獣拳のヒーローアカデミア   作:魔女っ子アルト姫

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第44話

ゲキリンライガートーオウ・バーニング・アップ!!!

 

視線の先に見える巨大な背中、あれも獣拳のなせる業なのかとエンデヴァーは言葉を失っていた。長いヒーロー生活の中では様々な個性を持つヒーローやヴィランが居た、それこそ50m級の巨大化を行う個性持ちだって居た。だが彼はそれに特化した個性などは持っていない、獣拳という拳法は激気と言われる正義の心で燃やされるオーラを活用すると聞いた。それがまさかあんなことまで出来るなんて……考えもしなかった。

 

「あんなことまで、出来ちゃうの獣拳って……!?」

「確かに、ライガーを呼び出したりはしていたがこれ程の……!?」

 

最早超常社会でも理解を越えているそれ、だが獣拳は遥か昔から存在している拳法。そして個性という存在の影に隠れてしまっていた、それでも脈々とその遺伝子は継承され続けて行く。七拳聖が伝える獣拳を受け継いだ零一がその力で巨人となった、それを見て驚愕する者もいれば恐怖を覚える者もいるだろう。

 

「零一凄い……何時か、私も……」

 

同じ所に立ちたい、と望む者もいる。焦凍は何れあのような事が出来るようになるのかな、と思いつつも絶対に使えるようになると誓いながらもその背中を見つめた。そして―――

 

「フハハハハハハッ!!!ハハハハハッ!!!」

 

それを見て高らかに笑ったエンデヴァー、その笑いは酷く可笑しそう且つ愉快で心の底からの笑いが込み上げているようだった。

 

「エ、エンデヴァーさん……?」

「これが笑わずにいられるか、俺の半分も生きてもいない小僧があのような事が出来るのだぞ、しかもそれに特化個性でもなく拳法と来た、こいつは傑作だ!!全く、世界はというのは広い物だ……今更ながらそれを感じ取るとは……俺も、随分と愚かだ。ああ本当に……」

 

その時、焦凍が見たエンデヴァーの表情……それは忘れらないモノになった事だろう。普段から灯している顔の炎、威圧の為に纏っている筈のそれを消して微笑みを浮かべているそれは穏やかで優しげだった。自分の知らない父の表情に思わず言葉を失った。

 

「おやっ―――」

「ブブブブ~ン!!!!」

 

思わず、父と呼びそうになった自分を止めたのは何処からともなく飛んできたバエであった。

 

「バ、バエさん何処から来たんですか!!?」

「巨大戦にある所にこのバエあり!!しかも、もう見ることはないと思っていた巨大戦!!しかも奥義とも言われる獣拳合体……ああ、懐かしき昔を思い出します。ジャンさん達見えてますか~貴方達の弟弟子は御立派ですよ~!!!」

 

涙ぐんでいるバエ、そこにあるのは嬉しさだけではない。郷愁に思いを馳せながら、実況した戦いに身を投じていた戦士達への手向けの言葉、今は亡き彼らもこれを見たらどう思うだろうか……だがそんな思いで言葉を詰まらせるようでは実況者の名が廃る。涙を拭いながらも普段の調子で実況を開始する。

 

「全国1億2千万人を超える巨大戦ファンの皆様お待たせいたしました~!!本日は此処、保須市からお送りいたします!!突如出現した獣拳マンティス拳、邪神豪天変を行った謎の怪人マリカキ!!対するはそのマリカキの蹂躙を許すまじと激気と臨気を滾らせ、自らのゲキリンビーストたちと一体化し拳法巨人、ゲキリンライガートーオウとなったライガーゼロワン!!さあ世紀の一戦が今―――切って落とされたぁ!!」

 

マリカキが先手を取るかのように駆け出して行く、巨大となった事で更に大きくなった鎌を振り翳して斬りかかる。それを冷静に見極めるようにしつつも両腕のシャークセイバーで受け止める。

 

「マリカキ鋭い攻撃を仕掛けるが、ライガートーオウはシャークセイバーで受け止めるぅ!!迫る来る巨大な死神の鎌を捌いて行く、これでもゲキリンセイバーの応用ですな!!初めての獣拳合体とは思えぬほどに見事な身体捌きであります!!」

 

「巨人になれるとは驚いた、だがその程度で俺に勝てると思うなぁ!!」

「そう思いたきゃ、思いやがれ!!」

 

その言葉と共に鎌を弾かれ、がら空きのとなった胴体にライガートーオウの左膝蹴りが炸裂する。膝蹴りを受けたマリカキはそのまま後ろに吹き飛ばされて倒れこむ、その胸に抉られたような痕が残っている。

 

「グアアアアアアッ!!?」

「ゲキモールのドリルの味は如何だ!!」

 

その言葉と共に回転を止めた膝のドリルが輝いた。ゲキモールのドリルは固い地面を抉り高速移動する為の物、例えどんなに硬くても穿つ貫通力を持っている。しかしこの程度でやられるマリカキではない、傷口を抑えながらも更なる怒りを滾らせながら構えを取る。

 

「絶対に許さねぇええええ!!!丘大断拳!!!!」

 

邪神豪天変によって巨大化したパワーを使っての丘断拳、それが無数に放たれてライガートーオウに襲い掛かっていく。全身へと炸裂していく斬撃は爆発しながらも確実にダメージを与えて行く、その猛烈な勢いに思わず後退してしまう。

 

「マリカキ痛烈な大反撃!!これはライガートーオウ苦しいか!?全身に刃を受けている、頑張れ~負けるな~!!」

 

「ぐぅぅぅぅぅっ……旋旋斬!!」

 

攻撃を受け続けていたライガートーオウだが、腕を伸ばしたまま上半身を高速回転させ始めた。超高速回転する事でシャークセイバーはまるで丸鋸のよう刃を研ぎ澄ませて丘断拳を逆に切断していく。そして十二分に回転し切るとそのままの勢いで斬撃が放たれた、それはマリカキの傷を的確に捉えた。

 

「グアアアアアア!!?傷口を、あああああああああああ!!!?」

 

余りの激痛に悲鳴を上げるマリカキ、それにライガートーオウは回転をストップする。シャークセイバーを仕舞いこんだ。

 

「マリカキ大ダメージだぁ!!!これはチャンスだ、一気に決めるのかライガートーオウ!!」

 

「これで、終わりにする!!激技―――」

 

ライガートーオウは全身から激気と臨気を立ち昇らせていく、巨人から溢れ出すエネルギーはどんどん高まりながらも両腕へと収束されていく。それが臨界に高まった時、それらを広げた構えを取りながらその技の名を叫ぶ。

 

「激臨統一……大頑頑拳!!」

 

左手に激気、右手に臨気を収束させる。超エネルギーとなった二つの拳、莫大なエネルギー故に反発しあうようなそれらを組み合わせた。その時、臨界にまで高められたエネルギーが一つになって事で途轍もないエネルギーが竜巻となってマリカキへと向かって行く。

 

「な、なんだと―――こいつは……!?」

「おおおおおおおおっ!!!でぇえやああああああ!!!!」

 

竜巻によって完全に動きを封じられるマリカキ、そしてライガートーオウは背中から激気と臨気を推進力にして一気に加速。一直線にマリカキへと突撃しその肉体へと拳を一気に突き立てた、強固な身体を一瞬で貫通したライガートーオウの拳、同時にその内部でエネルギーが解放されて全身にエネルギーが駆け巡っていく。

 

「決まったぁぁぁぁあ!!!ライガートーオウの渾身の一撃が、マリカキへと突き刺さったぁ!!その全身にエネルギーが駆け巡っていく、これにはマリカキも耐えられない!!これは勝負あったでしょう!!おっと、ゲキリンライガートーオウがマリカキを持ち上げた、何をする気だ!?」

 

「大分分拳!!オオオオオオリャアアアアアアアアア!!!!!」

 

拳が突き刺さったまま、マリカキを持ち上げつつも再び上半身を高速回転。そして十二分に勢いを得た所でマリカキを上空へとぶん投げた、放り投げられたマリカキは遂に臨界点を迎えたのか空中で大爆発を引き起こした。その爆発を見届けながらもライガーは勝利の雄叫びを上げた。

 

ゲキリンライガートーオウ、WIN!!!

 

勝利したゲキリンライガートーオウは雄たけびを上げ終わると急速にその姿が薄れ始めて行く、そして膝を付くとそのまま一気に崩れ落ちるかのように姿が掻き消えてしまった。

 

「零一!!?」

 

急に掻き消えた事で不安に駆られる轟、今にも飛び出していきそうな娘を引き留めながらもサイドキックに直ぐに彼の元へと行けと指示を出そうとするのだが―――そこへ半透明のライガーが飛んできた。その背中には零一が乗っていた、そして限界を越えたかのようにライガーが掻き消えると疲労困憊という言葉がこれ以上合わない筈が無いと言った様子の零一の姿があった。

 

「零一!!」

「零一君!!」

「無月君大丈夫か!?」

 

思わず駆け寄る友、それに対して零一は疲れ切った笑顔で大丈夫だと答えた。臨気激装も維持出来ぬほどに疲弊してしまっている零一の傍には先程の怪人、マリカキの姿があった。既に意識は完全にないのか、ピクリとも動かない。

 

「よくやってくれたぞライガー、まさかあれ程の事が出来るとはな……そいつがさっきの奴か」

「ええ……そうです、引っぺがしてきました……」

 

強大な臨気で大きな自分を作り出して自分はその中でコアとなり一体化していたらしく、拳を突っ込んだのがちょうど傷口を狙って胸だったのが幸いだった。丁度そこにコアがあったのでついでに引っこ抜いてきたのである。

 

「すいません、後はお任せしていいですか……もう俺、駄目です……激気も臨気も底を尽きました……」

「やはりあれ程の事をすれば相応の反動があるのか……任せておけ、ゆっくり休め。おい誰か彼をホテルまで―――」

 

その言葉を聞き終わる前に零一は全身に付き纏う異常なまでの疲労と倦怠感に蝕まれ、身体に力が入らなくなっていた。そして―――景色が暗転していく……時、最後に見えたのは何故か地面が遠くなっていく光景だった。誰かに担がれたのか……と思いそのまま瞳を閉じてしまった。

 

 

 

「まさか零一が獣拳合体を行えるとはのぅ……教えてなかったのじゃが、流石のセンスと言わざるを得ない」

「しかし、この世にまた邪神豪天変を行う者が現れるとは……彼一人では荷が重いですし、尾白君や轟君にもまだ合体は無理でしょう」

「フムゥ……あやつを呼び戻すか。済まんが夏希、連絡を取ってくれるか」

「はい」

 

 

「へっきしゅぅ!!!」

「大丈夫か、まだ寒いのか?」

「い、いえなんか急に……誰かに噂でもされたか、参ったこれは」




夏希「ゲキリンライガー、ゲキモール、ゲキシャークの力を一つにした獣拳巨人がゲキリンライガートーオウ。闘いの王に相応しい力強さだったわね」

零一「技全部アドリブだったので出力調整やらでたらめだったのでもうフラフラです……」

夏希「必殺技は激気と臨気を高めた拳を合わせて相手を貫く激臨統一・大頑頑拳よ」

零一「分かると思うけど、ヘル・アンド・ヘヴンだ」

バエ「私は実況できて大満足です~!!今度サインくださいね~!!」
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