獣拳のヒーローアカデミア   作:魔女っ子アルト姫

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第42話

「チェエエエストォ!!」

 

零一の気迫の籠った延髄蹴りが炸裂し、最後のリンシーが消え去った。なんとか被害は最小限に抑えつつも全滅させる事が出来た。

 

「よ、漸くか……此処までの近接ガチ戦闘は何時振りだろ……事務所に戻ったら鍛え直さないとな……」

「ふぅっ……」

 

流石のプロのサイドキックであるキドウも初めてのリンシー相手は中々にキツかった模様、部類的には雑魚の領域にこそ入っているが、それでも獣拳を修めている事に変わりなし。武術による受け流しや防御も積極的に行って来るので、唯攻撃するのではなく武術で行わなければ倒せないのが厄介な所。

 

「兎に角さっきの奴を追いかけないと……」

「ま、待ってくれ。他の場所にもあのリンシーだっけか、そいつが現れるかもしれないだろ。今の内に情報を渡してくれ!!」

「……確かに、それが良いと思う」

 

轟もその意見に賛成する、あれが一体何処に行くか分からないが人々の悲鳴などを望んでいるならばまた、同じことをする可能性も十二分にある。

 

「あれはリンシー。獣拳は二つの流派に割れていた時期があった、一つは正義の獣拳である激獣拳ビーストアーツ。もう一つは邪悪な獣拳、臨獣拳アクガタ。その臨獣拳の総本山、臨獣殿に身を置きながらも道半ばで倒れた獣拳使いを仮初の命で蘇らせたのがさっきのリンシーだ」

「獣拳って正義の心が無ければ使えないと言っていたが、それは違うのか」

「激気自体は正義の心がないと引き出せない、だが臨気は違う。あれは人々の悲鳴、絶望、嘆きで増幅されていく」

 

その二つは既に一つになっているが、アクガタを継ごうとする者が居た……という事なのだろうか。それらを聞きながらもキドウは険しい顔をしながらもある事を聞く。

 

「その、リンシーだったか。助けることは―――」

「無理だ。奴らの知性は低いから言葉も話せない。悲鳴程度は上げられるが会話なんて以ての外だ。それに厳密には生きてもいない、死体が操られているに近い。倒して解放してやるのが一番だ」

「……そうか、分かった。全員に伝える」

 

そう言いながらインカムのスイッチを入れてエンデヴァーを始めとしたサイドキックに情報を共有する。気持ちは分からない訳でもないが、死者とも生者とも言えない曖昧な存在がリンシー。それが生きる者を襲うのであれば倒して眠らせてやるのが一番の対処法なのである。

 

「ああそうだ、そいつらはある奴の個性で操られているに近い木偶人形!倒すしか術はない!!……ライガー、如何やら他の場所にもリンシーが暴れているらしい、捕縛しようとしたら石化消滅したって話も幾つか出てる」

「他の場所でもか……元を断つしかない」

「あいつだな」

 

先程の男、まるでカマキリのような姿をしていた。恐らく体得しているカマキリを手本とし、その腕で何でも切断する事が出来るのマンティス拳。

 

「だがどこにいるか……」

 

手掛かりもない状況故に手当たり次第にリンシーを蹴散らして行きながら探そうと考えていた時、二人の携帯にメッセージが入った。そこには位置情報のみが添付されていた、発信者は―――緑谷だった。しかも此処から近い。

 

「緑谷から、なんだ位置情報だけが……?」

「見せてくれ……この子賢いぞ、これはプロが良く使う救援要請やヴィラン発見の報告の手段だ。だけど位置情報だけって事は、緊急事態かも知れないぞ」

「急いだほうがよさそうだ、招来獣!!」

 

キドウの言葉で大急ぎで向かう事を決めた二人、零一は即座にライガーを呼び出した。二人もそれに乗るとライガーは遠吠えを上げるとそのまま疾走し始めた。

 

「よし、エンデヴァーさん達への転送も終了。片付き次第援軍に来てくれるはずだ!!」

「流石手早いな、轟次は!!」

「右、次は左の路地!!!」

「了解、GOライガー!!」

『ゴオオオオオオオオッッ!!!』

 

高らかに雄たけびを上げながらも疾走するライガー、夜の帳に包まれ始めている空。暗く静かな物になる筈の夜空の一部には火の手が上がっているかのようにオレンジ色に染まっている。如何やらリンシー達が暴れているというのは本当らしい。そんな事を考えつつも到着した路地裏、ライガーは姿を消す中、見えたのは―――血を流して倒れているヒーロー、それを庇うようにしながらも座り込んでしまっている飯田。そして……蹲っている緑谷の姿だった。そしてその傍には……刀を持った男が飯田への方へと歩き始めた。

 

「緑谷、飯田!!」

「剛勇吼弾!!」

「っ!!」

 

臨気弾を放って牽制を行うが、それに素早く反応した男はビルの壁を蹴って見事に回避する。その身のこなしを見て零一は直ぐに瞳を鋭くする。

 

「ハァッ……邪魔か」

「零一君に轟君!?」

「ふ、二人とも、如何して……!?」

「位置情報が送られて来たんでね、こっちに来たんだよ」

「あいつは、ネイティブ、傷が深そうだな……」

 

状況を分析しながらも構えを決して解く事は無い、それは緑谷達と戦っていたと思われる男にあった。刃毀れしている日本刀を持ち、各部にもまだ刃物を持っている、スカーフなどで顔を隠しているその男の瞳は酷く冷たく、鋭かった。

 

「気を付けるんだ、そいつはヒーロー殺しだ!!!」

「ヒーロー殺し、ステインか!?まさか大当たりとは……」

 

思わずキドウがそんな言葉を口にしてしまう、救援に来たと思ったら元々保須に来た目的を達成してしまうなんて……なんて巡り会わせなのだろう。

 

「ハァッ……増えたか、だがヒーロー・キドウ……貴様も粛清の対象だ」

「粛清、だと……?何をほざくと思えば」

「贋作が口を開くな。貴様は贄だ、正しき社会への―――贄だ」

 

刀を構え直しながらも今にも飛び掛かってきそうな瞬間―――誰よりも早く零一は飛び出していた。全身を襲ってきたゾワゾワに身体が素直に従っていた。ゲキチェンジャーからゲキリンセイバーを取り出すとそのまま構えて壁を蹴って跳躍、そのまま……ヒーロー殺しの真上を取っていたマンティス拳使いの刃を防いでいた。

 

「気付かれただと!!?」

「テメェ……何をする気か知らないが、好きにはさせるかぁ!!!」

 

マンティスの一撃を弾きつつもビルの壁を蹴りつつ、ゲキリンセイバーを振るって足止めを行う。その攻防をヒーロー殺しは何処か驚きつつも澄んだ瞳で見つめていた。

 

「こいつは俺が引き受ける、そっちは、任せたぁ!!」

「無理だけはするな!!俺も直ぐに行く!!」

 

キドウはそう叫び返す、が零一は壁を蹴って去ろうとするのを追いかけて行く。と言っても自分もこの状況で容易く逃げられるという訳ではない。可能なれば確保したいが……ネイティブや飯田の手当ても早急にしなければならない。その状況で相手を確保出来るか、いや上手く凌いで応援を待つのがベターだと思う。零一の実力は知っている、他のヒーローが気付いて応援に駆けつけることを期待しつつも急ぐほかない。そんな事を思っている間……ヒーロー殺しはこんな事を呟いた。

 

「……あの時、インゲニウムを助けた男と同じ目をしている……英雄の、瞳を……」

 

 

「きぃさぁまぁぁぁぁ!!」

「薄薄斬!!」

 

激昂する男がカマキリの鎌の刃で此方を切り刻もうと迫って来るのをゲキリンセイバーで受け止めつつも、薄薄斬で反撃する。鋭利な刃と鋭利な鎌は幾重にも閃光を生み出すように激突していく、だが一瞬の隙を突いて零一がその腕を絡めとるかのように回転で攻撃を受け流して胸部へと一撃を炸裂させる。

 

「貴様ぁぁぁぁ!!!偉大な御方への貢ぎ物を、よくもよくも邪魔してくれたなぁぁぁぁ!!!」

「御方、だと?」

「我らが崇め奉る御方は、人々の悲鳴、絶望、嘆きを欲しておられるのだぁ!!かの時に捧げられた嘆きだけでは足りんだ、故に俺がヒーロー殺しの嘆きを捧げようとした時に、貴様ぁぁぁぁ!!!!」

 

攻撃を受けた事で更に怒りを剥き出しにした男は様々な事を喋り出して行く、偉大なる御方、貢ぎ物、色々な事が分かるがこいつは臨獣殿なのか。

 

「お前、臨獣殿か!!」

「笑わせるなぁ!!我らがあのような下らぬものと一緒にするではないわ、臨気こそ使うが我らが使うのは更に上。ゲンリンシーで得ようとした嘆きで、俺は高みへと登れるはずだったのに……貴様のせいで獣人邪身変止まりだぁ!!」

「止まり……上、まさか……」

 

考えが及ぶものがある、だが本当にそれが使えるのかという疑問もわく。

 

「兎に角、今は貴様で我慢してやる。その次にヒーロー殺しだ!!このマンティス拳、マリカキ様がお前を惨殺してやる!!」

「やれるものならば、やってみろ!!勇往邁進。魂から全身へ、猛る勇気の力―――勇者の魂(ヒーローズ・ソウル)!!ライガーゼロワンが、相手になる!!」




夏希「ゲキビーストは、ゲキチェンジャーで激気を最新の科学で作りだしているの。技量があればなくても出来るけど、あった方が圧倒的に楽よ」

轟「俺も何れ出来ます?」

夏希「勿論、ゲキポーラベアーでもふもふできるかも」

轟「もふもふ……良いかも」

零一「いやゲキビーストの使い方間違ってるよ絶対!!」
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