ナルトが綱手に引き取られる話   作:tanaka

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鈴取り演習

 

 

首から上だけを出した生首状態で地面に埋まる黒髪の美少年、土の縄で縛り上げられ宙吊りにされ、へそを大きく露出た金髪の少年、目を回してお尻を突き出した状態で土下座をするように地面に倒れ伏す桃色の髪の少女。

 

そして、そんな少年少女の横に立ち、イチャイチャパラダイスなるエロ本を読む、顔のほとんどを黒いマスクで隠した木の葉の忍。

 

ここが木の葉の里じゃなかったら間違いなく奥様に通報されていただろう悲惨な光景がそこには広がっていた。

 

何故こんな状況になってしまったのか、それは少し前に遡る。

 

 

 

 

 

ナルトは班発表の日寝坊して遅刻したもののそれで下忍になれなくなるなんてことはなく、班の発表はつつがなく終わった。ナルトが組み込まれたのは第七班で、班員は春野サクラとうちはサスケ、担当上忍ははたけカカシだ。だが、このはたけカカシが中々の問題のある忍のようで、「担当上忍が迎えに来るまで待て」と言われ、待っているが中々に現れない。

 

痺れを切らした桃色の長髪の貧乳美少女、春野サクラは『忍の闇と性 著 千手扉間』なる本から顔を上げ、声を上げる。

 

「ねえ、私達の担当上忍だけ来るの遅すぎない?他の班が出ていってもう三十分よ。明らかに遅刻だわ。きっと何かトラブルがあったと思うのよ」

「そっかぁ?只の遅刻だと思うってばよ」

「上忍が遅刻なんてするわけないでしょ。貴方じゃあるまいし」

 

ナルトは仲良くなるためのきっかけを探していたのでサクラの問にこれ幸いと乗っかる。窓際で外を見ていたサスケも暇をもて余していたのか、二人の話に乗ってくる。

 

「俺達の担当上忍はあの゛カカシ゛だ。もしかしたら急な任務でも入ったのかもしれない」

「確かに……。あの゛はたけカカシ゛だものね。でも、連絡の一つくらい来ても良いと思うんだけど」

「あのカカシって、二人ともカカシ先生のこと知ってんのか?」

 

ナルトの呑気な言葉に二人は絶句する。ナルトは何故二人が突然黙ったのか分からず首をかしげる。

 

「ナルト、本当に『はたけカカシ』を知らないのか?」

「知らないってばよ」

「冗談でしょ。信じられないわ。貴方今までジャングルの奥地にでも暮らしていたの?」

「サクラちゃん、それは流石に酷いってばよ」

「木の葉で忍者になろうって人がはたけカカシを知らないなんて、そっちの方が酷いわよ」

「そんな有名人なのか」ナルトはそこまで言われるはたけカカシと言う忍に興味が出る。「どんな人なんだってばよ」

 

ナルトの問いに待ってましたとばかりにサクラは話し出す。サクラは何かを説明するのが好きだった。

 

「私も直接会ったことはないから噂の内容しか知らないけど、どれもとんでもない噂ばかりよ。

曰く、5歳で下忍、6歳で中忍、12歳で上忍になった木の葉の生んだ天才忍者。忍・体・幻術全てを得意とし、頭脳明晰であり、厳格さを持ち、冷静沈着な状況判断力を持ち、部下の育成能力まで持つ。その実力は木ノ葉の上忍の中でも特に優れており、他国の忍にまでその実力が知られているの。雷を素手で切ったなんて逸話まであるのよ。まあ、流石に最後のは誇張だと思うんだけど、でも本当に凄い先生なのよ」

この間一切の息継ぎ無しにサクラは言い切った。凄い肺活量だとナルトは感心した。

「へー、なんか凄い忍者なんだな。会うのが楽しみになってきたってばよ!」

 

この時点では三人のカカシへの態度は本人のネームバリューもあり、大方好意的だった。

しかし、

それから三十分後

 

「こないな」

「来ないわね」

「腹へったってばよ」

 

更に三十分後

 

「全然こないな」

「全然来ないわね」

「めっちゃ腹へったってばよ」

 

更に三十分後

 

「………………」イライラ

「………………」イライラ

「………………」イライラ

 

更に三十分後

 

「………………」イライラ

「………………」イライラ

「………………」イライラ

 

そして、他の班の生徒が出ていってから三時間後、ようやっとカカシは現れた。

 

「「「遅い!」」」

「いやー、ごめんね。今日は黒───」

「先生!何故こんなに遅れたのかキチント説明してください!例え、いくら任務だったとしても、連絡くらいしてもらわないと困ります!」

「え?任務?何の話?」

 

「………………」

 

「………………」

 

「………………」

 

四人の間に沈黙が流れる。

そうなのだ。サクラとナルトとサスケは苛立ってはいたがカカシのことをまだ信じていたのだ。しかし、現実は非情である。カカシが遅れてきたことに大した理由はなかった。ただ遅刻しただけである。カカシは三人の反応から自分は任務で遅れたと思われてるようだと察し、「しまった!その手があったか!」と言う顔をしたが後の祭りである。

 

「へえ…任務じゃなかったんですか?…へえ…じゃあ只の遅刻で三時間も待たされたんですか?…へえ…へええ…へえええ」

 

カカシはサクラ達三人の背中に般若を幻視した。

 

「い、いや、悪かったとは思ってるのよ。ただこれには事情があってね」

 

慌てて何時ものように遅刻の理由を言い繕う。

 

「事情?」

「そ、そう。そうなのよ!此処に来る途中に黒猫に横切られちゃってさ。ほんと参ったよね」

 

「………………」

 

「………………」

 

「………………」

 

再び沈黙が流れる。心なしかさっきよりも痛い沈黙である。

カカシはチョイスを間違えたと言う顔をしていたが後の祭りである。いや、カカシは翌日の鈴取り試験を見据えてわざと間違えたのかもしれない。どちらにしろ、ナルト達にとって到底許せる言い訳ではなかったが。

 

「黒猫に横切られたからアカデミーに来れなくなったと?」

「そ、そうなるね」

「そんな話誰が信じるのよ!」

 

サクラは手にチャクラを集中させ、思いっきり教卓をぶん殴った。ガシャーン!ゴロゴロ、バコ!と、どでかい音を立てて教卓が木端微塵になる。

 

「な、なんつー馬鹿力だ」

 

お前は綱手か!とナルトは心の中でツッコミ、サスケとカカシは冷や汗を流して、怒れるサクラを見るのだった。

 

 

 

取り敢えず場所を変えると言うのでカカシの後に続き三人並んで廊下を歩く。連れてこられたのは里が一望できるテラスのような場所だった。

 

「そうだな……まずは自己紹介でもしてもらおうか」

「自己紹介ですか。どんなこと言えばいいんですか?」

「……そりゃあ好きなもの嫌いなもの……将来の夢とか趣味とか……ま!そんなのだ」

「あのさ!あのさ!それより先に先生 自分のこと教えてくれよ!」

「そうですね……。見た目 かなり怪しいしですし」

 

カカシは逆立てた銀髪をした長身痩躯の男性で、口元は黒いマスクで覆われ、左目は額当てをずらして隠されている。驚くべきことに顔の内、右目しか見えない。第一印象は顔見せろだ。

 

「あ…………オレか?オレは「はたけカカシ」って名前だ。好き嫌いをお前らに教える気はない!将来の夢……って言われてもなぁ……ま!趣味は色々だ」

 

結局分かったのは名前だけであった。

 

「じゃ 次はお前らだ。右から順に……まずナルトから」

「オレの名前はうずまきナルト!好きなものはラーメン!もっと好きなのは一楽のラーメン!嫌いなものはラーメンの待ち時間だってばよ!趣味は修行!将来の夢はぁ 火影を超す!ンでもって里の奴等全員にオレの存在を認めさせる!」

「なるほど。」面白い成長を遂げたなとカカシは内心感心する。

「じゃ、次はサスケだ」

「名はうちはサスケだ。好き嫌いをお前らに教える気はない。それから夢と言うのとは少し違うが野望はある。だが、それもお前らに教える気はない」

「そ、そう。」

 

カカシは自分の自己紹介も似たようなものだったのでツッコムことも出来ずに流した。

 

「 ……じゃ 最後 サクラ」

「私は春野サクラです。好きなものは読書全般と知識探索、研究、まあ、色々です。嫌いなことは時間を無駄にすること。よろしくお願いします」

 

春野サクラはじろりとカカシを睨む。遅刻の常習犯であり、実際今日も二時間も遅刻してきたカカシは冷や汗をかいた。

 

「あはは、最近の子は辛辣だね……。ま、でも、お前達のことはなんとなく分かったよ」

「サスケのこともカカシ先生のことも一っつも分からなかったってばよ!」

 

 

原作とほぼ同じだが若干異なる自己紹介パートを終え、ナルト達はカカシから下忍認定試験の話を受ける。

 

「うっそだろ!じゃあ、あの特別試験は何だったんだってばよ!」

「ああ、あれ。下忍になる見込みがある者を選抜するための試験だよ」

「初耳だってばよ」

「あはは、ナルトは純粋で良いねえ。それに引き換え、君達あんまり驚かないのね」

「まあ、分身の術だけで下忍と認められるのには違和感を感じていましたから」

「ふん、当然だ。もしろあれだけで下忍になれるなんて言われた方が驚くぜ」

「なれると思ってたってばよー!」

「うすらとんかちが」

「最近の子って皆こんな冷めてるの?」

「絶対サクラちゃんとサスケがおかしいだけだってばよ!」

 

 

 

 

 

翌日 当然のように三時間も遅刻してきたカカシはにこやかに右手を上げながら登場した。

 

「やあ──────諸君おはよう!」

「おっそーい!!!」

 

ナルトはカカシに指さして大声で怒る。サクラとサスケは声こそ出していないが怒りの表情でカカシを見ていた。

しかし、そんな視線など慣れたものなのか、カカシは二人の怒気を華麗にスルーして自分のリュックから目覚まし時計を出して12時にセットする。

 

「ここに鈴が2つある。これをオレから昼までに奪い取ることが課題だ。もし昼までにオレから鈴を奪えなかった奴は昼飯抜き!あの丸太に縛りつけた上に目の前でオレが弁当を食うから」

 

そうカカシが言い終えるとサスケからお腹の音が鳴る。カカシの言う通りに律儀に朝飯を抜いてきたのだろう。対照的に朝食を食べてきたナルトとサクラはけろりとしている。

 

「もしかして、二人とも飯食べてきたのか?」

「姉ちゃんの作ったご飯を無駄には出来ないってばよ!」

「食べてきてはダメとは言われませんでしたから。それに初日に三時間も遅刻した挙げ句黒猫が横切ったからなどとふざけた言い訳をする人間なら、今日も遅刻してくるものだと思ってました」

「あはは、そう怒るなって」

 

カカシはこの子は正論で人を追い詰める子だなぁと思いつつ、改善するとは言わずに笑って誤魔化す。

そして、これ以上この話を掘り下げるのは部が悪いとでも思ったのか、試験の説明に戻る。

 

「鈴は一人1つずつでいいぞ。2つしかないから…必然的に一人丸太行きになる…で!鈴を取れない奴は任務失敗ってことで失格だ!つまりこの中で最低でも一人は学校へ戻ってもらうことになるわけだ…」

 

カカシは鈴をチリンと鳴らす。

 

「手裏剣も使っていいぞ。オレを殺すつもりで来ないと取れないからな」

「分かりました。では、殺すつもりでいきます」

「ああ、全力で殺しにいくぜ」

「やってやるってばよ!」

「あ、うん…………やる気になってくれたのは嬉しいけどさ………」

 

今まで担当してきた下忍候補生は殺す気で来いと言うと大抵躊躇いを見せた。対して、この三人の躊躇の無さは一体……。それは三人が全員上忍の実力を知っているからである。例え殺す気で掛かったとしても鈴を奪えるかすら分からない。それほどの実力差だと正確に理解していたからだ。

特にサスケは天才うちはイタチの背を追い、見続けたお陰で、本物の実力者と言うものを三人の中で一番よく理解している。だから、冷めている。自分を凡人と考え、冷静に今の自分を冷めた目で分析し、現状の立ち位置よりも少し下に自分を見る。そういう人間は大きな失敗をしない。この世界のサスケは、原作サスケのように、「俺は他の二人とは違う!俺なら出来る!」などと自惚れたりはしないのだ。

 

(ちっ、悔しいが独力で鈴を取るのはまず無理だな。だが、鈴は二つしかない。ナルトと一緒に鈴を奪いに行くか?)

 

 

一方のサクラはたぐいまれなる頭脳によりこの試験を分析していた。

(参ったわね。冷静に考えて三人の中で一番実力がないのは私。つまり、仮に鈴を奪えたとしても丸太に行くのは私になるわけだ。この試験の意図がチームプレーを見るためにあるのか、下忍に相応しい実力を見るためにあるのかはまだ分からない。しかし、普通に考えてアカデミー卒業したばかりの生徒が上忍から鈴を奪うなんて不可能だ。鈴だと思うからなんだか出来そうに感じてしまうが、これが鈴ではなく極秘書類の巻物と考えれば絶対に奪えないと分かるだろう。下忍が頑張った程度で書類を奪われる程度ならそもそも上忍になれていないだろう。だが、もちろん、カカシが手加減をして、わざと奪えるくらいの実力に抑える可能性もある。チームプレーと言うのはあくまでサクラの希望的な観測だ。しかし、本意がどちらにせよ、サクラにとってはチームプレーを見るための試験とナルトとサスケに思い込ませる方が都合がよいのだ。)

サクラは二人を丸め込むべく探しに向かうのだった。

 

最後の第七班であるナルトもこの試験の難しさを理解していた。

(カカシ先生はシズネねえちゃんより強いってきいたし、一人じゃ絶対鈴奪えねえってばよ。でも、鈴は二つしかないし、どうすりゃいいんだってばよ!)

ナルトは自分の頭があまり良くないかとを知っている。そのため、分からないことは人に聞くことに躊躇いはない。こんな状況でもだ。

(取り敢えずサクラちゃんやサスケと合流して作戦会議だってばよ!)

 

三人は奇跡的に同時刻にかち合った。そして、サクラちゃんの理論武装した説得により、この試験がチームプレーを見るもので、協力して鈴を奪うと言う方針に決まる。問題はその方法だが、

「どうする?俺は火遁の術を幾つか使えるがカカシ相手には目眩まし程度にしかならないだろう」

「私も上忍相手に使えるような忍術は無いわ。幾つか幻術とかチャクラ消費の少ない術は使えるけど幻術なんてかかってくれないだろうし……。ナルトのあの分身を爆発させる技はどう?」

「口寄せの術もな」

「どっちもカカシ先生知ってるから警戒されてると思うってばよ。ま、でも、俺には他にも奥の手くらいあるってばよ」

「ほんとか!」

「どんな手なの?」

「それは……ごにょごにょ」

「なるほど、それは使えるわね。こう言う作戦はどうかしら?」

 

 

 

「なあに?結局、ナルト一人で来たわけ?」

 

カカシはナルト達が協力していることは知っていたが敢えて気付かない振りをしておく。その行為に特に意味はない。

 

「へへん!お前なんて俺一人でじゅーぶんだってばよ!あの田中なんちゃらって奴と同じ目に遭わせてやるってばよ!」

 

指をビシッとカカシに突き刺し、堂々と見栄を張る。忍者としてはアホっぽすぎるが囮としては中々に優秀だ。もっともカカシに知られてなければの話だが

 

「俺もお前の特別試験は見たよ。確かに下忍にしちゃ大した実力だったな…けど、ま、出る杭は打たれるって言うしね…俺をあの中忍と同じだと思ってると痛い目見るよ─────それと、一応忠告しておくが、俺に同じ術は通用しない…同じ戦術もな」

 

ニコッと笑うカカシ。特に戦闘のモーションは取っていないのだが、カカシの体から圧のようなものが吹き出す。様子を隠れて見ていたサスケとサクラはゴクリと息を飲んだ。

 

「マジで勝てる気がしねえぜ」

「でも、下忍になるにはやるしかないわよ」

「ああ、分かってる。俺達は予定の場所で待機だ。武運を祈るぜ、サクラ」

「サスケもね」

 

 

カカシの圧を真っ正面から受けたナルトは若干顔色を悪くさせていた。

 

「はん!同じ術は通用しないって?んなものやってみねーと分かんねーってばよ!多重影分身の術」

 

数十体のナルトが現れる。

 

「からのアルティメット変化!」

 

分身ナルトがそれぞれ裸の美女にアルティメット変化する。

ある者は綱手に、ある者はシズネに、ある者は夕日紅に、ある者は山中いのに、ある者は春野サクラに、またある者はアカデミーの女教師に、ナルトが木の葉で出会ってきた数多の美女に変化する。その数ざっと50体。貧乳から巨乳、ロリから熟女までよりどりみどりである。

 

ちなみにアルティメット変化とは見た目だけではなく重量や質感、香りまで再現するナルトのオリジナル上級忍術で、完成度はハリポタのポリジュース薬クラス。例え、直接触れても見破るのは至難の技だ。

 

「これが三代目火影すら倒した俺の新エロ忍術!アルティメットハーレムの術だってばよ!」

 

カカシはイチャイチャパラダイスを読み返そうと腰に手を向け掛けかけていたが、突然の全裸の美女軍団にピタリと動きを止める。そして、マジマジと変化ナルトを観察した後、

 

「え。と、色々聞きたいことはあるけど…その術で三代目を倒したって本当なの?」

「そうだってばよ!これを見たじいちゃんとエビス先生は鼻血を出して卒倒したってばよ!…カカシ先生も鼻血を出して卒倒するってばよ!」

「……」

「出してないってばよ!」

 

ナルトは驚愕する。男に対して絶対の力を有すると思っていたこの術はカカシには効かなかった。

 

「もしかしてカカシ先生 ホ」

「俺は普通に女が好きだぞ。だが、ま、忍ってのは如何なる状況でも敵から目を逸らさないものだ。例え、相手が全裸の美女集団だったとしても、それを静かに観察するのが真の忍者って生き物なのさ。残念たったな、ナルト。その術は真の忍である俺には効かない───あ、ちなみに、俺は貧乳も好きだが、巨乳派だ」

 

カカシは余裕の表情で、自己紹介では教えてくれなかった自分の好みすら伝えてきた。余裕。余裕である。

 

 

サクラ&サスケside

(あれがアルティメット変化…話には聞いてたけど本当に質感も重量も変わってるのかしら?知りたい!知りたいわ!)

 

春野サクラは自分の全裸が勝手に使われたことは気にせず、恍惚の表情を浮かべながら、未知なる忍術に欲情を示していた。全くこの班にはろくな奴がいない。

常にエロ本を肌身離さず持つカカシに、野外で全裸の女に変化するナルト、欲情するほどの知識欲を見せるサクラ。唯一まともな感性を持つのはサスケだが、彼は現在ナルトの術にやられて、鼻血を出していた。

 

(く、ナルトの奴、よりによってサクラに変化しやがって!ついさっきまで話してた相手だぞ!あいつには羞恥心ってものがないのか!く、とても直視出来ねえ)

 

 

 

カカシside

 

カカシは迫りくる全裸の美女集団を前に手裏剣を抜き、投げる。

このまま押し潰されたいとも思うが自爆する可能性のある奴を近づかせるわけにはいかない。

 

「いくら美女でも爆破するような奴はお断りだよ。手裏剣分身の術」

 

無数に飛来する手裏剣に、前列のナルト達が「うぎゃー!」と殺られる。(酷い光景だ。)後列のナルト達は手裏剣に殺られるくらいならとでも思ったのかその場で自爆し始めた。しかし、カカシとの間には距離がありすぎたため、それは本当に只の自爆である。

 

「何がやりたいんだ、お前は」

 

カカシは呆れ気味に砂煙の先を見る。無論ナルトも意味もなく自爆したわけではない。ナルトは砂煙の中で二代目火影が考案したと言う卑劣忍術の印を組み上げた。

 

(忍法 毒霧!)

 

忍法 毒霧。

この術は体内のチャクラを特殊な化学物質に変化させ、口から吐き出す忍術。この時作り出される物質は空気に触れることで瞬時に猛毒へと変化し、少しでも吸った者に致命傷を与える。そのため、単体でも充分強力な忍術だが、この術の真価は煙玉と併用することで、相手の油断を誘い罠にはめるトラップ忍術として使うことにある。例えば敵から逃走する際、煙玉で目隠しをして、毒霧を散布する。ただの煙幕と油断して調子に乗って追いかけてきた相手は瞬時に猛毒に侵され天に召される。仮に気づかれたとしても逃げる時間を稼げる。まさに、両天秤を掛ける布陣である。

 

もっとも、ナルトは頭が残念なのと使用時の危険性から麻痺毒オンリーしか使えない。だから、この煙玉に扮した黄色い霧を吸っても死ぬことはない。ただし、二代目特製の──綱手に引き継がれ、更に研鑽が積まれた──かなり強力な麻痺毒なので、予め解毒剤を服用していたサスケやサクラやナルトは吸っても問題ないが、カカシが吸えばその時点でゲームセットとなるだろう。

 

しかし、カカシはナルトの互乗起爆札を知っていたので迂闊に煙に突っ込むようなことはしなかった。慎重に煙の奥を観察する。そして、見つける!異変を!

 

(────あれは!? 煙に触れた虫が倒れていく!? まずい? 毒か!?)

 

(───カカシ先生やっぱり入ってきてくれないってばよ。なら、風遁で毒霧をぶつけてやるってばよ!)

 

カカシの驚愕とほぼ同時にナルトは風遁を練り込む。

直後、やや遅れて、カカシは胸の奥にチャクラを練り上げ、高速で印を結ぶ。もともと使うつもりだったナルトと突然使わされることになったカカシ。術の初動はナルトの方が数秒早かった。しかし、術のスピードと言うのは印スピードとチャクラを練るスピードで決まり、この二つは断然カカシの方が速い。結果、カカシの風遁とナルトの風遁はほぼ同時に完成した。

カカシとナルトが祈るように手を合わせると両者の口から強力な突風が吹き荒れる。

 

「風遁 大突破!」

「風遁 大突破ァ!」

 

奇しくも二人が選んだ術は同じだった。

毒霧を巻き込み、風遁と風遁がぶつかり合う。数瞬の拮抗。しかし、一方が他方を押し込む形で拮抗が崩れる。勝ったのはカカシだ。毒霧はナルトの方へと押し込まれ、ナルトは「うわああっ!」と悲鳴を上げ吹き飛ぶ。

 

「ちっ」

「流石ですね」

 

それを見て、舌打ちをするサスケ、素直に感心するサクラ。

砂煙が掃け、カカシは目を回すナルトとピクリとも動かない動物を見て冷や汗を流した。

 

「いやー、あれを食らってたらヤバかったね。煙幕に隠れて毒を散布するなんて性格に似合わず随分卑劣なこと考えるじゃないの。でも、ま、俺もそう甘くはないのよ」

「目が、回るってばよ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と、まあ、これがもしナルトが一人で戦っていたら起こっただろう状況である。折角の卑劣忍術もナルト一人では此処が限界だったのだ。しかし、今回作戦を考えたのは「全ての術を解き明かす」と危険な夢を持つ春野サクラだ。彼女が考えた作戦がこの程度で終わるはずがない。カカシはこの先マジで死にそうになるのだった。

 

 

replay

 

「風遁 大突破!」

「風遁 大突破ァ!」

 

奇しくも二人が選んだ術は同じだった。

毒霧を巻き込み、風遁と風遁がぶつかり合う。数瞬の拮抗。カカシは長年の経験からこの競り合いは勝つと言う確信を持つ。しかし、直後、ゾワリと背中に悪寒が流れる。その悪寒は直ぐ様現実となった。

 

「火遁 豪火球の術!」

(サスケか!)

 

サスケの口から人を飲み込める程の大きさの火の球が出る。その火球は普段なら問題にならない程度の大きさだったが、現在カカシとナルトは風遁を使っている。そして、風遁は火遁を更に大きくする性質がある。つまるところ、これは──

 

「うおっ!ぬおおおっ!」

「ナルトはお前に風遁を使わせるための囮だ!焼け死ねカカシ!」

 

鈴を取ると言う本来の目的を覚えているのか疑いたくなる言葉である。しかし、疑問を口に出してる余裕はない。

サスケの作り出した火球はカカシとナルトの使った風遁の力を吸い上げ、炎の魔神のように大きくなり、辺り一面に大爆炎を作り上げる。空気が歪むほどの熱量にカカシは久しく感じたことのなかった死を予感する。

 

直後、カカシとナルトはオレンジ色の大炎の中に消えて跡形もなくなくなるのだった。

 

 

 

 

カカシは迫りくる業火の直前、風遁を切り上げ、土遁で土の中に潜ることで、死を回避していた。

カカシの本当に優れている点は攻撃力でもスピードでもなく手札の多さ。五大属性全てを扱え、1000以上の術を持つカカシは如何なる状況にも対応できる。

 

(ふぅ…危なかった…が危機は取り敢えず去ったな…さて、今度はこっちの番だ…勝利を確信したときほど注意しなければならないって事をあいつらに教えてやろう…ますばサスケだ)

 

カカシは火遁で燃やされた毛先を撫でながらサスケの足元へと向かう。しかし、またもや悪寒が背中に流れる。

 

なんだ?今度は一体──

 

「───上にも後ろにも横にもいないってことは下ァ!」

「へ?」

 

サクラが右手にチャクラを集中させ地面を殴る。地面が真っ二つに割れ、割れた地面から冷や汗を流したカカシが顔を出した。

 

「あ、相変わらず凄い怪力だね」

「あー!いたってばよ!カカシ先生!」

「ちっ、土遁まで使えるのか」

「三人とも強いねえ。先生、驚いちゃったよ。油断してると本当に鈴取られそうだし、此処からはちょっと本気だしちゃうよ」

「けろっとしやがって」

「あ、今から外出るからちょっと待ってね」

「誰が待つかってばよ!地面に埋まってる今がチャーンス!だってばよ!」

「待て!ナルト!迂闊に近づくな!そいつは」

「うらああ!一生土の中でカッコつけてろってばよお!」

 

ナルトのパンチがカカシの顔面に炸裂する直前、土が変化してナルトを縛り上げる。

 

「ち、バカが!油断しやがって!土遁が使えるって言っただろうが」

 

サスケはナルトを助けるべく駆ける。しかし、土の中から現れたカカシの手に足首を捕まれる。

 

「そう、油断大敵だよ。土遁 心中斬首の術」

 

サスケを掴み土の中へと引きずり込んだカカシはゆっくりと土から出てきた。そして、サスケの頭に足を乗せる。

 

「いやー、足を乗せるのに丁度良い高さだね、お前の頭」

「くそが!」

「さて、最後はお前だサクラ」

 

 

結果的に言って鈴は奪えなかった。しかし、サクラの予想した通りチームプレーを見るテストだったらしく、ナルト達三人は無事下忍になることができたのだった。

 

 




卑劣な術は大抵扉間が作った…と作者は考えています。
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