獣拳のヒーローアカデミア   作:魔女っ子アルト姫

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第39話

フレイムヒーロー・エンデヴァー。圧倒的な火力を誇る個性、鍛えられた肉体とそこに刻み込むように高めて来た技術で事件解決数史上最多を達成している日本が誇る№2ヒーロー。紛れもない超一級のスーパーヒーローというに相応しい。そんなヒーローが構えるエンデヴァー事務所は大きなオフィスビル、そこに大勢のサイドキックを抱えている。そんな事務所に二人の影があった。

 

「さてとまあ……行くか」

「うん」

 

そう、零一と轟である。今日から行われる職場体験、その為に此処まで来たのである。轟としてはあまり来たくは無かったが、プロヒーローを目指すのであれば最も№1に近い超一流のヒーローに見て貰うのが最も合理的といえる。だからここに来たとも言える、そしてビルへと入ると早速案内を受けてエレベーターで上がっていく、そして……一室に通されるのだが、そこには多数のサイドキックを背後に抱えているエンデヴァーの姿がそこにあった。

 

「よく来たな、無月そして焦凍」

 

意外と確りと受け入れられる事に対しては驚きがあった。自分の職場体験の申し込みが受領されたのもそうだが、未熟な生徒の職場体験を受け入れるのはプロの仕事の効率を下げる事にも通ずるので嫌う者もいると相澤も言っていた。特にエンデヴァーの事務所は事件解決数ランキングの常連、そんな所が体験を受け付けるのも珍しい……まあ8割以上、轟関連だろうが。

 

「まずはお前達のヒーローネームを聞いておこう」

「ショート」

「ライガーゼロワン」

「成程な……よし、先ず一言言っておこう。お前達に職場体験の使命を出しこそしたが此方としては足手纏いを仕事に着いて来させるつもりはない、故に―――まずは手合わせをさせて貰うぞ」

 

突然すぎる言葉だが、エンデヴァーの言葉は一理ある。プロの仕事に連れて行くが、形式的には自分達が守られなければいけない対象でもあるので出来ればある程度着いて来れる者が好ましいのである。それを判別する為に実力を改めて確認しておきたいという所だろう。そのまま事務所の地下にあるトレーニングルームへと連れていかれる二人。

 

「おいコスチュームは如何した」

「此処にある」

 

そう言いながらも轟は付けているゲキチェンジャーを見せた、此処にあると言われても……唯の手甲にしか見えないとエンデヴァーは言葉を選ぼうとしているのだが、それより前に二人は顔を見合わせながらも激気を出しながら叫んだ。

 

「轟け!!獣の鼓動!!臨気激装(ビースト・オン!!)

「滾れ!!獣の力!!ビースト・オン!!」

 

同時に高められて行く激気、零一はそれを臨気と共に鎧のように纏って臨気激装を行った。対する轟はゲキチェンジャーの高次元倉庫に格納されている自分のコスチュームが展開されて自分に纏われる。一瞬のうちにコスチュームの装着が終了した光景に流石のエンデヴァーも感心したような声を上げ、サイドキック達からは初めて見る様なアイテムに興味津々といった様子だった。

 

「おおっ何だあれ!?一瞬でコスチュームが展開された!?」

「便利だなぁ……持ち運びも簡単だし他の物も入れられるなら医療器具も入れられるからそういう面でも役に立つ」

 

「何処のサポートアイテムだ」

「スクラッチ社」

「スクラッチだと!?あの超大手が何故……」

 

思わずエンデヴァーは声を上げてしまった。それだけスクラッチ社はサポート業界としても大手な事もあるが、それ以上にサポートアイテムを依頼するのは向こうが出す条件やテストをクリアしなければいけないという事で有名。それなのに雄英生徒でしかない二人にこれだけの物を作ったというのが信じられなかったらしい。

 

「零一はそこの特別開発室の室長と知り合い、スクラッチ社とも関係が長い」

「そんなパイプがあったのか……」

「ええ。如何でもいいがさっさと手合わせをしないのか、時間の無駄だ」

「良いだろう、始めるとしよう」

 

サイドキックの中にはそんな言葉遣いをする零一に対していい顔をしないものも多かった。当然だ、此処にはエンデヴァーに憧れてサイドキックになったものも多い、それなのにあんな大きく口を叩くのだから生意気な子供だと思うのも致し方ない。

 

「エンデヴァーさん誰がやります?」

「いや俺がやる」

『ええっ!!?』

 

流石にサイドキックの誰かにさせるとばかりと思っていたのか、サイドキックから驚きの声が上がる。早速零一とともに中央に立ちながらも立ち会う、そんな様子にサイドキックは戸惑いの声も上げる。

 

「エンデヴァーさん直々って……」

「噂の獣拳の力を確かめるとかか?」

「だと思うが……体育祭で優勝したからってまだ高1だろ、エンデヴァーさんが直接戦う程ではないと思うけど」

 

などという意見が多い。まあそれも当然かと轟が思っている中で隣に一人の女性がやってきた、エンデヴァーのサイドキックでありながらも有名なヒーローの一人でもあるバーニンだ。

 

「よぉっショート!!体育祭見たぜ、中々強くなったじゃねえか」

「ども」

「それとよ……お前さ、あいつにバラしてるだろ?」

「―――分かるんですか?」

「ったりめぇよ同じ女だ舐めんなよ」

 

ウィンクをしながらも笑うバーニン、サイドキックという立場であるからか交流はそれなりにある。出張で不在の時に鍛えてやって欲しいと頼まれて相手をした事も何度もある、故にバーニンは轟の事を同じ女として色々と理解しているつもりである。

 

「言葉がやわらけぇって思ってさ、なんだ良い事あったか?」

「……うんあった、今度教える」

「応教えろ教えろ」

 

姉、というよりも悪友に近いバーニンに轟は多少なりとも心を開いている。そんな中で遂に零一とエンデヴァーの手合わせが始まった。

 

「っ!!」

「小癪な!!」

 

真正面から突っ込んでいたかと思いきや、瞬時に姿を消した零一。だがエンデヴァーは落ち着きながらも背後に拳を突き立てるとそこに零一の蹴りが飛んできた。そのまま後ろへと跳びながらも激気と臨気を拳から放つ。

 

「っ!」

 

それに炎を放つ、唯の風圧のような物だと思っていたがエンデヴァーの炎を逆に押し込んでいくような力強さ、それに驚きつつもエンデヴァーは生意気な……!!と好戦的な笑みを浮かべつつも一気に炎を強めて押し返して行く―――が、それは一瞬のうちに両断された。

 

「ゲキリンセイバー!!」

「ホウ、徒手空拳だけだと思っていたが武器も使えるか。ならば―――!!」

 

合わせてやろう、と言わんばかりにその手に炎の剣を生み出して握り込むエンデヴァー。それを見て真正面から切り込む零一、それを迎え撃つエンデヴァー。唯個性だけで此処まで上り詰めたのではない、と言わんばかりに見事な剣術で零一を攻撃し始める、サイドキックはヴィラン退治でも行う炎の剣術にやりすぎだと思ったが……

 

「嘘だろ……?」

「エンデヴァーさんの炎の剣と」

「打ち合ってる……!?」

「ハハッやるなぁあいつ!!」

 

「はぁぁぁっっ!!」

 

ゲキリンセイバーは酷く薄い、振るだけで刃が音を立てて曲がる程に薄い。だからこそ腕を大きく振るいながらの回転を加えるのが基本的な使い方。そしてそれはその状態で攻防一体の構えとなる。炎を受け流しつつも防御し、一瞬の隙に攻撃を差し込む事が出来る。

 

「(想像以上に出来るぞ此奴……!!伊達に焦凍に勝っていないという事か、面白い!!!)」

 

エンデヴァーは努力を重ねて続けている、№1になる為に炎を活用する方法を模索し続けていた。剣術、槍術、棒術、様々な物に手を伸ばしてそれらを会得している。故に炎の剣は単純な高い熱量を持った剣で攻撃するだけではなく、技量としても優れている。それらを簡単に受け流し続けている零一に興味が湧き始めて来た時だった。

 

「そこぉ!!薄薄斬!!」

「ぬぉ!?」

 

一瞬の隙を突くかのように一転攻勢、零一は攻撃に出た。二つの剣を操りながらも全身しながら上下左右、様々な角度から凄まじい切れ味の攻撃が行われ続ける。息をする暇もないほどの超連続攻撃にエンデヴァーも防御し続ける。そしてそれを受け続けていた炎の剣が……両断されてしまった。

 

「小僧!!」

 

折られた直後に胸部から炎を噴出した、それを諸に受けた零一は吹き飛びながらも全身が火達磨になっていた。だがそれは咄嗟の事だった、このままでは押し切られてしまう、と思ったエンデヴァーは思わず攻撃を行ってしまった。

 

「しまった、つい……!!」

「不味い消火器消火器!!」

「要らないよそんなの」

「へぇっ?」

 

周囲が慌てる中、轟だけが冷静に必要ないというのをバーニンだけが聞いていた。その言葉の通りに火達磨になっていた零一は立ち上がりながらも勢いよく回転すると竜巻のような激気と共に炎が消し飛んだ。そしてゲキリンセイバーを肩に担ぎながら問いかけた。

 

「まだやるか、見極め」

「……いや十分だ。お前の力は良く分かった―――存外やるものだな。生意気だが」




夏希「ゲキリンセイバー、しなる程に薄いけど切れ味は抜群!!上手く扱えば上下左右からの同時攻撃は空前絶後の防御不可の攻撃を繰り出せるわ」

零一「シャーク拳との相性も抜群、俺が一番好きな武器だ」

夏希「でも本当に薄いのよね、指で曲げられちゃう位に」

零一「薄いが故の抜群のキレ味!!薄薄斬に切れぬものはない!!」

夏希「じゃあこんにゃくも大丈夫?」

零一「当然……って斬鉄剣じゃないよ!!」
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