ナルトが綱手に引き取られる話 作:tanaka
赤胴ヨロイとサスケの試合はうちはの力を見せつけるように、あっさりとサスケの勝利で終わった。
それに大蛇丸が興奮していたこと以外は何事もなく進み、続く第二回戦ザク・アブミ vs アブラメ・シノ、第三回戦剣ミスミ vs カンクロウはシノとカンクロウが自身の強みを見せることで順当に勝ち上がる。
波乱が起きたのは第四回戦だ。ここでは春野サクラ vs 山中いのの木の葉のくノ一同士の戦いが起こった。戦い自体は一方的にと言うかほぼ一瞬で、サクラの怪力を見たいのが降参する形で幕を閉じた。ついでにフィールドが破壊され、その余波で地震並みの揺れが二階の観覧場所にまで響き、サスケとナルトがキスをすると言う事態になったが…
いや、本当になんでこうなったんだ?お互いに近くにいたのが不運としか言い様がない。あとほんの少しでも何かがズレていればこの事態を免れただろう。それ故に余計に哀れでならない。
もう少し具体的に説明すると、まずサクラのパンチにより揺れが起こり、チョウジが手に持っていたポテチが落下、それを拾おうと普段の遅さが信じられないくらいの俊敏さを見せ、チョウジが動き、ポテチをゲット、その時チョウジのマフラーが遠心力でブオンと動きナルトの背中を強打、ナルトはサクラの試合に集中していたのが災いして、悲鳴を上げて前に倒れる。スローモーションに見える視界の中、ナルトの悲鳴を聞いたサスケが横を向き…
「うううげえええええええ!!」
「お!おえええええ!!」
「く、口が腐るってばよおおおお!何してくれてんだお前えええ!」
「こっちの台詞だああ!何しやがんだてめええええ!おえええええ!!」
口と口が見事に重なり盛大なキスをした、と言うわけだ。
サスケとナルトは暫くの間青い顔でお互いを罵り合っていたが、ふとナルトは自分が押された事を思い出し、周囲を睨む。
「つーか、今俺の背中押した奴誰だってばよ!絶対ェ許さねえってばよ!」
さっと皆目を逸らすがカカシがあっさりバラした。
「それはチョウジくんだ」
「てめえかああああああああ!!!チョウジイイイイ!!どう責任を取ってくれるんだってばよおおおお!!俺の初キスがあああおえええええ!!思い出させんじゃねえってばよ!!」
チョウジはポテチを死守したが、その代償は大きかった。主にナルトとサスケと言う意味で。
と、まあ、そんな事故はあったものの、試験は関係なく進み、試験場の修復の為の休憩を挟んだ後の第五回戦…テンテン vs テマリはテマリが風遁でテンテンの武器術を完璧に封殺し勝利。続く第六回戦奈良シカマル vs キン・ツチではシカマルが詰将棋のような頭脳戦でキンを破った。
そして、ついにナルトの出番が回ってきた。
【うずまきナルト vs 犬塚キバ】
電光掲示板に映し出された名前にキバが悪態を吐く。
「ち、ナルトかよ…ついてねえ」
「勝機があるとすれば速攻だ…なぜなら、ナルトに反撃の機会を与えれば物量で押し潰されるからだ」
「んなこと分かってるっての!でも、あいつスゲータフなんだぜ?倒すにしたって一筋縄じゃいかねーよ!」
ナルトと良く遊ぶ事のあるキバはナルトが相当タフであることを知っている。たぶん、木の葉の下忍の中で一番のスタミナを持っているんじゃないだろうか。その癖反撃の手を与えれば物量で押されると言う理不尽…なんだコイツは!どうやって勝てって言うんだ!物量があるならせめてスタミナくらい無くせ!
「ま、順当にいけばナルトだろうな」
「だよね、ナルトって中忍にも勝ってたし」
ナルトのアカデミー卒業試験を見ていた木の葉の連中は概ねナルトの勝利を疑っていない。
一方の砂と音の評価は微妙だ。
「次はあの変態か」
「原因作った俺が言うのもなんだけど流石にその評価は酷いじゃん」
「…出てきたか」
「あ、サスケとキスしてた奴だ」
「あまり強そうには見えませんが…さて、実力のほどはどうなんでしょうか」
一方の大蛇丸はクイッと眉を上げる。綱手と自来也に育てられたと言う事実が僅かながら興味を引いた。
(サスケくんは期待通りの物を見せてくれたけど…果たしてキミはどうかしら…ナルトくん?)
「では…両名は降りてきてください」
「んじゃ、行ってくるってばよ!サクラちゃん、サスケ、カカシ先生」
「頑張りなさいよ!ナルト!」
「ヘマ打つなよ」
「ま、ナルトなら大丈夫でしょ」
「ナルトくん!ファイトです!」
「ゲジ眉!ドドンと勝ってくるってばよ!」
熱いナイスガイポーズをしあう
「あれ…?リーって何時の間にナルトと仲良くなったの?」
「ナルトくんは共に熱い修行をした仲です!」
「あーそう言えばやってたわね…あれ凄い迷惑だったわよ…」
「酷いですよテンテン」
「酷いのはアンタの頭よ…ま、リーが応援するなら私もナルトの応援しとくかな…ガンバレー(棒読み)」
「ふ…じゃあ、俺もナルトの応援をするか…」
「応援してるよナルト」
「めんどくせーが、ま、頑張れよ」
「任せろってばよ!チョウジ!シカマル!」
シカマルとチョウジはキバともナルトとも友達だったが、さっきのキス事件の後ろめたさもあってかナルトの方を応援することに決めたらしい。
しかし、そうなると可哀想なのはキバである。
只でさえ敗色濃厚だというのにこのアウェイ感。
当然キバは憤慨する。
「おいいい!!誰か俺の応援しろよ!!」
一応シノと紅はキバを応援していたのだが、皆の声援にかき消されてしまったらしい。
「なんかあいつ可哀想な奴じゃん」
「私はあのキバって方を応援してるけどね…これ以上変態に勝ち進まれたら堪らない」
「こっちはこっちで可哀想な評価じゃん」
砂の評価も大概に可哀想なキバだが意外にも大蛇丸の評価は悪くなかった。
(彼…犬塚一族の跡取りね…あの一族って…代々パッとしないんだけど…実は里の駒として考えるとかなり優秀なのよねぇ…)
臭いによる特殊な感知はなかなかある能力ではない。探し物や里の警ら、敵の追跡、変化の看破など多方面で活躍出来るだろう。そもそも感知能力者自体が希少な世界で、感知能力を持った人材を一定以上の品質で、常に排出してくれる一族は里を運営する立場からするとかなりありがたい。しかも、ある程度の単体の戦闘能力もあるので、有事の際の戦力や盾にもなる。一口で三度美味しい犬塚である。
(感知タイプで言えば、日向や油女なんかも優秀なんだけど…白眼はチャクラを使うから常に使うことができないと言う欠点があるし、虫での索敵にはタイムラグがある…その点臭いにはそれがない…普段の警戒を任せるのにこれ程適した一族もいないのよね…)
そんな風に里長の立場から犬塚一族を高評価する大蛇丸だが、
(まあ、今回は純粋な戦闘力を測る試験…感知能力はあまり関係ないのだけどねぇ)
その一言に尽きた。
ナルトの試合が始まる。
試験場に上がるナルトと、対戦相手のキバ。
「第七回戦 うずまきナルトvs犬塚キバ」
試験官のハヤテが、対戦者の名前を読み上げる。
「ナルト…お前の強さは知ってるし、認めてる…だから、殺す気でいくぜ!死んでくれるなよ!」
「俺も手加減はしねえってばよ!」
「あ~…ゴホッ…両者準備は良いですか?...」
「...俺はいつでも良いぜ」
キバは、腰を落として答える。
続いてハヤテはナルトに顔を向ける。
「.こっちも大丈夫だってばよ!」
ナルトも大きな声で頷く。
「それでは第七回戦...はじめて下さい」
試験官である月光ハヤテの掛け声と共に試合は序盤から互いに全力で始められた。お互いの手の内は大体知っている。小手調べなんてモノはない。
キバは予め手に持っていた兵糧丸を自分と赤丸の口の中に入れる。キバの目が獣のように縦に割れ、様相が見るから凶悪に変貌する。赤丸の変化は更に顕著で体毛が真っ赤に変わる。
ガルルルル!!
グルルルル!!
「ワンワン(擬人忍法)!!」
「擬獣忍法!!」
「「獣人分身!!」」
ボフンと言う音と共に赤丸がキバへと変わる。どちらも獣のような凶暴な顔つきはそのままで、身体中に力がみなぎっているのが傍目からでも分かる。
「な… なんか目がヤベーってばよ! 変な薬使いやがって!! これってばドーピングじゃねーの! いいのか コレェ!!?」
「ハイ! 兵糧丸は忍具の一つですから!」
「アンタァ!! そればっかりだってばよォ!!」
憤慨するナルト。
「行くぜェ!!四脚の術!!」
二人のキバは四つん這いになり、全身にチャクラを漲らせる。
「部分獣化の術!!」
キバの両手が巨大な爪を持った犬のそれへと変わる。
「くらえ!! 獣人体術奥義!! 牙通牙!!!」
開幕初っ端からの全身全霊の一撃…だが…
「その技は知ってるってばよ」
ナルトはカリッと親指を噛み、地面に手を着く。
「口寄せの術!」
ボフンと言う音と共に巨大な蛞蝓がナルトの前に現れる。ナルトはその蛞蝓の中へと入っていく。
「あとは頼むってばよ!カツユ!」
試合はナルトの勝利で終わった。カツユの下の土の中に隠れていた本体をキバは見つけることが出来ず、カツユの中から現れる影分身とカツユ自身による圧倒的な物量攻撃に敗北した。
ちなみに、第八回戦日向ヒナタ vs 日向ネジ、第九回戦ロック・リー vs 我愛羅、第十回戦秋道チョウジ vs ドス・キヌタはそれぞれネジ、我愛羅、ドスが勝ち上がった。
予選終了!