獣拳のヒーローアカデミア   作:魔女っ子アルト姫

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第30話

「っ!!」

「ぐっ……~っらぁ!!」

 

「猛烈な一撃が零一君を襲いますぅ!!これぞポーラベアー拳、これぞホッキョクグマのパワー!!辛くもそれを反らしながらも顔面に蹴りを入れるぅ!!零一君も全く引けを取っておりません、ですが地の利は圧倒的に轟君にあります、この状況を引っ繰り返せるのかぁ!!?」

 

激戦を続ける轟と零一。圧倒的な力を発揮しながらも襲い掛かって来る轟の攻撃を何とかしのぎつつも反撃する零一だが、氷の上というフィールド故か轟に分がある。加えてポーラベアー拳は寒冷地において無類の強さを発揮するという特性もあるので苦しい展開になり続けていた。

 

「激技、氷柱乱!!」

 

凍った右手で地面を殴り付けると一際大きな地響きと共に地面から極太な氷柱が無数に突き出しながらまるで生きているかのように零一へと向かって行く。それに後ろへと跳ぶと氷柱はホーミングするように此方へと向かって来る、それを見ながらも右に激気、左に臨気を纏わせながらも掌に集中させていく。

 

「剛勇雷迅波!!」

 

手を突き出すと掌から稲妻のような波動が氷柱へと襲い掛かっていく、氷柱を貫きながらも轟の元へと到達していくがそれらは激気を更に纏わせた氷氷爪撃で防御するのだが、余りの強さゆえか氷爪は砕け散ってしまった。

 

「凄い、一体どれだけの技を修得してるんだ」

「伊達に10年も獣拳の修行を続けてないって事だ、お前とは文字通り年季が違うんだよ」

 

見事な技で自分の氷柱を粉砕した零一、彼も認める程に自分は才覚が優れているが矢張り経験の違いは覆す事は難しい。通じているのはフィールドを支配して戦いやすくしているのもあるが自分の個性との相性のもいい為。次はどうするかを必死に考えるが、轟は笑みを深めていた。

 

「まだまだ、勝つつもりだから」

 

「(ポーラベアー拳……想像以上の威力だな、臨気激装しているのに腕が少し痺れてる)」

 

対する零一は腕に感じる痺れを振るって無理矢理打ち消す、分かっていた筈だが修行をしていた時よりもずっと強くなっている轟には驚きしか感じない。本当に自分以上の逸材だ、かと言って負けるつもりは毛頭ない。ポーラベアー拳はライガー拳よりも遥かにパワーに優れているのは事実だが、やりようなんて幾らでもある。それに―――自分はまだまだ全力を出し切っている訳ではないのだから。

 

「轟、よくもまあ此処まで成長してるもんだ。自主練にも気合入れてたな」

「当然だ、お前に追い付く為にな」

「フフフッ嬉しい事言ってくれるな、だったらご褒美に良い物見せてやるよ―――尾白、お前も確り見ておけ!!!」

 

友の名を叫んだ、その尾白はA組の観客席に居ながらも獣拳使い同士の戦いを目に焼き付ける為に目を皿にようにして見つめていた。そんな時に零一からそんな言葉を言われてしまった。これ以上のものがあるのかと驚きつつも期待してしまう、本当にこの先を見れるんだな!!

 

「さあ行くぞ、こっからが俺の全力だぁぁぁぁ!!!」

 

腰を落としながらも叫びながらも全身から激気と臨気を溢れ出させていく、まるで火山の噴火を思わせるような凄まじい力強さを感じる。地面に入っていた氷どころかステージの表面が余りの激気と臨気の勢いに負けて剥がれて行く様は正しく異様。

 

『おいおいおいおいお前は何処のZな戦士だよ!!オーラ噴出して地面抉るなよお!!』

『何かする気か、此処まで見た感じだと激技に不可欠な激気を出すのはそうとしか考えられない』

「零一君は如何するのか!?このスタジアム全体を包み込むような凄まじい激気と臨気!!そしてそれは彼の周囲に集結しております、これは、これはまさかぁ!!?」

 

同じ獣拳使い故かバエは何をしようとしているのかを察知している、当然シャーフーとシャッキーも同様。

 

「ホッホッホッ……あやつめ遂にあれを使うか」

「おおっ!!!これは凄い事になりますよぉ……!!」

 

拳聖二人も興奮気味だった。そしてその姿に思わず二人は在りし日の弟子達の姿を重ねてしまった、決して挫ける事も無く、負けたとしても不屈の魂で立ち上がって強くなって必ず勝った正義の獣拳使い達の事を……

 

「行くぞ、招来獣!!」

『ゴオオオォォォォォッッッ!!!』

 

その叫びと共に激気と臨気を糧に具現化されたのは零一が内に秘める獣たるライガー、それは零一の隣に着地すると雄たけびを上げるとスタジアムはどよめきと驚愕に包まれた。

 

「な、なんだぁ!!?なんかいきなり出て来たぞ!?」

「常闇の個性みたいな奴か!?」

「いや、何で無個性の子がそんな事出来るんだよ!?」

「これが獣拳なのか!?」

「そんな事まで出来るのか!!?」

 

「はい~出来ちゃうんですね~!!」

 

観客たちの声に応えるかのように誇らしげにしながらバエは答えた。

 

「零一君の隣に立ったのは彼が内に秘める獣、激気と臨気で具現化された獣、ビースト!!それこそが激技、招来獣!!それによって呼び出された獣の名こそゲキリンライガー!!」

『内に秘める獣を具現化ってどんだけすげぇ拳法なんだ獣拳んんんん!!俺も使いたくなってきちまったじゃねえか!!』

 

呼び出したビースト、ゲキリンビースト。ライガーを前にして轟はその圧倒的な存在感と威圧感に思わず息を呑む、剥き出しの野生、そうでありながらも冷静に此方を見据えながらも零一の敵であると認識して今にも飛び掛かってきそうな雰囲気。これから自分はライガーと零一を同時に相手にしなければならないのかと思った時―――

 

「ライガー、行くぞ獣拳武装!!」

『ゴオオオォォォォォッッッ!!!』

 

その言葉を合図にライガーは叫びを上げながらも跳び上がった、そして自らの身体を分解し始めた。ライガーはそのまま零一の身体を更に強い鎧へと変えていく。そして胸部にはライガーの頭部が装着されると零一は獣のような雄叫びを上げながらも構えを取った。

 

「ゲキリンライガーゼロワン、バーニングアップ!!」

 

「獣拳武装だぁ~!!己の獣を呼び出しそれを纏う事で能力を飛躍的に向上させた激技!!ここからが全力バトルの開始だぁ~!!」

 

臨気激装は激気と臨気で全身を鎧の様に纏う、だがこれはライガー自身を自らの激気と臨気で具現化して一つとなる技。ライガーの威圧感や雰囲気をそのままにその身に纏った零一に轟は思わず喉を鳴らす。

 

「これが、零一の全力……!!」

「凄い、俺も何時か其処に辿り着けるのかな……!!」

 

獣拳使い二人はまだまだ先がある事を示された事に強い喜びと衝動に駆られていく、何時か自分も同じ所に立てるのだろうか……そんな気持ちが沸き上がって来る。それに対して零一は構えを取る事で返事をする、その気があるなら此処まで登って来いというメッセージに思わず口角を持ち上げながら轟は氷柱乱を放つ。ほぼ全方向から迫ってくる氷柱に零一は両手にライガーの爪を展開する。

 

「ライガークロー!!烈光爪撃!!!」

 

先程よりも巨大となった爪、それを振るうと迫って来た氷柱を全てを粉砕する。氷氷爪撃と激突した時とは段違いの破壊力に轟は目を見開いた、そして勢い迫ってくる零一。氷氷爪撃で迎え撃とうと爪を差し向けたが―――拮抗していた筈の爪が一瞬で砕かれてしまった。

 

「なっ……!!?」

「まだまだァ!!」

 

そのままライガークローで斬りかかって来る、それを回避しながらも盾代わりに爪を使おうとしても一瞬で砕かれる。激気と臨気の強さが先程とは全く違っている、何とか挽回する為に拳から氷を伸ばして刃を作り、その身体へと刃を向けるが……身体を捉えた筈なのに全く動かなくなっていた。

 

『ゴオオオォォォォッ!!』

「と、止められてる……!?」

「残念でした!!」

 

氷刃は零一の胸にあったライガーが刃に噛みついて止めていた。そして一息に噛み砕くと腹部に蹴りが入った、そのまま回転蹴りが決まって吹き飛ばさながらも場外アウトにならないように氷で壁を作る。その壁に寄り掛かるようにして何とか立ち上がると身体が震えている事に気付く。今の未熟なポーラベアー拳の激気ではこの辺りが体温の限界らしい。

 

「左だ、左を使え焦凍!!」

 

それを見たエンデヴァーは炎を使えと呟いた、例え聞こえなくても轟にはそれは感じ取れた。確かに今炎を使えば身体は温まってまだまだ戦えるようになるだろう……だが轟はそれをしない決断をしつつも立ち上がる。

 

「零一、それ何時か出来るよな」

「さあな、お前の努力次第だが……お前はその努力を欠かすつもりはないだろ?」

「当然」

「なら良し」

 

その言葉を受けつつも胸のライガーが叫びを上げながらも大きく口を開いた。そこに激気と臨気が収束していき眩いばかりの光を放って行く、それを見た轟は素直に綺麗だな、という感動を浮かべつつも今出せる最高の激気を込めて最後の一撃を放とうとする。

 

「吹吹氷柱乱!!!」

 

吹雪と氷柱を同時に放つ、その場の思い付きで轟が行った吹吹氷と氷柱乱のミックス技。それに思わず零一は微笑みを強めながらも深く腰を落とし、脚に力を籠める。そして臨界にまで達した力を渾身の力で放って迎え撃つ。

 

「激臨ッビースト砲!!」

『ゴオオオォォォォォッッッ!!!!』

 

臨界にまで高められた激気は光線となって閃光を放った。それは吹吹氷柱乱と激突しながらも冷え切った空気を一瞬で加熱して膨張させる、スタジアム全体を揺るがす暴風が吹き荒れる中、光線は吹吹氷柱乱を完全に打ち破って轟の足元に炸裂した。爆風と爆炎の中で轟は最後まで零一を見つめ、その強さに心からの尊敬を向けながら場外へと吹き飛ばされて行った。

 

「と、轟君場外!!無月君の勝ち!!」

「遂に決着ぅぅぅぅぅ!!!凄まじい激戦を制したのは零一君です~!!!途轍もない激気のぶつかり合いに私も獣拳使いとしての血が久しぶりに騒いできてしまいました~ブンブン~!!!」

 

凄まじい熱狂の渦に包まれていくスタジアム、その中心となった零一は倒れこんだ轟の顔を覗き込んでいた。

 

「立てるか?」

「……無理っぽい、ボロボロだから」

「それじゃあ保健室まで運ぶな」

「ありがと」

 

零一は轟を抱き上げた、そして喝采と拍手を受けながらも通路の奥へと消えていく。正しくこれこそ互いの健闘を称え合う素晴らしい光景だと言えるのだが……それに苛立ちを覚えている者が一人いた。

 

「焦凍、何故だ……お前、は何故……!!!」




最初はゲキリンライガーゼロにしようと思ったけど零一だからゼロワンにしました。
後、ライガーッ!!!って合体後叫ばせようか悩みました。
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