ドルマゲスに転生してしまったので悲しくない人生を送りたい   作:えにぃ

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初投稿でございます。
先日風呂に入っていると、『ドルマゲスを主人公にした転生小説を書け』と啓示が下りてきたので書きました。自分自身ドラクエⅧは好きなゲームですが、やっていたのは6年以上前なので記憶と事実に齟齬が出ることは必至です。解釈違い、設定無視、お許しください。誤字脱字は温かく指摘していただければ幸いです。
設定は今のところ3DS版準拠で行こうかな、と。















ACT1:原作開始前
第一章 道化師転生と生き抜く決意


 

 

横から突撃してくる(ハイエース)に気付くことができなかった。

 

 

俺は平凡な高校生として生きてきた。彼女こそいなかったが本心を語りあえる友達は居たし、金銭にも余裕があったので趣味に時間を費やすことができた。苦心して勉強した甲斐もあり、目当ての大学にも合格できた。そして来月から始まる大学生活に胸を高鳴らせ───。

 

 

 

 

 

 

痛くは…ない。体中がじんじんと熱いだけだ。腕はある。脚もある。意識もある。ああよかった、俺は生きている。宙を舞いながら緩やかに流れる時間の中で俺は根拠もなく胸を撫で下ろしていた。

 

 

そして撥ね飛ばされた俺の身体はしばらく空を舞い―――

 

 

―――滑らかな縁石に衝突してその頭は西瓜のごとく弾け飛び、白昼の穏やかな住宅街をスプラッターに彩ったという。

 

 

 

 

あぁ、悲しいなぁ────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────

 

 

───

 

 

──

 

 

 

 

 

 

 

目が覚めると、見覚えのない木の天井が目に入った。慌てて飛び起きると天井同様、やはり見覚えのないものばかり目に飛び込んでくる。本棚、タンス、壺…壺?何故(なにゆえ)に?

 

部屋は全面が暗いクリーム色の木材の壁で出来ている。こんな病室は…自分の知る限りは無い。さっきまで感じていた身体の痛みも無い。

 

寝起きの頭も次第にはっきりしてきた。ひとまず手触りの悪い薄っぺらな毛布を退けて、簡素なベッドから立ち上がる。

 

「!?」

 

と、強い違和感を覚え再びベッドに座りなおした。ギギィ、と不安になる音を立ててベッドが軋むが、全く以てそれどころではない。

 

「なん……だ?」

 

…身長が違う。十余年慣れ親しんだ自分の身体ではないとはっきり分かった。

 

焦る心と裏腹に穏やかな朝日の差し込む部屋の中で一人、俺はゆっくり、できるだけ自分を落ち着かせながら考えを巡らせた。

 

車に撥ねられた記憶、知らない場所、自分のものではない身体…

 

あ。

 

「…ああ、死んだのか、俺」

 

「……死んだのか」

 

「……」

 

理解はできても、ショックを受けないわけではない。昔は「転生して異世界で無双したいな」だのなんだのをよく夢想したものだが、もう二度と親や友人と永遠に会えないと思うとやはり心に来る。来るモノが大きすぎる。

 

「……うぅ…」

 

頭が痛い。フラフラする。

 

「おいっ!()()()()()!!何時だと思っとる!はよ起きぬかっっ!!…っ!?どうした…?調子でも悪いのか??おいっ!大丈夫か!?ドルマゲス!ド──…ス───…!…!?」

 

いきなり部屋に入ってきたおっさんの言葉も耳に入らず、俺は心労でその場にぶっ倒れた。

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

翌日の太陽が昇る半刻ほど前(と後に聞かされた)。

 

「夢じゃ…ない…よなやっぱり…」

 

俺は再び目覚めて左手を握ったり開いたりした後、ベッドの中に潜り、しばらくこれまでとこれからについて考えていた。自分でも少々意外なのだが、結構踏ん切りはついた。もちろん未練などいくらでもある。しかしそれは絶望し続ける理由にはならない、と割り切ったのだ。こうなったらこの世界で頑張って生きてみよう。なぁに、一度ならず何度も夢見た異世界転生じゃないか。…いや、この身体は十分成熟した身体らしいので正確には憑依転生か?しかしこの身体の持ち主の記憶や精神はどこにもなさそうだ。

 

そんなことを悶々。数時間ほど考えていただろうか、昨日部屋に入ってきてなにやら叫んでいたおっさんがまた部屋に入ってきた。

 

「おい、お前…昨日は一日中寝込んで(うな)されていたんだぞ。どこか悪いのか?今は顔色も悪くは無さそうだが…」

 

どうやらこのおっさんはこの家の家主で、俺の看病をしてくれていたらしい。もしかしてこの身体の親か親族だろうか?…しかしここで転生なりなんなりを話すのは悪手と相場は決まっている。大丈夫、ちゃんとプランは布団の中で練った。

 

「…すみません、俺、記憶を…失ってしまったみたいで…失礼ですが、ここはどこで、あなたは誰か、教えて頂いてもよろしいでしょうか…」

 

まあ何一つ嘘はついていない。現にこの身体の記憶は無いし。

眼前のおっさんはしばらく呆気に取られていたが、しばらくすると元のむすっとした顔に戻った。

 

「…何も覚えていないのか?親も故郷も、自分の名前も?」

 

「…はい」

 

「…うぅー…む、仕方あるまい…できるだけ早く記憶が戻ることを祈ろう。後で医者にも連れてってやる。では伝えるぞ。お前の名は『ドルマゲス』。わしはライラス。ここはわしの住んでいる町『トラペッタ』だ。聖地ゴルドから見て北東の大陸にあるトロデーン領の小さな町だ。お前はひと月前に魔法が使えるようになりたいとわしに弟子入りしてきた男だ。どうだ?何か思い出したか?」

 

「…!…いえ」

 

「そうか…」

 

そうため息をつくとライラスさんは黙ってしまったが、俺は平静を保つのに必死で思わず下を向いてしまった。図らずともライラスさんから見れば記憶を失って落胆しているようにも見えるかもしれない。

 

「(知ってる…!ここ、ドラクエⅧの世界…!しかも俺、ドルマゲス…!?)」

 

ドルマゲスと言えばゲーム「ドラゴンクエストⅧ」の全ての元凶。トロデーン城をイバラに包み王と姫に呪いをかけ、世界中で賢者の末裔殺害ツアーを行った狂気の道化師だ…ったはず!

 

「(ああクソ!こんなことならもっとやりこんでおくんだった!)」

 

俺にとって「DQⅧ」は数ある「やったことのあるゲーム」の一つでしかない。良ゲーであったような気はするが、人物やストーリーを細かいところまで覚えているかと言われるとそうでもない。俺はゲームは好きだが…いかんせんライト層なのだ。

 

では諦めるのか?何を?…そもそも諦めてどうなるのか。やるしかあるまい。絶望するなとついさっき決めたばかりなのだから。俺はこれからドルマゲスとして生き…いき……

 

「…」

 

ん?別にこれ原作ドルマゲスとして生きる必要なくないか?

 

「少し厳しくしすぎたか…?」とボソボソつぶやきながら朝食を取るライラスさんを横目に俺は思考を加速させる。

 

まだライラスさんが生きてるってことはトロデーンの城もおそらく元のまま…あの城の「神鳥の杖」──ドルマゲスが賢者殺害を始めるきっかけであるアイテム──に触れさえしなければ…俺が暗黒神ラプソーンに操られることもなく、平和は保たれるんじゃないか…?わざわざ修羅の道を歩む必要もない…?平和な異世界ライフが…!?

 

「…よし!!」

 

「…っ!…っ!」

 

俺が突然立ち上がったのでライラスさんはパンをのどに詰まらせてしまったようだ。申し訳ない。

 

「ゴホ…なんだ、どうしたいきなり!」

 

「ライ…師匠!俺に魔法を教えてください!!」

 

ライラスさんは俺の剣幕に少し圧倒されていたようだったが、すぐに唇を結んだ。

 

「だめだ。お前には早すぎる。あと、お前の一人称は『私』だった。人格が乖離(かいり)する前に直しておけ」

 

「は、はい…(幸先悪いな…)」

 

 

 

 

 

 

こうして、俺のドルマゲスとしての第二の人生の幕は、今上がったのだった。

 

 

 

 

 

 




一生懸命頑張りますので、これからよろしくお願いします!

※単なる興味です DQⅧ(PS2、3DS、モバイル版含む)をプレイしたことがある、またはプレイ動画を見たことがある

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