ナルトが綱手に引き取られる話   作:tanaka

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中忍選抜試験7 第二次試験③

 

大蛇丸から逃げきり無事合流したナルト達。奇跡的に一人の負傷者もない。彼我の実力の差を考えれば驚くほどの幸運である。だが、サスケとサクラの消耗は激しく、またそろそろ日が暮れるという事で、巻物の捜索は一端止め、寝る場所を探すことになった。

 

「休憩場所は此処でいいだろう」

 

しばらく歩いた後、サスケは小さな洞窟を見つけて言う。

 

「問題は索敵ね……まだ日が沈むまでに少し時間があるし警戒は必要だわ」

 

「それは俺に任せるってばよ!」

 

サクラの声にナルトがいち早く立候補する。現状元気が有り余ってるのはナルトだけだった。

 

(まさか俺が蛇に飲み込まれてる間にサスケとサクラちゃんが死闘をしていたとは……兎に角今の二人に無理はさせられねぇってばよ!ここは俺が頑張るってばよ!)

 

闘志を燃やすナルト。

その燃え盛る意思に数秒逡巡を見せるサスケ達。

 

「本当に一人で大丈夫…?」

「大丈夫だってばよ!」

 

どこか抜けてるところのあるナルトだけに任せるのはやや不安を拭えないものの、かと言って他に良い方法が思いつくわけでもなく、サスケとサクラは罠を設置した後、壁に背を預けて胡座をかくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

突然だが、忍には幾つかのタイプというものがある。医療タイプ、近接戦闘タイプ、遠距離支援タイプ、索敵タイプ……などだ。そして、現在の第七班はごりごりの近接タイプだった。ぶっちゃけ広範囲を索敵出来る者が一人もいない。

例えば油目一族なら寄壊蟲を飛ばしてかなり遠くまで索敵出来るし、犬塚一族なら持ち前の鼻で敵の接近と実力にいち早く気付ける。日向一族なら言うに及ばない。あれほど索敵に向いた一族もいないだろう。そういう意味では第八班はこの試験を楽に合格出来たと言える。

一方の第七班は、怪力と医療が得意なサクラ、最近体術に傾倒しだしたサスケ、そして、索敵なんてそもそも重用視していないナルト…。しかも、ナルトは実力に反し、かなり不器用である。師匠に恵まれたのと影分身修行のごり押しで普通の下忍より手札は多いものの生来の忍術センスの無さは否めない。それはナルト自身認めるところ。しかし、本来ならそれは問題とならないはずだった。いくらサバイバル試験とは言っても、遠隔索敵能力が無くても試験を合格するくらいは可能だからだ。

しかし、森の中に上忍以上の実力を持つ敵がいるとなれば話は別だ。発見の遅さはそのまま致命的になりかねない。そんなわけでナルトは珍しく頭を悩ませていた。どうやってこの索敵能力の無さを補うか?

そのとき、ナルトの思考が光る。

普段は働かないナルトの脳細胞は必要に駆られると玉に働くことがあるのだ。特に命を懸けた時は普段の汚名を返上するかのごとく働きをみせる。

 

「そーだってばよ!いいこと思い付いたってばよ!」

 

ナルトが考えたのは影分身とカツユの遠隔通信能力を使った索敵。これによりリアルタイムで情報のやり取りが出来るのだ。

 

 

「理屈は分かるが、チャクラは大丈夫なのか?影分身に口寄せの術まで使って…」

 

サスケの心配にナルトは胸を張って答える。

 

「この位なら全然大丈夫だってばよ!」

 

影分身も口寄せもずっと練習してきたのでチャクラコントロールは他の術の比ではなく上手く出来る。

 

「それに口寄せは呼び出すものが小さければ小さいほどチャクラ消費が少ないんだってばよ!ミニカツユなら20匹くらい日が沈むまで出すくらいわけないってばよ!」

「そ、そうか。相変わらず凄いチャクラ量だな」

 

 

 

 

 

翌朝。疲れも取れて体力万全になった三人は巻物を揃えるべく行動を開始する。今回はまず動物に変化させた影分身を放ち偵察をし、敵の位置を把握した上で行く方向を決めた。最終目的地は塔なので塔に向かえば必然的に敵に遭遇できるが、迂闊に行動してまたあの草忍に遭遇しては堪らない。細心の注意を払わねばならなかった。

 

そして、一人の動物に変化した影分身ナルトが敵を見つける。丁度都合の良さそうな相手だ。

男二人女一人のオーソドックスな班構成。木の葉隠れの忍で男二人は川で漁をしている。とは言え釣竿を作って釣りをしているわけではなく、一人がパンツ一丁で川に飛び込み、衝撃で宙を舞った魚をもう一人がクナイを投げて仕留める、と言うダイナミックな漁だ。

そして、最後の一人…くノ一は漁をする仲間の近くの川辺で火を炊き、警戒と飯の準備をしていた。

そこまで確認するとナルトは新たに一つの影分身を作り出し、その内一つを消して本体に経験をフィードバックさせた。

 

 

 

 

「あれが今回のターゲットか」

 

ナルトの先導でやって来たサスケ、サクラは現在草影に隠れて様子を伺っていた。

眼前、焚き火を囲うように座る三人の敵は焼き魚を頬張っている。此方に気付いているようには見えない。しかし、当然警戒はしているだろう。罠だって仕掛けてあるかもしれない。気付いていて気付かないふりをしている可能性もある。

 

「さて…どうするか…」

 

取れる手段は二つ。奇襲か、無駄な戦いをしないために巻物を確認した上で戦うか。

たぶん…普通によーいどん!で戦っても勝てるとは思う。だから、確認してから戦っても良いんだが、油断は禁物だ。やはり奇襲のアドバンテージを取るべきか

 

「俺は奇襲するのが良いと思うが…サクラとナルトはどう思う?」

「時間も勿体無いし普通に奪えば良いと思うってばよ…!また草忍に襲われるのも面倒だってばよ…!油断してる今がチャンスだってばよ!」

 

ナルトは当然のように奇襲を選択。実際、ナルトの言葉も一理ある。聞いたとして本当のことを教えてくれる保証は何処にも無いし、ちんたらしてたらあのくノ一に遭遇しかねない。それに、実際ナルト一人でもどうにか出来そうな相手である。

サスケはちらっとサクラを見る。サクラは二三秒沈黙し思考していた。

 

(……正直そこまで強そうじゃないし私もこのまま奇襲で良いいと思うけど…ただ今はサバイバル試験中…何の備えもなく呑気に飯を食う奴なんているわけがない…確実に罠があると考えるべきね…問題は…罠の有り無しじゃなく、どんな罠かってこと…ただ敵の接近を鈴の音で知らせたり、簡単な起爆札トラップ程度なら警戒してたら問題ないけど…起爆札とクナイ付きの落とし穴を掘られてたりとか、劇薬を隠し持っいてたりとか、それをそうと分からないように隠し持っている可能性も充分にありうるわ…)

 

サクラは口に手を当て思考を整理する。

 

「私も奇襲に賛成よ…ただ罠がある可能性が高いから囮役としてナルトの影分身を先行させることを提案するわ…」

 

…影分身とは元々危険な敵地への偵察用の忍術だ。囮役としてこれ以上ないほど優秀なのである。

 

「私達は罠を確認ししだい突入…出来れば敵の意識を掻い潜り第二の奇襲を掛けるのよ」

「…ふむ、悪くない手だ…ナルトはそれでいいか?」

「まかせろってばよ!」

「じゃあ、行くぞ!散!」

 

 

 

 

 

 

「多重影分身の術!!」

 

囮として勢いよく木から飛び出したナルトは十字に指をきり、空中で影分身を行う。

瞬間、大量のナルトが魚を食べていた下忍達の頭上に現れ降り落ちてくる。

いきなり空が暗くなった下忍達は頭上を見てそこに理不尽の権化を見た。

 

「…は?」

 

黄色い…黄色いとしか言い様の無い大量のナルト。

 

「え…?」

 

それが凄い勢いで頭上に落下している。

 

「うわあああああ!?」

「ぎゃあああああ!」

「きゃあああああ!」

 

中忍すら飲み込んだ物量は下忍にどうこう出来る筈もない。無数の…それも、殴り掛かってくるナルトに飲み込まれた下忍達は成す術なく気絶するしかなかった。

 

 

 

 

 

 

「なんか初擊で終わっちゃったってばよ」

「作戦…必要なかったな」

「ナルト…あんたチャクラの温存くらい考えなさいよ」

「それはともかく巻物を探すってばよ」

 

ナルトの号令の元、第七班が手分けして巻物の捜索が始まる。

 

「俺はあの鶏冠頭の兄ちゃんを探すってばよ!」

「じゃあ私はあっちのくノ一を探すわ」

「じゃあ、俺はこのおかっぱくんを探す」

 

三者三様にターゲットを決め、それぞれがそれぞれの方法で捜索を始める。

 

ゴソゴソ

 

ガソゴソ

 

ゴソゴソ

 

巻物はわりと直ぐに見つかった。

 

「お……!あったってばよ!」

「地の書か……ラッキーだな」

「これで後は塔に向かうだけね」

 

この後も影分身を使って慎重に行動した結果、ナルト達は特に音忍に襲われるとか言う事態もなく、何事もなく無事塔に辿り着くのだった。

 

 

【第七班 第二次試験合格 所要時間20時間12分】

 

【三組目の合格】

 

 

 

 

 

ドス・キヌタ、ザク・アブミ、キン・ツチの音忍三人は大蛇丸からサスケを殺す指令を受けていた。そのため、巻物を二種類揃えた後もサスケを見つけるため森の中を走り回っていたのだが…これが中々見つからない。もうかれこれ三日間くらい探してるいるが影も形も見えない。

 

「…いないわね」

「そうですね」

「なぁ、もう合格しちまったんじゃねえか…」

 

ザクがドスに言う。

その可能性はドスも考えていた。しかし、大蛇丸様の命令は絶対。現場の判断で勝手に止めるのは不味いだろう。たとえ、恐らくそうだと思っていたとしても……

 

「………いえ、もう少し粘りましょう…もしかしたら入れ違いになっているのかもしれませんから…」

 

不本意ながらこの班の纏め役のようなものを押し付けられたドスはこう言うしかない。

 

「「はぁ」」

 

ザクとキンはやれやれとでも、言う風に首を振った。その反応大変に不本意である。

 

三人は疲れたように溜め息を吐き、時間一杯まで死の森の中を歩き回るのだった。

 

【音忍三人組 第二次試験合格 所要時間115時間32分】





第二次試験終了!


「勝因は緻密な情報収集と堅実な判断力だってばよ!」

得意気だった。
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