ドルマゲスに転生してしまったので悲しくない人生を送りたい 作:えにぃ
神様に誓ってパクったわけではないとこの場を借りて弁明しておきますが…。
なんだか申し訳ない気持ちになりました…。これからの展開が被らないことを祈るばかりです…。
2022/10/24 勇者エイトサイドの話のタイトルを「Chapter〇」に統一しました。
感想100件、ありがとうございます!感想がそのまま私のモチベになっておりますので、これからもドシドシお願いします!
リーザスの村を出発し、港町ポルトリンクへ向かう一行。トラペッタの町ではドルマゲスは友人という扱いを受けていたが、リーザスの村民はどうもサーベルト殺害の犯人としてドルマゲスを疑っている者も多いようで、ドルマゲスの評判はあまり良くなかった。これを受けてエイトたちは、やはり異常なのはトラペッタの町であり、町民は認識や記憶を歪められるなんらかの洗脳をドルマゲスによって受けているのではないか、という仮説に落ち着いた。
…
「いてて…海を見ようと浜に降りたらこの始末だよ…。」
「う~ん、しばらく浜には近寄りたくないでげす…」
リーザス地方臨海部で「エビラ」をはじめとする海の魔物の洗礼に遭ったエイトたちは「やくそう」で傷を癒しながら歩いていた。
「ん?エイトよ、何か聞こえんか?」
「え?……。いや、何も聞こえませんが…」
「おっさんもついに耳がいかれちまったんでげすよ」
「うるさいわい!ほれ聞こえるじゃろう!女の呼びかけるような甲高い声が…まさかドルマゲスに葬られた者の怨念か!?」
「うーん…?あ、本当だ。何だろうこの声?」
「聞こえるようになったと思ったら、だんだん大きくなってきてるでがすね」
エイトたちが耳を澄ませていると、女性の声は次第に大きくはっきりと聞き取れるようになった。
「…~い…!…って…よ…おーい!!待って!待ってってば~!」
「あっ!兄貴!後ろを見てくだせぇ!」
エイトが後ろを振り返ると、先日村で話をしたリーザスの令嬢ゼシカが髪を振り乱してこちらに突っ走ってきていた。
「ゼシカさん!?ど、どうしたんですか!?」
「はあ…はあ…や…やっと…追いついた…わ…!」
ぜえぜえと息を切らすゼシカはエイトたちの馬車まで追いつくと馬車に突っ伏してしまった。
「誰かと思えばゼシカではないか。そんなに急いでどうかしたのか?…わしらが村に忘れ物でもしたか?」
「はあ…はあ…ちょっと…タンマ…」
「…」
トロデはゼシカの息が整うのを待ってからもう一度同じ質問をした。
「ううん違うの。…改めて、私はゼシカ。ゼシカ・アルバートよ。昨日ははしたないところを見せちゃってごめんね。今日は一つお願いがあってきたの…私をあなたたちの仲間にしてくれない?」
「えっ!?…いや、一体どういう了見ですか?ゼシカさん」
「私も…ドルマゲスの真相を知りたいの。ドルマゲスにはいったいどんな目的があるのか。兄さんを殺したのは本当にドルマゲスなのか…世界の果てまでだって追い詰めて聞き出してやらないと。」
ゼシカのその言葉を聞き、トロデが目を光らせた。
「それを疑うということは…お主、他に真犯人の心当たりがある、ということか?」
「いえ全然?」
「な、なんじゃそりゃ。」
「でも、どうもこの件には何か裏がありそうな気配がするわ。…そう、
「うーん、アッシは兄貴との男二人旅が気に入っていたんでげすがねぇ。」
「こら!わしとミーティアもおるじゃろうが!!」
「そんなこと言わないで…私、こう見えても魔法使いのタマゴなの。きっと役に立つわ。だからお願い!」
「…王様はどうですか?僕は歓迎してあげたいですが…」
「うむ、まあいいじゃろう。ミーティアも周りが男ばかりではうんざりしておるはずじゃ。目的も同じことじゃし、わしと姫の護衛は多いほど良いからの。」
「アッシはおっさんのボディガードじゃないでげす!」
「というわけで、僕たちはあなたを歓迎しますよ。これからよろしくお願いします!ゼシカさん。」
後ろでまたギャイギャイ言い始めたトロデとヤンガスをほっといて、エイトがパーティを代表してゼシカを歓迎した。
「ゼシカでいいわよ。…ありがとう。これからよろしく!きっといい旅になるわね!…メンバーもユニークで楽しそうだわ。」
ゼシカはトロデとヤンガスを遠い目で見た。
「あはは…じゃあ僕らも自己紹介しましょうか。まず僕はエイト。トロデーン城で兵士をしていましたが…今は旅人です。そしてこっちがヤンガス。」
「アッシがエイトの兄貴の子分のヤンガスでげす。実はアッシも兄貴たちと旅をし始めたのはつい最近の話なんでげすよ。」
「エイトにヤンガスね!よろしく!」
「そしてこちらはトロデーンの現国王であらせられるトロデ王と、同じく正当なトロデーン次期王位継承者であらせられるミーティア姫です。」
「え…」
「いかにも。わしがトロデーンの王、トロデじゃ。お主の母親の遠い上司にあたるのかの…。今はわけあって…というより、ドルマゲスに呪いをかけられてこんな醜い姿をしておるが、元はれっきとした人間じゃ。もちろんミーティアも元は麗しい姫君だったのじゃぞ。」
「うそ…ほんとに王様だったの!?私、てっきり王様ごっこを部下に強いてるイタい魔物かと…」
「エイト、こやつを引っぱたいてよいぞ。わしが許可する。」
「王様…。」
「なんでもいいでげすけど、さっさと先に進みましょうや。こんなところにいたらまたさっきのエビやクラゲが寄ってくるでがす。」
「そうね。よし!じゃあポルトリンクに向けて、しゅっぱーつ!」
「なんでゼシカが音頭を取るんでげすか!?」
これからもこうやって仕切ってくれたら楽なのになぁ。エイトは元気に歩き出すゼシカを見てのほほんとそんなことを考えていた。その後もゼシカはヤンガスにエイトとのなれそめを聞いたり、自分の身の上話を語って聞かせたりしながら、順調にパーティーに馴染んでいくのだった。
▼ ゼシカが 仲間に 加わった!
…
─ポルトリンク─
「えぇーっと、今日の便は…あー、もう終わっちゃってるわね…ここで今日は足止めかぁ…」
「繁忙期でもない今は船の便も少ないんでげすね。波も穏やかで航行日和なんでげすが…」
「ううーむ、しかし次の便まで丸一日あるとは…どうやって時間を潰そうかの…」
思わぬところで足止めを食ってしまったエイトたちが港のロビーで立ち往生していると、定期船のクルーだろうか?ポルトリンクの職員らしき男がやってきた。
「お取込み中失礼します。ゼシカお嬢様ですね。マイエラ地方に向かわれるご予定ですか?」
「…そうなんだけど、次の便は明日でしょう?だから今日はここに泊まるわ…。」
「いえ、お嬢様がご所望であればすぐに船を出せますよ。」
「えっ!?」
「どうしてです?」
「おや、アローザ様から伝えられていないですか?少し前にリーザスから書状が届きまして、もしゼシカが港にやってきた場合は臨時の便を出すようにと仰せつかっていたのです。てっきりご存じのことかと思われましたが…」
「(お母さん…ほんとは私が旅に出ることも分かってたのね…)そうなのね。じゃあお言葉に甘えて船を出してもらおうかしら。」
渡りに船とはまさにこのことである。素直にありがたがるエイトたちの後ろでゼシカは不器用な母の愛に心が温まるのを感じていた。
「こちらはお嬢様のお連れの方々で?」
「ええ、私の仲間よ!」
「かしこまりました。ではお連れ様も1時間後までに3番乗り場までお越しください。」
「何だか知らんが、これでマイエラまで行けそうじゃな。わしは馬車でやることを思い出したので、出航の準備ができたら呼んでくれ。」
そういうとトロデは馬車に入り、何やら金属音を響かせ始めた。何か作っているのだろうか。少し気になるが、エイトたちも珍しいものを求めて各々行きたい場所へ向かった。
…
「ヤリと剣、どっちがいいかな?」
「兄貴は剣の印象が強いでがすね。」
「それに、剣の方がかっこいいわよ。」
「じゃあ剣のままでいいか…」
意外に武器にうるさいエイトはまた武器屋の前にいた。先ほどそこにヤンガスとゼシカも偶然はちあわせたので、今は三人で武器屋を物色している。
「ヤンガスは鎌を見なくてもいいの?」
「アッシにはこのオノがあるんで心配は無用でげす。」
「へぇ。確かに立派なオノね…」
「ゼシカもなかなかお目が高いでげすね。これは…おっと、そろそろ定刻でがすな。3番乗り場ってとこに向かいましょうぜ!」
「おっと、本当だ。僕は王様を迎えに行ってくるから、二人は先に行っておいてくれる?」
「わかったわ。じゃあ後でねー!」
そう言うとゼシカとヤンガスは波止場の方へ歩いて行った。エイトが馬車の所へ行くと、やけに静かである。不思議に思ってエイトが馬車を覗き込もうとした瞬間、勢いよくトロデが飛び出してきた。
「直った、直ったぞーーーっ!!!」
「うわあっ!!」
「おおう、エイトか。船の準備は終わったのか?」
「(危うく激突するところだった…)はい。なのでお迎えに上がりました。ところで、手に持っているその珍妙な…釜?は一体何です?」
「ふふん、よくぞ聞いてくれた。じゃじゃ~ん!この釜、一見すると普通の釜のようじゃが、なんと伝説の錬金釜なのじゃぞ!」
トロデは自信満々に持っている釜を掲げた。それは釜と呼ぶには刺々しく、あまりに奇抜な形をしている。
「錬金釜…というとあのトロデーンの国宝の一つであるあの錬金釜ですか!?」
「流石に物知りじゃの。そう、わしらが旅立つ前になんとかイバラの中から見つけてきたのじゃ。あちこちガタがきていたのでわし自ら夜な夜な修理しとったんじゃぞ。感謝するがよい。」
夜になると幌の中から何かを叩くような音がしていたのはそのためだったのか。トロデから釜を手渡されたエイトは夜中の異音の正体に納得すると、錬金釜なる物体をしげしげと眺めた。
「本当だ…本で見た通りの錬金釜…王様、ありがとうございます!」
「ふふん、一仕事終えた後は気分がいいのう。さっエイトよ、船へ向かうぞ!」
「はい!」
こうしてエイトは錬金釜を手に入れたのだった。
…
船の旅はおおむね快適だった。特に最近ポルトリンクの名物にもなっているという「イカメシ」と「チュウカスープ」なる料理は今まで食べたことのない味わいで絶品だったようで、ヤンガスやエイトはもちろん、食にうるさいトロデや、貴族のゼシカも屋敷のコックといい勝負ができると舌鼓を打っていた。その後、トロデが船長室を占領したり、遠くに大きなイカの魔物を見つけるなどした場面もあったが、船長はそこまで気にしていないようであったし、魔物は特にこちらを気にする様子もなくどこかへ向かっていったので大事には至らなかった。
「「船着き場へとうちゃーく!」」
「おお、着いたようじゃな。もうあたりも暗いし、ここで宿を取ることにしよう。」
「私、実は他の大陸に来たのは初めてなのよね…ちょっとドキドキするわ…。」
「アッシの故郷とも呼ぶべき町がこの大陸にはあるんでげすよ。いつか立ち寄ることがあったらアッシが歩き方を教えるでがす。」
一行もどこか期待と興奮が抑えられないようだ。しかしトロデの言う通り夜中に外を出歩くのは危険なので、大人しく今日は眠りにつくことにした。
…
翌日。船着き場を一通り視察したあと、早速錬金釜を使って「とうぞくのカギ」を作り、宝箱の扱いに困っていた男性を助けたエイトたちは、これからどうするか相談していた。
「手紙によればドルマゲスはこのマイエラ地方に来たようじゃが…そこからどう動いたのかてんで予想もつかんの…」
「人に聞いてもうんざりした顔で『だから知らないって!』の一点張りでしたもんね。そもそも、マイエラ地方には何があるんですか?」
「マイエラと言えば、マイエラ修道院じゃない?ほら、さっき屋上にいた女の子が言っていた『聖堂騎士団』ってのがいるとかいう。」
「ゲッ…あそこに行くんでげすか…?」
「なにかあるの?ヤンガス。」
「いやぁ、アッシ山賊なもんで、大聖堂だとか、聖地だとか、修道院だとかに行くとなると、なんだか身体がむず痒くなってくるんでがすよね…。」
「…しかし、他に行く当てもない。とりあえずこの先の宿場町ドニに向かうついでに修道院にも寄ってみるといいじゃろう。もしかしたらドルマゲスを見た人間がおらんとも限らんからな。」
「確かにね。ドルマゲスを追う旅はまだ始まったばかりなんだから、くじけずゆっくり行きましょ。ゆっくりといっても、グズグズはしていられないけどね。」
「まあ、そういうことじゃ。ではゆくぞ!」
「だって。ゴメンねヤンガス。後でかゆみ止めの軟膏買ってあげるからさ。」
「…もしかしてエイトってちょっと天然だったりする…?」
「?」
「まあ…そこも兄貴の良いところでがす…」
その後船着き場を出て、マイエラの地に力強い一歩を踏み出した一行だったが、早速「デスファレーナ」の大群にボコボコにされて船着き場へと逃げかえるのだった。
ゼシカ「こんなもの…!」ブレスレットガシャーン
ユリマ「は?」
ゼシカ「え、じゃあ…」ブレスレットソウビ
ユリマ「は?」
ゼシカ「こんなとき、どうすればいいか分からないの。」
ドルマゲス「謝ればいいと思うよ。」
ゼシカ「すんませんしたーっ」
原作との相違点
・リーザス像の塔に挑まなかった。
じんめんガエルの脅威には晒されなかった。しかしいずれ登る機会はあるだろう。ある…はずだ。
・ゼシカが早めに仲間になった。
原作準拠ならこのあと大いに助かるのだが…。
・オセアーノンと戦闘にならなかった。
なのでゼシカが早めに仲間になっても大して変わりはなかった。オセアーノンについては、以前ドルマゲスにしばかれてからは船に近づくことすら避けているようなのでエイトたちの元へは現れなかった。
・ポルトリンクに名物ができた。(ものすごくどうでもいい)
ドルマゲスがコックにレシピを教えてからは、コックがいかめしと中華スープを作っている。船乗りたちも積極的にプチアーノンやわかめ王子を狩るようになったので「人間は魔物を好んで食うらしい」という噂が流れ始め、海の魔物が船着き場やポルトリンクにちょっかいを出すことはほぼなくなった。
エイト
レベル:11
ヤンガス
レベル:11
ゼシカ
レベル:9