ドルマゲスに転生してしまったので悲しくない人生を送りたい   作:えにぃ

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感想欄で所見を述べてくれた方々、ありがとうございました。
ドラクエ好きがもっと増えてくれたら嬉しいですね!

随分前のアンケートですが、この小説を読んでくださっている方の中にもまだドラクエⅧをプレイしたことが無かったりゲームの内容を知らないという方もお見受けしました。ぜひ遊んでみて、そうでなくてもこのゲームに触れてみてください!この小説にとっつきやすくなる云々でなく、ドラクエはとっても面白くてロマン溢れるゲームだからです!!


前話が長引きすぎた残りなのでちょっと短め。

2023/03/14 設定資料集を更新しました。






Chapter14 トラペッタ地方 ④

「これ…」

 

「魔王…兄貴、横のコイツが…」

 

「うん、ドルマゲス…だね、間違いない。」

 

「…ドルマゲスがこの町で数年暮らしてたってのは聞いた。んで見る限り魔王はここの占い師の親族だろ。娘か孫か…」

 

「ドルマゲスに昔会った時、家族はいないって言ってたわ。…別にその言葉を鵜呑みにするわけじゃないけど、この二人とドルマゲスに血は繋がってないんじゃないかしら?」

 

「…なーんかきな臭いでがすね…こりゃあのオヤジも悪人なんじゃないでげすかね…?」

 

「…ないとは言えない…ね。」

 

今までの雰囲気とは一変、エイトたちの間に緊迫した空気が流れる。もしや自分たちは誘い込まれたのではないか。誰ともなく全員が扉の方を向き、エイトは無意識に腰の剣に手をかけた。自身の心音が拍動を速めていくのが分かるほど部屋が静まりかえった時、扉が開いた。

 

「「!!」」

 

「…なんだ?あんたら。怪物でも見るような目で。占いが終わったぞ。」

 

「…」

 

エイトは右手で未だ臨戦態勢のヤンガスやククールを制し、二人はようやく武器を持つ手を離した。

 

エイトたちが最初に入った部屋へ戻ると、ルイネロは元座っていた椅子に座りなおした。

 

「…占いは、どうでしたか?」

 

「なにやら緊張しているようだな?…しかも殺意まで向けてきているな、そっちの男と女。」

 

「…ッ!!」

 

「…ふん、珍しいことではない。よく当たる奴、全く当たらないペテン師。占い師というのはどうあっても恨みを買う職業だ。俺は前者だがな。…本当ならユリマにも恨まれていいはずだったんだ

 

「俺に恨みがあるか?俺を殺したきゃまた今度にしてくれ。人を待っているんだ。しばらく帰ってきていないが、必ず帰ってくると信じてる。だからまだ殺してくれるな。」

 

エイトはルイネロの顔が赤みがかっているのに気が付いた。酔っている。見ると床には酒瓶が転がっている。部屋が薄暗いので気が付かなかったが、この男は仕事中にもかかわらず酒を飲んでいるようだ。それともいつもこうなのだろうか?

 

「…やれやれ、占いを頼む前とは態度が大違いだな。まあいい。運のいいことにあんたたちの途方もない願いは叶いそうだ。」

 

「…確証はあるんだろうな?」

 

「俺の腕を信用していないのか?俺は世界一の占い師、占えないものもあるが、占ったものが外れたことは一度たりとも無い。その評判はかつてこの国の王にすら届いたと聞くぞ。」

 

「なるほど。では、聞かせてください。」

 

エイトたちは目の前の人物を依然疑っている。しかしかといって他に頼れるあてもない。情報そのものに善悪は存在しない。それが罠か否かは後で相談して決めればいい話。そう思ってエイトはルイネロを促した。

 

「うむ。では見えた内容をそのまま伝えよう。港町ポルトリンクからガケづたいに西へ進むと、そこに広がる荒野に打ち捨てられた古い船がある。なぜ水のないところにそんなものがあるのかは知らん。が、もしその船を復活させることができればおそらく世界中の海を自由に渡ることができるのは間違いあるまい。そして船を復活させるためのカギは二つの大国の中心『トロデーン城』と『アスカンタ城』にある。」

 

「これが先ほどの占いで見えたものの全てだ。何か心当たりはあるか?」

 

「どう?エイト」

 

「…確かに荒野に謎の船が置いてある、というのは耳にしたことがあります。船の情報についてももしかしたらここに…という記憶が。」

 

「…ふっ、そうか。それは良かった。ではこれで占いは以上だ。代金は確かに受け取ったからな。」

 

そう言うとルイネロは立ち上がり、上階へ向かおうとした。しかしこの機を逃してはならないとククールがそれを言葉で阻む。

 

「…ちょっと待ちな。あんたの娘について話がある。」

 

「…何だと?」

 

ルイネロはこれまでになく険しい顔つきになると、一歩ずつ階段を降りてきた。占いによって一旦緩和したかに思える空気が再び緊迫し始めた。

 

「お前、俺の娘を知っているのか?」

 

「ああ、あんたの娘には散々世話になったからな。あんたがあの悪女の父親だってことも知ってる。そろそろ本性を現したらどうだ?」

 

「…」

 

『魔王』がルイネロの娘かどうかの確証はなかったためにククールはカマをかけたのだが、やはり娘で間違いなかったようだ。再びエイトたちはゆっくりと各々の武器に手をかける。自然な体勢にも見えるが、相手がどう動きだしても対応できるようには構えていた。

 

「…」

 

「ちょっと待て、どういうことだ?」

 

「しらばっくれても騙されないわよ!あんたがあの『魔王』の親だってことはわかってるの!!」

 

「『魔王』?なんだ、いきなり何を言う?ユリマが悪女?俺の知らないところで何が起こっているんだ??」

 

「…ククール」

 

「…ああ。…あんた、本当に何も知らないのか?」

 

「じいさん、この期に及んでシラを切るつもりならタダじゃ済まさないぜ…?オレの仲間の命と宝物が危険に曝されたんだ。」

 

ククールの尋問は語気が強まり、ヤンガスがついに両手にオノを構えてルイネロを脅してみせたが、依然ルイネロは首を横に振るのみだった。

 

「(これは…。)二人とも、もういいよ。…ルイネロさん、大変なご無礼を申し訳ありませんでした。我々はあなたが人々に仇なす悪人ではないかと疑ってかかっていたのです。どうかご容赦ください。」

 

エイトは全面的に自らの非を認め、流れるように謝罪をした。衛兵時代から難癖をつけられてばかりだった彼にとっては手慣れた行為である。

 

「…見覚えのある謝罪だ。見ているだけでむかっ腹が立つが、どこか憎めない()()()()()とそっくりだな。…まあいい。武器を降ろせ、俺はあんたらの敵ではない。あんたらのことも知らないしな。しかし無礼を働いた代償としてウチの娘の話はしてもらおうか。」

 

ククールがため息をついてレイピアから手を離すと、ヤンガスもオノを背負いなおし、ゼシカもこっそりと後ろ手に持っていた杖を離した。

 

「では代表して僕が。…僕たちの知るあなたの娘は…」

 

 

「おお、帰ったかお前たち。して、船の情報は見つかったのか?」

 

「ええ、何とかなりそうですよ、王様!」

 

トラペッタの町から出たエイトたちはほのぼのと草を食んでいたミーティアと、あれこれ錬金を試していたトロデに合流した。

 

「ついでに『魔王』の話も聞けたのよ。」

 

「それはまことか!思わぬ大収穫じゃな。道中で聞かせてもらおう。ではミーティア、向かうとしようか。エイト、次はどこに向かうのじゃ?」

 

「…王様、トロデーン城です。」

 

エイトはトロデを慮っておずおずと申し上げたのだが、真剣な顔つきにはなったもののトロデはそこまで気をもんでいる様子ではなかった。

 

「…そうか、わしの城に再び戻る時が来たのじゃな。」

 

「もし体調が優れないようでしたらトロデーン西部にある最寄りの教会で待機していただいていても大丈夫ですが…」

 

「構わん。なにより自国の惨状を直視できぬ王に王たる器はないと、わしはそう思っとる。だからこそ改めてトロデーンに向かう機会を得られてよかったわい。…では行くぞ。」

 

普段ののんきな姿とはうって変わって真面目な顔で王の在り方について語るトロデに呆気にとられるエイトたち。

 

「…何じゃ?おぬしら」

 

「…いや、なんつーか…」

 

「おっさんも王様なんだなって…」

 

「ええ…こんな言い方良くないけど、見直しちゃったわ…」

 

「なにを!失礼な奴らじゃな!!」

 

「しかし王様、僕もさっきの威厳ある王様を見て自分がトロデーンの兵士であることを改めて誇らしく思いましたよ。」

 

憤慨するトロデとそれを宥めるエイト。最早見慣れたワンシーンをはさみ、一行は港町ポルトリンクへと『ルーラ』で移動したのだった。

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

─トラペッタの町─

 

カランカラン…

 

来客を知らせるドアベルが鳴り、振り向いた酒場のマスターの視線の先には占い師ルイネロがいた。ルイネロは無言でカウンター席まで歩いてくると、丸椅子にどかっと座りこんだ。

 

「いらっしゃい。最近は酒瓶だけ買って帰るのに、今日は珍しいね。」

 

「…まあな。」

 

「…」

 

相変わらず口下手な男だ。はぁ、とマスターはため息をつき、磨いていたタンブラーを棚へと戻すと、ボトルを取り出して二杯のブランデーグラスに注いだ。

 

「はい、いつもの。私も貰うよ。」

 

「ああ。」

 

「ユリマちゃんの話だね?」

 

「…」

 

「前来ていた旅人がトラペッタにいたね?仲間が増えていたようだったけど。」

 

「あいつら、この町に来たことがあったのか?」

 

「知らなかったのかい?まあ無理もないか。トロデーンの人間らしくてね、ドルマゲスの話をしていたよ。前回追い出したのに懲りないねぇ。」

 

「…なるほどな…。」

 

「ユリマちゃんは見つかったのかい?」

 

「…ユリマは」

 

ルイネロは少し言い淀んだが、咳ばらいを一つして続けた。

 

「ユリマは西の大陸でベルガラックを襲撃したらしい。その前は南の大陸でパルミドに潜伏していたんだと。」

 

マスターは驚いたが、表情に出るほどの衝撃ではなかった。気にせず話を進める。

 

「…歓楽街に悪徳の町。えらく荒唐無稽な話だねぇ。まさかあんたはそれを真に受けて落ち込んでいるのかい?」

 

「…どうだかな」

 

「他人の空似という可能性は?」

 

「それは無いとは言えんが…あいつら、ドルマゲスとの繋がりも示唆してきやがった。」

 

マスターのグラスを運ぶ手が止まった。ドルマゲスの話まで持ち出されては最早この話を一笑に付すことはできない。

 

「ドルマゲスとユリマちゃんは一緒にいるのかい?」

 

「それは知らん。しかしユリマが『北西の孤島』という島にいることはおおよそ間違いなく、そのためにあいつらは船を探しているらしい。今日はその船の手掛かりを聞きに俺に占いを依頼しに来たというわけだ。」

 

「ふぅん、それでこの町に…」

 

「…」

 

「…ユリマちゃんのことはあんたが拾ってきた日から知ってるよ。あれは人の優しさを見抜けるいい子だ。だとすれば問題はやはりもう一方。ルイネロさん、あんたはドルマゲスのこと、どう思う?」

 

「…わからん。」

 

「…。」

 

「だが」

 

「?」

 

「ドルマゲスとユリマが共に大悪党である可能性と、悪人ドルマゲスがユリマを唆した可能性、そしてもっと後ろにいる巨悪によって二人が操られている可能性。あいつらはその三つの内のどれかが真実だと考えているらしい。俺もそれには納得した。」

 

「…なるほどね。」

 

「…」

 

「旅人は、その旅人の言うことは信用できるのかい?」

 

「…あんたの言いたいことはよく分かる。だが、俺も伊達に数十年も占いをやってない。相手が嘘をついているかどうかくらいはわかる。あいつらが善人か悪人かはともかく、徹頭徹尾嘘はつかなかった。素性の知れないあいつらが全てを解決してくれると信頼はできない。しかし信用には値すると俺は判断した。」

 

「…そうかい」

 

マスターは残った酒を一気に呷った。

 

「あんたほどの人がそう言うなら、私は三つ目の可能性を信じるよ。」

 

「三つ目の可能性?」

 

「さっきの話さ。ドルマゲスとユリマちゃんが他の悪によって操られている、って説。これを信じるのが一番精神衛生上いい。」

 

「…そうだな。俺もそれがいい。少なくともドルマゲスとのこれまでが全て偽物だったとは思いたくない。」

 

「全くだね。」

 

ルイネロもグラスを空け、それからは終始二人とも無言であった。

 

 

 

 

 




トロデの呼び方

エイト→王様
ヤンガス→おっさん
ククール→じいさん
ゼシカ→???

ゼシカってトロデのことなんて呼んでるんだろう?記憶が曖昧で…誰か教えてくれませんか?
もし知らなければトロデを何と呼ぶのがゼシカのキャラに合っているか教えてほしいです。(正直ククールも曖昧)
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