東方導幻郷 第一部   作:べるん様

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始まり ~噂の門

今日もまた、幻想郷は曖昧模糊としていた。

ぼんやりとして、如何にもやる気の無さが伺える。

然し、幻想郷に住まう人妖は昼行燈、猛々しい連中が集まっている。

盗人猛々しいのも中には居る。盗みをはたらき、金品を売り払っては生活の足しにする輩も少なくはない。

そんな摩訶不思議な幻想郷に在る「博麗神社」の巫女。博麗霊夢は、異変も何も起きない生活が非常に退屈であった。

「ああ~! 何か起きないものなの!?」

「そんなに怒鳴っても異変は起きてくれるもんじゃないぜ」

当たり前の事を口に言う、霧雨魔理沙。

彼女は人間で、幻想郷的に言うと、霊夢と「同種族」である。

河童や天狗といった想像上の妖怪や神様が住んでいる幻想郷では、人間も種族と入れる。

「それは・・・・・・解ってるけど・・・・・・」

「だったら気長に待ったらどうだ? それか自分で異変を起こすとかさぁ」

「随分と面白そうに言うのね・・・・・・それが出来たら私も四六時中暇じゃないわ」

「じゃぁやればいいじゃないか。暇が無くなるなら霊夢にとっては好都合だろ?」

「ねぇ魔理沙。私の立場分かって言ってる? 私は巫女よ? 神の力を纏う私が、悪人に成ってどうするのよ!? 烏滸がましくてしょうがないわ」

「確かにな。霊夢は巫女だもんな。悪逆無道としちゃぁ悪事千里だもんな」

巫女が神々が望まない行動に出たら如何なるのかちょっと考えてみたくもなる事だが、正に面従腹背。何の為に巫女をやっているのかが疑われる。

「あ~あ、変なことが起きてくれるだけで私は大満足よ」

「だったら鬼の所にでも行ってきたらどうだ? 萃香最近様子が可笑しいって言ってたし。それと、原因は不明だが、別世界への門が開いたとかなんとか・・・・・・」

「それを早く言いなさいよ!!」

霊夢が怒鳴る。曖昧模糊には「変」という言葉が一番合うかもしれない。

「スマン。霊夢なら喰いつくと思ったが、つい言うのを忘れてしまったんだぜ」

「全く。魔理沙らしいわね。悪知恵の方が大事みたいな脳じゃない」

「失礼だなぁ。これでも最善を考えてるんだ」

「漫語放言にしか思えない」

この会話からして漫語放言である。

 

                    *

 

その頃、とある海。

信じられない噂を耳で聞いた八雲紫と八雲藍は、その「門」が在るという場所に来ていた。

それが何と海に在るという幻想的な森羅万象。

「紫さま、これは・・・・・・?」

「解らないわ。でも、此れが最近噂の、門?」

海に在る門は、世界各国に在る「門」という原型を留めていない。

グニャグニャとうねっていたり、時々不思議な形に変化したりする。

言葉では言い切れないほど、不思議で、これまた複雑怪奇。

興味をそそられる。新聞記者でも呼んでこようかな。

「藍。橙を召喚して貰える? 門が何に通じているのかが知りたいの」

「はい・・・・・・」

藍は余裕な表情で橙を召喚した。

橙は、藍が操る式神のことで、藍自身も式神なのだが、式神が式神を召喚するというとても強い実力、魔力を秘めている。

「藍さま、お呼びでしょうか?」

「橙、心の準備は無しで、目の前に在る門に入って貰える?」

「行き成りそんな事言われましても!!」

誰だって一度は拒む筈だ。

刹那見たばかりのモノに入れだなんて、特質等を大体は予想出来ないと、強者でも入りたがらない。

「橙、お願い。後で美味しいものをあげるから」

「わっかりました!」

「あら、何て軽い」

「紫さま、橙は食いしん坊ですから・・・・・・」

「そうなの。釣るのはあまり好きではないけど、真相を探る為には権謀術数な事でもして探りたいわ」

話している最中、橙はすかさず門に飛び込んでいった。どれだけ美味しいものが食べたいのだろうか。

藍は思わずため息を吐く。非常に残念そうな顔をしている。無念。

「あ、紫さま。橙はどうするのですか? 幾ら私の式神でも呼び戻すことは出来ませんが」

「大丈夫。その事を考慮しての提案よ。私が連れ戻す」

「成程、境界の力を使うのですね」

「さて、そろそろいいかしらね? それっ!」

紫が境界の中に手を伸ばす。境界の中から「うえっ!!?」という声が聞こえる。

紫の手に橙はひどく吃驚しているようだ。

「ううん・・・・・・橙って重いのね・・・・・・」

「何ゆえ、食いしん坊ですから」

「あとでお仕置きでもするわ。もうちょっと痩せなさいって」

「相当身体におぼえさせないと変わりませんよ? 口だけじゃ聞かない輩ですから」

橙ってそんなに自分勝手だっけ? と紫は思った。

「ふぅ~。紫さま! 吃驚しましたよぉ!!」

「ごめんね橙。それで、風景はどうだった?」

「風景、ですか? え~と、確か幻想郷みたいな風景でした」

「となると、三千世界。ね」

「さんぜんせかい? どんな意味なんですか?」

「三千世界は、仏教でいう世界観で、須弥山しゅみせんを中心に、周囲に四大洲があり、その周りに九山八海があり、われわれの住む小世界を形成し、この一つの世界を千合わせたものを小千世界、小千世界を千合わせて中千世界、さらに中千世界を千合わせて大千世界。この大千世界は千が三つ重なるので三千大世界、略して三千世界という意味なの。つまりは、幻想郷の原型といっても可笑しくはない」

「紫さま、つまり門の中は幻想郷と似た様な場所。という事で宜しいですね?」

「ええ間違いなく。恐らく隅々まで観察すれば何れヒトも居そうな感じだわ」

「ヒト、ですか・・・・・・」

「藍さま、ヒトってなぁに?」

「ヒトっていうのは、私達のからだの元を成す族よ。頭があって、手足があって、喋れて、歩けて走れて、最低基準として、顔があることがヒトね」

「へぇ~」

「藍、橙。この門へ入りましょう。面白いことが絶対、有る・・・・・・!」

「私もそう思っていたところです。是非行きましょう。橙はお留守番ね。危険な場所だと思うから痛い目には遭わせられないわ」

「え~、行きたいよ~」

「私達が戻ってきて、危険な場所じゃないって解ったら一緒に行きましょう」

「うん!!」

「話は済んだ? 藍、行くわよ」

「はい」

そして、二人は門の中へと消えていった・・・・・・

 

                    *

 

日が明けた。今日の天気は快晴。気持ち良すぎるくらいに直射日光が当たる。

「今日は熱中症に注意ね。手拭いも常時持っておこうかしら」

「霊夢~。遊びにきたぜ!」

「あら魔理沙。いらっしゃい!」

「やけに元気がよさそうだな。何か有ったのか? ま、まままさか! 萃香の所行ったのか!?」

「行く訳ないじゃない。昨日はずっと神社にいたわ。でも、面白い夢を見たの」

「へぇ~、でその夢って何だったんだ?」

「最近噂の門へ入ったら、日本に着いちゃったという内容。素敵でしょ?」

「日本!? 何でそんな場所に通じてるんだ。夢だとしても・・・・・・?」

「解らないわ。でも、多分あの門は日本に通じてるんじゃないかしらって思うの」

「日本ってあの、慇懃無礼なあの日本?」

「ええ」

「うっひょー! 行きたくなってきたぜ!!」

 

 

「待ちなさい。霊夢、魔理沙」

「ん? って紫!!」

「どうしたんだぜ? やけに濡れている様な気がするんだが」

「あの門に入ってきたの。そしたら、日本だったわ」

「え、ええーーーーーーー!!?」

霊夢と魔理さが仰天する。いや、夢が実現するって、俗に言う「具現化」?

でも、本当に日本だとすれば、この曖昧模糊な生活を少しは送らずに済む。

だって、其処に住めばいいんだもの。霊夢の考えは実に楽天的。

「で、何でそんなに濡れているんだ?」

「それは、門の在る場所が海で、然も暴風怒濤だったから」

「成程な。オイ霊夢。早速行くのか・・・・・・あ、駄目だこりゃ。行かなきゃ不味いことになりそうだ」

「話は纏まったわね。貴方達なら日本と聞いて黙ってはいられないと思ったから此処まで来た訳だけど、言う前に意見一致ね。恐縮だけど、直ぐ準備をして貰える? 貴方達、どうせ日本で少しは生活したいんでしょ?」

「流石紫だぜ。さとり並に心を見抜くな」

「それは光栄だわ。本当に早速で申し訳ないけど」

「いや、それはこっちだぜ。私達もその門に行こうと思っていたんだけど、先に紫に越されちまったからな。かりが出来たって感じだぜ」

「じゃぁかりを返すのは日本でお願い。今は要らないわ」

「分かった。じゃぁ霊夢。早速準備しようぜ!」

「に、にほん~~♡」

「駄目だこりゃ・・・・・・」

 

 

 

 

第ニ部につづく。




いやぁ~遂に完成しました東方導幻郷(とうほうどうげんきょう)
幻想郷と日本を繋いだ新感覚のストーリーを目指しますww
幻想郷と日本を繋いだ新感覚ほのぼの系ストーリー!!
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