誰かの救世主   作:スココLU

8 / 12
共闘

「遅すぎた」

 

ロビンは怪物たちを倒しながらトットムジカを見て呟いた。前方ではローがサポートし、ゾロとサンジがポベウスへと攻撃をしている。

トットムジカは徐々に姿を変えていく。元々あった二本の腕に加え、四本の手足が生え、背中からは黒い翼が現れ、頭には二本の角が伸びている。

魔王の姿が変わると同時にウタワールドも変容する。明るかった空は暗くなり、禍々しい渦が空を埋め尽くしていた。

その状況にコビーは生唾を飲み、ビックマム海賊団はブリュレの力を使い、その場から逃げようとしていた。

ウソップは重傷を負い、気絶したルフィを引きずりながら「同時攻撃のタイミングさえわかればいいんだけどよ…」ともどかしげに顔をしかめた。

 

 

 

現実世界でもトットムジカは形態を変化させ、周囲へとビームを解き放つ。

赤髪海賊団はすぐにも攻撃を仕掛けたかったが、周りには眠っている一般人が多数おり、思うように行動できていなかった。

そうして動くことを渋っていると、トットムジカによって破壊されたドームの天井が観客を落下し始める。

シャンクスたちはその天井を破壊しようと構えるが、トットムジカによって邪魔をされてしまう。

その時、一つの影が落ちる天井に向かうのがシャンクスの視界に入った。そして次の瞬間天井が細かく切り裂かれる。

 

「こりゃあ厄介なことになりましたな」

 

そう語るのは海軍大将藤虎だった。藤虎は赤髪海賊団の近くに降り立つ。

 

「一般人はわしらが対処するんで、あんたらはトットムジカをどうにかしてくれやぁせんか」

「なにが狙いだ…」

「お互い一般人がいやすと全力をだせんしょう。ならば海軍が一般人を助けるのが無難じゃあありゃせんか」

「…いいだろう。そっちは任せるぞ」

 

シャンクスは観客たちを海軍に任せると、仲間たちに指示を出す。トットムジカを倒すため、自分たちの娘であるウタを救うために、その力を奮う。

その様子を黄猿は「おうおう面倒くさいことになったね~」とトットムジカのビームを相殺しながら見ていた。

 

 

 

 

 

 

ウタワールドでも魔王との激しい攻防が続いていた。

個々の力では魔王に対して全く歯が立たないため、コビーが指揮を執りながらトットムジカに対応していた。

その様子をポベウスは嘲笑う。

 

「ハハハ!そんなことはもう無意味だ。何をしようと新時代は訪れる!」

「チッ、あいつの能力はどうなってんだ。こっちの攻撃が全く通らねぇ」

「ここは夢ん中だ。弱点を見つけない限りあいつに攻撃は通らん。それよりあっちを先に何とかしないと」

 

サンジは怪物と共に暴れるトットムジカを見る。そちらではナミやウソップたちが音符の戦士や怪物、トットムジカへ攻撃をしていた。その隅では横たわるルフィとルフィを治療するチョッパー、トットムジカを見つめるゴードンがいた。

ゴードンは暴れだす魔王に責任を感じ、前に出る。

 

「ウタ!私が悪かった!お前の能力を恐れ、人前に出す機会を失っていた̶そして音楽を愛するものとして、トットムジカの楽譜を捨てることもできなかった…私は愚か者だ。逃げることしかできない卑怯者だ…」

 

自分を責めるゴードン。しかし、その声はウタには届かない。うなだれるゴードンにウソップとサンジが声をかける。

 

「俺の親父は俺をほったらかしだった。でもあんたはプリンセス・ウタの傍にいたんだろ?」

「あんたは誓いを守ってウタを育てたんだ。それは誰にもできることじゃねぇ…立派だぜ、あんた」

 

その会話が聞こえていたのかルフィは治療中に目を覚まし、起き上がる。ルフィはチョッパーの静止の声に従わず、着ていたコートを脱いだ。

ゴードンは立ち上がったウタの幼馴染に懇願する。

 

「ルフィ君!あの子の歌声は世界中を幸せにする力を持っているんだ!なのに、こんなことに使われてはあまりにもあの子が不憫だ…頼む!あの子を!ウタを縛る楔を解き放ってくれ!」

 

ルフィは武装色を纏わせた腕に空気を送り込ませながら、気絶する前に聞いたウタの言葉を思い出す。

 

『助けて…ルフィ』

 

体が膨れ上がり、目元や鎖骨に黒い模様が浮かぶ。“ギア4(フォース)”となったルフィは両腕を大きく広げ、周囲に強烈な衝撃が走るほどの大きな声で叫んだ。

 

「当たり前だ‼‼」

 

ルフィは勢いよくその場から飛び出す。その行き先はもちろん̶トットムジカ。残り少ない時間、ルフィは全力を出してウタを救いに行った。

 

 

 

 

 

 

ルフィが魔王へと攻撃を開始し始めたころ、現実世界でもシャンクスは仲間のサポートの元、魔王と対峙する。

しかし、音符の戦士が邪魔をして中々近づけない。再度、トットムジカへ迫るシャンクスに音符の戦士が前を塞ぐ。その時、どこからか餅が現れ、戦士たちを絡めとった。

ビックマム海賊団の実力者No2、“モチモチの実”の能力者、シャーロット・カタクリ。

 

「赤髪!必要なのはウタウタの世界とこちらの世界の同時攻撃だ!」

「ビックマムの息子が何の用だ」

「妹を助けに来た!」

 

カタクリは音符の戦士たちを蹴散らしながら堂々と言った。カタクリは見聞色の覇気で妹の景色を見たと伝える。

しかし、それはシャンクスも分かっていた。後方ではヤソップが誰かに文句を言っている。

シャンクスは視界の端にある男を捕らえながら愛剣グリフォンを抜き、トットムジカのビームを弾き返す。

彼らの横では海軍が救助活動を行っていた。

 

 

 

ウタワールドでは“ギア4”となったルフィが果敢にトットムジカへと攻撃していた。そのほとんどがバリアに阻まれていたが、現実世界のシャンクスとカタクリの連携攻撃が炸裂し、バリアが破壊される。

トットムジカは体制を崩し、ひっくり返る。それを確認したルフィとシャンクスは同時にお互いの名を呼んだ。

ルフィの攻撃が効いたことにみんなが喜ぶと、やる気を出し始める。それぞれが音符の戦士やトットムジカへ攻撃する中、ウソップだけが状況を打開する方法を探していた。

 

「クッソォ、あの手足さえ何とかできりゃあ!…いや待て、こういう時こそ落ち着けキャプテン・ウソップ」

 

突然立ち止まり、こめかみを押さえ、目を閉じながら考えるウソップ。何かないかと考えていると、頭が冷静になり、とある映像が流れ込んできた。

それがなんなのか、誰が見ている景色なのか、ウソップにはすぐ分かった。

 

「ハッ!親父!?」

 

ウソップがヤソップに気づいたと同時に、現実世界のヤソップがため息をつく。ウソップはヤソップの見る光景がよりクリアに映った。

ウソップは今の状況を打開する勝機を見出し、船長の名を呼ぶ。

ルフィはウソップの声に頷くと、自身の体を細く変化させる。“ギア4 スネイクマン“

 

「野郎ども!気合入れろ!」

 

ルフィが叫ぶと仲間たちも「おうっ!」と声をそろえる。

 

同じ頃、現実世界でもシャンクスが仲間たちへ激を飛ばす。

 

「野郎ども!気合入れろ!」

「「おぉーっ!」」

 

ウタワールドではウソップが、現実世界ではヤソップがそれぞれ指示を出す。

 

「先に手足をつぶすぞ!まずは右足!」

「右足!」

 

ゾロが刀を、ベックマンが銃を構える。コビーがバリアを蹴り砕くと、ゾロとベックマンの攻撃が右足へと向かう。

 

「三刀流奥義、一大・三千…大千・世界‼」

「フッ…」

 

ゾロの刀が、ベックマンの銃弾が同時に命中すると、右足が粉砕され、トットムジカは大きく体を泳がせた。

 

「左腕!」

「左腕!」

 

間髪入れず、ウソップとヤソップの指示が飛ぶ。

ジンベエとホンゴウ、ルゥが左腕を狙う。

 

「魚人空手、槍波!」

「オラァ!」

 

ジンベエは水の槍を投げ、ホンゴウは丸まったルゥを蹴り飛ばした。攻撃が命中した左腕が吹き飛ぶ。

 

「右腕!」

「右腕!」

 

オーブンのサポートを受けたサンジ、右足を上げたカタクリが右腕を狙う。

 

「悪魔風脚、羊肉ショット!」

「斬・切・餅!」

 

右腕が粉砕され、トットムジカの体勢が崩れる。

 

「真ん中右!」

「真ん中右!」

 

チョッパーとロビンが、ボンク・パンチとモンキーがそれぞれ協力して目標を破壊する。

 

「「真ん中左!」」

 

ウソップとヤソップの声がぴたりとそろった。ナミとブルック、ロックスターが魔王を襲う。

 

「サンダーブリーズ=テンポ!」

「革命舞曲、ボンナバン!」

「うおぉぉぉ!」

 

五度の攻撃を受けたトットムジカは唸り声をあげる。

 

「「右腕!」」

 

ウソップはスリングショットから、ヤソップは銃から放った弾がトットムジカへ向かう。トットムジカはガードしようとするが、フランキーのフレッシュ・ファイヤにより、ガードも空しく右腕を失う。

 

「ルフィ!」

「シャンクス!」

「「今だ!」」

 

ルフィは右腕を打ち出し、シャンクスは剣を構える。満身創痍のトットムジカに近づいたシャンクスの脳裏にウタと過ごした短い期間の記憶がなだれ込んでくる。

シャンクスを見つけた時の笑顔、ウタの歌声に合わせて仲間と躍ったこと、ルフィと勝負ばかりしていた時のウタ̶。

 

ルフィは拳に、シャンクスは刀に覇気をまとわせ、同じタイミング同じ場所に攻撃した。

 

「ゴムゴムの、王蛇!」

「フンッ!」

 

魔王は苦し紛れのビームを放つが、命中せず、ルフィとシャンクスの攻撃によって、悲鳴を上げながら大量の音符へと姿を変える。

ウタはぼんやりとした意識の中、魔王“トットムジカ”の感情を読み取っていた。

すべての人の負の感情が集まって生まれた存在であったトットムジカは自分を受け止めてくれる存在を探していた。

そしてようやく現れたのがウタだった。

 

(なんだ、あんたも寂しかったんだね)

 

音符へと変わるトットムジカにウタは心の中で語りかけた。

トットムジカが消え、落下するウタ。ルフィは疲れ切った体に鞭を打って、ウタの下へ飛び、強く抱きしめる。

 

「ウタァ!」

「ルフィ…」

 

ウタは自身を助けてくれたことに涙を流し、幼馴染の名をか細い声で呼ぶ。

ルフィはウタに負担をかけないようにそっと地面へ降りる。そして、ナミへとウタを預けると、今もポベウスと対峙しているローの名を呼ぶ。

 

「トラ男!」

「ルーム、シャンブル!」

 

ローは瞬時に自身とルフィの位置を入れ替える。ポベウスはトットムジカが敗れたことに唖然とし、さらに突如入れ替わったルフィに驚き、体が硬直する。

ルフィの体からは蒸気が上がっている。

 

「俺の親友に…手を出すんじゃねぇ!ゴムゴムのォ~火拳銃‼」

 

ルフィの技がポベウスの腹部へと命中し、ポベウスは後ろにのけ反ると、後方へと吹き飛ばされる。

数秒空中に浮いていたポベウスは地面へと落ち、火拳銃によって上半身が炎に包まれていた。




次、性癖てんこ盛りです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。