ナルトが綱手に引き取られる話   作:tanaka

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閑話 下忍生活

 

ナルト、サクラ、サスケが下忍になってから一ヶ月が経った。その間特に大きな事件もなく、何事もない日常が続いている。任務の失敗経験もなく、依頼者からの評判も上々で、良い滑り出しを切っていると言える。しかし、物足りなさを感じるのも事実。サスケもナルトもサクラも優秀な忍であり、そうじゃなくてもDランク任務など忍者じゃなくても出来る簡単な仕事が大半だ。猫探しとか畑を耕すとか老人介護とか、依頼する相手間違えてんじゃねーの、と思う依頼しかない。

せっかく下忍になったというのにアカデミーの頃より忍者らしいことをしていない気がする。加えて担当上忍であるカカシは毎度の事数時間遅れてくるし、指導らしい指導をしてくれたことがない。ナルト達にとっては大きく不満である。が、皮肉なことにこのカカシの遅刻癖は三人の仲を深めるのに役立っていた。

いくらカカシが遅刻してくると分かっていても、任務があるので集合時間に集まらないわけにはいかない。しかし、やはりカカシは来ずに数時間三人で待つ嵌めになる。それが何日も続けば嫌がおうにも仲は深まると言うもの。最近はカカシを持つ数時間の間に連携の修行をしたり、忍術を教えあったりして時間を潰している。上司があれだと部下は成長すると言うやつだ。そこまで考えての遅刻なら流石カカシと言える。

さらに、余りにも忍者らしいことをしていないので、ちょっと焦りを感じ、任務の無い休日もたまに集まって修行をしたりしている。そう言う時はナルトの家族である綱手やシズネ、サスケの兄であるイタチなどが修行を見てくれる。三人とも忙しい人なので毎度毎度とまではいかないが、彼等の指導のお陰で三人のレベルは順調に上がっていた。

 

 

 

第三演習場

今日は仕事のない休日だったが、サスケ達三人は修行をするため、第三演習場までやって来ていた。

 

 

その日はイタチも綱手もシズネも仕事が入っていたので、正真正銘三人だけの修行だ。

 

既に木登りの行や、水面歩行の行は三人とも会得済みなので、現在は更なるチャクラコントロールの修行や性質変化の修行をしている。

 

ちなみに、ナルトは影分身を使って修行しているので、ナルトの異常な成長速度の理由は、サクラもサスケも知っていた。現在も数十体の影分身を出して、木の葉を使い風の性質変化の修行をしている。

 

「ホントに羨ましい体してるわね」

「 全くだ。俺にお前の半分でもチャクラがあれば」

 

ナルトの怪物じみたチャクラ量を間近で見て来たサクラとサスケは、より効率的なチャクラの運用により、少ないチャクラで成果を出す戦闘方法へと将来の方向性を決めていた。

そのために、現在はチャクラコントロールに研きを掛けるために激しく揺れる水面(自家発電:水中で分身ナルトの一部が風遁の練習をしている。ナルトの上達に比例して、日に日に揺れが強くなるので正に打ってつけの装置。)の上で立ったまま、人体解剖図鑑なる本を読んだり、少ないチャクラで扱える手裏剣影分身や土遁を訓練したり、体術の訓練をしたりしている。

そのため、彼等は驚くべきスピードで成長しているのだが、それ以上の倍速で成長する仲間がいるので、あまり成長している実感が湧かずにいた。

 

「これじゃあダメだ。もっと革新的な修行法や術を修得しないと」

「そうね。でも、そう都合よく見つからないわよ。サスケはうちはの蔵書があるからまだいいじゃない」

「いや、俺もまだ下忍って理由で、蔵書の殆どは閲覧制限が掛かってる。言うほど見れる訳じゃねえんだ」

「そうなの。うちはも世知辛いわね」

「全くだ」

「「はぁ」」

 

二人揃って溜め息を吐く。その様子を見ていたナルトは記憶に引っ掛かる何かを引っ張り出すようにうんうんと唸った後、ポンッと手を叩く。

 

「あ!そう言えば、この前、家の倉庫に千手一族の蔵書が大量に置いてあるのを見つけたんだってばよ。何なら見に来るかってばよ」

 

明け透けなナルトの言葉に二人は興味をそそられる。とは言え、常識人たるサスケは他家の蔵書を勝手に盗み見るのは及び腰だ。

 

「それは気になるが、千手一族じゃない俺達が見て良いのか?」

「良いと思うってばよ。もう千手一族って母ちゃんしかいないし、誰も怒らねえってばよ」

「そう言う問題じゃないと思うが」

「そこまで気にしなくて良いんじゃない?私達は千手の蔵書とは知らずに読んでしまうだけなんだから」

「…サクラ…おまえ…」

「さっさっ、早く行くわよ」

 

知識欲の忠実なる僕たるサクラは提案を聞いた途端に支度を始め、軽やかなる足取りでナルトの家へと向かった。

三人とも昼食中だったのだが、昼飯の間も惜しいと言うことか。昼食を中断して準備をし出すサクラに、ナルトは弁当をかきこみ、サスケは後で食えば良いかと袋に仕舞い、後を追った。

 

 

(それにしてもサクラの奴……禁書を見せるとか言ったら、入浴中でもお構い無しに出てきそうだな)

 

否定出来ないヤバい未来を想像してしまいサスケは深い溜め息を吐くのだった。

 

 

 

 

 

 

倉庫の中には実に沢山の本があった。その中には『初代火影のポエム集』や『マダラとの文通』や『扉間日記』などどうでもいい本も多分に含まれていたが、中には修行に役立つ書物も含まれており、その中でも飛びきりヤバい本を知識欲の下僕たるサクラが見つけてしまったのは正に運命の悪戯と言えよう。

もっともナルトはナルトでとんでもない本を見つけてしまったのだが。

 

『”うちは”という病 著 千手扉間』

『闇に囚われし一族うちは 著 千手扉間』

 

「…………………。」

 

ナルトは反射的に懐に二つの本を隠した。正直内容は気になって仕方がないが、流石にサスケがいる前で読むことは出来ない。なんせ、題名にそこはかと無い悪意を感じる。扉間自身は悪意を持って付けたわけではないかもしれないが、かと言って、うちは一族の前で広げられる題名ではなかった。

 

(と、取り敢えず、これは後で見よう。たぶん、俺一人じゃ理解できないからサクラちゃんと一緒に)

 

本を隠したのをサスケが気付いていないのを確認した後、ナルトはそろーっとサクラちゃんの方を見る。サクラちゃんに上手く合図を送り、サスケに気付かれず残ってもらおうと思って。

しかし、当のサクラちゃんは、顔を赤らめ興奮させながら、恍惚の表情で、手帳のような黒い本を掲げていた。その姿は神仏を崇め奉っているようであり、ハッキリ言ってヤバかった。

 

(な、何やってんだってばよ、サクラちゃん)

 

サクラが手にしたのは、後世に『扉間スケッチ』と呼ばれる本だ。それは開発の天才千手扉間が開発した──開発段階で頓挫した忍術を含む──オリジナル忍術が書き殴られている本であった。

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