ドルマゲスに転生してしまったので悲しくない人生を送りたい   作:えにぃ

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兵士の剣がどうのつるぎより弱いのわけわかんないんですよね。これはもうトロデが軍事費をケチりにケチってたとかくらいしか考えられないですよねぇ…。まあそれがまかり通るくらい外交的に平和な国だということでもありますが。しかしあの装備でトロデーン城付近の魔物と戦おうと思ったら、一師団くらい率いて突撃しないと勝てないと思うんですけど…









第 話 『ユリマ』

 

 

 

 

 

 

 

 

ああ 神様 私の人生は"孤独"です

 

 

 

 

 

私は夢を見た。舞台はトラペッタ。主人公は私。何の変哲もない一日を過ごすの。お父さんがいて、町の人がいて。

 

 

でも何か足りない。大切なものが足りない。思い出せそうで、思い出せない。太陽が落ちる頃になると私はいつの間にか自分のベッドの中にいて、また太陽は昇り始めるの。

 

 

足りないのは何だろう?私は町を歩いた。自分の家、武器屋さん、道具屋さん、防具屋さん。まだ入ったことのないお酒屋さん。うーん違う。

 

 

石段を下りて広場に出る。町の外れにある一軒家が目についた。あれ…?あの家は誰の家だっけ。思い出せない。

 

 

あ…もう夜だ。私はまたベッドから目覚め、先ほど沈んだ太陽が反対側からまた顔を出す。

 

 

お父さんも町の人も、私が話しかけても何も言わない。ただニコニコと私を見つめるだけ。私は町の外に出た。いい天気。私は少し散歩することにした。

 

 

少し歩いたところで見覚えのある場所に着いた。懐かしい!昔ここでピクニックをしたなぁ。お弁当が美味しくてついつい食べすぎちゃったんだっけ。…あれ?誰と?

 

 

あ…もう夜だ。私はまたベッドから目覚め、先ほど沈んだ太陽が反対側からまた顔を出す。

 

 

広場に出ると角の生えたウサギや大きな口のコウモリがいた。わ!魔物…!いや、違う、違う。あれは大丈夫な魔物。この町を守ってくれる機械の…そう、せきゅりてぃさーびす。えーと、いつからいたんだっけ?

 

 

あ…もう夜だ。私はまたベッドから目覚め、先ほど沈んだ太陽が反対側からまた顔を出す。

 

 

何が足りないのか、どうしても気になる私は自分の家を探すことにした。まずはタンス。わあ、この服。お父さんにねだって買ってもらったんだよね。こんなところにあったんだ。まだ着られるかな?少しきついかな。いつ着たんだっけ。

 

 

あ…もう夜だ。私はまたベッドから目覚め、先ほど沈んだ太陽が反対側からまた顔を出す。

 

 

リビングも探してみよう。あ、私の杖がこんなところに。ちゃんとしまっておかないとな。でも、魔法の勉強は疲れるから帰ってきたらすぐに寝ちゃうもん…魔法?誰に教わってるの?私。

 

 

あ…もう夜だ。私はまたベッドから目覚め、先ほど沈んだ太陽が反対側からまた顔を出す。

 

 

これはお父さんの水晶玉?確か滝壺に捨ててきたって…ああ、あの人に取ってきてもらったんだよね。私が頼んだんだった。思い出した。

 

 

思い出した…?何を?私は急いで窓の外を見た。太陽はもう地平線へ沈もうとしている。いや!もう少しで何か掴めるのに…!何か、何かないの?

私は自分の部屋へ駆け込んだ。いつもベッドから出るとすぐに外へ出ちゃうから、自分の部屋はちゃんと探してなかったかも。

私の本。私の服。私のカバン。私の机。…の上にある花瓶。…に活けてある8本の花。

あれ…。この花、確か名前はバラ。斑模様の綺麗な植物。花言葉は、『貴方の思いやりに感謝します』『可愛い人』それと────。

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

「ど、ドルマゲスさん!!!!」

 

 

私は自分の声で目が覚めた。そうだ。全部思い出した。私のピエロさん。私の恩人さん。私の、大切な人。

あの人はライラスさんと一緒にトロデーンに旅立って、それで…

 

 

「ゔっ」

 

 

私はお父さんの占いで見た光景を思い出し、胃の内容物が込み上げてくるのを必死で抑えた。違うよね。ドルマゲスさんはあんなことしないよね。ライラスさんは厳しいけど優しい人だもん。

 

 

でもお父さんの占いが外れたことはないし、私がこの前見た夢も…

 

 

いやいや。私は悪い考えを振り払うようにベッドから出て着替え、リビングに向かった。階段を下りるとちょうどお父さんが家に帰ってきた。

 

 

「ユリマ…!もう、大丈夫なのか?」

 

 

「うん、いっぱい寝ちゃったみたい。でもおかげで元気!心配かけてごめんなさい。」

 

 

「いい。俺もお前への配慮が足らず、悪かった。」

 

 

その時、遠くでギイィ…という音が聞こえた。門が開く音!二人が帰ってきたんだ!!

私は家を飛び出した。

 

 

「ユリマ!?」

 

 

「お父さーん!ドルマゲスさんたちが帰ってきたのよ!私、迎えに行ってくるー!」

 

 

「ユリマっ…」

 

 

私が門に到着した時には二人はいなかった。代わりに道具屋のおじさんがいる。

 

 

「おじさん、ドルマゲスさんはいませんでしたか?」

 

 

「ドルマゲス?さぁ…でもそろそろ帰って来るんじゃないのかね。」

 

 

そうだよね。少しがっかりしたけど、ちょっと寄り道してるだけかも。だって、ドルマゲスさんは旅行が大好きだし。ライラスさんもなんだかんだ言って、最後にはドルマゲスさんについて行っちゃうんだから素直じゃないよね。

 

 

私が家に帰ると、ちょうどまた門が開く音がした。あっ!今度はドルマゲスさんたちだ!

 

 

でも行ってみると誰もいなかった。武器屋のおじさんが外に届いた物資を取りに行ったんだって。あれぇ…?

 

 

それから何度も門を見に行ったけど、二人は帰ってこなかった。体調が悪くてどこかで休んでいるのかも。私は心配になった。

 

 

「お父さん!私、ドルマゲスさんを探しに行ってくるわ!」

 

 

「ユリマ…!?もう夜だぞ…それにドルマゲスは…!……いや、なんでもない」

 

 

「でも、ドルマゲスさんたちはどこかケガをしてトラペッタに帰ってこられないのかもしれないわ!私が見つけてあげないと…」

 

 

「ユリマ」

 

 

お父さんが私の目を見つめて強い調子で言うからびっくりした。

 

 

「ドルマゲスの場所は…俺が今夜酒場の仲間たちに相談してやる。だからお前はもう寝なさい。健全な魔力は健全な肉体に宿ると、…ライラスも言っていただろう。」

 

 

「…うん」

 

 

私は二人を探しに行きたかったけど、やっぱり一人で夜の草原を歩くのは少し怖い。ごめんなさい…。

私はベッドに入り目を閉じた。明日にはきっと二人は帰ってくるよね…

 

 

 

 

私は夢を見た。目の前には会いたかったドルマゲスさん!…と知らない人。ドルマゲスさんの知り合い?

やっと会えたのに、ドルマゲスさんは悲しそうな顔をしている。何か、嫌なことあったのかな…私に何かできることはないのかな…

 

 

「ふわぁ…おはよ…お父さん…って寝てるよね。」

 

 

今度の夢はすぐに覚めた。朝ご飯を作って食べて、お昼まで魔法の勉強。継続は力なり、って魔法に伸び悩む私にドルマゲスさんが言ってくれたの。すごくいい言葉だよね。なによりドルマゲスさんが一番頑張ってるから、私も頑張ろうって思えるの。

 

 

私が勉強していると、やっとお父さんが起きてきた!

 

 

「お父さん!おはよう!」

 

 

「…おはよう」

 

 

「ねえねえ!昨日はどうだった?ドルマゲスさんがどこにいるか分かった??」

 

 

「ゆ、ユリマ…」

 

 

「あー!また誤魔化して!また私に隠し事??もしかしてドルマゲスさんは私が寝てるうちに帰ってきてたのかな!ね!そうなんでしょう?」

 

 

「ユリマ。その、だな。」

 

 

「うふふ、大丈夫よお父さん!私怒ったりしてないから!」

 

 

私は家を飛び出して町を探し回った。民家の周り、広場、井戸の中まで。お酒屋さんの店主さんにも聞いたけど、みんな口を揃えて「見て無いね。」だって。あれぇ…

 

 

 

ドルマゲスさんはなんでいないの??

 

 

 

そんな時、門の開く音がした。あ…今度こそ…

 

 

私は最後の望みをかけて入口へと向かった。でも、そこにいたのはドルマゲスさんじゃなくて知らない旅人だった。私は深く絶望した。

 

 

「…ええと、ごめんなさい、旅人の方ですよね。ここはトラペッタです。ところどころで機械の魔物を見かけるかもしれませんが、害はないので安心してくださいね…」

 

 

私が家に帰るともうすぐ夕暮れ時だった。ああ、今日の夕飯は何にしよう。なにも食べたい気分じゃないな…。

 

 

次の日も。その次の日も。その次の日も。ドルマゲスさんは帰ってこなかった。嫌な予感が少しずつ、少しずつ私の背を這い上がる。

 

 

ほんとはドルマゲスは悪い人で、ライラスさんを殺して逃げたんだよーって。そんなわけない。

 

 

この町を捨てたんだよーって。そんなわけがない!そんなわけが……!

 

 

ずっと、私を騙してたんだよーって。そんな…。

 

 

私の見る世界はだんだんと色を失っていった。食べ物の味も感じなくなっていた。お父さんの呼びかけに空元気で返事をするのだけが上手くなっていった。

 

 

私は夕暮れも来ないうちにベッドに入った。お腹もすかない、食べ物もおいしくない。起きてても仕方ないよね。

 

 

私が本当に寝ようと思い、カーテンを閉めようとベッドから立ち上がった瞬間、目に鮮やかな『色』が飛び込んできた。これは…?

 

 

「…バラ……!ううっ…」

 

 

セピア色の私の世界で、唯一色彩を放つバラを見て。

 

 

「う…うえぇ……ど、るまげす、さん、どこにいるのぉ…うっうっ…えぇ…」

 

 

幼児のように泣きじゃくる私が花瓶からバラを一輪抜き取ろうとした時、花瓶の下に何かがあることに気が付いた。

 

 

「…?」

 

 

それは手紙だった。宛名は…私。この字は…!この字は!この字は!!

 

 

私は封を破り捨て、中身を一心不乱に読んだ。

 

 

『ハロー、お元気ですか?ユリマさん。私は元気です。ですが…わけあってしばらくトラペッタには戻ることができません。赤いバンダナの青年と山賊の風貌をした男の二人組は町に来ましたか?今ごろ逆賊として私の名は町中に広まり、皆が私を恐れ憎んでいるかもしれませんね。しかし、それで構いません。実際に私はトロデーンを滅ぼし、師匠を…この手で殺してしまったのですから。でも、それは私が望んでやったことではないです。こんなことを言っても信じられないかもしれませんが、私は貴方だけには伝えておきたかった。これから私は師匠を取り戻し、諸悪の根源を討つために長い長い旅に出ます。必ずいつかトラペッタには帰ることをここに誓いましょう。その時にはみんなに謝って、どんな罵倒も受け入れるつもりです。そしてもう一度みんなで暮らしましょう。私の毎日には師匠やユリマさん、町の人たちが必要なのです。この手紙のことは他の人には言っても言わなくても大丈夫。貴方に任せます。ではユリマさん、また逢う日まで。

 

素敵な道化師 ドルマゲスより』

 

 

「…」

 

 

私は手紙を丁寧に畳んで鞄に入れ、服やお財布や、色々なものを詰め込んだ。そして紙とペンを取り出し、お父さんに手紙を書く。それを机に置いて。ああ、杖を忘れるところだった。持つものを全部持った私はこっそり家を出た。お父さんはいなかった。

 

 

「…」

 

 

私はライラスさんの家に忍び込み、部屋を漁った。ドルマゲスさんの部屋は空っぽだったけど、ライラスさんの部屋には色々なものがある。私はライラスさんの魔導書を入るだけ入れて風呂敷に包み、背負った。大丈夫、ちゃんと返すから…。私は自分にそう言い聞かせて罪悪感を払う。そしてライラスさんの机に近寄った。机の上にあるのはたくさんの薬品。緑のは回復薬で、黄色いのは…ええと。青いのは…うん、覚えてないや。私の目当ては紫色に輝く薬。私がライラスさんに魔法を教わりに行くたび、これだけは触れるなと口を酸っぱく言われたもの。

 

 

「…」

 

 

窓もドアも締め切って暗い家の中で、心臓の鼓動が早くなるのを感じる。…私がドルマゲスさんを助けなきゃ。ライラスさんをその手で殺しちゃって一人ぼっちのドルマゲスさんを。私が助けるんだ。私でもドルマゲスさんの役に立てるんだ。

 

 

私にしか、できないんだ。

 

 

「私が…」

 

 

私は禁じられた秘薬、『大魔聖水』を一口で飲み込んだ。

 

 

「ドルマゲスさん、私が、ユリマが、いま行きます…。」

 

 

私が、わたしが。貴方を、あなたを。

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

この日、ルイネロの娘、ユリマはトラペッタの町から忽然と姿を消した。慌てたルイネロが居場所を占うも、水晶玉は沈黙したままだった。その夜にルイネロがユリマの部屋で見つけた手紙には、

「おとうさんわたしは大丈夫ドルマゲスさんを助けなきゃ行ってきます」

とだけ乱雑な文字で書かれていた。まるで神隠しにでも遭ったかのように消えてしまったユリマの足取りは未だ掴めていない。

 

 

 

 

 

 




































…ちょっと誰よユリマさんの感情にベタランブル(究極重力呪文)かけた奴~!


説明は不要の事と思いますが一応。

ユリマは自分の予知夢で極度の不安と緊張状態に陥っており、ルイネロの占いで自分の悪夢が正夢になったことと、齢18にして人体を杖が貫通する光景を見た究極のストレスで失神し、ついに気が触れてしまいます。ルイネロの声も届かず、少しずつおかしくなっていく中でドルマゲスの置手紙(ユリマがドルマゲスを探しに出ている間にドルマゲスがこっそり置いた)を読んで良くない側に決心が傾き、ライラスが決して触れるなと命じていた試作品の大魔聖水を口にしてしまった上で失踪してしまうのでした。
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