ドルマゲスに転生してしまったので悲しくない人生を送りたい   作:えにぃ

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ドルマゲスとサーベルトを模した泥人形の強さですが、マイエラ地方を警護する聖堂騎士団が集団でも太刀打ちできない程度なので、恐らくベルガラック地方の魔物くらいの強さはあるんじゃないかと思います。

2022/10/21設定資料集を更新しました。ぜひご一読を。








Chapter4 リーザス地方 ①

山の上の一軒家に住む老人との面会を終えた後トラペッタ地方を発ち、関所を通ってリーザス地方にやってきた勇者一行。リーザス地方の魔物に苦戦するも、エイトとヤンガスは力を合わせてなんとか魔物たちに対処しながら旅を続けるのだった。

 

 

 

 

「ああっ!兄貴!メタルスライムでげすよ!!」

 

「や、ヤンガス!駄目だよ大声出したら!静かに…そーっと…」

「すっすいやせん兄貴…」

 

エイトとヤンガスの目の前に現れたのは銀色に輝く流体金属の身体を持つ魔物「メタルスライム」。撃破すれば大量の経験値を得られるが、非常に臆病ですぐに逃げ出してしまう冒険者たちのアイドルだ。

 

「おおーい二人とも!そこでこそこそとやっておるんじゃ?」

 

▼メタルスライム は にげだした!

 

「「ああ~~~!」」

 

「な、なんじゃ藪から棒に…」

 

「おっさん!何するでげすか!!」

 

「王様~…!」

 

「な、何なんじゃ…!?わしは王様だぞ…!み、ミーティア~!」

 

怖い顔をするヤンガスとエイトに詰め寄られてトロデは馬車に逃げ込んでしまった。まだヤンガスは悔しそうにしているが、エイトはため息をついて切り替えるとまた進み始めた。魔物相手に一喜一憂していたら旅なんてできない。きっとさっきのメタルスライムも悔しがっているヤンガスを見てどこかの木陰から嘲り笑っていることだろう。

 

「あっ、村が見えてきましたよ!王様」

 

「なに?…ふんふん、ではあれがリーザスの村じゃろうて。立ち寄りたいのか?エイトよ。」

 

「…もしかしたら僕でも使えるいい武器があるかもしれないので、せっかくだから立ち寄ってみてもいいでしょうか?」

 

「いいじゃろう。…ここはサーベルト・アルバートの出身と思われる村じゃ。ドルマゲスの手掛かりについて聞き込みを行うとするか。」

 

「アッシは兄貴が行くところについていくだけでがすよ。」

 

「よし、決まりですね!では姫、行きましょうか?」

 

ミーティアは一声嘶くとリーザスの村の方向へ脚を向けた。

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

リーザスの村に入ると、突然鳥型の魔物が現れた。

 

「わっ!びっくりした…」

 

「兄貴、コイツトラペッタの町にもいたやつでがすよ!」

 

魔物はエイトたち…特にトロデを一瞥すると、エイトたちと入れ違いになる形で村の外へ出ていった。続いて村の奥から二人の少年が駆けてくる。

 

「おいっ!なんだお前ら!」

 

「ヨソモノだ!怪しいぞ!」

 

「え、えーっと…」

 

「なんじゃ、この小僧たちは?」

 

「わっ!喋るおっさんの魔物だぞ!おいマルク!こいつらを追い出そう!」

 

「え~でもピーチクが反応しなかったし悪い魔物じゃないんじゃないかなぁ?」

 

「誰がおっさんの魔物じゃ!!!おいエイト!この無礼な小僧たちをつまみだせ!」

 

「えぇ…そうはいってもここは彼らの村ですし…」

 

「兄貴、ここはアッシに任せてくだせぇ。…おい坊主たち、俺たちは旅の途中でこの村に立ち寄っただけだ。それをいきなり追い出そうってのは少々乱暴じゃあねぇのか?」

 

「「うっ…」」

 

「こ、これ!お前たち!ちょっと待たんかい!」

 

「!」

 

「よく見んかいこの早とちりめが!この方たちは旅のお方じゃろが!」

 

ヤンガスに怖い顔で凄まれすっかり気勢を削がれてしまった二人のところに、村人の老婆が現れて二人の少年─ポルクとマルクの頭をゲンコツでぶった。泣きっ面に蜂とはこのことである。

 

「いってぇ!」「ぎゃっ!」

 

「お前たち、ゼシカお嬢様から頼まれごとをしとったんじゃろう。全くフラフラしおってからに。」

 

「あ、いっけね。そうだった。」

 

「ほれほれ、ゼシカお嬢様からおしかりを受ける前にさっさと行かんか!」

 

「「ふわぁーい…」」

 

ポルクとマルクはぶたれた頭をさすりさすり、また屋敷の方に向かって駆けだした。エイトたちが口をぽかんと開けてそれを目で追っていると、先ほどの老婆が話しかけてきた。

 

「すみませんねぇ旅の方。あの子たちも悪い子たちじゃないんだけど…最近村に不幸があったもんで…おっと。まあ詳しい話は村の者にでも聞くといいじゃろう。この村はいい村じゃよ。どうぞゆっくりしていってくだされ。」

 

「エイトよ」

 

「何でしょう王様?」

 

「おそらくこの村の『不幸』というのがサーベルトの事じゃろう。村人の忌諱に触れぬように気を配りながら情報を集めるぞ」

 

「承知しました」

 

老婆が村に戻った後、エイトとトロデは小声でコンタクトを取ると各々村を回り始めた。

 

 

 

 

「おお…これがどうのつるぎか…」

 

「旅の方、よく似合ってるよ!」

 

「兄貴、カッコいいでがす!」

 

「よーし、これ一つください!」

 

「毎度あり!」

 

エイトが「どうのつるぎ」やよろいなどを買ってほくほくしていると、トロデがやってきた。

 

「エイトよ…おぬし今の今までずっと武器屋におったのか…?」

 

「すっ、すみません…ちょっと楽しくなっちゃって…」

 

「はぁ…わしがあちこち歩きまわっておる間に…まあよい、ここらの村人によればじゃな、まず『不幸』というのはわしらの予想通りリーザス地方の領主アルバート家の息子、サーベルト・アルバートの死のことで間違いなさそうじゃ。しかし彼はトロデーン城ではなくこの村で息絶えたという。わしらが持つ手紙の内容とはちと異なるが…まあなんとか瀕死の状態で辿り着いたのやもしれぬな。サーベルトは死に際に『道化師』に襲われたと言っていたという。その道化師がドルマゲスであるとみて間違いなさそうじゃ。」

 

「なるほど…一応アルバート家の屋敷にも行ってみますか?…喪に服している家を訪ねるのは少々気が引けますが…」

 

「うむ…いや、人の喪中に首を突っ込むほどわしもヤボではない。この手紙を信じるのなら道化師ドルマゲスはマイエラ地方にむかったようじゃ。今日はここで宿を取り、明日ポルトリンクへ向かうとしようぞ。」

 

トロデの意見にエイトも同意し、農家のおばさんと話しているヤンガスの所に向かおうとした瞬間、後ろから声がした。

 

「…待ちなさい、貴方たち今『道化師』と言ったわね?」

 

「あわわ…ゼシカ姉ちゃん待ってよ~」

 

エイトが振り返った先にいたのは、腕を組んで仁王立ちしているアルバート家の令嬢、ゼシカ・アルバートだった。

 

「失礼、貴方は?」

 

「私はゼシカ。今は亡きサーベルト兄さんの妹よ。それより貴方たち、兄さんのことを知っているみたいね。…リーザスの村民ではない貴方たちがなぜ兄さんについて話しているのかしら?」

 

「(ポルク、ゼシカ姉ちゃんすっごく顔恐いよ…)」

 

「(や、やっぱりあいつら怪しい奴だったんじゃないのか!?)」

 

「…話せば少し長くなりますが。」

 

「…構わない。だったら私の屋敷に来ればいいわ。来てくれるわよね?」

 

「それならば喜んで話しましょう。…王様もそれで大丈夫ですか?」

 

「ゼシカが構わないというのなら、わしからは特に言うことはない。わしは先に行っておくから、エイトもヤンガスを連れて後でくるのじゃぞ。」

 

そう言ってゼシカの後をついていくトロデを見て、エイトは急いでヤンガスの所へ向かった。

 

トロデを止めようとする衛兵をゼシカが説得する一幕などもあったが、その後は特に問題なくゼシカの部屋までたどり着き、そこでエイトたちはゼシカに旅の目的など知っていることを話した。

 

「…と、そういうわけで僕たちはトロデーン城を滅ぼし、王様と姫に呪いをかけた道化師ドルマゲスを追っているのです。」

 

「しかし、野郎が住んでいたトラペッタの町で、ドルマゲスは友人のような扱いを受けていたでがす。それがどうも腑に落ちなくてがしてね…」

 

「とりあえずはわしの手元に残されたこの手紙を頼りに、マイエラ地方へ行って情報を集めるつもりで旅をしているのじゃ。」

 

「…」

 

「ゼシカさん?」

 

「…本当にドルマゲスさん…いや、ドルマゲスが兄さんを殺したの…?」

 

「…保証はしかねる。じゃが、この手紙、そして村人たちの言うサーベルトの遺言を信じるのならば、第一容疑者として浮かび上がってくるのはドルマゲスであろうことは言うまでもあるまいて。」

 

「…」

 

ゼシカは俯いて震えている。彼女が何を考えているかはエイトたちには知る由もない。ただ途方もなく重い空気が部屋を満たしているだけだ。

 

「そう…そうなのね…!…あの男、あんな飄々とした態度でよくもこの村に…!許せない…」

 

怒りで震えるゼシカから魔力が噴出し始める。ここのような狭い部屋に居たら魔力酔いしてしまいそうだ。エイトは魔力にあてられて疲労してしまったポルクとマルクを連れて部屋から出た。

 

「…ゼシカよ。お主の心中、察するに余りある。必ずわしらが真実を白日の下に曝け出してみせよう。」

 

ゼシカは無言で机に向かうと、引き出しから小さな箱を取り出した。

 

「それは?」

 

「これはブレスレットよ…ドルマゲスから渡された、ね…」

 

エイトがまた部屋に入って来るのに合わせてゼシカは語り始めた。ドルマゲスは自分が子どもの頃からしばしばこの村に来て色々な芸を披露していたこと。トロデーンに向かう途中にもこの村に立ち寄ったこと。そこでサーベルトがドルマゲスを怪しみ旅に同行したこと。しかしサーベルトは瀕死の重傷を負わされ、村までたどり着いたところで事切れたこと。まくし立てるように話すゼシカの目には徐々に涙が浮かび、最後には涙でその端正な顔をぐちゃぐちゃにしながら叫ぶように語っていた。

 

「兄さんはねぇ!こんなところで死んじゃっていい人じゃなかったの!私は兄さんにありがとうも言えていないのよ!私はお母さんともぶつかってばっかりだし、お屋敷の人ともうまくやっていけないし…私には兄さんしかいなかったの!」

 

「ぜ、ゼシカ…」

 

「だから、兄さんを奪ったドルマゲスは絶対に許せないのよ!!…今までは誰が兄さんを殺したのか分からなかったから、ずっと部屋に籠って燻っていた。でも今あんたたちが来て、話して分かった!兄さんを殺したのはドルマゲスなんだって!!…こんなもの…!」

 

ゼシカは金のブレスレットを床に叩きつけようとした。誰が彼女を止められるだろうか?一体どんな言葉をかければいい?彼女を止める言葉も資格も無いエイトたちはそれを黙って見ていた。

 

「こんなもの…こんな…」

 

しかし、ゼシカはブレスレットを叩きつける直前でぴたりと止まった。しばらくそのまま動かなくなったと思うと、ゆっくりとブレスレットを箱に戻し、その場に泣き崩れる。

 

「………できないわ…私には………。」

 

「…」

 

「…うむ、どうやらゼシカにも何か訳があるようじゃ。お前たち、引き上げるぞ。」

 

「…そうでげすね、これ以上の質問は酷でがす。兄貴、宿に行きましょうや。」

 

「うん。ゼシカさん、今日はお辛いでしょうに、話してくれてありがとうございました。僕たちが必ずサーベルトさんの敵を討ってみせます。」

 

「…」

 

エイトたちがゼシカを残して部屋を出ると、ポルクとマルク、あとついでにゼシカのフィアンセであるラグサットが心配して様子を見に来た。

 

「どうしたのさ。さっき部屋からゼシカの大声が聞こえてきた気がしたんだが…。」

 

「お前たち、ゼシカ姉ちゃんを泣かせたのか!?」

 

「失礼な奴らよの…ゼシカには気持ちの整理をする時間が必要だと、ただそれだけのことじゃ。」

 

「なにぃ!?緑のおっさんのくせに生意気だぞ!」

 

「なんじゃと!?言わせておけば…!」

 

「おいおい、二人ともやめないか!ここはゼシカの部屋の前だぞ?喧嘩なら外でやればどうなんだい?」

 

ふざけた格好の割にはまともなことを言うラグサットに同意し、エイトたちは掴みあうトロデとポルクを屋敷から連れ出し、宿で朝が来るまで休むことにしたのだった。

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

夜。ゼシカは夕食も食べずに自室の床に座り込んでいた。

 

「ドルマゲス…あんたが兄さんを殺したの…?」

 

月明りで白く輝くブレスレットにゼシカは問うが、もちろん答えは返ってこない。

 

「兄さん…私…どうすればいいのかな…?」

 

今度は窓の外の夜空に聞いてみるが、星は静かに瞬くだけだった。

 

今日はもう寝ようかとゼシカがベッドの方へ向かった時、ノックの音がした。

 

「はい。誰?」

 

「アローザです。」

 

「…お母さん…。」

 

「ゼシカ、夕食が冷めてしまいます。降りてきて早く食べてしまいなさい。」

 

「…いい。今日はお腹すいてないから。」

 

「…ハァ…。食事をあまりとらなくなった貴方は知らないでしょうが、サーベルトが亡くなってからすっかりやつれてしまった貴方のために、うちのコックは毎食貴方の好物を作って待っているのです。召使いたちもなんとか貴方の力になりたいと色々考えているのですよ。」

 

「!」

 

「ゼシカ、貴方はサーベルトの幻影に縋るばかりで、自分の周りには誰もいないとでも思っているのではないですか?」

 

アローザの表情は分からない。しかしアローザの言葉はドアを鮮やかに貫いて確かにゼシカの心に刺さった。

 

「…そう、だったんだ…」

 

「ゼシカ。言いたいことがあるのなら直接言いなさい。私に言いたくないのなら誰でも構いません。…サーベルトは貴方のたった一人の兄ですが、私からすればサーベルトも貴方も私のたった二人の子どもです。そしてこの家の者は全員貴方の味方なのですよ。」

 

「…お母さん…」

 

「では、夕食の件、確かに伝えました。」

 

そう言うとアローザは居間に戻っていったのか、気品ある靴音が少しずつ遠ざかっていった。ゼシカはその後もしばらく暗い部屋で座っていたが、やがて前を向き立ち上がった。

 

「…好物だなんて言われたら、お腹もすいてきちゃうじゃない…。」

 

 

 

 

次の日の朝、ゼシカは召使いたちを集め、ここ最近の非礼を詫び、これまでの感謝を述べていた。

 

「コックさん!今まで用意してくれたご飯、食べられなくてごめんなさい!いつもありがとうね!」

 

「うんっ!ゼシカお嬢様が元気になったとわかりゃ、おれも満足だ!」

 

「メイドのみんな!今まで冷たくしちゃってごめんなさい。ほんとはもっと話したかったんだけど、私、昔から周りに自分の年と近い人がいなかったからどうしたらいいのか分からなくて…」

 

「お、お嬢様!?頭を上げてください!…私たちはお嬢様の笑顔が見られればそれだけで十分なのですよ…!」

 

「衛兵さん!私がいない間、この屋敷を頼んだわよ!」

 

「はい!!…え?」

 

そこへ、屋敷中の召使いが一箇所に集まっていることに気付いたアローザも階段を下りてきた。

 

「何事ですか?」

 

「お母さん!」

 

「ゼシカ。今日はやけに元気ですね。何か良いことでも…」

 

「私旅に出るわ!!今までありがとう!!!」

 

「…!?」

 

ゼシカがあまりにいい顔でとんでもないことを口に出すので、冷静沈着なアローザも流石に言葉を失ってしまった。見ると、服も普段着ではない、ゼシカお気に入りの一張羅になっているし、荷物もまとめて持っている。適当なことを言っているわけではないようだ。

 

「私、昨日の旅人達についていくわ。サーベルト兄さんの死の真相を知りたいの。」

 

「…全く、元気になったと思ったら何を言い出すのです。…平時ならともかく、今は喪中です。喪中の外出は家訓を破ることになります。認めるわけにはいきません。…貴方にはサーベルトの気持ちを悼む気持ちはないのですか?」

 

「…お母さんがそんなことないって一番分かってるくせに。」

 

「…。」

 

「私は兄さんの死を誰よりも悲しんでいる自信があるわ。でもそれは家訓を守ることでは満たされない。私とお母さんでは気持ちの整理の付け方が違うの。」

 

「…では、死の真相が知りたいとはどういう意味です?サーベルトはトロデーンを滅ぼした賊に襲われたのではないのですか?」

 

「分からない。兄さんを殺した人がどんな人なのかきっとその裏に何かがある。そう感じて仕方ないの。…私はそれを確かめに行きたい。」

 

「!…ゼシカ!バカを言うのもいい加減にしなさい!貴方は女でしょう!外がどんなに危険か…!サーベルトもそんなことは望んでいないはずよ!今は先祖の教えに従って兄の死を悼みなさい!」

 

「…っ!」

 

召使いたちがアローザの剣幕に息を呑む。ゼシカも奥歯を噛みしめ、拳を固く握った…。しかし、そんな周囲の反応を見てアローザはふうとため息をついた。

 

「…と言いたいところですが。ゼシカ。今回だけは貴方の旅立ちを許可しましょう。」

 

「…へ?ど、どうして…」

 

予想外の展開に、ゼシカはつい気の抜けた声を出してしまった。他の者たちも目を丸くしている。

 

「家訓は何よりも優先される。本当はなんとしても貴方を村にとどめておきたかったのですが…。貴方のわがままを一度だけ聞いてあげることが、サーベルトのわがままだからです。子ども二人のわがままを同時に聞くのがこんなに疲れるものだとは…。息子の遺言は、どんな家訓にも優先されます。もう一度言いましょう。ゼシカ、貴方の旅立ちを私は容認します。サーベルトの死の真相を突き止め次第私に報告しなさい。」

 

「お母さん…!」

 

「それと、私、もといアルバート家、さらにリーザスの村は貴方をいつでも歓迎する、ということも伝えておきます。旅に疲れたり、村が恋しくなったときはすぐに戻ってくるように。」

 

「そうですよ。奥様の言う通り、私たちはいつだってお嬢様の帰りをお待ちしております。」

 

「お嬢様が帰ってきた日には腕によりをかけて料理を作りますんで、楽しみにしていてください!」

 

「…みんな、ありがとう。私、自分の信じた道を進むわ!」

 

感極まっているゼシカの下へ、ポルクとマルクが近寄ってきた。

 

「ゼシカ姉ちゃん…ほんとに村を出ていっちゃうの?」

 

「…うん。だからこれからはあんたたち二人がこの村を守るのよ。サーベルト兄さんがよく言ってたわ。ポルクとマルクは将来村を守る立派な戦士になるだろうって。」

 

「…」

 

「…うぅ~…」

 

「ほらほら、泣かないの。さ、これからの村を頼んだわよ。」

 

「が、がってんだ!俺とマルクとピーチクがいればこの村は最強だ!そうだろ、マルク!」

 

「う、うん…!」

 

「それじゃあ…みんな!今までお世話になりました!私、行ってくるね!」

 

「「いってらっしゃいませ。」」

 

「ゼシカお姉ちゃん、元気でね!」

 

「ゼシカ。…体には気をつけるのよ。」

 

皆に見送られながら、ゼシカはサーベルトが死んでぽっかり穴が空いていた心が、少しずつ満たされていくのを感じながら屋敷を後にするのだった。

 

 

 

「えぇ~!?もう行っちゃったのォ!?」

 

その後、村人からトロデたちがとっくにリーザスの村を出発したことを知らされたゼシカは全速力で港町ポルトリンクへ走っていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 




アローザ「おいゼシカ、カゼひくなよ」

ゼシカ「長い間!クソお世話になりました!!!」







ラグサット「僕は?」




原作との相違点

・メタルスライムがいた。(特に深い意味はない)
ドルマゲスが旧修道院跡地を浄化してしまったので、住処を追われたメタルスライムたちが他の地方にも現れるようになった。

・トロデが村に入る。
村人たちにかなり怪しまれていたが、特に害はないと分かると顔色の悪いおっさんぐらいの印象しか持たれなくなった。これも村人のピーチクに対する信頼から来ている。

・ポルクとマルクと戦闘状態に入らない。
二人ともサーベルトの死に目に会っているので、誰彼構わず仇討ちを吹っ掛けたりしない。(尤もエイトがピエロの格好をしていればすぐに殴りかかってきていただろうが。)

・ゼシカが普通に村にいる。
今回サーベルトが死んだのは村の中なのでリーザス像の塔は全く関係ない。

・ゼシカがドルマゲスと因縁を持っている。
ゼシカにとってドルマゲスは「憧れの人」であった。時々村に来ては村人たちを手品で楽しませていたドルマゲスはリーザスの村では人気者であり、農家や商売人がほとんどの閉鎖社会であるリーザスの村では、『道化師・大道芸人』という職業は、ゼシカの目にひときわ眩しく映っていた。誰か他人を楽しませることができるドルマゲスの才能をゼシカは強く尊敬していたのだ。それゆえに彼から貰ったブレスレットを捨てることができなかった。

・ゼシカが屋敷のみんなに見送られて旅立った。
原作ではメイドに嫌われ、母親であるアローザに勘当されて出ていくなど散々な門出だったが、今回はアローザがサーベルト(泥人形)の遺言を聞いていたため、ゼシカの旅立ちに際し柔軟な対応を取った。また、ゼシカが心を開いたことで使用人たちもゼシカを見直した。

エイト
レベル:11

ヤンガス
レベル:11
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