ドルマゲスに転生してしまったので悲しくない人生を送りたい   作:えにぃ

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ドルマゲス「なんでこの子こんな強いんだ…?」

ラプソーン「なんでこの女こんな強いんだ…?」

ドルマゲス&ラプソーン「「(絶対あいつのせいだ…!)」」

ユリマ「愛ですよ愛」








Chapter25 闇の遺跡地方 ③

闇の遺跡を探索しながら、冒険者ディムの正体にも迫りつつある一行。とにもかくにもディム本人を探さないことには何も始まらないため、ディムの言葉を信じて最深部へ向かうことで合意したエイトたちは、闇の遺跡最深部『暗黒の祭壇』で仇敵『物乞い通りの魔王』と邂逅する。攻撃を仕掛けたヤンガスが叩き落とされたことを皮切りに決戦の火蓋は切られたのだった。

 

 

 

 

「ちぃっ!なんて魔法出力…ッ!おいお前ら!できるだけ向こうの攻撃は回避してくれ!無理そうならこっちの攻撃のスパンを空けろ!じゃねぇと回復がとても追いつかねぇ!」

 

「…これでも全力じゃないんですよ?」

 

「『魔王』こっちよ!これでも食らいなさい!『メラゾーマ』!!」

 

魔王の背後に回ったゼシカが特大の豪火球を放つ。魔王は自分に迫る火球を一瞥もせず、ため息をついて魔法を詠唱した。『メラゾーマ』と魔王の火球がぶつかり合ってかき消える。

 

「観えてますよ」

 

「(わっけわかんない!なんで私の『メラゾーマ』を『メラミ』で相殺できるの!?死角から攻撃してるのに気取られてるし!)ヤンガス!交代お願い!!」

 

「がってんでがす!兄貴!!」

 

「うん!やってみるよ!トーポ!」

 

エイトは魔王の杖から放たれる氷塊を最小限の動きで避けると、「フバフバチーズ」をトーポに食べさせ、()()()()()()息を吐き出させた。粘性のある煙幕が魔王を包む。

 

「げっほげほ!なにこの、煙…?」

 

その隙にヤンガスは「しのびばしり」で音を消し、魔王の背後からオノを振りかぶって跳びあがった。煙幕の中でも相手の位置を捕捉できるのは「とうぞくのはな」のなせる業である。

 

「(…取った!)」

 

「!…そんな物騒な攻撃だと観えるんですって。わかんないかなあ。」

 

「!?」

 

ヤンガス渾身の「蒼天魔斬」は魔王の持った杖で横から薙ぎ払われたことで軌道が逸れ、虚しく空を切った。着地後の隙を魔王は見逃さず、ヤンガスの体内を起点に『イオラ』を詠唱する。程なくして鈍い音と共にヤンガスは突っ伏して倒れた。口からは黒煙が漏れ出している。

 

「が…は…」

 

「ヤンガス!」

 

ヤンガスの危機に飛び込んだエイトの『ベホイミ』がギリギリで間に合い、なんとかヤンガスは一命を取り留めたようだが、一方、その後ろで何が起こったのかを理解したゼシカは全身が粟立つのを感じた。爆発呪文の真骨頂、収縮と発散によって「イオ」系呪文は広範囲を攻撃することができる。魔王はその爆発の起点座標をヤンガスの体内に設定し、発生する衝撃を余すところなく伝えたのだ。常人の域を逸しているレベルに到達した肉体を持つヤンガスでなければ、今ごろ肉の花火が打ちあがっていたことだろう。

 

「なんて恐ろしい発想をするヤツなの…!」

 

「あ、兄…貴…!」

 

「くっ、内臓のダメージは僕の回復呪文じゃカバーしきれない!ククール!」

 

「任せとけ!今のオレなら内臓のダメージも癒せる!」

 

颯爽と戻ってくるククールだが、その額には冷や汗が浮かんでいる。かつてパルミド地方で魔王に内臓を傷つけられたゲルダを癒せなかった屈辱から、隙を見ては鍛錬していた臓器の回復だが、まさかこうも早く披露することになるとは。

 

「あんま無茶すんな…とは言えねぇがよ…」

 

「わ、わかってるでがす…すまねぇククール…」

 

「謝んな。…さ、治ったし行くぞ。前線がゼシカとエイトじゃすぐに突破される。」

 

 

そして前線、ククールに並ぶパーティーの頭脳(ブレーン)・エイトはある違和を感じていた。…攻撃が当たらない。それも不自然に。ヤンガスとククールが復帰するまで積極的な攻撃は控えるようにゼシカに伝えると、バックステップで重力魔法の範囲外まで距離を取る。

 

「(攻撃が当たらないのはなぜ…?上手く躱されているというより、攻撃が来る場所が事前に分かっているかのような…?)」

 

エイトも既に一流の冒険者であり、盤面に応じてユリマのような戦い方をすることはある。要は相手の意図を読んで攻撃を予測し、カウンターを食らわせる戦法だ。しかし飛んでくる攻撃を全て紙一重で回避することはほぼ不可能に近いし、死角からの攻撃を躱すのなんて達人の域だ。

 

「(でもどうやって?…いや…相手の能力は分からないけど、何度かダメージは与えてる。突破口はある!)」

 

エイトは煙幕が晴れ、ヤンガスとククールが復帰するのを確認すると同時に駆けだした。そして相手に自分の位置をあえて知らせるため、かつ意識を自分に多く割かせるために大声で叫ぶ。

 

「ゼシカ!!『控えめ』に!」

 

「(…!やってみろってことね…信じるわ!)」

 

「うおおおおっ!」

 

エイトはそのまま「ゾンビバスター」を振りかぶり、魔王に「かえんぎり」を発動させた。燃え上がる十字の剣が、薄暗い暗黒の祭壇を照らし出す。

 

「(…?未来が頭に流れてこなかった…声で分かったけど)」

 

まあとにかくこの男は迎撃して終わり。魔王がそう思いながら『ライデイン』を詠唱すると、エイトは大上段の構えを即座に防御に変更し、剣で雷撃を逸らした。しかし衝撃は剣を通してびりびりと伝わり、エイトは後ろに吹っ飛ばされる。

 

「(…未来が観えなかったのは最初から攻撃する気はなかったから…!?)」

 

「(でもなんっ──)」

 

その瞬間、魔王の腰に氷柱が激突する。

 

()ッ──!」

 

「あ、当たった…の?」

 

エイトの「控えめに」という言葉通り、限界まで出力をセーブした『ヒャド』を放ったゼシカだが、攻撃が今回初めて当たったことには本人が一番驚いていた。

 

「…やっぱり!みんな聞いて!相手は何故か分からないけど強い攻撃が当たらない!でも弱い攻撃なら当たる!呪文は初級、攻撃は峰打ち、手数を多めに!そして『いのちだいじに』!」

 

普段のエイトからは想像も出来ないほどの声量、そして早口だが、その意図は確かに仲間たちに伝わった。

 

「「「了解!!」」」

 

各々武器を持ち換え、吹き飛んで転がっていくエイトを庇うように仲間たちが一斉に飛び出した。

 

 

 

 

「…へえ。考えなしに突っ込んできたってわけじゃなかったんですね。でも一人でもっと奥まで気付いたドルマゲスさんには遠く及ばない」

 

「あなたはドルマゲスの何を知っているんだ!」

 

ユリマと赤いバンダナの男が鍔競り合う。鍔競り合いと言っても方や「神鳥の杖」、方や「鉄のヤリ」…なるほど、こんな弱い武器では『少女の見る夢(リリィ)』は発動しない。ユリマは内心で舌打ちをした。

 

「(別に誰彼構わず看破されたいわけじゃなかったんですけどね…。)」

 

我ながらめんどくさい女。ユリマは自分の厄介さを十分理解している。しかしその信念を曲げるつもりなど毛頭ない。

 

「(まあいいか。『未来』が見えてることまで見抜かれたのはドルマゲスさんだけ。それでいい。)」

 

「何を知ってるか?…何を知っているんでしょうね。昔は全部知ってるつもりでしたけど、今はもうわかりません。…あとドルマゲス『さん』ですよ。次呼び捨てにしたら潰しますから。」

 

「…!」

 

バンダナの男はヤリが弾かれるとすぐに下がり、続いて三連棍を持った大柄な男が前に出てきた。

 

「アンタ何者でぇ!何が目的でゲルダの船を奪った!」

 

「ゲルダ…ああ、船を譲ってもらった。とても良い船だったと伝えておいてください」

 

「ふざけやがって!!」

 

男は慣れた手つきでヌンチャクを振り回し、ユリマはその切っ先を何度か喰らってしまった。「くさりがま」の鎌部分を潰しただけの即席三連棍にしては中々の練度をしている。

 

「ゔ…ゴホッ!…ハァ…いい船はいい船だったんですよ。あなた、ゲルダさんの宝物を侮辱する気ですか?…あと私、あなたみたいな野蛮な男性がいっちばん苦手なんですよ。近づかないでくだ…っさい!」

 

「ぬおっ!」

 

ユリマは自分の肩にめり込んだヌンチャクの先を掴み、杖で勢いをつけて男の腹にドロップキックを食らわせて吹き飛ばし、ダメ押しで『メラミ』を打ち込んだ。しかし、『メラミ』は男の元へ到達する直前で男のオノの「なぎはらい」で霧散する。

 

「へ…二度も喰らうかよ…」

 

「…!」

 

間髪入れずユリマの視界に火球が映る。身体を反らせて回避すると、呪文の発射元に目を向けた。

 

「よそ見なんて随分と余裕じゃない…!」

 

「わたしが余裕そうに見えるならあなたたちの目は腐ってますね」

 

ムチを装備した女は矢継ぎ早に呪文を放ちながら距離を詰めてくる。ユリマは飛んできた魔法を全て『ベタン』で下に落とし、槍のように杖を突き出した。狙いはもちろん女の額である。

 

「取っ…ゴフッ…!」

 

「あっ…ぶないわね!!」

 

ユリマの突き出した杖が女の眼前に迫った時、ユリマは腹部に強い痛みを感じて血反吐を吐き、攻撃がわずかに逸れてしまった。溶解性の毒だ。ドルマゲスによって打ち込まれた毒は着実にユリマの体力と判断力を奪っている。

 

「ここなら届くわ!」

 

女の放つ「双竜打ち」でユリマはこの戦い初めてのクリーンヒットを貰う。女の持つ武器は「ヘビ皮のムチ」。ヒモにヘビ皮を巻いただけの簡素な武器は当然『リリィ』の対象にはならない。

 

「いっったいなぁ!!わたしはですね、虐めるのも虐められるのも嫌いな、普通の女の子ですよ!!男の人も苦手ですけど女の人はもっと嫌いです!()()()()()の近くをうろつかないで!!」

 

「何、普通気取ってんの、あんたなんか十分アブノーマルよ!…ディムをどこへやったの!!」

 

そんな人知りませんよというセリフと一緒にユリマは女の顔に口内に残っていた血液を吐きかけ、相手の視界を遮る。

 

「あっ!…な、目が…」

 

「そんなにそのディムって人が好きなら二人でどこへなりと行けばいいじゃないですか!!今だって三人も男を侍らせてるくせに、なんでドルマゲスさんを狙うんですか!!!この…」

 

ユリマは続く言葉を慌てて飲み込む。年頃の女性が下品なことを言うものではない、とドルマゲスならきっとそう言って窘めるだろう。ユリマは女の足を重力で固定し、その横腹めがけて杖を全力で振り抜いた。しかし、杖のフルスイングは女の腹にめり込むことなく、長身の男によって防がれる。

 

「ククール?なの?ありがと!」

 

「(なんて重い攻撃…!)目潰しされてるのか?下がって治療してもらえ!ふくろに水が入ってたはずだ!」

 

「次から次へと…」

 

長身の男が持つのは「兵士の剣」。刃部分が潰されているのか、こちらも殺傷能力がない。本当に面倒だと内心で悪態をつくユリマだが、リーチの長い長身の男の攻撃をいなし続けるうちに悪態をつく余裕すら失われていった。

 

「ディムが、ドルマゲスがここにいるなら会わせてくれ。オレたちはあんたを殺したいわけじゃない。」

 

「最初に手を出してきたのはそちらなんですが?……あとドルマゲスさんに近寄る蠅は全部退治する、というのは決定事項です。今のわたしにはそれしかないから……もしかしてあなたたちもドルマゲスさんが好きなんです?」

 

右腕に『バギ』を纏い、左手に持った杖と共に長身の男の剣戟を弾くが、相手もかなりの手練れ、やはり何回かは攻撃を喰らってしまう。

 

「…?いや全然。ドルマゲスはトロデーンを滅ぼした張本人だろ?」

 

「…」

 

彼らはサーベルトやキラとは違う、明確な自分の敵だ。ユリマは上からと下からの重力で長身の男を挟み込んで動きを止め、氷結呪文『ヒャダルコ』を食らわせる。

 

「ぐああっ!」

 

「……あなたみたいなのを見ると、よっぽどあのお兄さんやキラちゃんの方がマシだと思っちゃいますね」

 

さらにもう一発『ヒャダルコ』を打ち込もうとして、頭に『未来』の映像が流れ込んだため即座に回避する。その瞬間先程まで自分がいた場所に雷光が迸った。赤いバンダナの男の『ライデイン』だ。

 

「忌まわしいですね…本当に…!!」

 

 

 

 

小さな攻撃を繰り返し放っては距離を取り、十数秒単位で前衛と後衛がスイッチし、休みなく攻撃を続けてくる勇者たち。何度か呪文を当てて戦線を離脱させたものの、蘇生呪文やナントカのチーズだなんてふざけたアイテムでまた舞い戻ってくる。そして今度は同じ手が通用しなかった。勇者たちはこの死んだそばから復活して適応していく戦法をベルガラックの地獄(ゾンビアタック)と呼んでいるのだが、ユリマにとってはそんなことは知ったことではない。攻撃自体は大したことないのだが、手数が多いため指で空間を切り取る必要がある『少女の見る夢(リリィ)』を発動する余裕がなく、加えてドルマゲス戦での蓄積ダメージ、疲労、マヒ・眠気・猛毒(ドルマゲスさんの置き土産)。魔力体力も枯渇寸前、あらゆる要素がユリマを追い詰めていた。それでも彼女が立つのはひとえに「愛する人を守るため」────。

 

 

「はぁ…っ、はぁ…っ」

 

 

「『魔王』、なんてタフ…!」

 

 

「でも…あと一息でがす…!」

 

 

しかし、どんな高尚な想いも、行動原理も、敵わないものがある。魔王は悪で、勇者は正義。いつだって闇は光に祓われ、悪は正義に打ち滅ぼされる。ユリマはついに膝をつき、立ち上がることも叶わなくなる。

 

 

「ヤンガス!『魔王』はもう攻撃を避けられないわ!決めて!!」

 

 

「任せろ!う、おおおおおっ!!」

 

 

「(…ああ、ここで終わりですか)」

 

 

「(チッ、(われ)が力を貸してやった小娘もここまでか、つまらん。…まあよい、『準備』は終わった。宿の肉体が消滅して暗黒の力が霧散する前に全て回収させてもらうぞ)」

 

 

身体中の暗黒が全て杖へと凝縮され、すっかり闇のオーラが消えうせたユリマの視界の中でオノを振りかぶる男の姿がスローに映る。

 

 

「(ドルマゲスさん、こんな人たちや、暗黒神なんかに負けないで、どうか無事でいて)」

 

 

嗚呼、愛は正義と違って必ず勝つとは限らない。『()()()()()()』だと決まっている。ユリマだってそんなことは知っている。知っているが…では今ユリマの頬を伝う涙を呼び起こした感情の名はなんと呼べばよいのか?

 

 

「(ああ、もっと遊びたかったなあ。もっといろんな服を着て、いろんなところへ行って、いろんなものを食べて…あなたと一緒に。)」

 

 

「…。ドルマゲスさん。ずっとずっと、大好きです」

 

 

而して、無慈悲にもオノは振り下ろされ、ユリマは意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、この世界には『()()()()()()』に中指を立てて生きることを決めた特異点がいた。月の世界の管理人に『星の筋書きを乱す者』と呼ばれた男がいた。悪の権化である暗黒神と真っ向から対立し、正義の使者である勇者を騙くらかしながら自由に行動する道化師がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヤンガスの会心の一撃が炸裂し、土埃が宙を舞う。

 

「やった…のか…?」

 

「ヤンガス!」

 

「兄貴!手ごたえがないでがす!避けられた!!」

 

「なっ!?」

 

「そんな!?一体どこに…」

 

再度一箇所に集結し、周囲を油断なく警戒するエイトたち。そんな彼らの後ろに『彼』はいた。

 

「ユリマ、俺の為に……」

 

砂埃舞う『暗黒の祭壇』。しかしそのシルエットは確かに──

 

「「「「ディム!?」」」」

 

尋ね人を発見し、喜色満面で驚きの声をあげるエイトたちだが、その視線はすぐに腕の中に抱えられた『魔王』に集中する。

 

「『魔王』!?ディムが…なんで!?」

 

「ディム!そいつから離れて!危ないわ!!」

 

「そいつから離れろディム!引導を渡してやるでがす!」

 

絶対にここで仕留めておかないと、後でどう化けるかわからない。相手が人間だろうとそうでなかろうと不安要素はここで潰さねばならない。手を汚すのは元々後ろ暗い過去を持つ自分でなければならない。そんな思いがヤンガスを突き動かし、ほとんど衝動的にオノを持って飛び掛かった。MPの限界を超えて放つ「蒼天魔斬」である。しかしヤンガスのオノの一撃は煙の中から現れた仮面の剣士によって防がれた。そしてもう一人、小柄な少女も現れる。薄暗く、砂も舞っているせいか顔は良く見えない。

 

「なっ…なんだてめぇは!!」

 

「…」

 

「…アインス」

 

ディムの呼びかけに応じてアインスと呼ばれた仮面の剣士はヤンガスの攻撃を悠々と弾き、ついにはオノを奪い取って羽交い絞めにした。その動きに目を奪われたのはゼシカだ。ゼシカは、この仮面の剣士の一連の身体運びに確かに覚えがあった。

 

「!!!!!!に…兄…さ…!?」

 

「すみません…『ラリホーマ』」

 

「な…ぅ…ぐぅ」

 

「!?ヤンガス!!」

 

仮面の剣士はディムの魔法によって眠りに落ちたヤンガスをゆっくりとその場に横たえた。ゼシカは放心状態のままへたり込み、残ったのはククール、そしてエイト。思慮深い性格をしている二人は飛び掛かってくるようなことはせず、こちらの出方を窺っている。しかし最早ディムを歓迎するような雰囲気ではなかった。

 

「…お前、ディム…やっぱり騙していやがったのか…」

 

「君がドルマゲスだったんだね…」

 

「…」

 

「何とか言えよ!おい!オレたちを騙して遊んで楽しかったか!?…オレはなあ!お前の料理、好きだったんだぜ!ゼシカも、ヤンガスもだ!お前のことを心底可愛がってた!全部嘘だって言うのかよ!!」

 

「…ディムがサザンビークで姫を一瞬でも元の姿に戻してくれた時、僕はあの時の姫の笑顔をずっと忘れない。君が何を考えてそんなことをしたのかは計り知れないけど…今のこんな状況でも、僕は君に感謝してるんだ。だから、だからこそ、すごく残念だよ。すごく…」

 

「…」

 

ククールは柄にもなく感情をむき出しにして吠え、エイトは俯いた。ディムもまた、辛そうな表情で…しかし下を向くことはなく、真っ直ぐ二人の目を見た。

 

「…隠し事をしていたことは、ごめんなさい。でも…裏切ったつもりはありません。本当です」

 

その時、ディムの腕の中の『魔王』が苦しそうに小さく呻いた。

 

「…急がないと。キラ、アインス、手を」

 

アインスは黙ってディムの肩に手を置き、もう一人の少女は両腕を広げてディムに抱き着いた。嗚咽が聞こえてくるところをみると、少女は泣いているようだ。ディムは一瞬困惑したような表情を見せたが、すぐに優しい微笑みで少女を抱き寄せ、再度エイトたちを見据えた。

 

「エイトさん、ククールさん、ヤンガスさん、ゼシカさんも。いつかまた会いましょう」

 

「おい!待てよ!おい!!!」

 

「ディム…」

 

「兄さ…ん…ディム…わたしを…おいていかないで……」

 

『リレミト』の言葉と共にディムたちは光に包まれて消え、後には立ち尽くす勇者たちと、持ち主を失った『神鳥の杖』のみが残された。『暗黒の祭壇』には生温かい風が変わらず吹き込んでいた。

 

 

 

 

 

 




「フバフバチーズ」:トーポの大好物であるチーズの一種。「ふつうのチーズ」と「まほうのせいすい」を錬金して作ることができ、使用すると味方全体にブレス・火炎・氷結系のダメージを軽減する『フバーハ』の効果がある。今回は煙幕として使用。奇しくもユリマに『フバーハ』がかかり火炎・氷結属性に耐性ができたせいで、ゼシカの放つ『メラ』や『ヒャド』がユリマの『少女の見る夢』の危険判定から外れるようになった。



原作との相違点

・戦闘終了後、ディムを筆頭とした謎の一団が突然現れてユリマを連れ去っていく。
1ミリも原作にないシーン。しかし終わってみると大体原作と同じような状況になっている。『神鳥の杖』を回収し忘れたのはドルマゲス最大のガバであるが、運命の収束の働きによるものなのである意味必然のガバである。

エイト
レベル:29→30

ヤンガス
レベル:29→30

ゼシカ
レベル:29→30

ククール
レベル:30     ※倒してないけど撃破はしたので経験値はもらえる



エイト→曇る

ヤンガス→わかってたけどやっぱり曇る

ゼシカ→今一番情緒が不安定な上に曇る

ククール→実はパーティー内で一番ディム離脱が精神的に堪えてるし曇る

ドルマゲス→自分のせいで多くの人が傷ついて曇る

サーベルト→折角ゼシカに会えたのに喋れなくて辛いし、ゼシカを苦しめてしまって曇る

キラ→ドルマゲスが無事に目覚めて嬉しい

ユリマ→意識はないけど今幸せな気がする

ラプソーン→誰か拾え~拾ってくれ~



そういや評価してないや…って方・いつも感想言ってないけど折角の区切りだし…と思っている方!評価・感想いつでもお待ちしています!では!!!
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