ナルトが綱手に引き取られる話 作:tanaka
7/1 中忍選抜試験当日
ナルトの家
「んじゃ行ってくるってばよ!姉ちゃん!母ちゃんにも伝えといてくれってばよ!」
「綱手様は夜勤でしたからね…ところで、志願書は持ちましたか?」
「忘れてたってばよー!ど、どこだったっけー?!」
「はい。志願書」
「サンキューだってばよ!姉ちゃん!」
「怪我しないように気を付けてくださいね」
「おう!ババっと合格してくるから楽しみに待っててくれってばよ!」
ナルトは慌ただしく家を出た。
うちは家
「行ってきます!父さん母さん兄さん」
「頑張るのよサスケ」
「応援してるぞ」
ミコトとイタチが柔らかい笑顔でサスケを見送る。フガクは何時もの厳格な表情で告げる。
「俺は何も心配していない。気負い過ぎず何時も通りにやってこい」
「は、はい!」
サスケは背をピンっと伸ばし、敬礼せんばかりの硬い返事をして家を出た。
「あなた、あまりサスケを緊張させちゃダメよ」
「む?そんなつもりはなかったんだがな」
「気持ちは伝わってると思うよ父さん」
「ふふ、そうね」
「………俺の顔はそんなに怖いか」
ミコトとイタチはふっと目を逸らした。
春野家
「送迎は要らないわよ」
「ですが、お嬢様今日は大切な試験が」
「いいって直ぐそこなんだから!てか、試験会場に馬車で行くとか何の罰ゲームよ!絶対嫌だから!あ、もちろん付いてくるのも無しだからね!変に注目されたくないし!」
「しかし───」
「しかしもカカシもないのよ」
サクラはメイドと執事を言いくるめて逃げるように家を出た。付いてこられたら堪らない。アカデミーの入学式で充分懲りてるのである。あんな恥ずかしい思いは二度とごめんだ。
「あ…ナルト、サスケ、早いわね!おはよう!」
「おはようだってばよ!サクラちゃん!」
「サクラか…これで全員志願書を持ってきたってことか…」
三人は一緒に並んでアカデミーへと向かう。道中サクラはナルトに志願書の記入漏れを注意しながら歩く。
「ついたってばよ!」
アカデミーには既に志願者が大勢集まっていた。しかも、なにやら騒ぎが起こっている。
「何かあったのか?」
サスケが見ると志願書を提出する301教室の入り口に、2人の忍者が立ちはだかって、通行を邪魔しているようだった。
「ふ〜〜〜〜〜ん そんなんで中忍試験受けよっての? やめた方がいいんじゃない ボクたちィ ケツの青いガキなんだからよォ…」
リーを吹き飛ばし、通して欲しいと頼むテンテンまで蹴り飛ばした二人の妨害者は計算し尽くされたようなムカつく表情と声音で受験者を煽る。
「中忍試験は難関。俺達も3期連続で合格を逃している。
受験したばっかりに、忍者をやめる者や再起不能になった者もいる。
それに中忍は部隊の隊長レベル。任務の失敗や部下の死亡などすべては隊長の責任になる。
どのみち受からないものをここで篩(ふるい)にかけて何が悪い」
一見正論にも聞こえるがその実無茶苦茶な事を言っている。一受験者に篩に掛ける権限などあるはずがない。…もっとも、彼等は受験者ではなく受験者に変化した試験官なので資格があるちゃあるんだが…
そんな事を知るはずもないナルト達は思わぬ邪魔に面倒臭そうに眉を寄せてた。
「ねえ、どうする?ナルト、サスケ」
サクラは二人にこそこそと話し掛ける。
「どうするって…スゲェ殴りたい顔だってばよ」
ナルトもこそこそと検討外れな答えをする。
「…いや、そう言うことじゃなくて…サスケは分かってると思うけど…幻術よ」
「そうだな。ここは二階だ」
「ん?二回…ん?」
「三階じゃなくて、な」
「あぁ…二階…!ていやいや…も…もちろん初めから分かってたってばよ!」
サクラはナルトを無視して話を進めた。「無視すんなってばよ!」と悲しい叫びも聞こえたがそれも無視される。
「あまり目立ちたくはないけど…私…時間の無駄って嫌いなのよね…」
そう言うとサクラはおもむろに邪魔者の前に歩いていく。
「私達が用があるのは三階なので、この幻術でできた結界を解いてもらえませんか?ここは二階ですよね」
志願者達はサクラの言っている意味がわからず何言ってんだあいつ、と言うような顔をしている。
妨害している2人は、サクラに見破られたことに気がつき、ニヤリと笑う。
「ほぉ…気付いたか…他の有象無象とは違うようだ…だが…気付いただけではな…」
そう言って殴り掛かる。
サクラもリーやテンテンが殴られていたのでこの展開は予想していたが、予想外の乱入者が現れビックリする。その男…ロック・リーは試験官の正拳を腕でガードし、サクラに向けてナイスガイな笑みを浮かべる。
「サクラさん!昨日ぶりですね!改めて、自己紹介させてください!僕の名前はロック・リー…一目惚れしました!僕とお付き合いしましょう!!死ぬまで貴方を守りますから!!」
それはあまりにも堂々として、男らしく、輝くような笑みであり、思わず試験官も出していた手を引っ込めた。こいつ何言ってんだと言う視線が突き刺さる。
妙な空気が流れる中でサクラは自分に突き刺さる視線を感じながらバッサリとリーをフッた。
「お断りします」
その一歩引いたかのような態度がいたたまれなかったと後にナルトは語る。
その後、同期との会合があったり、カブトと音忍のいざこざがあったりしたが、つつがなく第一次試験が始まるのだった。