遂に始まりが告げられた雄英体育祭、主審ミッドナイトから第一種目の内容が明かされる。
「第一種目はいわゆる予選、毎年ここで多くの者が
振られた鞭の先、ゲートがスタジアムの奥の青空とコースを映し出す。これから自分達が走る事となる先へと続くロード、すぐさま誰もが自分に有意な場所へと陣取ろうと動き出していく。それぞれがスタートダッシュを決める為に準備を進める中で零一も準備を行っていく。間もなくスタートを告げるランプが点灯始まる、一つまた一つと色が変わっていく。誰かがつばを飲み込む音が木霊しそうなほどの静寂、点灯音が重く響く。そして今―――それが始まる!!
『スタートだぁぁああっっ!!!』
開幕の知らせ、それと共に土石流のごとくスタートへと殺到していく選手たち。皆が他人より少しでも早く前へ前へと焦りを持っているからこそ起きている。
『さぁてこれより実況はこの俺、プレゼント・マイク。そして解説はイレイザー・ヘッドでお送りするぜ!!そしてスペシャルゲストも来てるぜ!!ちなみにイレイザーヘッド、序盤の見どころは何処だと思う!?』
『今だろ』
その言葉の直後、スタートであるトンネルエリアから冷たい空気が伝わっていく。そこへ飛び込んできたのはもう一つのマイクと映像だった。
「実況のマイクさ~ん!!此方現場です、現場では何と何と皆さんの足元が凍り付いちゃってま~す!!」
『おっとぉこれはもしかして~!?』
一早く変化が起きたのは会場から外へと出る門、そこには多くの生徒達が既に立往生していた。その理由は彼らの足元が見事に凍結しているのである、そしてそれを尻目に颯爽と一早く飛び出して行くのは轟であった。個性を使って地面を凍らせて妨害を行ったのである。
「おおですがですが、その氷を突破していく生徒さんたちも沢山いますよ~!!爆破で空を飛ぶ、物を作って跳び越える、純粋に氷を砕いて行くなどそれぞれで実にバラエティ豊かですぅ~!!」
『ハッハァッ!!雄英体育祭1年の部、早速面白くなってきやがったなぁ~!!そして現場レポーター自己アピール宜しくぅ!!!』
「はいぃ~!!」
そう言うと直後にモニターが切り替わって姿を見せたのはなんと20㎝程の大きさをした口がマイクのようになっているハエであった。それは小さなカメラを確りと携えながら現場の空気を自らの声で会場全体へと伝えていく。その姿が見えた時に思わずシャーフーとシャッキーは驚いてしまった。何故ならば彼は―――
「現場中継レポーターはこの私。巨大戦ある所に私あり、たとえ火の中水の中~激獣フライ拳のバエが担当させて頂きます~♪」
激気による言霊で相手を操り、言葉を力に変える激獣フライ拳の使い手。そんなバエはシャーフー達とも密接な関係にあるのだが、常日頃から巨大を求めて世界を旅している。その旅の中で巨大を実況した生配信などを行っていてそれは大好評、的確な戦力分析や状況を伝えるその手腕が買われたのか、今回は雄英から依頼を受けたらしい。
「さあ現在トップはA組の轟君、このまま一気に独走でしょうか~しかし背後からも次々と妨害を乗り越えて来た相手が迫ってくるぞ~!!」
そんな言葉を聞いている観客席の全員は不思議とその様子が頭の中に鮮明に浮かび上がってくる、巨大モニターに映る映像そのままにそれが伝わってくる。そんな中で遂に動きが起こった。遂に彼らが第一の関門へと足を踏み入れると思わず足を止めた。彼だけではなく全員が足を止めていた。
『さあさあ遂に来た来たやっと来たぜ!!!これは唯の長距離障害物走じゃねぇのがわが校だぜ!!手始めの第一関門、駆け付けいっぱいで全力だせる戦闘はいかが!?イッツァ、ロボインフェルノ!!!此処を超えないと次にはいけねぇぜぇえエエエイエエイ!!!』
「これは衝撃ぃ~!!目の前に現れるのは無数のロボロボロボ!!人型サイズのものもいれば巨人サイズのものもいるぞぉ!!!」
熱の籠っている実況で状況説明と周囲のボルテージを上昇させるマイク、障害物として出場選手たちを遮ったのはヒーロー科を受験した者達ならば誰もが目にした物。様々な感情を呼び覚ます赤い眼、入試にて登場しそれらを倒して得られるポイントを競った仮想敵が立っていたのだ。
「なんならもっと凄いのを―――」
戦闘の轟はそれを目の当たりにするが、全く慌てる事も無く一瞬で凍結させてやろうかと思っていた。そして氷結を放とうとした時、一際巨大な仮想ヴィランが突然軽く浮き上がったのだ。
「おっと何でしょうか、突然最大サイズのロボヴィランの脚が浮き上がりました?違和感を覚えたように脚を踏み鳴らしておりますが……っとおぉぉぉおおおと突然ロボヴィランが体勢を崩して倒れこんでいったぁ!!?」
突然、ロボヴィランは片足を思いっきり押されたが如く背中から倒れこんでいく。後ろに居た多数のヴィランを巻き添えにしつつも崩れ落ちて行ったそれに何が起きたのかと流石の轟も目を白黒させていた。が、その原因は足元にあった。
「やっと出られた、全く誰だ押さえつけていたのは」
地面から這い出るように立ち上がると身体に着いた土を払うかのように身体を叩いている、それをやったのは―――そう、零一であった。
「おっと地面から出てきたのは首席で合格を果たした期待のスーパールーキーの無月 零一君だ~!!如何やら地面を掘り進んできたようですね」
『地面を掘るだぁ!?あいつモグラかよ!?ウけるぅ~!!!』
突然の出来事に驚く皆だが、それ以上に気になったのは今の零一の姿だった。選手宣誓を行った時と違って臨気激装を行っている故か知らない者からしたら個性もってるじゃないか!!と言いたくなるような姿だが、それに対してマイクとバエが補足を入れ始める。
『一応言っておくぜリスナー!!無月は個性は持ってねぇ、あれは獣拳っつう特殊な武術の技の一つだぜぇ!!!』
「そうなのです!零一君は激獣ライガー拳という拳法を修得しておりあれはその技の一つである臨気激装!!獣拳使いが纏うオーラをその身に鎧のように纏う事が出来るんですね~!!ちなみに地面を潜ったのはモール拳というモグラを手本した獣拳のお陰ですね、獣拳については後程詳しくお話いたしますのでお待ちください。兎に角零一君は無個性であるという事はご理解ください~」
取り敢えず運営である雄英側がそれを許している、という事は間違いなく無個性である事には変わりないのだろうが俄かには信じられないと言いたげ。しかしそんな事は無視して零一は振り返ると立ち上がって来たロボを見ると跳躍した―――尾白と轟と共に。
「独り占めなんてさせないからね!!」
「ああ、やりたい事はやらせて貰うからな」
「なら好き勝手にやるのが一番だ!!」
そう言いながらも三人は立ち上がって来たロボヴィランを爪で切り裂き、尻尾で装甲を抉るような一撃を決めながら、触れた瞬間に凍結させつつも直後に粉砕しながら巨大なロボを踏み越えて行く。まだまだ戦いはこれからなのだから―――!!
という訳でバエさんの登場です。
ゲキレンジャーの巨大戦と言えば欠かせないのがバエの実況。勿論、個性社会でもそれは変わらずに日々巨大戦を求めて飛び回っております。今回は折角なので起こし頂きました。
後、観客に向けての獣拳の説明役も兼ねてます。