ナルトが綱手に引き取られる話 作:tanaka
「ヒャッホーイ!ナルトが勝ったぜ!赤丸!」
「ち、ヒヤヒヤさせやがって」
「一時はどうなることかと思ったけど無事一回戦突破だね」
「もぐもぐ………良かった……もぐもぐ」
「チョウジ、あんた食べ過ぎよ」
「まさか彼処から逆転するとはな…にしても、スゲーチャクラだったな」
同期の忍が口々にナルトに称賛の言葉を送る。乗せられやすいナルトは分かりやすくチョーシに乗って騒いでいる。キバと肩を組んで踊ったり、勝因を得意気に語ったり、迎えに来た綱手やシズネや自来也に抱き付いたり…………
ちなみに、勝因は「諦めねえど根性だってばよ!」らしい。
✝️
「では、引き続き第二回戦を始める…油女シノ…カンクロウ…両名は下に降りてこい」
ゲンマは数秒場が落ち着くのを持ったが、収まりそうにないので、時間を見て進行を始めた。
「お!次はシノか!砂なんかに負けんじゃねえぞ!」
「当然だ」
「頑張ってねー!」
「応援してるわよ!」
「木の葉の力を見せつけてこい」
「青春フルパワーですよ!」
「頑張れってばよ!」
シノは同期からの声援を次々と受け、僅かに顔を赤らめる。
何かと忘れられることの多いシノ。しかし、今回は数少ない個人に焦点の当てられるイベントだ。シノは裾の中で拳を握り、同期の暖かい声援を力に変え、気合いを入れて階段を下りようとして──
「──俺は棄権するじゃん!」
カンクロウがまさかの棄権を宣言した。
「なっ!」
シノはフィールドに降りることもなく不戦勝が決定し、サングラスの奥で瞳を見開く。それはねえってばよ……
「って、ことは次はもう俺かよ」
唖然と固まるシノの横で、シカマルはめんどくさそうに溜め息を吐き、フェードアウトを模索する。
「こうなったら俺も流れに乗って棄権を……」
「よっ!頑張れってばよ!シカマル!」
と、ナルトに盛大に背中を叩かれた。
棄権を宣言するために手を上げ身を乗り出そうとしていたシカマルはそのまま止まることなくフィールドに落下。
「イッテー!あの野郎!てか、来ちまったじゃねえか!」
尻をついて憤慨するものの、次々と突き刺さる視線に、もう逃げられないことを悟る。
「くそっ…やるしかねーのか…」
シカマルは眉尻を落とし、腰を擦りながら立ち上がる。
「なんだい?私の相手はこの死んだ魚みたいな男かい…」
巨大な扇に腕を乗せたテマリが相手不足だと視線で告げる。
その鋭い眼光に、怒った母親を思い出し、只でさえ少ないやる気がガリガリと削られていく。
こーいう気のつえー女は苦手なんだよ…でも、男が女に負けるってのも…格好がつかねーよな…
「…お手柔らかに頼むぜ」
「…腰抜けめ…一瞬で終わらせてやるよ」
シカマルとテマリは向かい合う。
「えー…両者 準備は良いか?」
ゲンマの確認に無言で首肯く二人。
「では、第三回戦奈良シカマルVSテマリ 始めろ」
試合内容は原作通り、シカマルは詰め将棋のような戦略で試合をコントロールし、見事にテマリの拘束に成功するが、直後「チャクラ不足で時間切れくせえ…もう面倒だ」と言い残し、あっさりと試合を放棄した。
✝️
「あー!負けた!負けた!」
自来也は購入した賭博券を放り投げる。
今回の試合、シカクの息子と言うことで期待を込めてシカマルが勝つ方に掛けたのだが、まさかの途中棄権。試合が勝っていただけにやるせない。もうちっと粘れっての!と憤慨する自来也。ほぼ同時にシカマルの賭博券が方々から投げられ宙を舞う。
「綱手はどっちに賭けたんだ?」
「私はテマリってくノ一の方だよ」
「これで綱手の二連勝か…」
珍しくつきまくってる綱手にシズネは嬉しそうに「今日は焼き肉です!」と笑い、自来也と綱手は嫌な予感に顔をしかめる。
「お前がついてる時はろくなことがないかろのお」
「まったくだ…何事も無ければいいが…」
綱手と自来也は上座に座るヒルゼンを見る。ヒルゼンは自来也と綱手の視線に気付き、「まだ動くな」と首を横に振った。
どうやら未だに風影との会話で裏は取れてないらしい。
このやり取りからも分かる通り、自来也は既に三代目や里の上層部に「音隠れの里が大蛇丸と関わりのある可能性」を告げていた。
しかし、証拠がある話ではないので、それを理由に中忍試験を止めることは出来ない、と言うのが里の最終決定だ。
もちろん、止められないからと言って何もしないわけではなく、里は例年以上の厳しい警備が敷かれている。会場である此処にも複数人の暗部が待機しており、気づく人間はその数に違和感を感じていた。
相手が音だけなら正直これ程の警備は必要無いのだが、何せあの大蛇丸が相手だ。それに───
「もし大蛇丸が動くと仮定して…最悪の事態を考えるなら…砂と協力体勢を築き、中忍試験で警備の緩くなっている木の葉を強襲すること……砂の国は同盟国ではありますが…同盟などと言うのは何時だって一方的に破られてきたもの……過信は禁物かと」
と言うシカクの言葉もあり、砂の忍に対する警戒も続けられていたのだ。
まあ、それは兎も角、試合は本日のメインイベント「うちはサスケVS我愛羅」の試合になる。
木の葉崩しの瞬間は刻一刻と近付いていた。
✝️ オマケ
「なんだい?私の相手はこの死んだ魚みたいな男かい?」
テマリの見下した言葉に言われた本人であるシカマルはあまり反応しなかったものの、その後方…観客席にいる同期達は喚き倒していた。特に気炎を発してるのはキバ、いの、ナルト、テンテンの四人組だ。
「おいおいおい!そこの砂の女ァ!あんまし
「そうよ!そうよ!確かに隠居したじーさんみたいな奴だけどやるときゃあやる男よ!
「シカマルゥ!!そんな女ボコボコにしてやれってばよ!股間蹴り上げて、三途の川見せてやれってばよ!!」
「ガラ悪っ!でも、いいわ!もっと言ってやりなさい!」
「青春ーー!!」
「うるさい!!あんたは何を言ってんのよ!」
キバ、いの、ナルトが手摺から半身を出し、流れるように言葉を紡ぐ。それを客席でテンテンが囃し立て、リーが叫び、テンテンがツッコム。
そんなカオスな空間の横で、チョウジは何時も通りのんびりとお菓子を食べている。
「もぐもぐ」
「チョウジィ!!あんたも何か怒りなさいよ!シカマルの親友でしょ!」
「でも、いの…シカマルは絶対気にしてないよ…今だってほら…めんどくせーって顔してるじゃん」
「何言ってんのよ!シカマルはああ見えて心の中には熱いものを持ってるのよ!今だって敵を倒す算段を考えてるに決まってるわ!」
「ないない…シカマルに限ってそれはない」
更に、その横でサクラが赤丸を膝に乗せて、和んでいた。
「みんな元気ね…私はそこまで熱くなれないわ…はい、赤丸、忍犬用の兵糧丸、私が作ってみたの、プレゼントよ」
「わんわん!!」
ボツ案
「なんだい?私の相手はこの死んだ魚みたいな男かい?」
「…死んだ魚って…それを言うなら死んだ魚の目だろ…」
「あんたは目だけじゃなくて顔全体が死んでるんだよ」
「ひでえー…」