「威力抑えてもこれか……火力だけは良いんだけどやっぱり課題は負担だな」
尾白との試合を終えて控室に戻った零一は椅子に腰掛けつつも天井を見上げるようにしつつ自分の身体に来ている負担についての分析を行っていた。激気と臨気の消耗具合、身体へと来たバックファイア、様々な物を総合しつつもこれからの修行について考えるのだが……矢張り激臨威砲は使うべきではないような技であるという評価を付けるしかなかった。
「威力は良いんだけどな……だけど威力だけなんだよな」
そもそもが複数人技なのに一人でやるから問題が起きる、何れは一人で出来るようになる事を目指しつつ今は余り、という風にした方が良いだろう。
「あっいた」
「んっ轟」
そんな風に自己分析を行っている控室の扉が開けられた。入ってきたのは何やら袋を下げている轟だった、その表情には何処か嬉しさのような物が滲み出ているのが感じ取れる。
「お疲れ様、売ってたから買ったけど食べる?」
「ああ、よければ貰うわ。幾ら?」
「この位良い」
控室には他に誰もいないからか、普段の男口調ではなく女っぽく感じるのはカミングアウトを受けた身だからだろうか。何処か今までの轟よりも女っぽさというかそう言う気配を感じずにはいられなくなっている。
「最後のあれも激技?」
「正確に言えば臨気と合わせた合体技だな、本来は激激砲っていう複数人でやる技を一人でやる為に俺が作った」
「凄い」
「でもまだまだ改良の余地がありまくりだ」
そんな話をしつつも買ったというたこ焼きやら焼きそばに手を付ける、一方は経営科が販売している物で一方は外部の人がやっている出店で買って来たらしい。如何やらこんな比較をしてみるのも面白いという話を聞いたらしいので試した見たとの事。
「次は飯田とだってね」
「らしいな」
トーナメントはどんどん進んでいる、零一の後の試合では飯田が勝利を収めて自分の対戦相手となった。クラス委員長が相手になるが純粋にスピードに優れる相手が対戦相手という事になる。しかし零一は余り危機感を持っていないというか酷くマイペースだった。
「自信ありって事」
「まあな―――ンでお前の方は大丈夫なのか、緑谷相手だが」
そう、轟の相手は緑谷。心操を下している彼が対戦相手。零一から獣拳の指導を受けて個性頼りな戦法はかなり矯正が出来たし近接戦闘術も順調に学び続けている、しかし身体能力を直接向上させられる緑谷と比べれば総合的な物では劣っている。なので個性も上手く使って立ち回っていく必要がある。
「獣拳使うのはあり?」
「前にも言ったが、お前の物をも如何使おうが使わないのも勝手だよ。自由にすりゃいい」
「分かった。じゃあ使う」
そこですんなりと自身の獣拳を使う事を決意する轟。自分の意志がない、という訳ではないだろうが純粋に今の段階で使っていいのか分からなかったのだろう。だが自由にすればいいという言葉を聞いて寧ろ吹っ切れた気がする。
「絶対に勝つからそっちも負けちゃ駄目だから」
「負けねぇよ、お前こそ負けたら承知しないぞ」
そう言いながらも激気を出しながらも互いの拳をぶつけあう、獣拳使いの間で行われる激気励を行って互いの健闘を祈るのであった。
「背中を押して貰ったんだ、カッコ悪い事出来ないぞ……!!」
様々な決意を胸にしながらも前へと進んでいく緑谷。彼は少し前に零一と轟が居た控室とは別の控室で麗日と会っていた―――先程まで爆豪と激戦を繰り広げていた彼女と。結果は健闘こそしたが、爆豪に敗北してしまった。それでも彼女は気丈に振る舞い、自分の戦いを確りと応援した上で見ていると言ってくれた、それが嬉しいと思いながらも心強く、少しだけ情けなくなった。だからこそ確りと轟との試合に臨まなければ―――
「おォいたいた」
「エ、エンデヴァー!!?」
とした時に廊下の曲がり角から姿を現したのは№2ヒーローとして名を馳せるフレイムヒーロー・エンデヴァーだった。しかも此方を探していたかのような物言いに思わず身体を固くしてしまう。だが此方を指差しながら放った言葉を聞くと、それは解けた。
「君の活躍を見させてもらった。素晴らしい個性だね。全身を強化しつつもまだまだ先があるように見えた、恐らく今の君は発展途上……成長し切った時には、その力はさながらオールマイトのような物へとなるだろう」
それを聞いてゾッとした、ワン・フォー・オールをフルスペックでは活かしきれていない。自分ではオールマイトのような肉体はまだ出来ていないから扱える範囲で扱っている、それを手合わせするまでもなく見ただけで見破ったというのか。そしてオールマイトのようなと表現した事から似たような個性であるとも睨んでいる、凄い洞察力だと思いつつも約束を思い出してバレないように努めようとする。
「―――っ……すいません、もう試合近いので僕は行きます」
「ウチの焦凍にはオールマイトを超える義務がある。君ならば恐らくあいつは左を、炎を使わなければいけない所まで追いこむ事が出来る筈だ」
何を言っているのか分からなかった、要するに自分に相手を追い込んでくれと言っているのか。
「そうなれば使わずを得なくなるだろう、下らない反抗心など無くなるだろう」
義務に強制、そして圧力。それらを緑谷はエンデヴァーから感じた、それはとても自分が今まで知っていた№2ヒーローの姿ではなかった。そのまま言いたい事を言い切ったと言わんばかりに去っていく後姿を見送る事しか出来なかった緑谷は不意にエンデヴァーの発言とこれまでの轟の事を思い返す。
「轟君にはエンデヴァーの炎もある、だけどずっと氷だけを使い続けて来た。確執があるんだ……義務、オールマイトを超える義務……って何なんだ、まさか自分の代わりにオールマイトを超えさせるつもりなのかエンデヴァーは……!?それじゃあ轟君はそんな圧力を受けながら今日まで……!?」
常日頃から考える事をしているが故に頭の回転は今も冴えていたが、冴えていたが故に憶測に過ぎない筈のものの殆どは的の中心を射続けていた。轟の激突するこの試合、自分は何をすべきなのか……それを考えつつも彼は試合へと臨む。唯一つの誤算―――
「行くぞ、緑谷」
「っ……!!」
轟が既に獣拳を身に付け、それを使う事に躊躇いを無くした事を知らなかった。
零一と二人でいる時は轟ちゃんになる、というかなれる。
後この時のCVを考えているんですが……中々纏まらない、男装中は基本的に梶さんで通して流してますけど……
天海 由梨奈さんって思ったけどこれ絶対私の趣味のせいだ。のぐち ゆりさん?あかんこれも趣味だっつうか推しだ。
うーん……考えときます、真面目に。