、行かせてくれ。サヴェッラ大聖堂へ。…院長の所へ」

 

「ククール…」

 

ドルマゲスは眉を下げて困ったような表情を浮かべる。それは発露した感情にも見えるし、少々わざとらしい演技のようにも見える。

 

「ククールさんのお気持ちは分かります。ええ、分かりますとも。ですので限られた時間ではありますが今我々が置かれている状況について少し詳しくお話し致しましょう。」

 

「…」

 

「私達がサヴェッラ大聖堂がより危険だと考えたのは単純にそちらの方が闇が濃い…ということが『暗黒大樹の葉』の能力で判明したからです。一般に濃い闇を放っている方がより戦闘力も高く脅威的な存在を示していると考えて良いでしょう。我々U.S.A.の実験によりそれは既に判明しております。」

 

かなり取り乱しているククールだが、それでもドルマゲスの話を黙って聞く理性は残っているようだ。

 

「その上で、です。サヴェッラ大聖堂には現在二名の賢者の末裔がいます。法皇様と院長様、お二方が暗黒神の手にかかるような事があれば奴は一気に力を増し、復活へ王手をかけることになります。お二方の命は何としても守り抜かねばなりません」

 

彼らの人柄から考えても決して死なせたくはない人ですしね、とドルマゲスは付け加えた。

 

「我々が全員で向かえれば何も問題は発生しなかったでしょうが…。あの暗黒神がそんな甘い手段を採るわけがなかったということですね。…ハッキリ言わせていただきますと、あなた方よりも我々の方が強い。我々がサヴェッラに行くのがよりお二方にとって安全な選択と言えるでしょう。」

 

「!」

 

ククールや、その後ろで控えているエイトやヤンガスは眉を顰める。こうもあからさまに格下だと面と向かって言われると思うところもある…が、暴の化身のようなユリマ、圧倒的な強者のオーラを放っているサーベルト、そして彼ら二人が心酔しているドルマゲスのことを考えると返す言葉も無い。彼の言葉を認めるほかない。

 

「当然、ベルガラックを見捨てるという選択肢はありません。ラプソーンの誤算は私が既にこの世にはいないと思っていること。…まあ、それを見越してなお二か所を同時に襲撃するとはどこまでも用心深く狡猾なヤツですが…。しかし今この場で私が生きているということは、皆様との協力が上手くいけば両方の襲撃に対処できる可能性があるということです。」

 

「しかし一方でククールさんの気持ちはよく理解できます。院長様には私もお世話になっていたことですから…失敬、この話は追々…。ですからククールさん、これは貴方に決めていただきたい。どちらに向かわれるか。私は貴方の選択を尊重しましょう。ええもちろん皆様でご相談くださって構いませんとも。しかし時間はあまり残されていないことをゆめゆめお忘れなきようお願い申し上げます。」

 

ドルマゲスはそこまで言うと一歩下がってこちらの話は終わりだと暗に示した。促されたククールは少しの間難しい顔をしたままその場で考え込んでいたが、時間はあまり残されていないというドルマゲスの言葉を思い出したのか、ゆっくりとエイトたちに向き直る。

 

「ということらしいが…お前らは…どうすべきだと思う?」

 

「アッシはサヴェッラに行くべきだと思うでがす。ククールにとって大事な人間が危ない目に遭ってるってんならそっちを助けに行かない理由はないでがすよ。」

 

考えることが苦手だと自ら豪語するヤンガスが間髪入れずにククールの問いに答えると、他の面々も続々と自分の考えを述べ始めた。

 

「アタシは断然ベルガラックだね。危険な場所と安全な場所どっちがいいかと聞かれて、危険な方を選ぶ理由が理解できないよ。」

 

「賢者様と最も親しい間柄であったのはククール様…であればミーティアは全てをククール様に委ね、お供いたしますわ。」

 

「オディロ殿にはワシらも世話になったからの…できればサヴェッラに馳せ参じて恩返ししたいものじゃが…」

 

「でも、実際問題、私たちより兄さんたちの方が強いわ。本当に院長さんの事を思うなら、ここは兄さんたちにサヴェッラ大聖堂を任せて私たちはベルガラックに向かうべきじゃない?」

 

「僕もゼシカと同意見。でも……。これはククールに決めてもらいたいな。これは僕ら全員の問題であると同時に、オディロ院長のことはククール個人の問題でもあるから。」

 

「!」

 

エイトやトロデ、ミーティアは知っている。巨悪によって滅びていく故郷を前にどうすることもできない悔しさを。ゼシカは知っている。自分の大事な家族が奪われる悲しさを。ヤンガスとゲルダもまた知っている。己の矜持が傷つけられることの辛さを。だからこそ、ククールに委ねるというエイトの提案に仲間たちは素直に頷いた。

 

「そうか……いや、そいつを聞いて安心したぜ。」

 

仲間たちの話を聞いて多少頭が冷えたか、冷静さを取り戻したククールはいつもの調子を取り戻してくつくつと笑った。

 

「ドルマゲス…オレたちはサヴェッラに向かう。絶対に院長を死なせたりしない。だから、行かせてくれ」

 

「…承りました。考えてみれば、ラミアを擁する皆様の方が我々より現着は早いでしょうしね。ではこちらを渡しておきます、これで詳しい場所は確認してください。」

 

ドルマゲスはいつの間に取り寄せていたのか、手のひらほどの大きさがある暗紫色の葉をククールに手渡した。『暗黒大樹の葉』である。

 

「これ…アンタたちは無くても大丈夫なのか?」

 

ドルマゲスは大仰な動作で肩を竦めてみせた。…彼がそう知ってやっているのかそうでないのかは本人のみぞ知るところだが、その動きは実に胡散臭く、先ほどの和解を経てもなお、腹に何か黒いものを抱えているのではと勘ぐってしまいそうなほどである。とはいえ今はドルマゲスにとっても緊急の事態であるはずであり、この期に及んで妙な小細工はしないだろうと踏んでククールは素直に葉を受け取った。

 

「葉は一枚しかないので、結局のところ誰が持っていても同じなのですよ。まあ、私からの贈り物だと思っていてください。…さあ、そうと決まればすぐに参りましょうか。」

 

「ああ。…感謝するぜ、ドルマゲス。」

 

「こちらこそ、皆様のご協力に感謝いたします。院長様と法皇様をよろしくお願いいたしますね。」

 

「ドルマゲスさん、もう始まってるみたいですよ」「えっ」

 

「何だって!?悠長なことを言ってる場合か!ユリマ、覗いてないで早くイデアを広げてくれ!」「いちいち指図しないでくださいよ」「じゃあなゼシカ!また会おう!」「本当に最低、聞いてないし」

 

「…とのことなので私もすぐにベルガラックに向かいます。…皆様、共に力を合わせて絶対にラプソーンを打ち破りましょうね!…では失礼」

 

そう言い残すとドルマゲスはサーベルトに続いて足早にユリマの開いた次元の穴を抜け、最後に残ったユリマもエイトたちには目もくれずに穴と共に消えていった。

 

 

 

「行っちゃった…」

 

「結局、わかったようなわからないような人間だったね、ドルマゲスってのは」

 

「ドルマゲス様はそういうお方、きっとそのミステリアスさもあの方の人間的魅力なのですわ。」

 

「さ、僕らも行かなきゃ。結構、時間も無いみたいだし」

 

「…ああ。すぐに向かおう」

 

「ラミア、早速だけど頼めるかな?」

 

『父さまに任されたお仕事!いつでも行けますよ!あ、でも場所はわかんないから案内はお願いしますね!』

 

「もちろん。じゃあみんな、馬車に乗って!急いでサヴェッラ大聖堂に行こう!!」

 

一行が馬車に乗りこむとすぐにラミアは黄金の翼を翻して舞い上がり、念力で浮かべた馬車を自身の背に固定すると超スピードで台地を飛び出した。

 

 

馬車の中。現在エイトたちを乗せた馬車は大空を飛んでいるはずだが、ラミアの念力のおかげなのか風の影響も揺れも無く、驚くほど快適である。サプリメントの効果が切れて馬の姿に戻ってしまったミーティアは荷車の前に、トロデと、地図を見ながらラミアに方向を指示するエイトが御者台にいた。そして残りの四人は馬車の中である。

 

「ククール、その暗黒大樹の葉ってどう使うの?」

 

「確かに、使い方は知ってるのかい?」

 

「…しくじったな、ドルマゲスに聞いときゃ良かったぜ」

 

ゼシカとゲルダの問いにククールは頭を掻く。普段の彼ならこうした細々した抜けは見落とさない。やはり焦りで少し注意が散漫になっているな、とククールは内心で自省した。

 

『祈るんですよ、ククールくん』

 

「ラミア!?」

 

『平和への思いを、光を尊ぶ心を込めて祈るんです。そうすればきっと闇の居場所がわかりますよ!』

 

母さまからの受け売りですけどね、とラミアはちょっと恥ずかしそうに付け加えた。

 

「いや、使い方がわかっただけで十分助かる。感謝するぜラミア。…任せろ、こう見えても祈るのは大得意さ」

 

「ああ、そいやククールは聖職者サマでがしたね。こう見えて」

 

「そうよ、ククールはマイエラ修道院の聖堂騎士なの。こう見えて」

 

「うるっせーなお前ら」「いいから、集中しな」

 

「…」

 

ゲルダに急かされ、ククールは口をとがらせながら暗黒大樹の葉を握りしめる。しかし祈りに対する真摯さは本物なのだろう。すぐに目を閉じて葉を両手で持ち、胸の前で掲げた。

 

「…」

 

その堂に入った祈りの様は、どう揶揄ってやろうかと考えていたヤンガスを思いとどまらせるほどであった。

 

「…何か変わったか?何も特別な気配は感じなかったけどな」

 

「あっ、こっち見て!地図が!」

 

ククールの祈祷が終わり、何か変わったことはないかと周囲を見回していたゼシカが淡い紫色の光を見つけた。光源はエイトがかつてオディロ院長から貰ったいつもの世界地図…ではなく、もう一つの世界地図…キャプテン・クロウより託された「ひかりの海図」である。海図の上にはいくつかの紫色の光球が浮かんでおり、それらが現在進行形で移動している。

 

「なるほど、これがドルマゲスの言っていた『邪悪な闇の力』か。確かに見てるだけで軽く寒気がするぜ」

 

「私たちはレティシアから出て、サヴェッラがえーっと…アレ?どこ?」

 

「地図の事ならアタシに任せな。………ん、サヴェッラ大聖堂がここ。ラミアのスピードがわからないから細かい場所はわからないけど、アタシらがいるのは多分…ここら辺だろうね。」

 

ゲルダは地図上の海をその陶器のような白い指で楕円形になぞる。その先には一際大きな光球が浮かんでいた。全員が同時にその光球を認識したのか、一瞬誰もが言葉に詰まる。

 

「ドルマゲスさんの言う通り、サヴェッラ大聖堂に向かってるこの光球の方が、ベルガラックにある光球よりも少し大きいわね…」

 

とはいえ、ベルガラックの光球も星屑の如く散らばった他の豆粒のような光球と違い、よく熟れた林檎ほどの大きさを持っている。どちらを選ぼうと激戦は必至だろう。しかし、ドルマゲスの言い分ではこれから自分たちが対峙するのはラプソーン…つまりは杖を持つ魔物、ゲモンである。雪山での一戦を思い出したのか、ゼシカたちは身を固くした。

 

「ゲモン…ってのはそんなに強かったのかい?…まあ、そんなのは、今のアンタらの顔を見りゃ一目瞭然なんだけどさ」

 

「率直に言って、バケモノさ」

 

「圧倒的な筋力と魔力で全部をねじ伏せられたでがす」

 

「そして、とんでもなく邪悪でずる賢いわ。性格の悪さだけならラプソーンも超えるかもね」

 

身体を引き裂かれたククールにも、全身が炭化するまで炎を浴びせられたヤンガスにも、腰を砕かれたゼシカにも、ゲモンとの戦い、そして敗戦は小さくないトラウマとなっている。

 

「…だが、そのゲモンが院長や法皇を襲おうとしてるってんならまあ、オレが動かないわけにはいかないのさ。……院長はこんな命の使い方を認めないだろうが、オレはあの人にならこの命、喜んで差し出すぜ」

 

「見上げた根性でがす!アッシも協力させてもらうでがすよ!」

 

「意外ね。アンタって女の子以外にもそういうこと言えるんだ。見直したわ。」

 

「そういうことだ。言っとくが、お前らを付き合わせて悪いなんてオレはこれっぽっちも思っちゃいないからな。なんせオレは今までずっとお前らの旅に文句の一つも無く付いていってやったんだからよ。」

 

「…でも一言多いのよねー。」

 

「やれやれ、アンタらについてきたのは間違いだったかねえ」

 

「みんな!サヴェッラ地方が見えてきた!そろそろ準備をお願い!」

 

呆れ顔のゲルダにククールが何か皮肉を飛ばしてやろうかと考えていたところで御者台にいるエイトの号令がかかり、ヤンガスたちは来たる決戦に向けて装備を身に纏い、道具の点検を始めた。

 

「降りるか?今ならまだ間に合うぜ」

 

そんな中、ククールはゲルダに対し挑発的にニヤリと笑いかけたが…ゲルダもまたその挑発を鼻で笑い返した。

 

「ジョーダンじゃない。ここで退いたらアタシゃ一生笑い物だよ」

 

「いいね、頼りにさせてもらうぜ?パルミド一の女盗賊さんよ」

 

否。今までのゲルダならこの時点で冒険から手を引くことも十分考えられた。なんせ彼女の今のモットーは「命あっての物種」なのだから。しかし彼女がそれをしなかったのはやはり…。ヤンガスは悪友の密かな成長を内心喜ばしく思いながらも、照れ隠しのゲンコツが飛んでくる可能性を考慮してその続きを考えることはやめておいた。

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

―サヴェッラ大聖堂・法皇の館―

 

「………。」

 

「昇降機の封鎖、完了致しました!マルチェロ隊長!」

 

「ご苦労、では警備に戻れ。巡回中、不審な人物を見つけたら即刻捕らえろ。ただし手荒な真似はするなよ。……院長様と法皇猊下がそうせよと仰られたからな」

 

「はっ!」

 

足早に立ち去る部下の背を目で追うこともせず、すぐに踵を返してカツカツと小気味よい靴音を鳴らしながら歩き続けている男の名はマルチェロ。かつてマイエラ修道院の「神の剣」こと聖堂騎士団の団長だった男であり、現在はニノ大司教の側近を経て「神の盾」こと法皇護衛隊の隊長を務める男。そして聖堂騎士ククールの兄でもある。

 

 

「………。」

 

 

名門の出が集う聖堂騎士の中、平民の、しかも孤児の身のまま聖堂騎士に、さらにその上の法皇護衛隊の隊長にまで抜擢されるのは非常に異例、かつ大変名誉なことである。しかしマルチェロの心は満たされない。満たされることなどない。

 

 

「(なぜだ…オディロ院長、何故貴方はこの大聖堂に来られたのだ…。)」

 

 

マルチェロは頭がよく、同時に狡猾な男だった。護衛隊長に上り詰めたのもただの実力ではない。確かに彼は剣術に優れていたし、座学の成績も良かったが、その上で彼は裏で収賄や弾圧などの悪事にも手を染めることで着実に成り上がり、ニノ大司教からの信頼を得、護衛隊長への推薦を受けたのだ。そしてそれすらも彼が法皇に就任するための足掛かりに過ぎない。

 

 

「(貴方が来られなければ法皇が倒れるのを待ち、ニノ大司教を追い落として私が法皇になれていたというのに…)」

 

 

法皇はいと徳高き尊い人間だ。マルチェロもそれは理解している。だが、ただそれだけだ。世の無常を嘆き、祈ることしかできないただの僧。ニノ大司教などはもっと話にならない。高僧の地位にいながら金と権力に溺れる、最も唾棄すべき人間だと考えていた。

 

 

「(やはり貴方には何もかもお見通しだったとでもいうのか…?)」

 

 

だが、この世でたった一人。マルチェロはオディロ院長にのみ、全く頭が上がらなかった。師であり父。身寄りを失くして生きる意味を見出せなかったマルチェロに持てる全てを尽くし、全幅の愛を注いでくれた唯一の人間。非情で狡猾なマルチェロと言えど人の子であり、大司教や法皇に向ける視線と同じものを、院長にはどうしても向けることができなかった。

 

 

「………。」

 

 

オディロ院長がこの大聖堂に突然姿を現したのはつい数日前の事である。何者かに命を狙われ、単身はるばる逃げ延びてきたという院長。すぐに駆け付けたマルチェロはすぐにその言葉にウソが混ざっていることを見抜いた。嘘をつくときは視線が右上を彷徨う院長の癖を知っているのは彼と彼の弟のみである。院長が何を目論んでいるのかは知らない。何も今更法皇の座が欲しくなったということはないだろう。なにせ彼は一度法皇の座につくことを法皇本人から打診され、それを固辞しているのだ。

 

 

「(あるいは……旅芸人ドリィ、貴様の差し金か)」

 

 

マルチェロがマイエラ修道院から聖地ゴルドへ、そしてサヴェッラ大聖堂へと移籍してきたのは法皇の無二の友人であるオディロの進言により成ったものであるが、実際はそうするように院長に頼み込んだドルマゲスの意向を汲んだものである。意外にもというべきか彼ならば当然というべきか、マルチェロは自身の持つ広大な裏のコネクションを活用し、ドルマゲスがククールにその正体を明かすずっと前から、院長とドルマゲスがつながっていることを見抜いていた。

 

 

「(オディロ院長と旅芸人ドリィ…ドルマゲスは繋がっている。彼ら同士は敵ではないはず。つまりドルマゲスが院長を裏切ったか、院長を狙う者が別にいるということだが…)」

 

 

オディロ院長の思惑に関係なく、もし今ここでマルチェロの当初の思惑通りに法皇が倒れることがあれば、間違いなく世論は次期法皇にオディロを選ぶだろう。つまりそれはマルチェロの野望がまた数十年遠のくことを意味する。それはマルチェロにとって耐え難いことだった。

 

 

「(だとすればそれは一体――――)」

 

 

 

ガシャーーー…ン!!!

 

 

 

 

「ひぃっ…!ば、バケモノー!!」

 

「敵襲!敵襲ゥーッ!すっ、全ての衛兵・護衛隊・騎士団に集結するよう伝達せよ!」

 

「急ぎマルチェロ隊長に伝えるのだ!」

 

 

 

マルチェロに考える時間は与えられなかったし、その必要も無かった。なぜなら、その()()が今この瞬間到来したからである。

 

 

 

「グハハハ……ゴミ共、賢者はどこだ?正直に言えばその汚ェ脳漿を床にブチまけるだけで許してやるぞ…?」

 

 

 

 

 

 




原作との相違点
・三角谷スキップ。
本来であれば暗黒大樹の葉を手に入れるために人跡未踏の森にある三角谷へ赴くのだが、今回はドルマゲスから直接暗黒大樹の葉を受け取ったので三角谷のイベントをまるまるスキップし、直接ラプソーンを追うことができるようになった。しかし実際ラプソーンは原作よりも強化されており、追いつけたところで今の勇者たちでは敵わない可能性が高い、かつ賢者の場所も分かっているので葉っぱが無くても問題は無さそうな気がする。ドルマゲスも、敵が動き始めるタイミングを見計らう目的で葉を使っていた(流石に二か所同時は想定していなかったが)。

・マルチェロのあれこれ。
原作ではオディロの死後、自らの意思で教会中央に進出していくマルチェロだが、今回はドルマゲスが顔を合わせたくないという理由だけでオディロによって聖地ゴルドに飛ばされた(第十三章参照)少し可哀想な元・聖堂騎士団長。オディロが生きているので原作ほどの暴走はしていないが、それでもニノ大司教と組んで色々と悪いことはやってきた模様。権威主義の世界を実力主義の世界にひっくり返すという野望は健在だが、そのためなら法皇を殺害したりニノ大司教に濡れ衣を着せて流刑に処したりすればいい、と考える原作ほどの邪悪さはまだない。

・ゲモン。
吐き気を催す邪悪、再び登場。もちろんラプソーンの封印された「神鳥の杖」も持参している。



レベル(変化なし)

エイト
レベル:36

ヤンガス
レベル:36

ゼシカ
レベル:36

ククール
レベル:36

ゲルダ
レベル:37



・ドルマゲス
和解したはずなのにおどけた仕草のせいで未だになんとなく胡散臭い印象を持たれてしまっている道化師。あの場で勇者たちのレベルを確認する時間と術があったならば、彼らを単身でサヴェッラに送り出すことはなかったかもしれない。

・サーベルト
茶会中、ほとんどゼシカとドルマゲスしか見ていなかった世界最強の戦士。基本的に人格者なのだが、妹と親友が一気に関わるとあまり良くない相乗効果を引き起こすようである。軽薄そうな印象を与えるククールがゼシカにちょっかいを出さないか心配している。

・ユリマ
なんかずっと機嫌が悪い。
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