ドルマゲスに転生してしまったので悲しくない人生を送りたい   作:えにぃ

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チャゴスが人気(?)で何よりですねぇ。
Ⅶのレブレサック(現代)の村長と並ぶクズと称される彼ですが、村長は不都合な真実より都合の良い伝説を作ることで村を守ろうとしたという一応の言い訳があるのに対して、チャゴスは終始自分のことしか考えておらず、どちらかと言えばチャゴスの方がヘイトを貯めやすそうですね。

今回は特に何もない繋ぎの回です。








Chapter19 大海原 ①

アスカンタ王国で『月影のハープ』を入手し、それを月の民イシュマウリに渡すことで古代船を手に入れた一行。目的は『物乞い通りの魔王』がいる闇の遺跡だが、さすらいの冒険者ディムによれば、闇の遺跡には結界が張ってあるため入れないと言う。結界を破るアイテムを手に入れるために一行はサザンビーク王国へと船を走らせる。

 

 

 

 

「順風満帆、天気は快晴!磊磊落落(らいらいらくらく)の航海じゃ~!」

 

「王様!危ないですよ!やあっ!」

 

船上に這い上がってくる魔物。而してそこは戦場と化していた。甲板をはい回る「プチアーノン」が「わかめ王子」を燃やしていたゼシカの股下を潜り抜ける。

 

「あっ!?ククール!そっち一匹行ったわよ!」

 

「了解っ!」

 

「おっさん!戦闘中くらい馬車に引っ込んでるでがすよ!!」

 

「やかましい!こんな時だからこそ舵を放棄するわけにはいかんじゃろうが!この考えなしが!」

 

「いっ!?」

 

平時より何故か語気の強いトロデに若干怯むヤンガス。それでも飛びついてくる魔物はちゃんと叩き落としているところを見ると、彼ももう一流の冒険者であると言えよう。

 

「磊磊落落じゃなかったんでげすかね…」

 

「王様は舵輪を握ると性格が変わるタイプだから…」

 

ククールが的確に「プチアーノン」の脳天を射抜き、最後は追い詰められた「さつじんいかり」のグループにエイトが『デイン』をお見舞いして戦闘は終了した。

 

「ふぃ、終わった。」

 

「まったく、今まで定期船で移動していた時は大して現れなかった魔物がこんなにたくさん…厄介だな…」

 

まだ使えそうな矢を甲板から引っこ抜きながらククールがぼやく。

 

「ディムが言ってた『海の魔物の狂暴化』と関係がありそうね。大方、『魔王』の持っている杖の強すぎる魔力にあてられて活性化してるとか、そんなところじゃない?」

 

「そうだねぇ…」

 

剣に付着した魔物の体液を拭き取りながらエイトは返事をする。きちんと拭き取っておかないと、船上では潮風に吹かれてすぐに錆びついてしまうのだ。せっかくアスカンタで新調した「きせきのつるぎ・レプリカ」を早々に錆びさせるわけにはいかない。

 

「(しかしこの新しい剣、すごい切れ味だ。こんなのが大量に、しかも安価で売ってるなんて、やっぱりアスカンタはすごい…)」

 

「ん?」

 

左手で舵輪を握りながら、右手で望遠鏡を覗いていたトロデが前方の小島の存在に気づいた。

 

「おっさん、何か見えましたかい?」

 

「うーん?あそこに見えるのは…わしの頭の中の地図によると…おお、そうじゃ、あそこは『メダル王国』じゃな!」

 

「「メダル王国?」」

 

「そうじゃ。『ちいさなメダル』の蒐集を使命としている王家の者が住んでいる小さな島国じゃ。なんでもメダルがあれば景品と交換してくれるのだとか。…寄るか?エイトよ。」

 

「うーん。みんなはどうする?僕は行ってもいいと思うけど。」

 

「いいんじゃない?私たちも『ちいさなメダル』なら何枚か持ってるし。」

 

「それに聞いたことがある。メダル王のご息女、メダル王女はどうやらかなりの美女らしい。オレとしては是非拝見したいもんだ。」

 

「兄貴が行きたいならあっしはどこへでもお供するでがすよ。」

 

「なら決まりじゃな!面舵いっぱい!」

 

トロデは舵輪を大きく回転させ、船はメダル王国の波止場へ接岸した。

 

 

道中の魔物はやたら強かったが、「ランドゲーロ」や「タップデビル」など、トリッキーな戦法を取る魔物以外はベルガラックとそう変わりなく、さっさと一行は王城へとたどり着いた。

 

「王様は…どうしましょうか?」

 

「わしは馬車に残る。船でのサザンビークの行き方を試行しておくわい。早めに戻ってくるんじゃぞ~」

 

「承知しました。じゃあ開けるね。うおおお…」

 

「…門番とかいないのか?この城には」

 

「仕方ないわね…みんな、エイトを手伝いましょ!」

 

城門を開けてくれる門番がいないので、仕方なくエイトたちは自力で門をこじ開けて城内に進入した。

 

 

「いらっしゃーい。お客さんが…って!お客さん!?アイツ以外に!?…た、大変だ!!王女様~!大臣~!」

 

城に入ると、喋るスライムがこちらを見るなり血相を変えて飛び出していった。

 

「…?」

 

しばらくして、これまた血相を変えた若い女性と小太りの男性がスライムと一緒に戻ってきた。服装から察するに王女と大臣なのだろう。しかし、王女はドレスのボタンは掛け違えるわ王冠を模した帽子はズレているわでかなり不格好である。

 

「も、申し訳ありませんこんな格好で…さっきまで寝ていたもので…!」

 

「ハァ…ハァ…大臣の私まで眠ってしまうとはなんたる不始末…お許しくだされ」

 

「あー、とりあえずあんたがこの国の大臣でこちらのお嬢さんが王女様ってことでいいのか?」

 

「初めまして、僕たちは航海の途中で立ち寄った旅人です。こちらでメダルを集めている王女様がいらっしゃると聞いてここへ参りました。」

 

「なんと!」

 

「なら…もしかして、あなた方はちいさなメダルをお持ちくださったのですか?」

 

「はい。」

 

「まあっ!それは素晴らしい!まさかドルもごご」

 

「王女!王女!それは言わない約束ですぞ!!」

 

「ああっ!そうでした。ええと…よ、よくお持ちくださいました!早速おあじゅ、お預かりさせていただきますね。大臣!景品の用意を!」

 

「王女!まだメダルを数えておりませんぞ!」

 

「そ、そうでした!おほん…ひぃ、ふぅ、みぃ、よぉ、いつつ、大臣!今は何時ですか?」

 

「六つ時ですが?」

 

「ななつ、やっつ、ここのつ…」

 

「王女様!数え間違いが発生しています!」

 

「そんな!」

 

「…」

 

エイトたちは目の前で繰り広げられる寸劇(コント)に唖然とするほかなかった。寝起きで頭の回っていない王女のボケに、これまた寝起きの大臣が対応する。大臣も頭が回っていないので使用人までフォローに入る始末だ。

 

「な、なんですかいこりゃあ…」

 

「あの…慌てなくても大丈夫ですよ…?」

 

その後、やっと落ち着きを取り戻したメダル王女がメダルを数えて、エイトたちは無事に景品(あみタイツ)を賜ったのだった。

 

 

「ねぇ、大臣さん?王家の儀式は…いつも…その、あんな感じなの?」

 

エイトが銀行に、ククールが買い出しに行っている間にゼシカは先ほどのてんやわんやについて大臣に聞いてみた。

 

「王家に仕える者として何とも不甲斐ない限り…申し訳ない」

 

頭を抱える大臣。そこに自分の話をしていると気付いた王女も服装を直しながら会話に入ってきた。

 

「わたくしも重ねて謝罪させてくださいませ…その、この国にはある一人の人物を除いて他に旅人が訪れたことが無く…その…」

 

「?」

 

「その方は何度もいらしており、気の知れている仲なので、彼の前なら…まあ、寝間着姿のまま出ても良いかなと思っていまして。」

 

「そうしたらまさかまさかのあなた方がいらしたので急いで着替えたという次第ですぞ。」

 

「ええ…」

 

王家の者として、一人の女性として、旅人の前に寝間着姿のまま登場するのは流石に如何なものか、と提言したかったが、ゼシカはすんでのところで踏みとどまった。いかに相手がツッコミどころ満載でも、彼女は王族なのだから。

 

「では、僕たちはこれで失礼します。」

 

「次は36枚になった時に『おしゃれなベスト』を差し上げますわ。どうかがんばってくださいましね。」

 

「本日は遠路はるばるお越しくださり、感謝の極みでございますぞ。ところで、貴殿らはこれからどちらへ向かわれるのですかな?」

 

「ああ、これからサザンビーク王国へ行くんですよ。知人を訪ねに行くんです。」

 

「なるほど、サザンビーク…。」

 

「最近は魔物も狂暴化していると聞きます。どうかお気をつけてくださいませ!あ、メダルを集めたらまたよろしくお願いいたしますわ!」

 

エイトたちはペコリと頭を下げると王城を出て行った。

 

 

「…」

 

「ああ、ビックリしましたわ。まさか本当にドルマゲス様以外にメダルを集めておられる方たちがいらっしゃるなんて!これからは謁見の間に出る前に寝間着で出ても良いか確認しなければいけませんわね?…大臣?」

 

「失礼、王女、少し席を外しますぞ。王女は王に儀式の報告をお願いします。私はドルマゲス殿に報告を申し上げますので…」

 

「ああ、そうでしたわね。そういうことならばお任せしますわ!……もうこの服脱いでいいかしら?

 

王女は病床に伏している王の部屋へ行き、大臣はベランダに出た。勇者たちの船が離岸するのを見届けると、大臣は石板を取り出し、教えられたとおりの手順で石板に念を込めてみた。

 

「確かこう…わっ、光が!?」

 

『もしもし?えーと三号機だから…メダル王国の大臣ですか?』

 

「その声は…ドルマゲス殿ですかな?」

 

『はい。無事に『フォン』は繋がったみたいですね。』

 

「ええ。私のようなほとんど魔力の無い者でも使えるのは素晴らしい代物ですな。」

 

『ありがとうございます。魔法とは少しプロセスが異なるのでね…。それは置いておいて、今回はどういったご用件でしょうか?王女様の愚痴ならまた後日に…』

 

「いやいや。ドルマゲス殿が予言していた通り、新しくメダルを献上しに来た旅人たちが現れたのです。赤いバンダナをした青年を筆頭に、太った荒くれ者、若い女性、長身の男性の四人組でした。」

 

『ほう!やっぱり来ましたか!私のことは隠してくれましたか?オイッ!エイヘイ!モタモタシテナイデハヤクタスケロ!』

 

「王女が危うく言いかけましたが、なんとかバレずに済みましたぞ…ところで、そこに誰かいるのですかな?声が…」

 

『あー、いや、ちょっとトカゲ嫌いの……えと、気にせず続けてください?』

 

「旅人たちは『知人を訪ねる』と言ってさきほどサザンビークへ発たれました。このまままっすぐ行くならば、2日あればサザンビークへ到着しそうですな。」

 

『…。なるほど、ありがとうございました、助かります。』

 

「礼には及ばないですぞ。ちなみにドルマゲス殿とあの旅人たちはどういった関係なのですかな?」

 

『えーと、彼らの言う「知人」というのは実は私のことなんですよね。でもそれは彼らには隠しておきたいので大臣や王女様には黙っておいていただいたのですよ。…ちょっとしたサプライズでね』

 

「なるほど、サプライズ…そういうことでしたか。では報告は以上となりますぞ。」

 

『ありがとうございました。王女様にもよろしくお伝えください。』

 

「そうそう、王女と言えば、今日は朝が早かったものでドルマゲス殿の時のように寝間着で出られようとしたものですから…」

 

『お、王女様の愚痴ならまた今度…ではまた何かあればご連絡ください!』

 

「…?何も聞こえなくなってしまいましたな…」

 

石板は完全に沈黙し、光を失ってしまった。しかし報告は終えたのでまあいいか、と割り切った大臣は空を見上げ、穏やかな日差しに目を細めた。朝からのドタバタで少し疲れてしまったので朝食を食べたらもう少し寝ようと心に決め、階下の食堂に向かうのだった。

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

「いや~、メダル王国の人は濃い人ばかりだったでがすね。」

 

「銀行員がホイミスライムだったり、従者がスライムだったり、魔物も多かったね。あれもトラペッタやアスカンタで見たような機械なのかな?」

 

「普通に喋ってたから違うと思うけど…まあいいじゃない。面白い王女様だったわ。メダルが集まったらまた行きましょ!」

 

「確かに美女ではあったが、ちょっとガサツすぎたかな。…そうだ、ところでじいさん、サザンビーク王国への行き方はわかったのか?」

 

「ああ。結局ベルガラックから歩いていくのが一番早そうじゃ。ちと面倒じゃが、サザンビークは周囲を岩山で囲まれておるゆえ仕方あるまい。」

 

「そうか。ならベルガラックに寄るのはどうだ?もう一度バニーショーを見に行きたいな。」

 

「「「「却下で。」」」」

 

何も全員で言わなくても。ククールはエイトたちの冷たい視線を浴びて、ばつが悪そうに肩を竦めた。

 

ここはまだ杖の魔力が及んでいない海域らしく魔物たちも大人しいので、一行は悠々と船旅を堪能し、予定通りにベルガラックに到着することができたのだった。

 

 

「うーん!海の上はあんまり景色が変わらなくて退屈だったから、やっぱり陸地はいいわね!」

 

「でも、船も全然揺れなくてびっくりしたよ。流石古代の魔導船だね。」

 

「ふふん、古代の技術と、わしの操舵技術の賜物じゃな!」

 

絶対におっさんの操舵と船の安定性は関係ない、と言いかけたヤンガスだったが、船の上にいるトロデは気性が荒く、何を言われるかわからないのでやめておいた。錨を降ろして船を降り、各々伸びをしたり荷物の確認をしたりし、出発の準備は整った。

 

「さあ、早いとこサザンビークへ行ってディムと合流しようぜ…ん?」

 

「どうしたの?」

 

「あれ…誰か走ってきてるな。」

 

仲間でもひときわ長身で視界も広いククール。彼の指さす先を見ると、確かにこちらに向かって走ってくる人影が見えた。

 

「ああ、あれはディムでがすね。」

 

「なんだディムか。どうりで見覚えのある人影だと思ったぜ。」

 

「ヤンガス、見えるの?すごいね!」

 

「いやあ、昔っから感覚は冴えてるんでがすよ。」

 

「それより、ディムが来てるの?もしかして私たちを迎えに来てくれたのかな!?」

 

「お~い!ディムや~い!わしらも船を手に入れたぞ~!」

 

ようやくエイトたちにもディムを目視できる距離になると、ディムは手を大きく振りつつ息を切らしてやってきた。

 

「みなさん…はぁ…はぁ…お久しぶりです…まさかこっちの岸から来るとは…」

 

「久しぶり、ディム。大丈夫?お水ならあるけど?」

 

「失礼、頂きます…」

 

エイトが差し出した水をディムは一息で飲んでしまった。相当喉が渇いていたようだ。

 

「ぷは。ありがとうございます。…みなさん、無事に再会できて何よりです。じゃあ、後ろのそれがみなさんの船なんですね!うわあ…大きいなあ。」

 

「うん。これで僕らも闇の遺跡へ乗り込めるよ。」

 

「あっしらがこの船を手に入れた経緯は話せば長くなるでがす…」

 

「まあまあヤンガス、その話は後にしましょ!ね、ディム。今闇の遺跡に行っても何か結界があって入れないんでしょ?それでサザンビークにある…えーと、ナントカって鏡を貰いに行くのよね?それってどこにあるの?」

 

「『太陽のカガミ』ですね。まあ、詳しい話は向こうに行ってからにしましょうか。じゃあ行きましょう!」

 

「ここからサザンビークまでどのくらいかかるんだ?」

 

「?十数秒もかかりませんが…さあ、僕の近くに…『ルーラ』」

 

「「!?」」

 

その瞬間一行は光に包まれ、その場から姿を消した。

 

 

 

 

 




メダル王女、大分キャラ崩壊させちゃったな…もしかして、一番原作から離れちゃってるんじゃないか…?とか思ってたんですけど、この小説の主人公が誰で、ヒロインが誰なのか、すっぽり抜け落ちてました。


エイト
レベル:26
武器:きせきのつるぎ・レプリカ(アスカンタで購入)

ヤンガス
レベル:25
武器:キングアックス・レプリカ(アスカンタで購入)

ゼシカ
レベル:25
武器:マグマの杖(錬金釜で作成)

ククール
レベル:27
武器:クロスボウ(パルミドで購入)
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