ドルマゲスに転生してしまったので悲しくない人生を送りたい   作:えにぃ

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昔は「設定考えたら勝手に文書いてくれる機械とかないかな~」とか思ってたんですけど、実際にAIのべりすとくんが登場した今は機械には頼りたくないなとか思ってます。


むむむ…エイトサイドを書かなければ物語が何のゲームか分からなくなるけど、あっちは薄っぺらくなったストーリーをなぞるだけなのでどうもドリィサイドが持つようなインパクトに欠ける…せや!一気に二つ投稿したろ!(アホ)








第十五章 謁見と進言

ハロー、こちら流浪の道化師ドルマゲスでございます。さてマイエラ地方を抜けてアスカンタ国領にやってきたわけですが、そろそろホームシックな気分ですねえ。町の人やユリマさん、ルイネロさんはお元気でしょうか?姿を消せばこっそりトラペッタに帰ってもバレないでしょうかね…?いやいや、それはまた今度にしましょうか。

 

 

 

 

ドニの町からアスカンタ国領までの道のりの長いことといったら!今はサーベルトという話し相手がいるからいいものの、数年前にここを一人で歩いていた時は疲労と寂しさが半端じゃなかった。長旅だともちろんHPやMPも消費する。特にMPを回復する手段は希少なので「まほうのせいすい」にはなかなか手が伸びない。世に言うエリクサー症候群というやつだ。なので「やくそう」を色々な料理にして食べるなど工夫して回復していたのだが、ついにそれも底をついてしまった。途中の森で俺たちは休憩することにし、どうしたものかと考えていると、目の前に「じんめんじゅ」が現れ、襲い掛かってきた。おっと、こりゃいい。

 

「御免っ!」

 

俺はじんめんじゅを呪って動きを止め、葉っぱという葉っぱを全て摘み取った。何枚かはただの葉っぱだったが、やくそうが大体250枚は取れたと思う。これでしばらくは安泰だな。葉っぱを全て取られてハゲの木になってしまったじんめんじゅはシクシク泣きながら森へ逃げ帰っていった。

 

「ドリィ…なかなか酷いことをするな…」

 

「いやいや、これも生きるためのスキル、ライフハックというやつですよ。」

 

「??よくわからんが、まあやくそうが補充できたなら良しとするか…」

 

「日も暮れてきたことですし、今日はここらで野営を張ることにしましょうか。」

 

俺とサーベルトは野営の準備を始める。野営にもすっかり慣れたもので、サーベルトはテキパキと松明を立てたりたき火の木を組んだりしている。俺はそこらの木材や手持ちのコットン草から物質変換と加工でベッドを作り出して設置した。このベッドは市販のものと性能も遜色ない上に、出発するときにはまた分解してしまっておけばいいのでとても便利である。何度か使えば木は霊力に耐えられず崩壊してしまうが、そのときはさっきのように森から拾ってくればいいのだ。ん?待てよ普通の木がダメなら…

 

俺が何かを閃きそうになった瞬間、ガササッ!と音がしてあたりからじんめんじゅたちの気配が完全に消えた。なんだったんだ…?

 

そうそう、杖のことだがついにめどが立った。三角谷で購入しておいた「ミラーシールド」を加工して細長い箱の形にし、杖を入れて聖魔法『ベホマズン』を3度ほど唱えて閉じる。これだけで杖の影響をほとんど抑えられることが分かったのだ。箱の中ではベホマズンが絶えず反射して杖を包んでいる状態である。本来ミラーシールドは反射率が20%となかなかしょっぱい防具なのだが、硝子部分と銀部分を『マホカンタ』で精錬しながら加工したので確定で反射してくれるようになった。これで常に魔力を杖に流す必要がなくなり、晴れて俺はストレスから解放されたのだ。とてもいい気分。

 

 

「夕食だな!楽しみだ!!俺は何か獲ってきた方がいいか?」

 

「うーん、おゆはんは何にしましょうかね…じゃあ先にしもふりにくを焼いておくので、寄ってきた魔物を適当に倒していってください。」

 

しもふりにくが魔物の好物である、というのはDQMシリーズからの知識である。普通に町などで売っているので買っておいたのだ。こうして焼いておけば食材の方から寄ってきてくれるし、最後は美味しく食べればいいので後始末にも困らない便利な食材である。俺たちが野営の際に「せいすい」を撒かないのはそういった理由だ。もちろん寝る前にはちゃんと撒くが。

 

 

うん、ゲテモノ過ぎる「ハエ男」などは論外だが、「マタンゴ」や「おおさそり」は食材としても優秀だ。ここらで一番美味いのは「いっかくウサギ」の変異種である「アルミラージ」だが、今日は現れなかった。仕方ないのでマタンゴを絞めて切り分け、「おいしいミルク」から作ったバターでホイル焼きにしよう。…あまりに無骨なのでちょっとオシャレに彩りたいところだが、生憎ここらに「パプリカン」は現れないので断念した。いつも通りおおさそりは保存食にして『賢人が見る夢(イデア)』に放り込んだ。おおさそりって森にも棲んでるんだな。

 

「そろそろかな…うん、できました。召し上がれ。」

 

「いただきます。…うん、今日も美味いぞ!」

 

「あはは…ありがとうございます。」

 

ニッコニコでサーベルトはマタンゴを頬張る。彼も随分と魔物料理に慣れたものだ。きっと今なら一人でも生きていけるだろう。…料理の腕を褒めてくれるのは嬉しいのだが、サーベルトは何を作っても美味い!しか言わないので自分の料理がどんなもんなのか少し心配になってくる。そろそろ仲間も増やしたいなぁ。

 

食材にならない魔物も、鍛錬がてら全員返り討ちにする。そして綺麗な形で残っている魔物は凍らせて『イデア』にポイだ。野生の魔物ほどいい研究サンプルはないからな。

 

俺がじっくり焼いたしもふりにくを食べようとすると、一匹の「スライムベス」がこちらを見ているのに気が付いた。というか肉を見ている。スライムも肉を食べるのだろうか。いや、そもそも肉を食べるスライムがスライムベスと呼ばれているのだったか?スライムのメスだっけ?……まあどうでもいいか。夜間はスライム族は眠っているはずなのだが、この個体は夜更かしでもしているのだろうか。俺は応戦しようとするサーベルトを制止した。せっかくだ。今こそ先生の教えを実践するとき!

 

(こんばんわ)

 

「ぷるぷる(!?)」

 

(わたしわ、にんげんのどるまげすです)

 

「ぷるぷる(すごいわ、ニンゲンなのにアタイたちスライムの言葉が分かるのね!)」

 

(このにくほしいですか)

 

「ぷるぷる(くれるの!?)」

 

(どうぞ)

 

俺が肉を差し出すとスライムベスは肉を咥えて身体をふりふり、去っていった。

 

「(このアホウって言われた…!?)」

 

「ど、ドリィ…なんださっきのは…ふしぎなおどりか?」

 

「いえね、さっきのスライムと会話していたのですよ。」

 

「スライムの言語を人間が表現しようとするとあんな悍ましい動きになるのか…俺はまるで全ての魔力が吸い取られるかのような錯覚すらしたぞ…」

 

お、悍ましい…?せいぜい「変な動き」くらいだと思っていたのだが…少しショックだ。

 

「わ、私もまだまだということですね…さあ腹も材料も膨れたので今日はもう寝るとしましょうか。」

 

「そうだな。じゃあ片付けは任せてくれ。」

 

火をそのままにしておくと「デスファレーナ」が寄って来るのでしっかりと残り火まで消し、俺たちは眠りについた。明日にはアスカンタ王国に到着するはずだ。

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

「ここがアスカンタ城…まるで塔みたいだな。」

 

「ええ、実際に要塞として城が作られた際の塔を流用しているとかいないとか。」

 

翌日の昼、俺たちはアスカンタ城に到着し、早速入城した。町は活気にあふれていて皆が笑顔である。トロデーンの生誕前夜祭を思い出してちょっとだけセンチメンタルになりかけたが、すぐに振り払った。いい国だなあここは。

 

「それで、アスカンタのアテというのは…?」

 

「この国の王、パヴァン王のことです。」

 

「何!?王様と繋がりがあるのか…!本当にいったい何者なんだ君は…」

 

「だからただのしがない道化師ですってば。さ、行きましょう?」

 

サーベルトはリアクションが豊かなので話しているだけでも楽しい。俺たちは適当に買い物を済ませてから城へ向かった。衛兵に「王に謁見したい」と伝えると、こちらが明らかに派手な服装をしているので案の定怪しまれ、一人が上へ確認を取りに行き、俺たちは足止めされた。

 

「君たち、何者で何用なのかね。」

 

「私はドリィです。旅芸人をしております。本日は王に面会したく…はいっ、どうぞ。」

 

俺はダリアやアラマンダ、カモミールなど夏の花を適当に見繕った花束を作り衛兵に渡した。

 

「いや…仕事中なのでこんなの渡されても…」

 

あれ。花じゃなくて食べ物とかを差し入れた方がよかったかな。俺が頭を掻いていると、先ほど確認を取りに行った衛兵が慌てて戻ってきた。

 

「おっ、おい!今すぐにその方たちをお通ししろ!パヴァン王直接のご命令だ!」

 

「えっ!?王が直々に…!こ、これは失礼いたしました。どうぞお通りください。」

 

「ありがとうございます。お仕事頑張ってくださいね。」

 

俺は手をひらひらさせながら城の中に入っていった。そして城の者に案内されるままに上階に上がると、途中で王の小間使いであるキラちゃんと出会った。どうやら今は昼休憩らしい。キラちゃんは俺の顔を見ると思わず二度見していた。

 

「あぇっ!?も、もしや、ドルマゲス様ではないですか!?私です!キラです!覚えておいでですか?」

 

「ええもちろん。キラさん、お久しぶりです。お元気でしたか?」

 

「はいっ!…まさかまたドルマゲス様にお会いできるなんて…!あ、あのもしよろしければ前回お聞かせいただいた冒険譚の続きを…」

 

「ごめんなさい、今日私はパヴァン王に会いに来まして…また今度、お話しましょう?」

 

「すみません!出過ぎた真似を…!で、では私はこれで…あ、あの!」

 

「なんでしょう?」

 

「ドルマゲス様のお話…このキラ、とても楽しみにしております…うふふ」

 

「フフ…、乞うご期待、ですよ。」

 

キラちゃんは俺が昔食客としてこの城に滞在していた時に初めて会い、話すうちに仲良くなったアスカンタ城の使用人だ。おしとやかな性格だが冒険に憧れているらしく、俺が世界中を遊行していた話をすると目を輝かせて聞いてくれていた。炊事洗濯、身の回りのあれこれをやらせれば超一流だが、そういうところは年相応だ。俺はキラちゃんに手を振るとさらに上階へ上がった。

 

 

玉座の間にはパヴァン王とシセル王妃が鎮座していた。王は俺を見るなり駆けだしてきて俺の手を取り、ぶんぶん振り回された。

 

「ドルマゲス!随分久しいじゃないか!息災か??」

 

「おおおうおかげさまで…」

 

「おや、そちらの方は?」

 

パヴァンの態度に面食らっていたサーベルトであったが、関心を向けられると流れるような動作で跪いた。

 

「アスカンタの王よ、お初にお目にかかります。私の名はアインス。流れの傭兵であり、今はこのドリィ…ドルマゲスの護衛を任としております。」

 

サーベルトは俺がパヴァンに「ドルマゲス」と呼ばれたので自分も本名を名乗るか一瞬迷ったようだが、どうやらアインスの方で通すことにしたようだ。俺はというと、別にどっちでもいいのでサーベルトに合わせることにする。

 

「そうかそうか。ドルマゲスの護衛だったか。結構。改めて…ようこそ我がアスカンタ王国へ。君たちならいつだって歓迎するよ。」

 

「ドルマゲスさん、お久しゅうございますわ。」

 

「パヴァン王、そしてシセル王妃。久方ぶりでございます。まずは礼を失する突然の訪問にも寛大な対応を取っていただきましたこと、誠に感謝しております。」

 

俺はパヴァン王とシセル王妃から英雄的な扱いを受けている。理由は単純なもので、2年前に俺が崖から足を踏み外し転落しそうになっていた王妃を発見し、地面に激突する前に間一髪で救出したからだ。命を助けられた王妃はもちろん、王妃を異様なまでに溺愛する王も涙を流しながら俺に感謝していた。それから一週間ほど食客として城で過ごさせてもらっていたのだが、元々小旅行の予定だったのでその時は礼を言ってトラペッタに戻ったのだ。あれから2年経った今でもこうやって歓待してくれるのだからすごい。

 

「とんでもない!君はシセルと僕の命の恩人だ。喜びこそすれ、失礼だなどと思ったことはないさ。」

 

「ドルマゲスさん、本日はどのようなご用事で?」

 

「…少し、王に進言がございまして、本日は謁見させていただきました。お時間はございますでしょうか?」

 

「シセル、いいね?」

 

「ええ、あなた。」

 

「よし、ではドルマゲス。君の進言したいこととは何か?」

 

俺がこの世界で持つコネクションの中で最も大きいのはここ、アスカンタ王家との繋がりだ。アスカンタ地方には賢者の末裔もいないので、ラプソーンが万一復活してもすぐには被害は出まい。であれば、パヴァンの善意を利用するようで本当に申し訳ないが、そのコネを最大限に活かして俺たちの拠点を建設させてもらおう。しかし、いきなり「拠点を作りたい」だなどと言い出すのは流石に図々しすぎるので、進言という形で謙虚に行く。原作通りならそろそろ()()が来ているはずだ。

 

「…ここから北に魔物たちのアジトがありますね?…私は一部の魔物の言葉を解することができるのですが、最近ここ近辺を旅している時に妙な噂を聞きまして。どうやらそこの魔物の一団が近々宝物庫を襲撃するとか何とか…私はそれを聞いて本日アスカンタに立ち寄ったわけでございます。…心当たりはありますでしょうか?」

 

俺の話を聞きながら神妙な面持ちで考え込んでいたパヴァン王だが、突然思い立ったかのように目を見開いた。

 

「…まさか!」

 

「あなた、行きましょう。ドルマゲスさんたちもついてきてください。」

 

「はっ。」

 

俺たちはパヴァンについてアスカンタ地下に隠された宝物庫へ向かった。しかし時既に遅し、宝物庫はたった今魔物たちによって宝物が根こそぎ奪われたところだった。入口の反対側の壁には大きな穴がぽっかり空いており、その先は暗闇で見えない。ショックを隠し切れないパヴァンとシセル。サーベルトもびっくりしているので、一応俺も(遅かったか…)みたいな顔をする。うー、知ってた展開だけになんとなく見殺しにした感じで心苦しい。悲しいなぁ…。

 

「国宝が…!」

 

「なんてひどい…」

 

「宝物だけを奪い去っていくとは卑劣な魔物め…!」

 

「…すまないドルマゲス。せっかく君が教えてくれたのに、宝物を守ることができなかった…」

 

「…王よ。これもまた縁です。私たちが魔物のアジトへ赴いて国宝を取り戻して御覧に入れましょう。」

 

「いや、これは我が国の問題だ。客である君たちを巻き込むわけにはいかない!!」

 

パヴァンは思いやりがあってとても優しい王様ではあるのだが、それゆえに優柔不断な男でもあるのだ。原作でも討伐隊を出すと言いながらいつまで経っても隊を編成する素振りすら見られなかった。おそらくこのままでは埒が明かないので、ここは正直に言おう。

 

「王よ、何も私は善意のみでこのようなことを言っているわけではないのです。俗な言い方をすれば『取引』がしたいのです。我々が国宝を取り戻す代わりにお願いしたいことが。」

 

一国の王に取引を持ち掛けるなど不敬も良いところだが、今が緊急事態であることと、パヴァンの温厚さに懸けるしかない。

 

「何?…いや、今はいい。では…ドルマゲス。そしてアインス。緊急時により口頭での勅令とする。このアスカンタ王パヴァンの名において、魔物によって奪われた国宝を奪還してみせよ!」

 

よし。勅令を頂いた。いつもの穏やかな顔が引き締まり、王の顔を見せたパヴァンに、シセルも惚れ惚れしている。跪いたまま横をちらりとみるとサーベルトも気合十分そうだ。瞳の奥に正義の炎が燃え上がっているのが分かる。

 

「仰せのままに。…行きますか、アインス?」

 

「ああ、今すぐ行こう!」

 

ずかずかと穴へ歩き始めたサーベルトを追う形で俺も穴──“モグラのアジト”へ向かった。

よぅし、久々に大暴れしてやりますか…!

 

俺は過去に例を見ないほど極悪な笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 





ドルマゲス(男・28)
レベル:35
職業:大魔法使い
趣味:研究(魔法・呪術・料理・科学〔機械工学・遺伝子工学・化学〕)
好きなもの:研究
嫌いなもの:完璧  ドルマゲス「私は“完璧”を嫌悪する」

サーベルト(男・22)
レベル:31
職業:戦士
趣味:鍛錬、食事
好きなもの:ドルマゲスとの野営
嫌いなもの:吐き気を催す邪悪  サーベルト「なにも知らぬ無知なる者を利用することだ…ッ!」



キラがパヴァンに想いを寄せているという考察や妄想がしばしばなされますが、そんなの誰も幸せにならないので(過激派)、本作ではキラのパヴァンに対する感情はただの敬愛すべき主君であり、それ以上でもそれ以下でもないとします。
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