獣拳のヒーローアカデミア   作:魔女っ子アルト姫

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第7話

「さあ再び戦闘好評の時間だぞ!!」

 

モニタールームへと戻って来たチームたちを迎えながらも好評の時間がやって来た。

 

「さて今回のMVPだが……無月少年と障子少年!!無月少年は言うまでもないと思うけど、障子少年は何故か分かる人はいるかな?」

「はいオールマイト先生」

 

手を上げたのは先程の緑谷&麗日、爆豪&飯田の好評でも見事な評価を下した八百万。その時はオールマイトが言いたい事を全て言われてしまったが、今度はそれを考慮しつつも指名する。

 

「索敵も勿論でしたが、咄嗟に尾白さんを庇った際の判断の素早さも特筆するべきだと思います。自らも防御しつつも庇う事で被害を最小限にしようとしておりました、が余りにも無月さんの一撃が強すぎてしまったのであそこでダウンしてしまいました」

「その通り!!あれは複製腕を持つ障子少年だからこその行動だったね」

 

それを言われて少しだけ嬉しさが出る障子、それならば身体を張った甲斐があったという物だ。だがそれ以上に皆が気になる事があった、正しく獣拳の事だ。

 

「な、なあ聞いていいか。お前が今回やってたのって全部獣拳って奴なのか、個性じゃなくて?」

「違うよ~無月君は無個性だから個性もってないんだって~」

『む、無個性!!?』

 

それを聞いてA組の全員が驚愕してしまった。あれだけの力が個性とは全く関係性はない、戦っていたのが規格外とも言うべき規模を誇る個性を持つ轟がいるので余計に異質さが際立つ。轟も目を大きくし、それを聞いていた爆豪は更に大きな驚きに包まれていたようだった。

 

「嘘だろじゃあ今の全部個性関係なしなのかよ!?」

「全て獣拳による物だ、俺には個性の欠片もない。あるのは獣拳だけだ」

 

そう言うがあっさりとは信じる事は難しいだろう、個性という物が浸透しきっている超人社会において個性を使う事も無くあれ程の事が出来るなんて考えられない。だがそんな中でも獣拳の存在を理解している尾白はある事を尋ねた。

 

「なあ零一君、戦う時に激気とはまた別の物を感じたんだ。あれって何なのかな」

「ああ、臨気の事か」

『臨気?』

「これの事だろ」

 

そう言いながら身体から臨気を放出するとその場にいなかったが故に理解出来なかったモニタールームの面々も臨気を感じ取った。それを改めて感じながらも尾白は尋ねる。

 

「ゴリーさんは獣拳には激気とはまた別の物があるって言った、それが臨気なのかい?」

「ああそうだ。獣拳には激気と臨気という表と裏の気が存在する、正義の心から生まれる激気と悲しみや絶望といった負の感情から生まれる臨気」

 

激気と臨気、それこそが獣拳において重要な物となる物。

 

「だけどその臨気?ってなんか悪っぽくないか……?それなのにその臨気を使うのか?」

 

思わず上鳴はそう尋ねてしまった、ヒーローを志す者がそのような感情に囚われていいのだろうか。寧ろ臨気ではなく激気を重視していくのがヒーローとしては正しいのではないかと、ある意味その意見は正しいように思えるしヒーロー志望の身からすれば当然の意見だろう。が、零一はそれを一蹴する。

 

「お前、それヴィランが銃を使ったから銃を全否定するのと同じだぞ」

「えっそ、そうか?」

「どんな力も使い方次第だ、だったら個性だって同じだ。ヴィランもヒーローも同じ個性を使ってる、それなのに明確に分けられているのは何故だ」

 

そう問われる、忌避感があるのであれば個性を同じように扱うヒーローとヴィランは何が違うのか。そう問われて真っ先に応えたのは蛙吹だった。

 

「使う人の心……ね?」

「そうだ。俺は俺の使いたいように激気も臨気も使う……勇者の魂、そう俺に名付けてくれた人の想いに応えられるようにな」

 

此処まで言われてオールマイトは自身の考えを酷く恥じた。そうだ、その通りじゃないかと。本質的には個性を使うヒーローもヴィランも同じなのだ、決定的に違うのはそれぞれの内に秘める想い。それが自らの使う力を正義にも悪にも変えて行く。ヒーローには辛い経験を重ね続けた者も多い、だがそれを力に変えて世の為人の為に頑張っている。自分もまだまだ未熟だったという事を思い知りながら後で彼に謝罪する事を決意するのであった。

 

 

「(あれが、激気か……)」

 

引き続き戦闘訓練が行われている中、尾白は拳を握り込みながらも全身で感じられた激気の事を考えていた。あれこそがゴリー・イェンが言っていた激気、それを自分の身体で受けて感じる事が出来た。激気によって具現化されたライガーの力強さ、本物の獣さながらの獰猛さ、本当にそこに生きているライガーが居るのでは……とその感覚が残り続けている。

 

「(己の中に眠る獣、それを感じる……)」

 

これまではゴリー・イェンという尊敬する人が扱う物に固執してしまっていた、だが零一に言われて本当の自分の中にある獣を見つけ出さなければいけない。そう言われて何も考えずに自分の内に潜り込んでみる。真っ暗自分の中、奥底に眠っている野生……そこに自分の獣が居る、そう思った時に僅かに何かが見えた気がした。手を伸ばそうとするがそれは離れていって意識は浮かび上がった。

 

「(……っでも一瞬見えた、あれが俺の獣だ……!!あれをもっと感じられる事が出来れば……よぅし!!)」

 

「(……んっ今のは……)」

 

尾白がそんな事を戦闘訓練をモニターで見なければいけない時にやっている時、それに気付いたのか零一は其方を見た。何故ならば極僅かだが激気を感じたから、まだまだ弱くてお世辞にも激気とは言えない物だが……如何やら自分の激気を感じる事で切っ掛けが出来たのだろうとこれからが楽しみだと言わんばかりの笑みを浮かべるのであった。

 

 

 

「……」

 

その一方で零一の事を何処か鋭い視線を投げかけている轟、彼は先程の言葉を何度も何度も頭の中で繰り返し続けていた。

 

「(悲しみや絶望といった負の感情から生まれる臨気……あの力があれば親父を越える事も出来るんじゃねぇか)」

 

常に黒い感情が渦巻き続ける自分にとっては臨気ほど力を得るには相応しい物はないのではないか、そんな考えが頭を過っていく。もしも獣拳という物を学ぶ事が出来れば……あいつを越える事が出来るかもしれない、自分の個性をあそこまで簡単に破った力が自分に……そんな思いを抱きながらも轟は零一を見つめていた。




尾白は獣拳の習得に一歩近づいた。

轟は臨気と獣拳への興味を深めた。
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