誰かの救世主   作:スココLU

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誕生日おめでとうウタ!

どうか原作では幸せでいてくれますように…


新時代の誓い

ハッと目が覚めるとルフィはサウザンド・サニー号の甲板にいた。空は黒く染まり、星が強い光を放っている。

ルフィがあたりを見渡すと、仲間たちも甲板に座り込み眠っていた。周囲は海に囲まれ、波が船を沖へと送り出す。

 

「よく寝てたな」

 

起きていたゾロが酒を飲みながらルフィに顔を向ける。ルフィは濡れていた目元を拭うと、ゾロに話しかける。

 

「もうみんな起きたのか?」

「あぁ、お前が最後だぞ」

「ウタは?…シャンクスはどこだ?」

「おう」

 

ゾロはお猪口をもった手をルフィの後ろへと向ける。

ゾロが指さす方を見ると、白み始めた空に接する水平線に、レッド・フォース号の船影が見える。シャンクスたちは先に行ってしまったのだ。

 

ルフィは甲板から身を乗り出し、シャンクスたちの船を見つめる。しかし、どこにもシャンクスたちの姿は見られなかった。

ルフィは唇を結び、麦わら帽子を深くかぶる。そして、覚悟を決めた顔でレッド・フォース号を見ると、仲間たちの方へと歩いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

ウタのライブが終わってから数週間が過ぎた。

世間では歌姫ウタが死亡したことになっており、彼女のファンであった者たちは当初落ち込んでいた。

しかし、彼女の歌声はなくならない。歌声は困難な現実に立ち向かう人々の背中を押した。

音貝に録音された歌声を希望が欲しい時、明るい気持ちになりたい時に聴いた。ウタの歌は人々の希望であり続け、人々をたくましくさせた。

 

そして、ルフィもエレジアを発ち、仲間たちとの冒険の旅へと戻る。いつもの特等席でサニーに呼びかけていた。

 

「おーい、サニー!サニー?」

 

ウタワールドでは小さいお人形のようなサニー号だったが、現実世界では何も喋らない。

あの幻想的な世界はもう終わり、日常が戻ってくる。仲間との航海という、ルフィにとっての日常が。

ルフィは立ち上がると、空へ向けて高らかに宣言する。

 

「海賊王に‼おれはなる‼」

 

ルフィがそう叫んでいる一方で、ウソップやチョッパー、ナミは名残惜しそうに電伝虫を見ていた。ライブが始まる以前に、ウタの配信を見るために使用していたものだ。

彼らは口に出さないまでも、ウタがいなくなったことに寂しさを感じていた。

 

しかし、幼馴染である船長を見て、いつまでもうだうだしてられないと思ったウソップは切り替えようと、倉庫に持っていくために映像電伝虫を手に持った。

その時、誤ってスイッチを回してしまい、電伝虫が起動した。電伝虫の目から光が放たれ、壁に映像が映る。

本来なら何も映らず、ずっと砂嵐が出るだけのはずだが、数秒だけ砂嵐が出ると、その次に見知らぬ部屋が映像には映っていた。

 

「なんだこれ?」

「どうした?なにかあったのか」

「あ、フランキー。なんかね、どこかの部屋が流れてるの」

 

チョッパーが疑問の声を上げると、近くにいたフランキーが寄ってきた。ナミは映像を指さし、フランキーに問う。

 

「う~ん?なんだこれは?電伝虫の故障というわけではなさそうだが…」

「おーい、何かあったのか?」

「なんだ!面白いことでもあったのか!?」

 

フランキーたちの騒ぎを聞きつけたのか、他のメンバーも集まってくる。ルフィだけは目を輝かせ、映像の前に座ると、凝視していた。

仲間たちがその行動に呆れていると、突如映像から若い女性の声が聞こえてきた。

 

「う~ん、これ繋がってるのかな?久しぶりすぎて操作忘れちゃった」

「…あれ?この声、どこかで聞いたことのあるような…」

「これって、まさか!?」

 

ルフィやジンベエ、ゾロたちは少し首を傾げるが、ナミやウソップ、ブルックたちはその声に聴き覚えがあった。

最近まで、なんならさっきも聴いていた歌声に似ていたからだ。

すると、映像の横からぴょんと一人の少女が現れる。

 

「へへへ、みんな驚いた?」

「…」

 

その少女は赤と白のツートンカラーで後ろを輪っかのようにした髪型に、紫色の綺麗な瞳をしていた。

少女が現れた瞬間、一瞬その場に静寂が訪れる。そして、しばらくすると空気が振動するほどの驚きの声が上がった。

 

「「「「えぇぇぇ!?!?歌姫ウタァァ!?!?」」」」

「ハハ、マジか…」

「こりゃ驚きじゃわい…」

「まさかこんな…」

「スーパー驚いたぜ…」

「おいおい…マジかよ」

 

映像に映った少女の正体は先日死んだと発表された世界的歌姫、ウタであった。

ウタの登場に各々反応は違えど、驚きの声を上げる。そして、それは麦わらの一味だけではなかった。

同時刻、映像電伝虫を使用していた世界中の人々が反応していた。

ある者は泣き、ある者は目を飛び出して驚き、ある者はライバルの生存に怒り、ある者は頭を抱えていた。

そんな中、ルフィだけは笑っていた。

 

「ハハハ、良かった…生きてて…」

 

ルフィは地面に寝転び、誰にも見られないように麦わら帽子で顔を隠す。その体は小刻みに震えていた。

 

「ほんどうに゛!…よがっだ‼」

 

仲間たちは仰向けになっているルフィを温かい目で見つめる。

そうしていると、ウタが何かを話し始めた。

 

「…みんなに話したいことがあるの」

 

ウタは真剣な表情でこちらを見ていた。緊張を解くためか一呼吸すると口を開いた。

 

「まずは、この前のライブはごめんなさい…みんなの思いを勘違いして、世界中の人に迷惑をかけた。謝っても許されるとは思っていない…」

 

ウタは俯いて話す。しかし、次の瞬間には顔を上げる。それは何かを決心した表情だった。

 

「でも!みんなを幸せにしたいという思いは嘘じゃない!私は…歌でみんなに元気を、夢を与えたい!」

 

ウタは拳を握って叫ぶ。それは以前と同じようで、全く違うものだった。

 

「だから…もし、みんなが私を許してくれるなら…私の歌を聴いてほしい」

 

ウタは何かに恐れているかように目をつぶる。数秒静かな時間が訪れると、一人の少女の声が配信に混じった。

 

「私!またウタちゃんの歌が聴きたい!もう一度歌ってよウタちゃん!」

 

それはウタにメッセージをくれた、ライブでウタと同じ格好をしていた少女だった。少女の声を皮切りに、様々な声が聞こえてくる。

 

「僕もだよウタ!もう一度聴かせて!」「わしもじゃ」「私も!」「「俺も!」」

 

羊使いの少年、よぼよぼのおじいちゃん、教会のシスター、仲のよさそうな兄弟。様々な人々がウタの歌を切望している。

ウタはそれらの声に涙があふれてくる。

 

「…ありが、とう。みん、な…私、今度こそみんなが望む、私が考える“新時代”を作って見せる!」

 

ウタは涙を拭うと、みんなに宣言した。今度こそ“新時代”を作ると。

配信上にライブの時、いやそれ以上の歓声が響いた。

 

「…ルフィ、話しかけなくてもよかったの?」

 

ナミは寝転ぶルフィに問いかける。幼馴染と再会はいいのかと。

しかし、ルフィは身体を起こし、顔を腕で拭うと笑った。

 

「にししし、大丈夫だ。もうウタは一人じゃねぇ。あいつはあいつの旅を始めたんだ」

「そう。分かったわ…やっぱり似てるわね、あなたとウタは」

「そうか?にししし」

 

ルフィたちが笑っていると、ウタは突如こちらへ指をさした。

 

「私は、私の方法で新時代を作って見せる。だから、これは勝負だよ!どっちが先に自分の新時代を作るかの!」

 

誰に向けたものか分からない宣言。現に配信を聞いていたものは首を傾げるものが大半だった。

しかし、当事者とその仲間たちは気づいていた。

 

「にししし…あぁ、どっちが新時代を作るか勝負しようじゃねぇかウタ。俺は負けねぇぞ」

「はぁ…子供ね二人とも」

「いいじゃねぇか。面白くなりそうで」

「ウタちゃんの歌声がまた聞けるとは…なんでもできそうな気がするぜ~♡」

「プリンセス・ウタと勝負か…こりゃあ大変なことになりそうだ」

「俺!頑張るぞ!」

「アーウ!スーパー面白そうじゃねぇか!」

「ヨホホホ、またあの歌声が聴けるのですね。いずれデュエットでもしたいものです」

「あら、いいわね。それ」

「ワッハッハ!愉快なことになったのぉ!」

 

ルフィと仲間たちはウタの挑戦に乗り気であった。

ルフィとウタは直接会ってないにもかかわらず、お互いの拳を、ウタはハンドカバーをした左手を、ルフィは右腕を前へと出す。

 

「「新時代を作るのは—」」

 

「俺だ‼」「私よ‼」

 

二人は笑い合って宣言する。昔、フーシャ村で誓い合ったあの時のように。

ルフィとウタの旅はまだ終わらない。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、ちなみに私、今赤髪海賊団の音楽家だから。海賊になったけど、これからもよろしくね!」

 

「「「「「えぇぇぇ!?!?」」」」」

 

最後に特大の爆弾を落とし、ウタの初?配信は終わりを告げる。

 

 

今日も世界は様々なことが起こっている。

 




これにて終了です。

初めての小説だったので、至らなぬところが多々ありますが、最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

感想・批判お待ちしておりますので、よろしくお願いします。

それでは、ご高覧ありがとうございました。
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