ゾンビ少女は立派な海賊になれるか   作:のんのののん

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最近ちいかわにハマりました


第4話

「早く戻らないと……!」

 

 メンローパークは昼と変わらない薄暗い廊下を走っている。来客があったとはいえ、ここまで就寝に遅れてしまったのは初めてだろう。忘れっぽい頭でも覚えている程に、しっかりとその命令は刻み込まれていた。

 布を足の形に合わせただけの靴のカサカサという小さな音と自分の息を吐き出す音のみが聞こえ、その静寂がより焦りを増幅させた。

 

 そんなひとりぼっちの世界は、遠くから近づいてくる騒がしい声と破壊音で崩れていく。

 メンローパークの自室はこの十字路を真っ直ぐだが、右手から聞こえてくる賑やかな音への興味から足が止まってしまう。

 そして、見えた。

 見通しの悪い廊下でも見える距離まで近くに来ていた。

 

「ウソップ────!!! チョッパ────!!! どこだ────!!??」

 

 大声と破壊音。絵や絨毯、果ては壁にまで擬態しているゾンビ達を蹴散らしながら麦わら帽子を被った男を先頭に進撃してきていた。

 ゾンビ達も力を合わせて立ち向かうがその勢いは全く止まる気配はなく、焼け石に水といった様子だ。メンローパークはそんな初めて見る光景に暫し呆気に取られたが、就寝とか言ってる場合じゃない、こんなヤツらを放っておいた方が怒られると思って睨みつけた。

 

「あ! あの子よあの子! さっき言ってた氷の!!!」

 

 直後ナミが指をさしてメンローパークに気づくが、メンローパークは既に戦闘準備を済ませている。一味が身構えるよりも速く、床や壁を伝って氷が広がった。それはゾンビも一味も関係なく足元を凍りつかせて釘付けにし、戦闘を完全に停止させる。

 

「こいつは……!」

 

「しばらく大人しくしてくださいねー」

 

「メ、メンロー様!」

 

 メンローパークは警戒する様子もなく呑気に歩いてゾンビ達の氷を溶かしていき、解放されたゾンビ達はそそくさと逃げていく。

 そして見える限りのゾンビ達を解放し、一味に向き直ったその時。

 

「──おい、おいメンローパーク! おいらの氷も溶かせ! おいこっちだ、おい!」

 

 一味から少し離れた場所で声が。

 キョロキョロと声の主を探すが、見つからない。

 

「む、そうか。ほら、これでいいだろう!? さっさと溶かせ!」

 

 すると突然チーターの口をした半獣人のような男が現れた。その男はアブサロム。メンローパークが自分だと思い込んでいるゾンビ達のリーダーである。ちなみにアブサロムのことは何してるのか分からないけど偉い人という認識だ。

 

「アブサロムさん。ごめんなさい。気づきませんでした」

 

 メンローパークは少ししょんぼりしながら足元の氷を溶かす。氷が溶け切るとアブサロムは一味の方へ歩き出した。そしてナミの前に立つと……

 

「……まぁいい。だがこの女は貰っていくぞ!」

 

 そう言って手の平をナミの足元に突き出すと、氷が割れてナミの拘束が解ける。

 

「なっ! ナミさんに何しやがる!」

 

「お前は黙っていろ……! この女は、おいらの花嫁になるんだ……!」

 

 アブサロムはそう言い放ってナミを抱え、廊下にある窓を突き破って出ていった。

 

「なっ……花嫁、だと!? ゆ、許さん……!!!」

 

 それを聞いていたサンジは身体中に血管を浮き上がらせ、目に炎を燃え上がらせ、氷を気合いで溶かして追いかけていった。

 そして目を離している間にルフィやゾロ達によって氷は砕かれ、フランキーは火を指から出して溶かしていた。

 

「サンジとナミはおれが追いかける! ゾロ達はチョッパーとウソップを頼む!」

 

「あ、おい!」

 

「了解だぜ!」

 

「わかったわ」

 

 これでゾロ、フランキー、ロビンとナミ、サンジ、ルフィで分断。

 そしてメンローパークは今は戦闘態勢に入っている、勢いで凍らせた彼らをどうするべきか悩んでいた。

 

「……おい、フランキー。刀に火、付けられるか?」

 

「……あ? ああ、そんなに時間はねェからな。気をつけろよ」

 

 フランキーはそう言ってゾロの刀に油をかけ、火をつける。

 右手に持った燃える三代鬼徹と左手に持った和道一文字を構え、メンローパークに突撃。

 

「え、ちょっと……!」

 

「……!」

 

 狼狽えながら氷を広げるメンローパークを見てゾロは即座に刀を持ち直し、右手の刀を高速で振ることで引火。そして刀の柄で気絶させた。

 近距離戦闘などほぼ経験のないメンローパークは対応できる筈もなく、為す術なく意識を失った。

 

「お、おい!? 容赦ねェなお前!?」

 

「味方じゃねェことは確かだろ。それに先に攻撃してきたのはコイツの方だ……」

 

「でもこのまま放っておくのも心配ね。縛って連れていきましょう」

 

「ああ、任せとけ!」

 

 フランキーはメンローパークを縛って肩に担ぐと、ウソップやチョッパーを求めて探索を再開した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ドガン、バキバキ、と破壊音が鳴り響く。地面が揺れ、砂埃が舞い、瓦礫が飛び回る。一時間前のスリラーバーグを見た者には信じられない程屋敷が崩壊し、ありとあらゆる建物に破壊の波が押し寄せていた。

 

「…………んぁ?」

 

「お? 目を覚ましたか! よかった! でもまだ寝ておいた方がいい」

 

 目を開くと巨人が破壊を撒き散らしながら暴れており、それと戦う麦わら帽子の一味の姿。

 目を横に向けると帽子をかぶったタヌキがそばに立っており、何かをしている。

 

「何、してるんですか?」

 

「打撲の処置だ。ゾロは手加減がヘタクソだな。それよりもあんなに疲労が溜まってて動くのは良くねェぞ。限界ギリギリだった……って何で立ってんだお前ェ!!!???」

 

 動作がままならない手足を無理やり動かして立ち上がると、戦いの図が見えてくる。

 オーナー、ゲッコー・モリアサイドの巨人と侵入者サイド。どちらに加勢すべきかは明白だが……

 

「タヌキさん、どうしてボクの治療を?」

 

「死にかけてる奴がいたら助けるのが医者だ! ルフィ達がモリア達を倒してくれるから、今は体を休めろ!」

 

「どうしてオーナー……モリアさまを?」

 

 その問いに対して、チョッパーはモリアの今までしてきたこと、数多くの悪事を説明した。

 そもそもここはスリラーパークという遊園地ではなく、スリラーバーグという侵入者の影を奪い取る海賊船であること。(これはメンローパークが勝手にした勘違いであるが)

 影を奪われた人々が苦しんでいること。ゾンビ達を使って人の尊厳を貶める行為を続けていることなど、全てを説明した。ついでにメンローパークがゾンビでは無いことも説明した。

 

「え? んぅ? あぁ……ぅうううぅぅぅぅ!!!!」

 

 すると突然、メンローパークから大量の氷と炎が放出される。

 

「え!? ど、どういう事だ!?」

 

 チョッパーは慌てているが、なんてことは無い。頭の容量が小さくなってしまっているメンローパークが衝撃的な事実を大量にぶち込まれることで、盛大に、錯乱したというだけのこと。




巻いてる感じは否めないけれど、メンローパーク主体で進むっていうことを説明するチュートリアルとして書かせてもらいました。なのでメンローちゃんが気絶したり、別の場所に行けば態々書こうとしない限りは勝手に事態が進むって認識でおなしゃす
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