獣拳のヒーローアカデミア   作:魔女っ子アルト姫

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第43話

「ダァァァァァ!!」

「ハァァァァァッ―――ぜぇりゃ!!!」

 

迫り来る蟷螂の斧、それらをゲキリンセイバーで上手く捌いていく。零一にとってゲキリンセイバーは最も扱いに慣れている武器、それこそ身体の一部と言っていい程に使い続けて来ていた。その双剣の刃はあらゆるものを切断するというマンティス拳に渡り合えている。

 

「貴様ぁっ!!このマンティス拳に切られぬとは、不敬の極みだぁ!!」

「誰か、お前のような奴を尊敬するか!!はぁぁ!!」

 

振り下ろしてきた鎌を弾きながらもマリカキの身体へとゲキリンセイバーの刃を押し当てた、それに息を呑むが直後にそれぞれに激気と臨気を流して切れ味を一気に高める。

 

「激臨斬!!」

 

そのまま一気に振り抜きながらも竜巻のように高速回転、激気と臨気を纏った刃の超高速回転攻撃をマリカキは鎌で如何にか防ぎつつもその身を幾重にも切り刻まれていく。

 

「がぁぁぁぁっ……!!俺の、俺の力はこんなもんじゃねぇんだぁぁぁ……!!受けるがいい、マンティス拳……丘断拳!!」

 

鎌にオーラを纏わせたまま振り抜く、その一撃は空気を切り裂きながらも飛んでいく真空刃となった。そして零一を切り刻まんと迫って来る、それを防御するがマリカキは自身も高速回転する事で丘断拳を無数に打ち放って弾幕を張る。

 

「数打てばいいってものでもないだろうに!!」

 

手首、腕、肩を回すゲキリンセイバーの基本を行いながらも攻防一体の型で防御を行うが、弾かれた一撃はビルの外壁などを容易に傷付ける程の破壊力。まともに受ければ大ダメージは必須、このまま数を打たせるのは不味いと思いながらも激気と臨気を高めて構えを取る。

 

「激獣シャーク拳激技、水流勢波!!」

 

込められて行くセイバーからは夥しい量の水が溢れ出してきた。それはあっという間に地面を水浸しにしていき、マリカキの足元にも広がっていく。

 

「この程度の水で、俺が動きを鈍らせると思ったかぁ!!」

「はぁぁぁぁ!!オラオラオラオラオラァ!!!」

 

水が流れ続けるセイバーを勢いよく振るえば水は研ぎ澄まされていく。本来のゲキリンセイバーの数倍のリーチを得た刃でマリカキの真空刃を叩き落としながらもその身体へと激気と臨気によって高圧に圧縮されたカッターのような切れ味を持った水の刃でその身を切り刻んでいく。そして遂にはマリカキの両腕の鎌を半ばで圧し折った。

 

「グァァ、ギャアアア!!俺の、俺の鎌がぁぁぁぁぁ!!!!」

 

痛みにもだえ苦しみながらも両腕を見つめては叫びをあげるマリカキ、それを見ながらも零一は決して気を緩めなかった。

 

「観念しろ、これ以上はお前の命に係わると知れ」

「ぅぅぅぁぁぁ……屈辱だ、貴様のような若造に、この俺様が……!!!」

「投降しろ!!」

「ふざけるなぁぁぁぁぁぁあ!!!!」

 

その時、マリカキの全身から凄まじい量の臨気が溢れ出した。ゲンリンシーによって絶望などを集められなかった事への憤り、獣人邪身変という不完全な形態しかとれなかった事の怒り、そしてこんな若造に圧倒されている屈辱がマリカキの心にある臨気を一気に増大されていった。臨気を扱う零一には分かる、この増大の仕方はまずい、確実に暴走すると。

 

「―――……双剣合身!!!」

 

ゲキリンセイバーを合体させて一本の剣へと変化させる、そして其処へ更なる激気と臨気を込めると水は更に勢いを増していく。それは最早激流の流れを思わせるような勢いで溢れて行く。それらを操りながらも零一は渾身の力でそれを振るう。

 

「激技、波波漸斬!!!」

 

数メートルを超えるような巨大な刀身となったゲキリンセイバーの一撃がマリカキを肉体を襲い掛かる。肉体を覆い尽くしていた臨気を切り裂きながらもその肉体へと炸裂し真一文字の傷が残った。

 

「がぁぁぁぁぁぁ……許さねぇ……ざっけんじゃ……ねぇ……!!」

 

最後に呪いのような声を上げながらもマリカキの身体は一気に崩れ落ちるかのように倒れこんだ。それを見て息を一つ吐き出しながらもゲキチェンジャーの通信機能をONにしながらも轟に声を掛ける。

 

「轟、そっちは大丈夫か?」

『零一!?大丈夫だったか』

「ああなんとかな、ちょっとやりすぎちゃったかもしれんが……ヒーロー殺しは」

『なんとか、確保できた……正直言ってかなり際どかった』

 

轟曰く、ほとんど総力戦のような戦いだったらしい。緑谷のパチンコ玉を弾くという遠距離攻撃がかなり有効に働いたらしく、それでヒーロー殺し、ステインの刃を弾いて相手の武器を奪ったり、攻撃の軌道をずらしたりしたとの事。寧ろ、それが無ければ刃を諸に受けていた場面もあったとの事。

 

「そうか、そっちは兎に角無事なのか」

『今は通りに出て応援の人を待ってる、飯田の応急処置もしてる』

「分かった、こっちもマリカキを連れてそっちに戻る」

 

そう言って通信を切る。一応警戒しながらマリカキへと接近する、ピクリとも動かないマリカキの胸には深々と刻まれている波波漸斬の傷がある。そこからは臨気が漏れるように出ている。此奴らは矢張り臨獣殿なのかと思った直後だった、マリカキの瞳が再び光を灯した。

 

「何っ!!?」

 

思わず後ろに飛び退きながらゲキリンセイバーを構える……のだが、マリカキの様子が明らかに可笑しい。まるで幽鬼のように挙動が可笑しく、ふら付いた動きで立ち上がるとそのまま空を仰ぎ始めた。

 

「オオッ……ォォオオ……クル、クルクルクルクル……偉大ナル御方ノ力ァァアア!!!」

 

その叫びと共に胸にあった傷から臨気だけではない、何か煌びやかな激気のような物が溢れ始めた。それが出ると突然マリカキの全身が修復され始めて行く、折った筈の鎌も逆再生されるかのように元通りになっていく。そしてマリカキは一度、睨みつけると大きく笑い始めた。

 

「喜べぇ……御方からぁお力を授かれたぁ……その力で、お前を殺してやる、殺してやるぅ!!!」

「何だか知らないが―――させるかぁ!!」

 

このまま好き勝手にさせる訳には行かないとゲキリンセイバーで渾身の一太刀を浴びせ掛ける、それはマリカキの肉体を確かに切り裂くと大爆発を引き起こしてマリカキは吹き飛んでいく……が、その時にマリカキの瞳が一際妖しく輝いた。

 

「邪神、豪天変んんんんっっ!!!」

 

その叫びと共に凄まじい地響きがし始めた、凄まじい臨気が保須市の空へと打ち上げられて行く。その臨気の中から、あり得ないものが現れた。マリカキである、だがその身体は異常なまでに巨大化しておりビルを軽く超える程の巨躯となっていた。

 

「まさか、あれって邪身豪天変か!?」

 

かつて、臨獣殿との戦いの折に臨獣殿の戦士が最後の手段として用いたとマスターから聞いている技。それをまさか目にする事になるなんて予想にもしなかった。兎も角零一はゲキリンセイバーをゲキチェンジャーへと仕舞い込むとビルの屋上から飛び降りて、下に居た轟たちと合流した。

 

「無事かお前達!?」

「ブブブブブブ、無事だけど何あれ!?さっきの奴だよね、あいつ巨大化の個性だったの!!?」

「冗談じゃねぇぞ巨大化にしても限度があるぞ!!Mt.レディよりもでけぇじゃねえか!!」

 

Mt.レディというヒーローがいるが、彼女でも巨大化出来るのは20m程。軽く見積もってもその倍以上はあるかという超巨人、ヒーローが対処出来る次元を軽々と越えているとしか言いようがない。キドウが冗談じゃないというのも分かる。

 

「無事かお前達!!」

「エンデヴァーさん!?え、えっとヒーロー殺しは此処に居るます!!確保すました!!」

「落ち着かんか貴様!!」

 

思わず言葉遣いが可笑しくなっているキドウをエンデヴァーが一発殴る。

 

「兎も角、避難誘導をしろ!!あいつが暴れ出したら洒落にならんぞ!!!巨大個性に対応出来るヒーローはいるのか!?」

「無理だろ、サイズが違い過ぎる……!!」

 

エンデヴァーの言葉を思わず轟が否定してしまった、幾らなんでもデカすぎる。例えオールマイトでもなんとか出来るのか?と疑問が付くほどだ、だが何とかしなければ最悪保須自体が無くなってしまう。何とかしなければ……とエンデヴァーが思案を重ねている時だった……零一から凄まじい激気と臨気が溢れ出していた。それは爆風となって周囲に発散されていた。

 

「む、無月君どうしたんだ!?落ち着きたまえ!!」

「如何したの零一君!!?」

「……させるか、させて堪るか……」

 

握り拳を作る零一、これから起きるであろう惨劇、それは―――かつて自分が体験した地獄と同じ物になるのだろう。そんな事は絶対にさせる訳には行かない、そう思うと身体中から力が溢れ出してしまう。それを見たエンデヴァーはひょっとしたら……と思った。

 

「おいライガー、まさか獣拳には巨大な相手にも対応可能な物があるのか!?」

「えっ何を聞いて―――」

「ある」

「あるの!?」

「ああ、倍倍分身拳というのがな。だが……生憎俺には出来ない、代用できる技はある」

 

それを聞いて全員の瞳に光が再び宿った、この状況を打破出来るのならば頼るしかない。例えそれが職場体験に来ている相手だろうが……エンデヴァーは決意を固める。

 

「俺が許可する、奴を止めろ!!可能であれば倒せ!!責任はこのエンデヴァーが全て取ってやる!!!」

「―――了解!!ハァァァァァ……激技、招来獣!!!」

 

溢れ出した激気と臨気で具現化されるのはゲキリンライガー、だが問題はそのサイズ。溢れ出した激気で生み出されただけあってそのサイズも巨大だった、それに零一は飛び乗るとライガーは雄たけびを上げて巨大化したマリカキへと向かって行く、それを見送るしか出来ない一同は唯々祈りを捧げる。

 

『ゴオオオォォォォォ!!!』

「来たか、小僧ぉぉぉぉお!!!」

 

ライガーの叫びを聞いて振り向いたマリカキ、両手の鎌をぶつけながらも零一の登場に心から歓喜した。それはこれからお前を殺せるという残虐な喜び、気味の悪い笑いを浮かべながらも迫って来る。

 

「貴様に勝ち目はねぇ、例えゲキビーストが居たとしても俺には勝てん!!」

「ゲキリンビーストだ―――それに、俺は一人じゃない……激技、来来獣!!!」

 

空へ掲げられた拳、溢れ出す激気、激気の嵐の中から現れたのは零一が修得している獣拳……それに対応した獣、黒い身体に頭にドリルを携えている二頭のモグラ、激獣モール拳のゲキモール。青い身体に鋭利な刃を持つ巨大なサメ、激獣シャーク拳のゲキシャーク。ライガー、モール、シャークのビースト達が集結した。

 

「貴様、まさか……!!」

「実戦は初めてだが―――激技、獣拳合体!!!」

『ゴオオオオオオッ!!!』

 

雄たけびを上げながらも飛び上がるライガー、そのライガーへと吸い込まれていくかのように一体化していく零一。それらに合わせるかのようにゲキモールとゲキシャークも飛び上がっていく。ゲキモールは頭の先にあるドリルを移動させながらも脚などを折り畳む、ゲキリンライガーは二本足で立ち上がると頭部が移動して胸へと移動していく。移動した頭部の位置には人間のような頭が現れ、脚はそのままゲキモールと接続される。ゲキシャークが頭部と胴体を分離、胴体は二つに別れながらライガーの両腕へと合体、頭部は兜のように合体した。

 

マリカキの前へと現れたのは胸にライガーの顔を持ち、膝にドリルを備えた漆黒の脚、鋭い刃を備えた青い腕、そして勇ましいサメの兜を付けた獣拳巨人の姿があった。そしてそれは高らかに自らの名前を叫ぶ、その名も―――

 

ゲキリンライガートーオウ・バーニング・アップ!!!

 

絶望を払う為、再び獣拳巨人が大地に立った。




夏希「激技、獣拳合体。本来は倍倍分身拳っていう技があるんだけど、それが出来ない場合はこっちを使う事になるわね」

零一「己の獣を激気で具現化して一体化、そして合体させるから獣拳合体」

夏希「でも、本当は複数人で行う技なのよね。零一一人で大丈夫かしら?」

零一「あっ因みにモデルはガオガイガーだ」

夏希「ジェネシックの方ね」
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