獣拳のヒーローアカデミア   作:魔女っ子アルト姫

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第5話

臨気を使った事でややオールマイトからは怪訝な思いを向けられている零一、と言っても彼はあまり気には止めずにいた。そしてそのまま他のクラスメイト達が来ると、直ぐに戦闘訓練が行われる事になった。オールマイトによる説明は行われている最中、零一は周囲の姿を確認してみた。それぞれが思う自らがイメージする自分のヒーロー像、それの具現化。言うなれば自分の臨気激装、その姿は本当にそれぞれ。

 

「(様々な物があるな)」

 

何処か機械的で鎧のような物もあれば、一般的な服装に近い物もある、中にはまるで手榴弾をイメージしたような篭手まである。だが中には尾白の道着のような物まであり、本当に様々な物があると思う。

 

「さあ次は無月少年の番だぞ!!」

「ああ、はい」

 

そう言われて差し出されたくじを引く。戦闘訓練はヒーローチームとヴィランチームに分かれて実施される。ヒーローチームはヴィランを確保するか、ヴィランが隠し持つ核兵器を確保すれば勝利。ヴィランは制限時間までに核兵器を守りぬく、又はヒーローチームを全員確保が勝利の条件となっている。核兵器は張りぼてだが、これは本物として扱えというのが基本ルール。それを念頭に置きつつも誰と組むのかと考えていたのだが……

 

「あっアタシと一緒だね!!」

「ああ宜しく頼む」

 

零一が一緒になったのは透明化の個性を持っている葉隠だった。改めて個性が透明である事を聞いて思わずとある事を思い出しつつもある事を聞く。

 

「……それって周囲の景色に同化しているのか?それとも光を屈折させているのか?」

「う~ん……よく分からないかも、でもお父さんとお母さんの個性から考えてその両方かも」

「成程。しかし……そのコスチュームは如何なんだ?」

 

思わず苦言を呈してしまった零一、何故ならば葉隠のコスチュームは手袋とブーツのみでそれ以外は全く身に付けていないのである。透明人間としては極めて合理的かもしれないが、女性としては正直言って問題しかない。

 

「……訓練が終わったらすぐにコスチューム変更願いだしとけ」

「ええっ~?」

「それだと災害救助などに出れないぞ、それにコスチュームに自分の髪や爪なんかの繊維や成分を織り込んだコスチュームなら個性と同調して消える筈だぞ」

「そうなの!?オールマイト先生マジですか!?」

「えっああそうだよ、いわゆる変身系の個性を持ってるヒーローなんかはそう言う事をして、コスチュームと一緒に変身して強くすることはよくやる事だよ」

「全然気づかなかったよぉ~!!!」

 

と今更ながらに後悔を浮かべてしまっている葉隠、取り敢えず今回ばかりは我慢して貰う事にしつつも共に頑張る事になった。因みに自分達の対戦相手はA組の人数が21人になるので三人チームになった轟、障子、尾白達であった。

 

「それにしても無月君ってコスチュームに詳しいの?」

「知り合いがサポート会社で特別開発室室長を務めてるからその縁で詳しいだけ」

「それって凄いコネだね!!」

 

そんなこんなで戦いの相手は決まり、二人は出番を待ち続けた。が、その前に何ともド派手な戦いがいきなり繰り広げられた。過去の因縁があるのか、爆豪は緑谷を潰そうとする攻撃を連発しそれに引かない緑谷は自らを犠牲にするような形で麗日をアシストしつつも勝利を支えた。こんなとんでもない直後に自分達の戦闘が始まるのだから何だかハードルが上がってるような気がする葉隠であった。

 

「う~ん、如何しよっか無月君」

「如何するかな」

 

ヴィランチームである二人はハリボテの核を見ながらもどうするかを話していた。単純な人数差による不利、それに加えて相手には推薦入学者だという轟という実力者までいる。個性把握テストでは氷を扱って好成績を叩きだしていた、が同時に自分で生み出した氷を溶かしてもいたので恐らくだが炎、少なくとも高温を扱う事が出来る事は確定。

 

「尾白君は尻尾で障子君は腕とか耳とか口を増やせる個性だったね」

「搦手、正面突破、索敵が全部出来る良バランスチームだな」

 

対する此方は葉隠による奇襲などがあるのだが……生憎これは障子に索敵に引っかかる事が予想されるので取れない。ハッキリ言ってバランスが酷い。

 

「あっそうだ、無月君にはどんな個性があるの?」

「個性?俺はないぞ」

「えっ」

「俺は無個性だ」

「えええっそうなの!!?」

 

思わず仰天した、正直な事を言ってしまうと葉隠は獣拳というのは零一自身が持っている個性を使っているとばかり思っていたのだ。流石に武術であそこまでの事は出来ないだろうと思っており、個性を使っていたと考えれば自然と納得できていた、のだが……それが今ひっくり返った。

 

「む、無個性なの!?じゃ、じゃあ獣拳って本当にあのガオ~って奴を出せたりするの!?」

「ライガーの事だろ、ああ出来るよ。というか俺からしたらそっちも同門と思ってたよ」

「えっ私が?」

「ああ。獣拳にはカメレオン拳ってのがあるからそれで景色に同化してるもんだとばかり」

「へっ~獣拳って本当に色々あるんだね!!」

 

そうなると益々興味が引かれて来る、獣拳とは一体何なのかと、そして自分の個性とよく似た物まであるのか、詳しく聞いてみたいが今は訓練に集中しようと気を引き締めるのだが本当に如何しようか思った時にオールマイトから開始の合図が飛んできてしまった。

 

「わわっ始まった!?如何しよう無月君!?私、本気出してブーツとか脱いだ方がいいかな?!」

「取り敢えず落ち着け、というか本気でそのコスチュームは変えた方がいいな……」

 

兎に角葉隠を落ち着かせようとするのだが―――直後、ビルが一気に凍結してきた。壁や天井に一気に氷が走っていき自分達にもその手を伸ばそうと氷が迫って来る。思わず葉隠は声を上げながらも零一の後ろに隠れてしまった。

 

「こ、これって轟君の個性!?」

「みたいだな。とんでもない出力だな」

「ど、どうしよう!?」

「任せろ。激技、大魁咆!!ハァァァッ!!!!」

 

全身から凄まじい勢いで噴出されていく臨気、部屋全体へと充満していく臨気は氷を食い止めるどころか逆にそれらを喰らい尽くすかのように侵食していき氷を砕いていった。そして部屋全体は全く氷どころか霜一つない。

 

「す、すっごぉ……今のも獣拳、なの?」

「ああ」

 

呆気からんと言って見せる零一に対して心から頼もしさを感じ取った葉隠、そしてその一方で零一は轟の個性の凄まじさを感じ取った。だが勝てない相手ではない。

 

「それじゃあ……勝つか」

「うん、私も自信付いたから頑張る!!」

 

先程まで狼狽えていたとは思えぬほどに確りした葉隠と一度ハイタッチを交わすと直ぐに零一は行動に移し始めた。

 

 

「……轟、何やら上階から無月の叫び声が聞こえて来た。それに足音も、恐らくだが氷による封殺は失敗したと見て良い」

「そうか……じゃあ次だな」

 

轟は個性:複製腕で耳を複製して索敵を行っている障子の言葉に素直に従って次の手段、全員纏まって行動して核の確保に行く事に決定した。透明の葉隠という心配もあるが、障子ならばそれも感じ取れるので問題はないだろう。

 

「尾白、お前あいつの使う……獣拳だったか、知ってるなら何かないのか」

「俺が知っているのはあくまで初歩も良い所で何年も修行し続けてライガー拳を習得してる零一君とじゃ月とスッポンだよ」

 

障子は何かヒントになるような事がないかと尾白に聞くが、尾白も大した事は知らない。友人になって一番話している身ではあるが、それでも詳しくは聞いていない。寧ろ自分の獣拳修得の手伝いをしてくれている恩人であって彼のライガー拳については全然聞いていない。

 

「関係ねぇ、今度は確実に凍らせて確保すりゃいい」

「それが出来れば理想的だよね」

「ああ―――何かがこっちに凄いスピードで迫って来るぞ!」

 

突然の障子の警告に全員が戦闘状態に入る。

 

「何処からだ!!」

「すごい勢いだが、なんだ何処からだ!?」

「一体何処から……」

 

その時、尾白は何故か地面を見た。そして尻尾を地面にあてたのだ、こうすれば何か感じられると直感したのかもしれないが―――それによって知った。

 

「二人とも地面からだ!」

「「地面!?」」

 

その刹那、三人の目の前の地面が爆裂するかのような音を立てた。土煙と爆風が周囲に溢れる中……その奥に人影が見えた。そして視界がハッキリするとそこには零一が立っていた。

 

「旋旋掘、見事に不意を突けたみたいだな」

「お前、地面も潜れるのか。ライガーはンな事しないだろ」

「確かにな、だけど俺はライガー拳使いだが他の獣拳を使わないなんて言ってない」

「そう言えば―――」

 

『俺だってライガー拳しか使えない訳じゃないからな』

 

尾白はあの時の言葉を思い出した、そうだ零一はライガー拳以外の獣拳も修得しているのだった。だがまさか地面を掘って来るとは思いもしなかった。

 

「今のも、獣拳なんだ、よね?」

「ああ。激獣モール拳だ。そしてこれからお前の相手をするのは―――!!」

 

地面を力強く踏み込みながら零一は改めて名乗りを上げた。

 

「勇往邁進。魂から全身へ、猛る勇気の力―――勇者の魂(ヒーローズ・ソウル)!!激獣ライガー拳の無月 零一!!さあ何処からでも掛かって来い!!」

『―――っ!!!』

 

同時に吹き荒れる風が全身に突き刺さってくるような錯覚を味わう、それは激気と臨気が同時に襲いかかってきている証拠。これは絶対に楽な相手ではない事を悟りながらも三人は構えを取った。

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