ナルトが綱手に引き取られる話 作:tanaka
「実はいいものがあるのよ!」
その日、修行を終えたナルトとサスケにキラキラとした実に良い笑顔でサクラが告げた。サクラがこう言う顔をするときは大抵ろくなことがないと経験で知っている二人は嫌そうな顔をするものの、それが何なのか分からず、首を傾げる。そんな仲間の反応に気付いているのか気付いていないのか、スルーして、サクラはうきうきと篭を取り出し、蓋を開ける。中には黒い団子のような物が入っていた。
「何だってばよ?その泥団子?」
「泥団子とは失礼ね!兵糧丸よ!」
「兵糧丸ってこんな黒かったっけ?」
「ふふ…それは市販の兵糧丸じゃないからね!綱手様に師事して私が一から作った物よ!栄養満点滋養強壮それに即効性も考慮して厳選した材料だけを丁寧に練り上げてぎゅーっと凝縮したものだからとっても効くわよ!ひょっとしたら怪我の回復が早まるだけじゃなくて、体自体強くなるかもね!食べてみない?」
「別に俺達怪我とかしてないんだが」
「いいじゃない。体に悪いものじゃないわ。それに感想を聞きたいのよ」
「うーん、そこまで言うなら食べてみるってばよ」
「仕方ねえな」
二人はサクラから兵糧丸を受け取り口に入れる。
変化は劇的だった。
それを口に入れた瞬間、彼等は顔を真っ青にしてゲロを吐くように吐き出した。
「「おえええええ!!」」
「ちょ!ちゃんと食べなさいよ!」
「む、むちゃ言わないでくれ…これ本当に兵糧丸か?」
「うんこみたいな味がしたってばよ」
サクラは二人の言い様に流石にカチンときたのか不服そうに怒る。
「あのねえ、良薬口に苦しって言葉をしらないの?全く贅沢ね」
「…知ってるが、味も少しは気にした方が良いと思うぞ。この泥だ…兵糧丸じゃ薬が体に効き始める前に臭いと味で体調が悪くなる…うう…目眩が…」
「三途の川が見えたってばよ…」
「何よ…全く大袈裟なんだから」
サクラは不服そうにしながら、自分で食べてみる。
ナルト達のように恐る恐る食べる訳じゃなく、大丈夫だと証明するように、もろに噛みくだいて食べる。
変化は劇的だった。
「○#&&℃%##℃¥¥#!」
サクラは唐突に口の中に広がる劇物のような強烈な味と臭いに、言語にならない悲鳴を上げ、アへ顔を晒す。そのまま痙攣するようにゴクリと喉が動き、兵糧丸は胃袋へと入っていった。
「だ、大丈夫かってばよ?サクラちゃん」
「いや、大丈夫ではないだろ…もろに食ってたぞ」
「すぐに吐き出すってばよ!」
サクラは涎を拭いながらヨロヨロと起き上がる。
「うう…大丈夫よ…思った以上に不味かっただけ…体に害はないわ…そのはずよ…人間が食べるものじゃない味がしただけで…何か飲み物ない?」
「俺の水筒ならあるってばよ」
「ありがとう」
水筒のお茶をごくごく飲む。
「あの調合だとこんな味になるのね…ビックリだわ…」
そう言いながらサクラは水筒をナルトに返すと、腰のポーチから手帳とペンを取り出し、何やら書き始めた。何を書いているのかは分からない。たぶん、改善案とか考察とかが書かれているのだろう。
そうして、暫く何かを凄い勢いで書いた後、手帳を閉じ、ポーチに仕舞い、ナルト達を見る。
「ねえ、サスケ、ナルト、また今度味見を」
「俺兵糧丸食ったら死ぬ病にかかったってばよ!」
「お、俺も兵糧丸食ってはいけない病に」
「いや、ちゃんと味の確認はするわよ!失礼ね!とにかく、また今度作ってくるからその時はよろしくね!」
全く嬉しくない約束を強制的にさせられたナルトとサスケは、せめて次食べる時は食べられる味になっていることを祈るばかりだった。