インペルダウン最下層の自由人な囚人  完   作:ケツアゴ

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その後やあれこれ ①

 ①五老星の憂鬱

 

「由々しき事態だぞ。火拳のエースの処刑失敗に加えインペルダウンからの大量脱走。海軍の面子だけの問題では無い」

 

「世界政府の威信が揺らぐ事があってはならぬ」

 

 エースの公開処刑失敗から数日後、世界政府のトップであり天竜人の中でも特別な五人の老人。それが頭を痛めていた。

 

「せめて白ひげの首を晒し物に出来ていればな」

 

「ジンベエの脱退も沽券に関わるぞ。黒ひげに関しては……いや、捕まえた奴に関する事は止そう。ペラペラ話した計画の内容からして生かしておかねば厄介とだけインペルダウンに伝えよう」

 

「「「「「そうだな」」」」

 

 五人の脳裏を過ぎったのはマリージョアに居た幼い頃から自由だった男の姿。

 従えた大型の猛獣を乗り回し、生まれつきの優れた見聞色の覇気で色々と情報を得た上で突如失踪、十年以上経って居所が判明したかと思うとDの一族率いる海賊団の一員だった。

 

 討伐に向かった海軍に向かって大声で知られては不味い事を教えようとしたり、当時の大将二人を同時に倒し、羊羹の恨みで白ひげとシャボンディ諸島にて大喧嘩して被害を出したりと頭を悩ませる事ばかりだ。

 

 だからインペルダウンに勝手に住み着いたという報告を受けた時にはついに気が狂ったらしいが安心できる、としたが、好き勝手に内部を歩き回り盗難を繰り返していると聞いた時には胃に穴が開いた。

 

 彼の死亡説が世界に流れたのは忘れたいという願望の現れだったのだろう。

 

 

「彼奴(あの人)なら普通に生きてるだろ」

 

 知り合いの反応はこんな感じであったのだが。

 

 

「……何処の誰かとは言わぬが、処刑しようとすれば逃げ出して報復に走るか?」

 

「何処の誰かとは言わぬがポーネグリフに書かれていた事をビラにして蒔きそうではあるな」

 

「何処の誰かとは言わぬが、脱走の常習犯なだけでそっとしているのが一番だと思うぞ」

 

「何処の誰かとは言わぬが、隠居先として気に入っているらしいから荒らされたら動くであろうしな」

 

「何処の誰かとは言わぬが放置としよう」

 

「「「「「さて、胃薬と白湯を持ってこさせよう」」」」」

 

 触らぬ神に何とやら、五老星も彼等の上に立つ存在も、とある男については放置を推奨し、これ以上の言及は避けるのであった。

 

 

 

 

 

②サカズキの災難

 

「白ひげも! それを親父と呼ぶ貴様ら馬鹿共も! 皆等しく敗北者じゃ!」

 

 山場を迎えた頂上決戦、海軍の準備や裏切りを誘発させる策によって危機を迎えた白ひげ海賊団だったがルフィ達の乱入によって戦場は混迷、ボンクレーの弔いの為に決死の覚悟を決めたミスター3の活躍もあってエースの救出に成功するも、サカズキの挑発に乗ったエースが攻撃を仕掛け、ルフィは遂に限界を迎えてしまい膝を付く中、エースとサカズキの拳、火とマグマがぶつかり合ってエースが焼かれながら吹き飛ばされた。

 

「悪魔の実には上げっ!?」

 

 そして飛来した下駄がコビーの頬を僅かに掠りサカズキの股間にシューット!! 呻き声さえ出せずに前のめりに崩れ落ちる姿にその場の男全員がヒュッとなり血の気の失せた顔をする。

 

「何をやってるの! 逃げるわよ!」

 

「海賊が逃げる! さっさと追いなさい!」

 

 女性陣だけは平然とし、竦み上がった男共の尻を蹴り飛ばす勢いでの叱責、結果としてルフィ達は逃亡に成功するのだが……。

 

「済まない。何があった?」

 

 負傷者を無視して追撃を続ける海軍を止め、戦争を終わらせようとしたシャンクスは、股間を押さえて泡を拭きながら倒れるサカズキや未だ股間を気にして竦み上がっている一部の男の姿に困惑するのであった。

 

 

 

 尚、コビーは下駄の影響で覇気に目覚め、サカズキは危うくオカマになるかと思ったと語る。

 

 

 そして海軍海賊問わずその場の男は全員揃って下駄に軽いトラウマが芽生えたとかいないとか……。

 

 

 

「センゴク。サカズキの股間事件……ではなく頂上決戦についてじゃが」

 

「お前も印象を上書きされたか、ガープ。あの下駄、一体誰が何の目的で……」

 

 昔の敵がインペルダウンから羊羹を台無しにされた腹癒せの悪戯の為であるが知らない方が良いだろう。

 かくしてサカズキの股間事件もとい頂上決戦は海軍の敗北で終わってしまった。

 

 

③冥王の胃痛

 

 頂上決戦が集結した後、己の弱さを知ったルフィは二年間鍛え直す事を決め、新聞に暗号を潜ませた。

 そして女ヶ島付近の猛獣が生息する島まで案内された直後の事、ルフィはある事を思い出す。

 

「そういやレイリー。大将ぶっ飛ばした黒い下駄って何だったか分かるか? こう電気みたいなのがバリバリって見えた気がしたんだけどよ」

 

 自分達は触れさえ出来ない光人間である黄猿に攻撃を当てていたレイリーとマグマ人間である赤犬に痛撃を与えた下駄。

 思わず思い出して竦み上がりそうになりながらも詳しく語るルフィに対し、レイリーは顎に手を当てて考え始めた。

 

「うーむ。ロギアに攻撃を当てた上にあの場に居た連中が察知出来なかったとなると余程高度な……奴か。奴だな、奴しか……うっ!」

 

「レイリー?」

 

「どうかしたのか? レイリー」

 

 何が起きたのかを理解した故にその様な事が可能な人物が限られ、尚且つ積極的にその場をかき乱しそうな相手と考えれば検討が付く。

 結果、冥王と呼ばれた男はストレス性の胃痛が再発してしまった。

 

「い、いや、大丈夫だ、ルフィ君にハンコック。取り敢えず助けられたとしても礼は言わんで良い相手だ。奴であっても海軍の見張りに気が付かれない程の遠くからではその場に誰かが立っている程度しか分からなかっただろう。少し違えば食らっていたのは君だったかも知れない」

 

「……一体何者なのじゃ? あの下駄、妾とて直前まで気が付けなかった。間違い無く覇王色を纏っていたぞ」

 

「私の昔の仲間……ロジャー海賊団は私とロジャーが始めたが、結成三日後に勝手に飯に参加していてな。暇だから冒険に連れて行けと言い出して私が反対したら二人纏めて相手をして力を示すとか言い出して、結局三日間戦って決着が付かなかった」

 

「レイリーとロジャーの二人相手にして互角だったのかよ、そのオッサン!?」

 

「ああ、やる気に随分と左右されるが、白ひげにすら一度勝った事がある男だ。名はルヴァイド。天魔王と呼ばれ四十五億九千万の懸賞金を懸けられた男であり……何というかロジャーの次に自由な男であったな」

 

 レイリーが思い出すのは現役時代、副船長だからと責任を押し付け、ロジャーが好きにやれと言ったからとカタギに手を出す以外好き勝手に行動、勝手に敵船に喧嘩を売り、寝ずの番の時に襲われたら面倒だと覇王色を使い続けて仲間の睡眠を妨害し、挑んで来る海軍に嫌がらせをする常習犯。

 

「最低限のラインを少し超えた位にルールを守るのだが、時に抜け穴を潜り抜け、時に平然と破る。ロジャーにさえ好き勝手に動くなと叱られることがある男だったよ」

 

 当時の苦労を思い出す様に、同時に楽しい日々を懐かしむように呟き……少し言いにくそうにしながらハンコックの方を見た。

 

 

「まあ、好物の羊羹さえ奪わなければ遊び心が騒がぬ限り仲間には優しい男だよ、敵には性根がひん曲がっているが。……それと多分ハンコック、君の祖父だ」

 

「……妾の?」

 

「君の祖母が修行中に我々と出会ってな、特にルヴァイドと意気投合したものの互いに恋愛感情は無かったのだが、とある島の宿で前日の寝ずの番明けで寝ている奴の部屋に入って行って妙に艶々して出て来たのだ。……ちょっとムラムラした時に部屋の前を通りかかった、と言っていて……取り敢えず本人には話せんかった」

 

 理解していないルフィを除き、微妙な空気が流れた瞬間であった。

 

 

 

 

 

 

 

 ④元見習い達の反応

 

 

 

 

 

「船長、妙に機嫌良いですね。ちょっと大所帯になって焦ってたのに」

 

「ん? ああ、例の下駄を飛ばしたのが誰かって考えたら一人しか思い浮かばなくてな。死んだ訳が無いとは思ってたが相変わらずハデな人だぜ」

 

 

 

 

 

 

「お頭、随分と上機嫌ですね」

 

「まあ、死んだって言われていた人が生きてたからな。あんな場所に覇王色と武装色を纏わせた下駄を飛ばして来る人なんて一人しか居ないさ」

 

 

 




次に

ドフィとの遭遇 無限地獄の自由人達  

    インペルダウン入らずルートで 

劇場版RED……RED?(シャンクスの所居候) 短い  

バギー一味のご意見番 

グランドライン突入直後のルフィ達と出会う~クロちゃんの災難~(ハンコックとは知り合って金を借りている)

王下七武海ルート(ロジャー処刑後放浪生活後に)

でオマケ終わりかなぁ  
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