獣拳のヒーローアカデミア   作:魔女っ子アルト姫

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第34話

『それではこれより、表彰式に移ります!!』

 

色取り取りの花火が空を煌びやかに染め上げながら爆ぜて行く、先程までステージで戦いの為に使われていた爆豪の爆破とはまた違った側面の爆発は美しさを刹那を持って消えて行く。そんな側面を持った花火がトーナメントの入賞者を祝福している。焚かれたスモークの中から表彰台が競り上がっていく、だがその中で何かが暴れているのが見えている。

 

「うっわぁ……何あれ」

「意識回復して引き分けって言われてずっと暴れてるんだって、もう一回やらせろって」

「まあ爆豪ならそうするかぁ……」

 

今回は同率1位が二人、故に中央の一番高い1位の台の左右は何方も3位。それらには轟と常闇が居るのだが……肝心の1位の台にはセメントの柱に縛り付けられたうえで両腕を拘束具でガッチリと縛られた上で鋼鉄のマスクで罵詈雑言を封じられながらも身体をよじって暴れている爆豪、そしてそれを見ながらも呆れるような表情で疲れた笑いを浮かべながら座っている零一の姿があった。

 

「なんで座り?」

「いやこいつが暴れる関係で立ってるとスペース的に辛いから」

「納得」

「っ~!!!!」

 

と轟と常闇が呟き、爆豪がもがく。何とも奇妙な表彰台だと本人も思う。兎も角ミッドナイトは彼らを微笑まし気に見つめながらも高らかにマイクを上げながら声を張り上げる。

 

 

『さぁいよいよメダルの授与よ!!今年のメダル授与を行うのはこの人!!平和の象徴、我らがNO.1ヒーロー!!「私がぁ……メダルを持ってきたぁ!!」オォォオルマイ、ト……』

 

授与するメダルを抱えながら会場へと颯爽と参上するオールマイト、しかしミッドナイトの挨拶とのタイミングが合っておらずミッドナイトの宣言の途中で参上してしまい如何にもしまらない事になっている。それでも会場は大歓声に包まれている辺り、オールマイトの人気が窺えるがオールマイトとミッドナイトは微妙な表情を浮かべている。何ともグダグダだ……がオールマイトは咳払いをしつつも無理矢理授与式へと移行するのであった。

 

「常闇少年、おめでとう。強かったぞ君は!!」

「もったいないお言葉」

 

爆豪にこそ破れているが、それまでは無敵に近い戦いをし続けてきた常闇。その敗因は個性の弱点。彼の個性は光などに弱く、明るく照らされると力を発揮出来なくなってしまう。爆豪の爆破の光とは正しく最悪の相性。 

 

「ですので、俺は肉体の鍛錬を行うと思っています」

「ホウ!!」

「今回のトップ……それに倣うつもりです」

 

隣の零一を見る。武術を学び、身体を鍛え続けた末にあそこまで出来るようになっている。ならば自分もそれを御粉ればできる事はきっと増えて行くはずだと常闇は信じている。それにオールマイトは力強く頷く。

 

「その予想は正解だぜ、自力を鍛えていけば取れる択は増えて行く。頑張ってね!!」

「御意」

 

オールマイトからのエールを確かに受け取りながらも常闇は次へと進んでいく。そして次は轟。

 

「さて轟少年、君も素晴らしかったよ。まさか獣拳を使うとは予想してなかったけどね」

「有難う御座います、零一にずっと教わってたので」

 

今回一番の驚きだったかもしれなかったのはあの宣誓だった、獣拳使いとしての決意を現した名乗り。我が道を行く、エンデヴァーに強いられる道ではなく自らが切り開く未来を目指すのだと。

 

「これからも獣拳を極めて行くのかい?」

「はい」

「そうか……生憎私は其方に疎い、だが今回君の戦いは本当に素晴らしかった!!個性もそうだが、鍛錬を怠らずにね」

「勿論、暮らしの中に修行あり……です」

「いいねその言葉!!」

 

シャーフーの言葉を引用しながらもこれからも頑張っていきますと宣言する轟にメダルを掛けてあげながらも苦労を労う意図で軽く抱きしめてあげる。その時にオールマイトは邪な事は考えなかったが柔らかい体してるんだなぁ……と思ったりもした。

 

「(……あれ、オールマイトって轟の事マジで男って思ってる?)」

 

轟曰く、教師陣は知っているのでフォローを受けたりはしていたと聞いていたが……まあオールマイトなら大丈夫だろうと零一は心の中にしまった。尚、エンデヴァーは地獄の業火を滾らせていた。

 

「(……お父さんに抱きしめられるってこんな感じなのかな……)」

 

きっとそれを知られたらエンデヴァーは更に炎を滾らせる事だろう、もしくは落ち込む事だろう。

 

「さてと―――えっと、どっちから授与する?」

 

いよいよ1位へのメダル授与なのだが……何方から渡した物かと悩むオールマイト。まあどっちからでも良いだろうとは思うが……話が進まないだろうから零一が挙手をする。するとオールマイトも助かったような表情を浮かべるのであった、それでいいのか№1ヒーロー。

 

「おめでとう無月少年!!実に素晴らしい戦いだった」

「どうも、俺としても思っていた以上の試合が出来て満足ですよ」

「HAHAHAHAそれは結構!!」

 

メダルを掛けて貰いながらも零一は素直な感想を述べる。尾白や轟の事を抜きにしてもいい試合が出来て収穫は思った以上にあったと思う、これからの自分に足りない物を補う為の修行メニュー作りにも大いに役立つ事だろう。

 

「しかし驚いたよ、獣拳というのはあんな事も出来るんだね!!エネルギーのボールを打ち出したりロボットみたいに合体したり、ビーム撃ったり」

「やろうと思えばですけどね、正直激気と臨気を使い過ぎてかなり疲れてます今。流石に消耗の激しい技を使い過ぎました」

 

激臨威砲に激激ビースト砲、獣拳武装もかなりの消耗を強いる激技。それを連発しているので零一は相当に疲労している、増幅していたのもなくなって本格的にガス欠が近い。

 

「そうかそうか、しかしこれから君は注目される。獣拳というのは今の社会にとっては未知のものに近い、故に様々な目が向けられる事だろう、だがそれに負けることなく頑張ってほしい!!」

「まあどうなろうと俺は自分の道を歩くだけです、日々是精進しながら」

「ウムッ素晴らしい心構えだ!」

 

そうして次は爆豪の番なのだが……改めて本当に凄い拘束のされ方だ。

 

「なんというか、これはこれで凄いなぁ……なんか昔にこんな感じに拘束されて連行されていったヴィラン見た気がする……」

「取り敢えずマスクだけでも外します?俺やりますから」

「おおっ有難う無月少年」

 

零一が爆豪のマスクを取ると直後に今まで拘束され続けた分の怒りを発散するかの如く、烈火の怒りを爆発させながらオールマイトに叫ぶ。

 

「ォォォオオオオオルマイト……こんな一番何の価値もねぇんだよ!!世間が認めても自分が認めなきゃゴミなんだよぉ!!!!」

「(顔すんげぇ……)」

 

思わずオールマイトが言葉に詰まるレベルに目を吊り上げながら叫ぶ爆豪、歯を食いしばりながらも零一を睨みつけて叫び続けた。

 

「テメェもう一度だ!!ぜってぇ今度はぶっ殺してやる!!」

「勘弁してくれ、もう臨気激装すら辛いんだ。俺のこの状態で勝ってお前満足するのかよ」

「する訳ねぇだろうがクソがぁ!!!ふざけやがってぇ!!!」

「だろ、だからさっさと終わらせてくれ」

「テメェに指図されたくねぇんだよ!!」

 

と叫んでくる爆豪に対して零一は思わずオールマイトに視線を送る、これ如何したらいいんだろうかと言いたげな視線にオールマイトは困った笑いを浮かべるしか出来なかった。

 

「まあ爆豪少年、それ程に気に入らぬなら後日にリターンマッチを行えばいい。互いに全力全開を出せる状態でね、その時にこそ叫べばいい―――俺はこのメダルに相応しい存在だとね」

「要らねぇ!!目に入る度にウゼェだろうが!!」

「まあまあ……ハイ返品不可!!」

「ざっけんなぁオールマイトぉぉぉお!!!!」

 

隙を突いて爆豪の首にメダルが下げられる、拘束されている関係上外す事は出来ない。下がったメダルを誇らしげに見つめる者は多いが忌々し気に見る者はそうはいないだろう……。

 

「今回は此処にたつ彼等だった。しかしこの場の皆、誰にもここに立つ可能性はあった!!ご覧頂いた通り、競い、高め合った!!更に先へと昇っていき続けるその姿!!!次代のヒーロー達は確実にその芽を伸ばし成長している!!てな感じで最後に一言。皆さん、ご唱和下さい、せーの!!」

 

「「「「「プルスウルt」」」」」

『お疲れ様でした!!』

 

オールマイトの言葉と共に放たれようとした言葉、それが一斉に出ようとした時にそれら全てをぶち壊すように言った本人が全く違う事を言った事で一瞬静寂になった後に思わずブーイングが出てしまった。最後の最後で台無しである。

 

「……オールマイト、分からなくもないですけどそこは校風出さないと」

「いやそのゴメン、疲れただろうから労おうと思って……え、えっとやり直しプリーズ!!」

 

この後、確りとやり直しが行われたのは言うまでもない。

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