機動戦士ガンダムキール   作:アオトル

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episode1 ファーストコンタクト

 

サイド4

 

 

「はぁ、全く。ブライトさんもよく許可出したなぁ。 確かにアナハイムに比べたら遥かにマシだけど。 最近、袖付きとネオ・ジオン残党の動きが活発化してるっていうのに…。 時期的にもラプラスだろうなぁ。あ~、ユニコーンと一緒に戦いたかったな~。間近で見たかったな~。」

 

彼の名はカシス・シェルフィーヌ。ロンド・ベルに所属する彼は連邦一のパイロトであり、ニュータイプでもある。そんな彼には転生者という秘密があり、この世界で起こる出来事をだいたい把握している為、機動戦士ガンダムUCの舞台に立てない事を残念がっていた。

 

「ま、僕も軍人だし、サナリィの提案も将来性を考えたら結構重要そうだし、仕方ないか。ブライトさんもその辺りを考えた上で許可したんだろうし。」

 

カシスは現在、サナリィからの強い要望により、ネバディアコロニーこと旧テキサスコロニーへと一人で向かっていた。

このコロニーはモノトーンマウス社のテキサスコロニー再建計画が阻止され、崩壊した物をサナリィが回収・再建したもの。サナリィの極秘研究所になっているので普通のコロニーと違い、外壁に無数の小惑星を貼り付けて大型小惑星に偽装し、機密保持の為に新サイド4の暗礁宙域内を放浪している。カシスは今回、ここで製造された最新のモビルスーツのテストパイロットに選ばれたのである。

 

「何でこうなったんだろ。」

 

カシスはその時の事を思い出す。

 

 

 

 

 

「失礼します。ブライト司令。話とは何でしょうか?」

 

「来たか。座ってくれ。」

 

「はい。ところでそちらの方は?」

 

「初めまして。貴方がカシス・シェルフィーヌさんですね。会えて光栄です。私はサナリィから来ました、ジョン・スミスです。よろしくお願いします。」

 

「…どうも。それで、どういった内容でしょうか。」

 

「話があるのは彼の方だ。」

 

「えぇ、そうなんです。是非、貴方にしていただきたい仕事が有るんです。」

 

「僕にですか。 その仕事とは何でしょうか。」

 

「はい。実は最近、我々は新たなモビルスーツを開発したのですが…。」

 

「待ってくださいスミスさん。ロンド・ベルはそんな話聞いていません。どういうことですか。」

 

「それについては申し訳ない、ブライト司令。この計画は極秘に行う必要があったので、そちらに情報が回ってこなかったのでしょう。」

 

「政府は承認しているのですか。」

 

「もちろんです。フォーミュラ計画は連邦の将来に関わるであろう計画ですから。」

 

「フォーミュラ計画?」

 

「はい。先の連邦から受けた小型モビルスーツ、ロトの開発依頼。それを受けて始動した計画です。これを一言で表すならモビルスーツの小型化ですね。」

 

「小型化ですか。」

 

「はい。現在、モビルスーツは恐竜的進化による大型化が進んでおり、その影響でMS搭載艦も大型化の道を進んでいます。小型化はこの問題を解決できるだけでなく、機動力の向上や被弾率の低下などの恩恵を得られると考えています。」

 

「なるほど。確かに理に適ってはいる。」

 

「まぁ、政治的な意味合いが強いでしょうね。」

 

「政治的。」

 

「えぇ。最近、どこぞの民間からの圧力が凄いでしょう。流石の連邦もこれには辟易しているようでしてね。 現状、軍の根幹に関わる主力モビルスーツの製造・配備を完全に任せていますから、なかなか強く言えないようで。」

 

「それでサナリィに許可が下りたと。」

 

「はい。サナリィも元は一企業ではありましたが、連邦に株を買収されて公社となった今、連邦所属の機関と言える立場にあります。つまり、サナリィが小型高性能なモビルスーツを開発すれば、連邦は(くだん)の民間に強い態度でいられるわけです。もっとも、アナ…ゴホン、失礼。民間に主力モビルスーツの生産を一任してしまった連邦の自業自得なんですけどね。」

 

「ずいぶん言いますね。」

 

「当然ですよ。連中のおかげで我々は予算を大幅に削られ、辛酸を嘗め続けさせられましたから。」

 

「そうですか。」

 

「あの、少し良いですか。」

 

「はい。何でしょう。」

 

「区切りが良さそうなのでお尋ねしますが…。結局のところ、僕に何をさせたいのですか。」

 

「あ、す、すいません。つい熱くなってしまって。」

 

「すまん。俺が横槍を入れたせいで話が逸れてしまった。」

 

「いえ、話からだいたい分かりました。僕に、サナリィで作った小型高性能機のテストパイロットをしてほしいという事ですね。」

 

「正確に言うと、小型化した高性能機のテストパイロットですね。」

 

「それって何か違いがあるんですか。」

 

「大ありですよ。彼の言う事では、一から作った小型高性能な機体という意味になるわけですが、実際は、既存の高性能機を現行の技術でどこまで小型化できるか。小型化した場合どうなるのか。これらの調べるための実験機という訳です。これは大きな違いです。」

 

「そうですか…。ところで、既存の高性能機の小型化と言っていましたけど、どの機体を小型化したんですか?パッと思いつくだけでもZガンダムやZZに百式なんかのガンダム系列が挙げられますが。」

 

「はい。その通りです。 そして、今回は小型高性能化の実験なので、ガンダム系列の最大平均値を取り出し、ジェガンとパーツを共有する事でコストを抑え、整備性を上げた名機、νガンダム。それが今回の実験に選ばれた機体です。」

 

「ν、ガンダム、ですか。」

 

「えぇ。」

 

「なるほど。それが僕を選んだ理由ですか。」

 

「確かにそれも有ります。高い操縦技術を有していて尚且つ、νガンダムの戦いを間近で見た上で同等の戦いができる人間。それが今回のテストパイロットを選ぶ際の条件でしてね。その条件に見合うパイロットは貴方しかいませんでした。」

 

「そうですか。でも、普通はサナリィ内から選ぶのでは?機密を考えたら尚更。」

 

「えぇ。確かに。実を言いますと、テストパイロットは既にいたんです。ただ…」

 

「ただ?」

 

「いざ、操縦しようとすると拒絶反応のようなことが起こりましてね。機体性能を十全に発揮できなかったのです。」

 

「拒絶反応。」

 

「はい。どうやら彼女は、ガンダムに対するPTSDのようなものを抱えているようでして。」

 

「ガンダムに?」

 

「はい。このプロジェクトチームは優秀かつ信頼できるメンバーで構成されていまして、中には元ジオン、ネオ・ジオンの人間もいるんです。因みに、アナハイムや、連邦・ジオン双方のニュータイプ研究所の人間もいます。νガンダムはサイコミュ搭載機ですからね。」

 

「なるほど。ジオンの人間ならガンダムにトラウマを持っていても仕方ないですね。」

 

「だな。」

 

「それで、どうでしょう。引き受けていただけませんか?」

 

「…ブライト司令。因みになんですが、今、僕が離れていても大丈夫ですか。」

 

「…そうだな。正直、残っていてくれた方が安心できるが…。 大丈夫だ。我々だけで何とかする。それが仕事だからな。」

 

「…分かりました。この件、引き受けましょう。」

 

「おぉ、引き受けていただけますか!」

 

「はい。νガンダムの改良機でしたか。これも何かの縁でしょう。」そこでチラリとブライトを見て目が合う。

 

「分かりました。新型モビルスーツのテストパイロット。これにカシス・シェルフィーヌ中佐を派遣する事を認めます。」

 

「ありがとうございます。では早速いくつかの説明を…」

 

そう言うと、大量の資料をカバンから取り出した。

 

「…最初から引き受けてもらう気満々だったんですね。」

 

「あ、 ハハハ。申し訳ありません。上層部からきつく言われていましてね。予定していたテストパイロットがダメならもう、カシス・シェルフィーヌ中佐以外に適任は居ない。何が何でも協力を漕ぎつけろと。」

 

「大変ですね。」「大変でしたね。」

 

「それはもう。」

 

その後、資料を用いてモビルスーツや研究施設に関する説明を受け、現在に至る。

 

 

 

 

 

「うん。全部、僕の所為(せい)だった。ブライトさん。人の所為にしてすいませんでした。」

 

カシスはここには居ないブライトに心の中で謝った。

 

 

 

 

「ん?」

 

「どうかしましたか?ブライト司令。」

 

「いや、何でもない。誰かに謝れた気がしたんだが気のせいだろう。それで、メラン。袖付きがラプラスの箱に関する情報を得たというのは間違いないのか。」

 

「はい。間違いありません。最近、袖付きの動きが今まで以上に活発化しているので間違いないかと。それと、この事に気付いたのか、アナハイムからの圧力も今まで以上に厳しくなっています。」

 

「…近々、我々も動かざるを得なくなるだろうな。」

 

「でしょうね。ラプラスの箱なんて代物。現状、ロンド・ベル以外に任せられないでしょう。」

 

「だろうな。 …今のうちにメンバーを選出しておくか。」

 

「そうしましょう。」

 

 

 

 

「よし、切り替えよう。 ん。そろそろ目的地の暗礁宙域か。確かネバディアコロニーだったかな。小惑星に偽装しているらしいけどどんな感じだろう。コロニーを小惑星に偽装って相当な規模だと思うけど。」

 

色々考えながら暗礁宙域に突入するが、違和感に気付く。

 

「…なんだ?この張り詰めた感覚は。 ん?これは…、ミノフスキー粒子反応? でも、なんでこんな場所に?」

 

瞬間。カシスの脳裏に電流が走った。

 

「! 今のは。助けを求める声。向こうか!」

 

その思念を感じ取ったカシスは、発信元へ進路を取り急行した。

 

 

 

サイド4 暗礁宙域

 

 

「あれか!」

 

視線の先にいたのは、ジオン系モビルスーツに捕まっているガンダムタイプのモビルスーツだった。

 

「ガンダムタイプ…。資料で見たのと同じだな。なら!」

 

カシスはフットペダルを踏みこみ、捕縛しているモビルスーツの一機、ギラ・ズールに向けて突貫した。

 

 

 

 

 

『ガンダムの捕獲に成功しました!』

 

「よし、そのまま拘束しろ。」

 

『了解。しかし、意外とあっさり捕られましたね。何といいますか。期待外れというか。』

 

「馬鹿者!確かにあっさり捉える事には成功したが、相手はガンダムだ。何をしてくるか分からん。油断するな。」

 

『りょ、了解。』

 

「全く。…それにしても、確かに大した強さは無かったな。 機体のトラブルか?或いは、そもそも小型高性能機というのはブラフか?」

 

その時、パネルに警告が表示される。

 

「熱源反応?」

 

『下だ!避けろ!』

 

瞬間、下から飛んできたビームに撃ち抜かれ、捕縛作業をしていた3機のギラ・ズールの内、一機が爆散した。

 

「くッ、何が起きた!」

 

『3番機!そこから逃げろ!』

 

『ダメだ!間にあ』

 

そして、さらに一機、ビームサーベルを展開した機体に体当たりをされ、上半身と下半身が泣き別れになった後、爆散した。

 

『なんだ!あれは!』『敵の増援か!』

 

ギラ・ズールを轢き逃げした機体は背負っていた物を分離、モビルスーツに変形すると、捕縛作業中の最後の一機をビームライフルで打ち抜き、撃破した。

 

「捕縛中とはいえ、ギラ・ズールを一度に3機も⁉」

 

『分離した⁉』『モビルスーツだと⁉』

 

「クソ!全機散開!強敵だ!」『撃て!撃ち落とすんだ!』

 

 

 

 

「よし。 そこのガンダム!聞こえるか!」

 

カシスはガンダムに通信を行うが。

 

「ダメか。」

 

気を失っているのか応答が無く、機体も動く様子が無かった。

 

「仕方ない。此奴(こいつ)らを先に何とかするか。」

 

そう呟くと機体を一気に加速させ、ビームの嵐を回避しながら敵に向かって突撃した。

 

「行くか!このリ・ガズィで!」

 





最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

面白いと思っていただければ幸いです。


本作のブライトは、袖付きを調査している際にラプラスの箱を探している事と、連邦がそれを恐れているという事を知っています。



:キャラクター紹介:


カシス・シェルフィーヌ

連邦軍ロンド・ベル所属

階級:中佐

イメージカラー:紫

性別:男の娘 よく女性と間違われる。本人は気にしていない。

第二次ネオ・ジオン抗争の際、大きな戦果を挙げたため、中佐に昇進した。

この功績から、連邦からは紫の英雄。ネオ・ジオンからは紫の死神と呼ばれている。

この時にアムロから受け取ったリ・ガズィを気に入り、独自の改修を加えて自身の専用機にした。


どこかで正式に設定を書きます。
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