ドルマゲスに転生してしまったので悲しくない人生を送りたい   作:えにぃ

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ゼシカがドルマゲスを虐めているところをドルマゲス陣営が見たらみんな泣くと思います。

サーベルト(優しい妹が豹変してて泣く)
キラ(ドルマゲスが可哀想で泣く)
ライラス(弟子が情けなさ過ぎて泣く)




ユリマ(泣き、仇討ちを誓う)









Chapter22 サザンビーク国領 ③

チャゴス王子の自尊心を満たすためのワガママに一行が辟易(へきえき)していたところで登場した巨大なリザード。あのリザードを倒せばきっと王子でも満足するようなアルゴンハートが手に入れられると確信した一行は怪獣のようなリザードに挑戦する。王子は当然のように逃げたが、一行は死力を尽くしてなんとか勝利をもぎ取ったのだった。

 

 

 

 

「…まさかディムの奴、本当に変な趣味に目覚めたんじゃないだろうな?」

 

「それは流石にない…と思いたい…けど…」

 

エイトとククールが胡乱な視線を送った先にはゼシカにぶたれて真っ赤になった頬を魔法で癒しているディムの姿があった。殴った当のゼシカはと言うと殴られたディムよりもおろおろしている。

 

「ごめんね…痛かったよね…」

 

「いえ、こうでもしてもらわないと僕の気が収まらなかったので…むしろ僕の気持ちを汲んで全力でぶつかってきてくれたのが嬉しかったです。…なにそのDV彼氏みたいなムーブ?

 

「ワシやミーティアを助けてくれたことといい、間違いなく悪人ではないじゃろうが、いかんせん妙なやつだの。」

 

「まあそれはあいつの個性ってことでいいんでないですかね?…と、ん?あれは…?」

 

「ヤンガス、どうしたの?」

 

「兄貴、見てくだせぇ!こーんなにでかいアルゴンハートはきっと他にないでがすよ!」

 

ヤンガスは背の高い草をかきわけ、自身の顔ほどの大きさがある「アルゴンハート」を持ち上げてみせた。おそらく先ほど撃退した怪獣『メモリア』が落としたものであろうその宝石は、通常のアルゴンハートよりも数倍大きく、かつより煌びやかに太陽の光を反射して輝いていた。

 

「ほーう。こいつは凄いな。売ればひと財産築けそうな宝石だ。」

 

「これだ!ぼくが求めていたのはまさにこれだ!この大きさならきっと父上も家臣もぼくを見直すはずだ!」

 

「王子!?いつの間に!?!?」

 

「ククール、そいつはアッシのセリフでがすよ。」

 

勇者と怪獣の激戦が終結したことを察知したのか、本当にいつの間にか帰ってきていたチャゴスは、反射で飛び退くククールの手からアルゴンハートをひったくると醜悪な笑みを浮かべながら特大の宝石を眺めた。

 

「ぐふふ…皆の驚く顔が目に浮かぶ。きっとぼくを褒めちぎるだろうな。まあ苦労したんだから当然だな。うん。…よし!ぼくは満足したぞ。さあお前たち、ぼくを乗せて城へ急げ。」

 

「ちっ」

 

「なっ!?だっ誰だ今舌打ちしたのは!!」

 

憤慨したチャゴスがひとりひとり疑うように睨みつけると、トロデとエイトはぶんぶんと首を振り、ヤンガス、ククール、ゼシカ、ディムはしらを切るように明後日の方向を向いた。

 

「あのさ、王子。苦労してリザードを倒した私たちにお礼の言葉とか、ないわけ?」

 

「…貴様はあの怪物トカゲが出た時、どさくさにまぎれてぼくに『良いとこ無し』だなどと言って侮辱しただろう。そんなやつに礼など必要あるものか。むしろこの場でぼくがその無礼を許してやっていることに感謝するんだな。」

 

「…」

 

「…さあ御者よ。サザンビーク城まで急いでくれ。いくらその馬が鈍くさいと言っても急げば今日中か明日の朝までには着くだろう。お前たち、ぼくは今からこの荷台でひと眠りするから静かにしているんだぞ。」

 

「…はい。」

 

チャゴスが荷台に乗り込んで見えなくなった瞬間ゼシカは、べ!と舌を出してチャゴスを非難した。

 

「はぁ…ではエイトよ。山を下りて帰るぞ。」

 

「わかりました。」

 

エイトたちはディムに回復しきれなかった傷を癒してもらうと、それでも回復しきれない疲れを抱えたまま山を下りた。しかしやっとこの苦行から解放されると思うと、その足取りは自然と軽いものになるのだった。

 

 

─サザンビーク城─

 

「ようやく帰ってこられたな。しかし随分長いこと城を離れていたような気がする……ん!」

 

一行が城下町に入ると、以前来たときとは異なり町は華やかに飾り付けられ、色とりどりの旗飾りが町の空を飾っている。どうやら王者の儀式を行っている間にサザンビークではバザーが開幕していたようだ。

 

「おお、あれはバザーの開催を告げる旗飾り!もうバザーが始まっていたとはな!…よし!エイトよ、城へ戻るのはバザーを見学した後だ。ここからは別行動にする。」

 

バザーの旗飾りを目にした瞬間チャゴスは露骨にそわそわし始め、別行動にすると言うなりさっさと人ごみの中に消えてしまった。

 

「あとは王子をクラビウス王のもとへ送り届ければ私たちはお役御免だってのに…どうしてこう上手くいかないのかしら。早く城へ戻ってほしいわ…」

 

「まあ、僕は一刻も早く王子から離れたかったので少し助かりましたよ。僕らも少しバザーを見ていきませんか?」

 

「いい考えでがすね。あの王子さまと一緒にいると四六時中監視されてるようで気がおさまらなかったでがすよ。ここらで少し羽を伸ばさねぇとやってられないでがす。」

 

「じゃ、じゃあ僕、武器を見に行ってきてもいいかな?」

 

「兄貴、見に行きたくてたまらないって顔でがすね…」

 

「はあ…仕方ないわね…エイトは武器を見始めると動かなくなるし、私もついていくわ。…ディムも来る?」

 

「いやあ、僕も他に行きたいところがあるので、嬉しいですが遠慮しておきます。」

 

「じゃっ、オレたちも別行動と行くか。一時間後に宿で集合しようぜ。」

 

そう言うとエイトとゼシカ、ディム、ククールもそれぞれバザーの人ごみへ消えていった。

 

「…ククールも根っこのところは意外とガキっぽいでがすね…さて、アッシはどこへ行きますかね。」

 

盗みで生計を立ててきた過去を持つヤンガスはこういったバザーに関してはさして興味がなく、エイトのお守りをゼシカが請け負うことになった以上自分が一時間という時間を持て余すことは明白であった。

 

「ん…?アレはディム…」

 

最後まで入り口で残っていたヤンガスは一度バザーに入ったはずのディムがこっそりと反対側から出て行くのを見つけた。

 

「…へへっ、ディムが何をするかってのも興味あるでがすね。いっちょう元・盗賊の腕の見せ所といきますかい。」

 

ヤンガスは『しのびばしり』を使ってディムの後をバレないように尾行した。『しのびばしり』は気配を最小限に抑え、音を完全に絶つ独特の歩法である。姿さえ見つからなければ滅多なことでは気づかれない。ヤンガスはこれでも元々は名の通った盗賊、ディムとの対角線上に常に障害物がはさまるように移動し、向こうからは自分の姿が見えないよう、完璧に立ち回っていた。ディムもキョロキョロと周りを気にしているようだが、本気になったヤンガスを発見するには同じく本気で索敵する必要があり、まさか仲間に尾行されているとは夢にも思っていないディムは最後まで背後に潜むヤンガスに気が付くことができなかった。

 

「(…教会の裏に…?一体何をする気でがすか…?)」

 

バザーが開催されたことにより逆にいつもより閑散としている教会の、その裏まで行くと、ディムは再度周りに誰もいないことを目視で確認すると懐から石板を取り出した。

 

「(…あれは、確か修道院のナントカって院長が同じようなものを持っていた気が…?)」

 

「やほー。キラさんですか?……はい、お久しぶりですね。そっちの私との『同期』を待つより口頭で伝えた方が早いと思いまして。……はい。サーベルトも呼んでもらえますか?……え?ちょうど今一緒に昼食を?へぇ…。……ん?『違います!』…って何が…?……ああ、はいはい。今度私もぜひご一緒させていただきますね。」

 

「(…?『サーベルト』…どっかで聞いたような…そもそもディムは今誰と会話を?近くには誰もいないようでがすが。それに『私』…?)」

 

「おかげさまで闇の遺跡に張られている暗闇の結界は取り去ることができそうです。……ああそうですね。ゼシカさんは前会った時よりさらに立派に成長してましたよ。……やだなあ。お嫁だなんて、あの子にはフィアンセのラグサットがいるじゃないですか。……えーと、そういうことは今はどうでもよくてですね。」

 

「(一体何の話をしてるんでがすか…?)」

 

「前々から言っていた通り、いよいよ闇の遺跡に突入します。師匠は……はい、まだ負担がデカいですかね、何かあってはダメです。やめておきましょう。伝えないでくださいね、でないと無理にでもついてくるでしょうし。サーベルトは準備をよろしくお願いします。……なぁに、付き合わせてゴメン、だなんて言いませんよ。私とあなたは一蓮托生の親友ですからね。……そうですね、早いとこラプソーンから『杖』と『ユリマさん』を取り返しましょう。」

 

「!!!」

 

よく分からないが猛烈に嫌な予感がしたヤンガスは咄嗟にその場を離れた。焦りながらも最後まで足音ひとつ立てなかったのは流石、元・一流の盗賊と言えるだろう。昔取った杵柄である。

 

「(『サーベルト』『ラプソーン』が何を意味してるのかは分からねぇが……『杖』…いやこれだけじゃ…しかし『ユリマ』ってのはあの占い師の娘…『魔王』の名前と同じ…)」

 

「(とんでもない偶然の一致って可能性もあるでがす。それにディムが『魔王』の関係者だとは思いたくないってのが一番…)」

 

「…」

 

「(…兄貴たちにはまだ伏せておくでがす。)」

 

ヤンガスは不安を拭うように道具屋を物色し始めたが、商品が頭に入ってくるほど落ち着くのには数分の時間を要した。

 

 

「あー、ヤンガスも帰ってきたわ。聞いてよ!エイトったら本当にてこでも武器屋から動かないのよ?今持ってる剣の方が強いって何度も説明してるのに!」

 

「うーん。それはゴメン。でも一度見始めると止まらないんだよね。精錬された鋼の美しさとか、この剣を作った人はどんな偉大な職人なんだろうとか、そういうことに思いを馳せてたらどうしてもね…。」

 

「お前は?何やってたんだ、ディム。」

 

「僕は向こうの…あそこです。あの屋台で『せかいじゅの葉』を販売している女の子と話してましたね。なかなか興味深くてついつい長話になっちゃいました。」

 

ディムは「せかいじゅの葉」を一枚取り出すとそれを団扇(うちわ)のようにして扇いでみせた。ディムが葉っぱ売りの少女と話し込んでいたのは間違いないのだが、尾行していたヤンガスは当然それ以前の彼の行動についても知っている。

 

「ディム…」

 

「はい。なんでしょうか?」

 

「……。いや、なんでもねぇ。忘れてくれ。さっ、兄貴。これからどうします?」

 

「?……………!マジか、聞かれてた?」

 

その時、ゼシカが宿の横にある階段の上で怪しげな男となにやら会話をしているチャゴス王子を発見した。

 

「ねえ、あれってチャゴス王子よね?」

 

「だな。そろそろ王子に城に戻るよう言ってやらないとな。はあ。つくづく世話が焼けるぜ。」

 

「そうだね。王子の所へ行こうか。」

 

エイトたちが階段を上ると、チャゴスの手に大きなアルゴンハートがあるのが見えた。それは王家の山で手に入れたものよりも少し、ほんの少しだけ艶があった。当然今手に入れたものではなく、そこに立つ怪しげな商人から買い取ったものであろうことは明白である。

 

ディムを除く全員の顔から表情が消える。エイトはどうか違うと言ってくれ、と内心祈りながらもおそるおそるチャゴスに声をかけた。

 

「お、王子。それは…?」

 

「おっ、ちょうどいいところに来た。エイト、これが何だかわかるか?…じゃじゃーん!なんとアルゴンハートだぞ!信じられんだろう?これほど大きなアルゴンハートがまだあるなんて!」

 

「…そこの男から買い取ったのね。」

 

ゼシカが養豚場の豚を見るような冷めた目でチャゴスの後ろにいる男を睨むと、人相の悪い痩せこけた男は下卑た笑みを浮かべた。

 

「ぐへへ。お客様は神様だぜ。金さえ出せばもう一個売るぜ。」

 

「その通りだゼシカ!ぼくが王家の山で手に入れたアルゴンハートも見事だったが、輝きはこちらの方が上だ。…ということで今まで手に入れたアルゴンハートはエイト、そなたにくれてやる。ぼくはこれを持って城へ戻る。もちろんこのことは内密にな。この商人もバザーが終わればやがて国を出るだろうから秘密が漏れる心配は一切ない。ぶわっはっは!」

 

「…」

 

「では、ここでお前たちとはお別れだ。皆の称賛を浴びる僕の晴れ姿を見たければお前たちも城へ来るがいい!」

 

そう言うとチャゴスはゴキゲンで城へと走っていった。エイトたちは最早彼にかける言葉を探すことすら億劫だった。

 

「…ああ、もう、サイテーでがす。結局最後は金の力で解決でがすか。」

 

「私、信じられないわ。最後の最後でチャゴス王子があんなことをするなんて…王家の山まで行ってアルゴリザードと戦った私たちっていったいなんなの……。」

 

「…よくオディロ院長から『この世に救われない人間などいない』だなんて聞かされてたけど、あの王子を見てたら疑問に思うね。そりゃあ盗みをしたとか、人殺しをしたとか、そういうわけじゃねーけどさ。神サマだってあの王子を救うのには苦労すると思うぜ。」

 

「…結局こうなるんですね。王家の山で見つけたこのアルゴンハートはすごく大きかったから、王子も喜んでそのまま持っていくと思ったんですけどね…」

 

「…王子について思うところはあるけど、行こうか。城へ。報酬の鏡はちゃんともらわないとね。」

 

バザーで楽しくなっていた気分を見事にぶち壊してくれたチャゴスに、エイトたちは言いようもない空しさを感じながらトボトボと城へ歩いていった。

 

 

─サザンビーク城3F・バルコニー─

 

息子の帰りを今か今かと待っていたクラビウスは幸運にも、あるいは不幸にもチャゴスの闇商人との取引の一部始終を見てしまった。

 

「チャゴス…お前は…なんということを……」

 

彼の失意は察するに余りある。

 

 

 

 

 





原作との相違点

・アルゴングレートがいない。
不幸な事故でアルゴングレートは亡くなってしまった。なので彼の骨格や細胞をふんだんに投入した別の更に強大な大怪獣が一行の前に立ちはだかった。

・アルゴンハートが大きい。
大怪獣『メモリア』は本来勇者たちが手に入れるはずだった大アルゴンハートよりもさらに大きな特大アルゴンハートを落とした。それによりチャゴスが闇商人からアルゴンハートを買い取ることは無くなったかに思えたが、ドルマゲスは彼の貪欲さをまだまだ侮っていた。

・ディムが何かを隠していることにヤンガスが気付いた。
ヤンガスはディムを疑いたくない(疑うことによりパーティに亀裂が走ることを恐れている)ので、確証を得られるまではディムとも通常通り接するし、エイトたちにもディムが何かを隠していることを伝えないつもりでいる。



エイト
レベル:26→28

ヤンガス
レベル:26→28

ゼシカ
レベル:26→28

ククール
レベル:27→29

プロトオートマターを討伐したのでレベルが大幅に上がった。



サーベルト「ゼシカをドリィに嫁がせるのはどうだろう?」
キラ「は?えっ?いやっ、ゼシカさん?にはフィアンセがいるのですよね?だ、ダメですよ勝手に決めては…」
サーベルト「うーん。確かにドリィが俺の義弟になるのはなんだかむず痒いな。」
キラ「(そういうことじゃないと思うんですけど…?!)」
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