ドルマゲスに転生してしまったので悲しくない人生を送りたい 作:えにぃ
ハロー、人生で一番ワクワクしない旅行準備中の道化師、ドルマゲスです。まだ町も出てないのにもう帰りたいです。いやいや、トロデーン城まで行っても謁見の間だけ行って手品を披露して生誕祭が終わればさっさと帰ればいいだけだし…元気出していこう!
…
「…よし、ではそろそろ町から出て迎えを待つか」
「はい師匠、私はいつでも出発できますよ」
「ふむ…では行くとするか」
俺と師匠はまだ太陽が顔を出し始めたばかりの早朝に家を出た。ああ嫌だなぁ。清々しすぎる朝日も今は恨めしい。町を出ようとしたところでいつの間にかいたユリマちゃんに呼び止められた。
「ドルマゲスさんとライラスさん、もう出発なされるんですね…今回は帰りはいつになりそうですか?」
「ううーん、心配しなくともおそらく再来週までには帰ってきているはずですよ。今までの小旅行よりは長いかもしれませんが。」
何事も無ければね。それより今年で18歳になり雰囲気も少し落ち着いた淑女となったユリマちゃんだが、なんだか不安そうな表情をしている。
「そう…です…か…あ、あの…」
「どうかしたのか?ユリマよ」
ここ数年ですっかり立派な淑女に成長したユリマちゃん。彼女はこれまでも時たま家に遊びに来ることがあったが、俺に会うというより師匠に会っていたようだ。まあ俺はよく家を留守にしていたからな。聞くと、師匠に魔法を教えてもらっていたという。年を重ねて大人びていてもやはり年相応の少女だ。分かるよ~魔法に憧れるその気持ち。だが一度、魔法関係の話で隣の村に住むゼシカの話題を出すとものすごく機嫌が悪くなって大変だった。それからはリーザスの村の話は自重している。
「私…その…二人に行ってほしく、ないです。トロデーンに…」
「…何かあったのですか?」
俺と師匠は顔を見合わせたが、黙ってユリマちゃんの次の言葉を待った。
「私…見たんです。夢で二人が何か大きな事件に巻き込まれてしまうところを…それで二人は、もうこの町に帰ってこなくなる…トラペッタがまた昔の静かな町に戻ってしまう…そんな夢を見たんです…」
「そ、それは…」
師匠は胸を撫で下ろし心配のし過ぎだとユリマちゃんをなだめているが、俺の顔つきは険しくなった。占い師ルイネロの娘ユリマには予知夢を見る力がある。血は繋がっていないが、似た者親子というわけだ。原作ではその力で主人公一行の到着を予知したり、主人公の正体に朧気ながら感づいたり、水晶玉の場所を言い当てたりしていた。
俺はこのトロデーン行きの旅で
「ユリマさん」
「ドルマゲスさん…」
「我々の事を心配してくださるのはとてもありがたいです。しかし怯えることはありません。ここには貴方の信じる道化師とその師匠がいるのです!どんな厄災だって払いのけてみせましょうとも!ええ!なので…」
俺は空中からマーブル模様の入った桃色のバラを数本、手品のように取り出してみせた。また指を鳴らしてそれを花束の形にラッピングし、ユリマちゃんに持たせる。ここ数年で上達した呪術の応用だが、中々様になっているのでは?
「それを私と師匠だと思って大事にしてくださいね」
『我々が帰ってくるまで』とは言えない。言ってしまえば、彼女はその言葉に囚われてしまうかもしれない。ならばせめて精一杯の笑顔で。今まで怖い怖いと言われ時々笑顔の作り方を研究してきたのだ。素敵な笑顔に見えている──と思いたい。
「これは…」
「バラです。…ここらではあまり見ない花かもしれないですね。綺麗でしょう?知っていますか?8本のバラには『あなたの思いやりに感謝します』という意味があるんですよ」
「へえ…!」
「ユリマよ、ドルマゲスの言う通りだ。この半人前の魔法使いは頼りないが、賢者の子孫であるわしがついている。滅多なことではやられんわい」
「…分かりました。もう、止めません。でも、帰ってきてくださいね!絶対に!私、待ってますから!二人のお帰りを!」
俺は右手を上げて返事をした。言葉では…返せなかった。
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門も閉じられ、二人の姿が見えなくなっても、ユリマはしばらく門を見つめていた。その眼に涙を湛えて。
「(きっと、ドルマゲスさんは知っているんだ…何かが起こるって…もう帰ってこれないかもって…それでも行くって決めたんだ…)」
ユリマは道化師に貰った8本のバラを見つめた。それを見ていよいよユリマの涙は溢れ出した。
「……言って、おけばよかったなぁ……私の気持ち…」
ユリマはその場に座り込んで声を上げ泣き始めた。その慟哭は何事かと飛び起きた道具屋の店主によって自宅に送り届けられるまで続いた。
8本のバラの花言葉は、「あなたの思いやりに感謝します」桃色のバラの花言葉は「可愛い人」、そして
「……私だって、ひと時も忘れてあげませんよ。貴方みたいな素敵なピエロさんのこと…」
『君を忘れない』
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「…来ないですね、馬車」
「…そうだな」
威勢よく町を出た俺と師匠だが、門の外で早速待ちぼうけを食らっていた。幸先悪すぎない?
「も、もしかして生誕祭は来月だったんじゃないでしょうか?」
「そんなわけあるか。わしは確かに今日迎えが来ることを確認したぞ」
「…師匠」
「なんだ」
「一回家に戻ってもいいですか?」
「なんだと!?ドルマゲスお前さっきのユリマの言葉で怖気づいたのではあるまいな!?」
「い、いえ違いますよ!だからこそです!用心に用心を重ねて何が悪いんですか!師匠も歯ブラシとかちゃんと持ってきてるんですか?」
「むむ……確かに、未来に何が起きるかは誰にも分からん事だからな…」
俺の場合は逆である。遠くない未来に何かが起きると確信しているからこそ、あの家のものの俺の私物はほとんど持っていく必要があるのだ。
「しかし…先ほどあんな啖呵を切っておいてどの面下げて町へ戻るというのだ!戻りたいならお前が取ってこい、お前なら気付かれずに取ってこれるだろう!あと…歯ブラシ取ってきてくれ。」
「はぁ…承りましたよ。では…『
俺は空間に穴をあけると座標を自宅に繋げて転移した。この技は現世の魔術を呪術で疑似的に再現したものである。実に6年の歳月をかけて完成させた俺の最高傑作だ。他にも分身ができる『
…
「…この家ともおさらばかぁ。」
俺は部屋のものをまとめて亜空間にぶち込みながら感傷に浸った。思えばこっちの世界に来てから8年近くが経っている。見慣れた家を去るのは悲しいが、今は前に進まなければならない。俺は思い出したように先生と教授に手紙を書くため筆を執った。手紙には今までの感謝と、これからしばらくいなくなること、料理をたくさん作ってドランゴに預けているのでお腹がすいたらドランゴを訪ねることなどをしたためて封をし、師匠の歯ブラシを取ってまた『イデア』で外に出た。
「ただいま戻りました。師匠、迎えは来ましたか?」
「いいや、来ておらん。おかしい、もうすっかり朝だぞ…」
「何かあったのかもしれませんね、此方から迎えに行きましょう」
「…うむ、そうするか」
俺と師匠は歩いてトラペッタの町を出発した。道中でドランゴに手紙とありったけの料理を渡し、手紙を先生たちに届けてくれるように頼んで別れを告げた。ドランゴは俺が普通に帰ってくると思っているようで、特に気に留めていなかった。師匠はドランゴを見て筋肉の締まりの良い優秀な個体だと褒めていた。俺、そいつに殺されかけたんだけどね。
迎えの馬車は南の関所ですぐに見つかった。何を積んでいたのか、尋常じゃない数の「かぶとこぞう」にたかられている。衛兵もかぶとこぞうを蹴散らそうと頑張っているが、多勢に無勢だ。これは確かに動けまい。
(失せろ)
俺は自然語…「自然系」に分類される魔物の共通言語でかぶとこぞうの群れに呼びかけて威圧した。この周辺のかぶとこぞうは俺が数年前にレベル上げのためにここらで大暴れしたことを覚えているはずなので、俺の声に気付いたかぶとこぞうたちは俺の顔を見て慌てて逃げていった。
「いやはや…助かりました…」
木の陰に隠れていたらしい御者が現れた。
「すごい数のかぶとこぞうでしたが、何か積んでいたのですか?」
「恥ずかしながら、道中に食べようと思っていた蜂蜜をぶちまけてしまいまして…誠に申し訳ありませんでした。」
「(何やってんだか…)まあ、無事で何よりですよ。物資は大丈夫ですか?」
「それがさっき食糧も食べられてしまいまして…」
「…ふむ…ならば、リーザスの村で補給を行うか。ドルマゲス、お前はリーザスの村民にも顔が利くのだろう?」
「ええ、まあ多少は」
「なんと!それはありがたい申し出です!では早速向かいましょう。ささ、お二人ともお乗りください。」
俺たちは馬車に乗り込み、リーザスの村に寄ることにした。
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「ああっ、ドルマゲスさんが来たぞ!」
「本当?待ってよポルク~」
リーザスの村に入ると村のやんちゃな坊主であるポルクとマルクがやってきた。
「おやおや、二人ともお久しぶりです。お元気でしたか?」
「俺もマルクも元気だぜ!ドルマゲスさんは今日も手品を見せてくれるのか?」
「いえ、今日はトロデーン城に行くのですよ。そのついでにちょっと寄り道をしに来ましてね。アローザ様を呼んできてもらってもよいですか?」
「アイアイサー!よし、行くぞマルク!」「おー!」
俺は走って屋敷に向かう二人を見送った。まだまだ生意気盛りだが、赤ん坊のころからたびたび顔を見ている身としては成長が感じられてなんだか温かい気持ちになる。すると入れ替わるようにして現れたのはアルバート家のお嬢様、ゼシカと…
「これはこれはお初にお目にかかります、サーベルト様、ですね?」
「…ああ、初めまして、俺はサーベルト・アルバート。貴方がドルマゲスさんですね、妹から貴方の話を耳にしたことがあります」
サーベルト・アルバート、その真名はサーベルト・クランバートル。七賢者の一人、『魔法剣士』シャマル・クランバートルの子孫…つまり賢者の末裔である。俺は何度もリーザス村に赴いているが、その度にサーベルトは不在だった。村の用心棒も請け負っているというので、おそらくいつもパトロールか何かに出かけているのだろう。なので俺とサーベルトは初対面なわけだが、俺が顔を上げるとあからさまに彼は俺のことを警戒していた。なんでだろう。顔が怖いからかな。
「(…!リーザス像のお告げにあった、"邪悪なる道化師の男により王国は滅び、世界は闇に覆われる"という言葉…まさか彼がそうなのか…?)…失礼、この村へはどのようなご用件で?」
「それはですね…」「私が代わってお伝えします!」「…えー、ではお願いします」
トロデーンの御者が説明をしてくれるというので、ここは素直にお譲りしよう。サーベルトの顔も怖いし。
…
「…というわけでこの村で物資の補給をしたいというお願いをしに来たのです!」
「そうですか…(やはり、これから王城に行くとは…『邪悪なる道化師の男』は彼で間違いなさそうだ…)」
「何事ですか」
御者がちょうどサーベルトに説明をし終えたタイミングでアローザが現れた。アローザ・アルバート。サーベルトとゼシカの母で、リーザス村周辺の辺境伯にして家訓を重んじる厳格な貴族だ。御者は全く同じ説明をアローザにもする羽目になった。
「ドルマゲスさん、少しいいでしょうか?」
俺がポルクとマルク、ゼシカや村の子どもたちに新作の手品を披露して楽しませていると、思いつめた顔でサーベルトが近づいてきた。二人で話がしたいというので村の外まで行くことにした。リーザス村の象徴である木製の風車がガラガラと寂しい音を立てて回っている。
「はい、それで…ご用件はなんでしょうか?」
「…俺も貴方たちについていってもいいでしょうか。アルバート家の嫡男である私なら王からも無碍な扱いはされないでしょう。はっきり申し上げておきます。突飛な話で恐縮ですが、俺は貴方を疑っています。俺が授かったリーザス様のお告げの中に出てくる世界を滅ぼす男に貴方が該当するのではないかと考えているのです。」
おお…なんと歯に衣着せぬ物言い…こういうところも村人から信頼される要因なのだろうなあ。そしてはい、合ってます。正解ですリーザス様。
「…私は何もする気はありませんよ。疑われるのは心外ですが…生憎私には己の無実を証明する手立てはありません。それに、貴方についてきてもらえるととても心強い、願っても無い話です。こちらからもぜひお願いしますよ。」
「…そう、ですか。ご理解いただき感謝します。」
どうも釈然としない表情のサーベルトを置いて俺が村に戻ると、無事に話はまとまっていたようで御者が荷物をせっせと馬車に積んでいた。よく働くなあ。
俺が御者の仕事ぶりに感心していると、サーベルトはアローザのもとへ歩いていった。
「母さん、俺もこの人たちについていってもいいですか」
「…サーベルト、いきなり何を言い出すのですか。そんなことは許可しません」
するとサーベルトはアローザに耳打ちをした。おそらくお告げの事を話しているのだろう。アローザは少しだけ困ったような顔をした。
「…あなたの言いたいことは分かりました。しかし村の警護はどうするのですか?」
「それは…」
サーベルトは言葉に詰まってしまった。それを見てゼシカたちもおろおろしている。俺としてもサーベルトが戦力に加わってくれると何かあったときに助かる。なにせ彼は最強クラスの鎧(なんとあの「はぐれメタルよろい」と性能が大差ない)を持っている上に、七賢者シャマルの剣の才能も受け継いでいる優秀な戦士なのだ。原作で彼が死んでしまったのは原作ドルマゲスに動きを止められてしまったからである。うーむ、何たる卑劣漢か!許すまじドルマゲス!…よし、ここは俺が一肌脱ごう。俺は小声で師匠を呼んだ。
「師匠」
「なんだ」
「"これ"を師匠からアローザさんたちに紹介して渡してください。これがだめなら"これ"を。もしこれがだめでも村人たちが何とかしてくれるはずです。私が渡すと信頼度が薄れますので…頼んでもいいですか?」
「…ふん、何を狙っているのか知らんがお前が言うなら間違いはあるまい。仕方ないな…」
俺が師匠に大きな袋と小さな袋を渡すと、師匠は一歩前に出た。
「失礼、私はトラペッタの魔法使いマスター・ライラスです。村の警護のことでしたら、丁度良いものがあるのでよければ提供しましょう。」
そう言って師匠は大きな袋から「メタッピー」を取り出した。それを見てポルクが叫ぶ。
「わあ!!魔物だぁあ!!」
それを聞いて村人は怯え、サーベルトは腰の剣に手をかけるが、師匠は落ち着き払ってメタッピーを地面に置いた。
「おほん、これは私(の弟子)が作った、せきゅりてぃさぁびす…村を守るマシンです。魔物の形をしていますが、この通り、人間の力によって完全に制御できます。」
師匠が手にしたリモコンを操作すると、メタッピーは羽ばたき始め、空に浮かび上がった。そのまま8の字に飛んだり、空中で1回転してみせたりした。これは俺がメタッピーの機構から着想を得て、アスカンタから持って帰ってきた「ガチャコッコ」の残骸と組み合わせて作り上げた、人造モンスターだ。「ピーチクver.2.0」と名付けた。ガチャコッコの部品を使っているので、このあたりの魔物では太刀打ちできないだろう。巡回モードに設定しておけば、村の周辺をグルグル回り村の害となる魔物に遭遇するとアラームを鳴らした上で戦闘を開始してくれる。村人に遭遇するとピィピィとさえずったり愛らしい仕草をするプログラムも入力しておいた。現にトラペッタでは何匹かこのマシンの試作品を飛ばして安全性も確認している。町の人にも好評だ。ゆくゆくはリブルアーチの周辺にいる「アイアンクック」の部品も使ってもっと高性能なセキュリティサービスを作りたいと考えている。
「緊急時には、この赤いボタンを押すと全ての機能を停止します。なのでこのマシンによって村が脅威にさらされることはありません。」
ポルクとマルク始め子どもたちは目を輝かせているが、アローザやサーベルトはまだ悩んでいるようだ。それもそうだ、自分たちが怪しんでいる相手の仲間がこんなものをくれると言ったって、簡単にはいそうですかと受け取ることはできない。しかしまだ策はある。師匠は場の雰囲気を察するとすぐに第二の作戦に移った。
「そしてもう一つ、これも私(の弟子)が発明した、『魔法玉』です。これは魔法を特殊なガラスに閉じ込めた玉で、誰にでも扱うことができます。使い方は簡単、魔物に向かって投げるだけです。こんなふうっに!」
師匠が小さな袋からピンポン玉ほどの大きさのガラス玉を取り出すと、村の入り口近くをうろうろしていた「サーベルきつね」にぶつけて爆発させた。爆発呪文『イオ』である。哀れサーベルきつね。そんなところにいたお前が悪い。
これも俺が「ばくだんいわのカケラ」などから着想を得て作ったものだ。魔物の敵意に反応して炸裂するので誤爆する心配はない。メラ玉、ヒャド玉など色々な種類があるので、インテリアとして飾っておいても綺麗だ(どうでもいい)。
今まさに村に入り込もうとした魔物を退治したことで、村人から歓声が上がった。師匠は早速村人たちに魔法玉を配布し始めた。ポルクなどはもう熱心に「ピーチクver2.0」の取扱説明書を読んでいる。仕事が早い…
なおも渋るサーベルトの肩にゼシカが手を置いた。
「大丈夫よ、兄さん。ドルマゲスさんはそんな悪いピエロの人じゃないわ。それにいざとなったら私が魔物やあのマシンを倒しちゃうから心配ないわよ。ね、母さんもお願い。」
「ゼシカ……よし、母さん。村の警護はあのマシンに任せようと思う。」
「何を…!貴方は彼らを怪しんでいるのではなかったのですか?」
「そうです。…しかし、この村には村人たちもいるし、何より一人前の魔法使いであるゼシカがいる。この村はきっと大丈夫です!」
「………そこまで言うなら私から言うことは何もありません。気を付けて行ってきなさい、サーベルト。」
そう言うとアローザは屋敷へと帰っていった。
「さて、そういうわけでトロデーン城まで同行させていただきます。よろしくお願いします。マスター・ライラスさん、色々ありがとうございました。」
自分の発明ではないものを自分の功績かのように持て囃されているのが気に食わないのだろう、師匠はむず痒そうにしている。律儀な人だ。…プライドが高いとも言う。
「兄さん!気をつけてね!ドルマゲスさんも!また来てね!」
ゼシカがニコニコしながら手を振った。
「ゼシカもあまり母さんを困らせるんじゃないぞー!」
「ゼシカさん、サーベルト様を説得していただき、ありがとうございました。これは餞別です、どうぞ使ってください。きっとよくお似合いですよ。」
「ありがとうドルマゲスさん!綺麗なブレスレットね!嬉しい…」
サーベルトは馬車に乗り込みながら大きく手を振り返し、俺はゼシカに小さな箱で簡素にラッピングした「金のブレスレット」をプレゼントした。身に付けると守備力が上がるアイテムである。海を歩いている時にケンカを売ってきたイカをボコボコにした際イカから献上された貰い物だが、まあちゃんと洗ったし、なにもしないよりマシだろう。俺も馬車に乗り込み、馬車は出発した。
目的地はトロデーン城。「ドラゴンクエストⅧ」の始まりの地だ。
サーベルトのお告げ云々は創作です。でも不思議な力を持つリーザス像ならこれくらいやりそう。
ドルマゲスが覚えた3つの現世魔術についての解説
『賢人の見る夢(イデア)』は「呪われしゼシカ」が空間を切り裂いて「シャドー」たちを呼び出す技に近いです。ドルマゲスくんは専らどこでもドア兼四次元ポケットとして使っています。名前の元ネタは近世ヨーロッパの一部で研究されていた「プラトン的魔術」の重要な要素となる、不可視の理想郷であるイデアから拝借しています。
『悪魔の見る夢(アストラル)』はそのまま原作ドルマゲス第一形態の分身技に名前を付けたものです。分身体にも意識があるので、性能としてはNARUTOの影分身の術が近いです。名前の元ネタは西洋魔術などで使用される、幻惑の世界であるアストラル界から拝借しています。
『胎児の見る夢(エーテル)』にドラクエ8における元ネタはありません。しかし、実際の西洋魔術理論ではアストラル界とエーテル界は切り離せないもの…とされているので入れさせていただきました。幽体離脱を行うことは、西洋魔法世界では「エーテル旅行」と呼ばれます。
発明品とかを紹介するときが一番書いてて楽しいですね…
ドルマゲス(男・28歳)
好きなもの:トラペッタの町
嫌いなもの:暗黒神ラプソーン