【報告】百合の間に距離はいらないがせめて周囲に花畑を咲かせたいマン【ハードコアレベル】 作:デルタイオン
前世……というのがある。
いや、多分前世というか未来というか。まあ、if世界から時間遡行させてもらってやり直させて貰った。
なにせあの未来は……いや、よそう。あまり思い出したくない。
私……いや、俺はそろそろ20にもなろうかといった時期に二人の少女を拾った。
周囲に戦闘の痕跡。打撲痕複数。銃器の傷からして多数の弾丸が撃たれている。血の流れから結構な時間立っている。
そして、この少女の倒れ方は誰かが関与している。
そういった事に気が付きながらも少女二人を拾い上げ、銃器も回収し家へと戻る。
雨に長時間濡れていても脈拍は弱いながらも両方生きており、血もそこまで多く流れている訳ではないので包帯を巻いておけば治るだろう。
それよりも体温をどうにかしなければならない。だが、こんな事もあろうかとヒーターを買っていた。
それを点けて少女二人を温める。
外から警察の音がした。だがここは見つからない。大丈夫だ。痕跡は全て消し去った。
そこから少女を付きっきりで看病していた。
約3日ほど。
少女の片方がスープを作っていると起きてきた。
火を止めて少女と相対した。
「指の数は?」
ピースして数を数えさせる。
「……2」
「よし。記憶はどこまで覚えてる?」
そう言うと少し困惑したようだ。そして、記憶を逆上り始めると突然目がカッと開き周囲を見る。
そして、自分のすぐ隣に寝ているとわかると落ち着き出した。
「……とりあえず水を飲むか。ここ三日間水蒸気しか吸ってないから変に乾いてるだろ」
そう言いコップに水を淹れて差し出した。
それを咳き込みながらも飲みきった少女に銃器を返却した。
「ッ!?」
「大丈夫だ。少し落ち着け。証拠は銃痕と薬莢のみだ。血液、指紋類は残してない。上に話も通しておいた。だから安心しろ」
「………貴方は?」
疑ってる目でこちらを見る少女。そりゃそうだろう。なにせバッジも無ければ改造眼でもない。ただの一般人がこんなにも手際良く処理をしたのだから。
「そうだな……俺はスパイだな」
そう言うと銃器を突き付けてきた。
だが……
「コッキングしてない。セーフティーも掛かったまま。マガジン内に弾薬がある重みも感じない。それに、薬室までよく見えるぜ?脅しにしちゃ少々アクシデントが多いな?」
「クッ!あんた一体何者!?」
そう言いハンドガンを降ろす少女。
「だからスパイだって。日本の」
「日本の……?」
意図的に説明しなかった部分を付け足して説明を始めた。
「俺は第12独立情報潜入局員調査部隊隊長『ハングドマン』だ。以後よろしく」
「えっと……どくりつじょうほうせんにゅう……なに?」
「独立情報潜入局員調査部隊。通称『UCI³』。要するに日本に住むスパイの方々を特定、潜入して情報を抜き取る独立部隊だ。そちらは木真隊の方だね?噂は聞いていますよ。なんでも我々より過激なのだとか」
そう言うとピクリと体が反応した。常人ならわからないだろうが、目が通常より少し小さく収縮した所から嫌な言葉を使ってしまったみたいだ。
「まあ、全体の話だ。君達は非殺傷高圧電流弾を使用してるから表の方みたいだね。それも結構良い所の」
「………そこまで情報が割れてるんですね」
「おっと。これは一手取られた」
推測ではなく収集。そこに気が付くという事は案外頭が回るのか。
「それで、その子は?」
だからこそわからない。
この子とは違う服。違う銃。違う訓練を積んでる彼女の事が。
データベースにも無い。
「………木真の子ではない。君と戦闘した。だが、今庇っているような感じがする。つまり、何か裏がある。それを知られたくない。それとも協力者としては信用出来ない。いや、そうだな。信用していない。だから口を紡ぐ。そうだろう?」
核心なのかこちらを睨む。
ああ、そう殺気を収めるな。あまり部屋を汚したくはないのだがね?
距離を取る。後ろにステップ。瞬間今さっきまで居た所に拳があった。
早い。速い。疾い。
みぞおちを狙った拳を受け止める。衝撃で皮膚の甲が一瞬波紋を作る。
流動拳というものがある。
水と岩と風を掛け合せた拳闘術だ。
曰く。それは物体を破壊する。
曰く。認識すら出来ない。
曰く。人を無くす。
受けてみたが、前世より強い。前世戦った奴より研鑽を積んでるのだろう。
だが、届かない。当然だ。何度も戦ったのだから。
前世持ち舐めんな。
「なんで!?」
「投降しろ。さもなけばあの少女も殺す」
そう言うと効いたのか構えを解いた。
「彼女は何者だ。私にはそれを知る権利がある」
「ッ!……はい。彼女は私が保護していた子です。戦闘用に独自の訓練をしており、殺害目標とされていましたが、情が移り保護してしまいました」
つまり、元々殺害目標であったその少女を隠蔽して引き取ったは良いものの何者かに襲撃されたと?
「なるほど。これは上に報告……」
「ッ!」
「したい所だが生憎独立なんでね。聞いてくれない事にわざわざ労力を掛けるほど生憎体力は無い。そうだな……作りかけのスープ程度を作れるなら匿っても良いかもしれないな」
「えっ………どうして?」
「どうした。作れないのか。なら上へ報告したほうが身の為……「やります!やらせてください!!」……元気な子はあまり好きではないぞ。キッチンは奥だ。俺は少し彼女を見ておく」
「はい!」
少々わざと過ぎたがまあ大丈夫だろう。もし失敗してても最近ほぼ誰とも喋ってなかったから仕方ないだろう。
「………今日中には起きるな」
そう思い脈拍を測る。ゆったりと安定した脈拍だ。これなら大丈夫だろう。
「できました〜!」
そう聞きキッチンへと向かう。
出来上がったスープは及第点であった。良く言えば家庭的。悪く言えば一般的。
「まあ、こんだけ出来れば良いだろう。彼女を起こして来い。食うぞ」
「ッ!はい!!」
その後一悶着あったがスープを食べてシャワー浴びて寝た。
ちなみに俺はタバコか葉巻吸わないと寝れない体質なので外で一服してから寝た。勿論リビングのソファーで。
後日。最初に起きた方の少女のいびきで寝れなかった俺と後に起こされた少女の心が通じ合った。
ふぅ………(賢者タイム)
多分書きません(逃走)